仕事がなかなか進まない。毎日大量のタスクに追われてストレスを抱えている。ビジネスシーンにおいて、こういった状況は決して珍しくありません。そこでこの記事では、ストレスフリーの仕事整理術「GTD」について解説します。実践時のステップも紹介するので、効率よく仕事をするための参考にしてみてください。
更新: この記事は、GTD を最大限有効活用するヒントに関するさらに詳しい記述を含めて 2023年 4月に改訂されました。
物議を醸す意見かもしれませんが、人間の脳は情報を保存するようにはできていません。というのも、To-Do やリマインダーで頭の中がごちゃごちゃしていると、実際にやるべき仕事に使える脳の力が減ってしまうからです。
これが、Getting Things Done (GTD メソッド) の基本原則です。頭の中の To-Do を To-Do リストツールに移すことで整理し、ストレスを感じることなく重要な仕事に集中することができます。この記事では、GTD ストレスフリーの仕事術、整理術として知られる手法をご紹介します。仕事が進まないと悩んでいるなら、GTD を実践してみましょう。
GTD とは、「頭の中で管理している情報が多ければ多いほど、生産性や集中力が低下する」という信念に基づいた手法です。この手法では、仕事に関する情報管理を頭脳に頼るのではなく、外部の整理された情報源に保存することを推奨しています。そうすることで、「次に何をすればいいのか」を常に把握することができ、仕事の見落としを心配する必要がありません。
GTD はタスク管理手法として有名です。以下のようなビジネスパーソンにおすすめです。
生産性を上げたい人
効率性を上げたい人
仕事が進まないと悩んでいる人
時間を最大限効果的に使いたい人
GTD とは、「Getting Things Done (仕事を成し遂げる)」の頭文字をとったもので、2001年にデビット・アレン (David Allen) 氏が考案した生産性アップのための手法です。アレン氏は、著書『Getting Things Done: The Art of Stress-free Productivity』の中で GTD の手法を紹介しました。タイムマネジメント戦略として人気があるこの手法は、ビジネスだけでなく、プライベートでも応用でき、現在世界中で実践されています。
GTD はタイムマネジメント術のひとつであり、他のタイムマネジメント術と同様に、メリットとデメリットがあります。どの戦略を実行するかは、あなたがタイムマネジメントでどのようなスキルを向上させたいかによって大きく異なります。
GTD システムは、簡単に設定でき、フレキシブルに活用できます。GTD には、次のようなメリットがあります。
自分が担当している仕事をすべて覚えようとすることによる、認知的な負荷や精神的な負担を軽減できる。
アクションが不要なものも含むすべての情報に関する唯一の情報源を構築できる。
自分が抱えている仕事を明確に把握することで、必要に応じて簡単に優先順位をつけ直したり、スケジュールを変更したりできる。
GTD を実践する前に、以下のポイントに注意してください。
設定に時間がかかる: タスク管理システムを活用して、すべての作業を文書化しましょう。
自由度が高すぎてしまう場合がある: GTD では、タスクを整理するだけで、1 週間や 1 日の仕事のスケジュールを立てることはできません。人によっては、この自由度の高さが苦手な人もいるでしょう。そんな場合はタイムブロッキングやタイムボクシングのような別のタイムマネジメント術を GTD と組み合わせてみましょう。
それでは実際に、GTD の使い方について見ていきましょう。GTD には、5 つのステップがあります。
把握する (収集)
見極める (処理)
整理する (整理)
更新す る (レビュー)
実行する (行動)
その各ステップで Asana のような外部ツールを使い、今後の仕事をカタログ化して整理することで、To-Do を頭で管理する必要がなくなります。GTD で仕事を整理できたら、タスクの実行へもスムーズに移ることができるでしょう。
では、それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。
仕事を整理するには、まず頭の中以外の場所で仕事を把握する必要があります。デビッド・アレン氏はこの場所を、どんなツールが使用されているかに関わらず、「受信トレイ」と呼んでいます。なぜなら、タスク、情報、リマインダー (アレン氏はこれを「物事」と呼んでいます) は、すべて受信箱に直接入るからです。メールの受信トレイというよりも、後で処理する情報のタスクリストと考えてください。
このステップでは、以下 3 点を考慮に入れておきましょう。
個人の生産性を向上させたいのであれば、To-Do リストを使って自分の仕事を管理するのがおすすめです。また、チームで仕事をしている場合は、自分の仕事を把握して管理するだけでなく、チームの仕事も整理、管理するために、ワークマネジメントプラットフォームを活用しましょう。
電子書籍をダウンロード: ワークマネジメントとは?チームがワークマネジメントを必要とする理由把握した仕事が整理または文書化されていなくても心配ありません。最初のステップは、あなたの “物事” を頭の中から外部の情報源に移すこと、つまりタスクの可視化です。書き出して把握することは、To-Do をよりよい生産性システムに整理するための最初のステップといえます。
このステップでは、簡単に情報が把握できるシステムを使用しましょう。GTD では、情報が頭の中に入ってきたら、すぐにそれを可視化することが重要です。これにより、負荷が軽減され、見落としをなくせます。必要に応じて、文書やコラボレーター、期日、重要な詳細などの背景情報を追加してください。
これらの “物事” のすべてを把握するには、アナログではなくバーチャルなシステムを使うのが一番です。ノートにひとつひとつ書き出して To-Do リストを作ると、項目を消したときの高い満足感が得られますが、To-Do を管理するには最悪の方法でもあります。実際には、手書きの To-Do リストはうまく整理されていないことが多く、間違いや見落としも起きがちで、非効率的です。
Asana は、To-Do はもちろん、その仕事が大切な理由も、達成する方法も明確に把握できるワークマネジメントシステムです。
Asana のワークマネジメント機能を試すすべてを把握したら、次は見極め (処理) を行います。このステップでは、把握した情報を実行可能なタスクや、詳細なメモ、しっかりとした背景情報などに変換します。その際、受信トレイに入っている各アイテムに、以下のような情報が揃っているか確認しましょう。
実行可能なタスク名 (「~する」のように動詞で書くことをおすすめします)
作業について共有する必要のある背景情報、文書、ファイル、コラボレーターなど
そのアイテムに関連するプロジェクトの取り組み、To-Do リスト、または目標
作業の段階、予算、推定作業時間、優先度など、関連するすべての背景情報
この作業が他のタスクによってブロックされているかどうかや、追加情報を待っているかどうかに関する情報
この「見極め」の段階では、これらの To-Do を分類する必要はありません。次の整理のステップで、受信トレイにある To-Do を適切なプロジェクトに移動します。
このステップでは、以下に挙げるポイントを念頭において行いましょう。
タスクを見極めるのと同時に、各項目に関連する優先順位を付けていきましょう。しかし、時にはどうしても別の予定が入ったり、期日が変わったり、優先順位が変わったりしてしまうこともあります。すべてのタスクの優先順位を明確にしておけば、必要に応じて期日を変更でき、常にインパクトのある仕事をこなせます。
記事: 厳しいスケジュールと変化する優先順位を管理する 4 つのコツ時にはその場ですぐに仕事を終わらせることが、振り分けや処理を行うよりも簡単な場合があります。以下を参考に、効率的に優先順位を付けてください。
2 分以内に終わるものは、すぐに実行しましょう。そうすることで、頭の中からだけでなく、To-Do リストからもタスクを取り除けます。
自分の責任範囲ではないことは、その仕事に適した人に任せましょう。
1 つのタスクだけでなく、複数のタスクを含むアイテムをメモしている場合もあるでしょう。たとえば、新しい電子書籍のアイデアを思いついて、受信トレイに簡単なリマインダーを追加したとします。電子書籍の作成には多くのステップがあり、多くの関係者が関わっています。そこで、見極めのステップでは、この取り組みをいくつかの個別のタスクに分けます。たとえば「電子書籍のアウトライン」、「アウトラインのレビュー」、「電子書籍の下書き」といった具合です。
また、把握したアイテムがプロジェクトやプログラムレベルの情報を表している場合は、プロジェクト管理ツールを使用して、その取り組みの不確定要素をすべて把握します。たとえば、新製品のリリースに取り組んでいる場合、プロジェクト管理ツールを使って、エンジニアリングや製品開発、市場投入戦略、プレスリリースなど、このリリースに関わるさまざまな要素を追跡します。
「見極める」ステップとこのステップは連動しています。見極めを行うのとほぼ同時に、整理するようにしましょう。このステップでは、前ステップで見極め、明確化したアイテムを、ワークマネジメントツールの適切なプロジェクトに移動します。プロジェクトは、重要な関連情報を保存する仮想フォルダのようなものだと考えてください。To-Do を整理し、関連するプロジェクトにアイテムを移すことで、To-Do をメモから実行可能な仕事に変えることができます。
記事: 仕事を正しく開始するために使う 11 のプロジェクトテンプレート見極めを行って背景情報を追加したら、各アイテムを受信トレイから適切なプロジェクトに移動します。プロジェクトをまだ設定していない場合は、ここで設定しましょう。たとえば、こんなプロジェクトがおすすめです。
実行可能な仕事すべてが優先度順に並べられたプロジェクト
メモや参考資料を集めておくためのプロジェクト
個人やチームの目標を管理するためのプロジェクトやツール
現時点では時間がなくても、将来的には見直したい取り組みを集めておくためのプロジェクト
他の仕事にブロックされている仕事をまとめるためのプロジェクトやセクション
情報や会議の議題を共有するためのチームプロジェクト
整理は GTD の重要な要素ですが、どのようなシステムを構築するかは自分次第です。Asana では、自分に割り当てられたものはすべて自動的にマイタスクに入ります。ここでは、完了すべき仕事をすべて一目で確認できます。また、Asana のマイタスクでは、さらにセクションを設けることで今日締め切りの優先度の高い仕事、今週締め切りの仕事、長期的な仕事などを整理することができます。
誰でも一度は、To-Do を「未読」として受信トレイに保存し、後で処理しようとしたことがあるでしょう。しかし、こういった To-Do は精神的なスペースを奪ってしまうため、実はあまり生産的ではありません。「未読」として保存するのではなく、それぞれの To-Do を実行可能なタスクに変換し、すぐに適切なプロジェクトに移しましょう。
見極めと整理のステップを終えた時点で、あなたの受信トレイは空っぽになっているはずです。すべてが適切なプロジェクトや作業ドキュメントに移されているはずなので、次に受信トレイをチェックするときには、まったく新しいタスクを選別することになります。
GTD は、「決めたら終わり」ではありません。定期的にタスクを見直し、必要に応じて優先順位を変更する必要があります。そのためには、各タスクの優先順位を把握することが重要です。新しい仕事の方が古い仕事よりも優先度が高い場合、各タスクの相対的な優先順位を把握することで、仕事のスケジュールや優先順位の変更を簡単に行うことができます。
更新を行うときは、次の点に気を付けましょう。
この「更新する (レビュー)」のステップは忘れがちです。常に受信トレイをチェックしていると、集中できる時間が削られてしまうからです。
レビューは、1 日の始まりと終わりの 2 回行うことをおすすめします。朝の習慣として見直しを行い、1 日の終わりにもう一度優先順位付けを行うことで、明日への準備を整えることができます。そうすることで、To-Do リストのチェックや毎日のスケジュールの整理が必要だと感じることもなく、すっきりとした気持ちで 1 日を過ごせます。GTD は精神的な負担を軽減するためのものなので、更新の回数が多すぎると本末転倒になってしまいます。
そして週に一度、ここ数日で完了した仕事と来週予定されている仕事について、より詳細に更新を行いましょう。やり残したことがないか確認し、必要に応じて優先順位を明確にすることで、次の週を万全の状態で迎えられます。
頭の中を整理し、やるべきことをすべて整理した後は、ただ “物事” を成し遂げるだけです。これまでのステップをきちんと踏んでいれば、どの “物事” から着手すればいいか簡単に選べるはずです。このステップでは、以下のポイントを押さえておきましょう。
いつ何をすべきか、厳密なルールやガイドラインはありません。そのような構造を好む方は、ポモドーロ法などの他のタイムマネジメント術を GTD と組み合わせてみてください。
それでも何から始めればいいのかわからない場合は、実行の際に考慮すべき 4 つのポイントをもとに考えてみましょう。そして、現在の状況に最も適したタスクを選択してください。
優先順位: どのタスクが最も優先順位が高いか?今日絶対にやらなければならないことは何か?
背景情報: 人間の脳がマルチタスクに対応できないのと同様に、類似した作業は同時に行うのがベストです。これが、タイムブロッキングの方法論です。タスクとメールの間を行き来するよりも、すべてのメールを一度に済ませたほうが、脳がその背景情報を把握しているため、より早く “物事” を終わらせることができます。次は何をすべきか迷っているときは、類似した作業をすべてタイムブロックで行ってみましょう。
使える時間: 今自分にはどのくらいの時間があるのか?途中でやめなくてもいいように、時間内にできる仕事を選ぶのが理想的です。
使えるエネルギー: 体調はどうですか?理論上のキャパシティだけでなく、実際のキャパシティも考慮することが大切です。たとえば、書かなければならないブログを書く気分ではないときもあるかもしれません。無理して書こうとしても、いつもの倍の時間がかかってしまう。そんなときは、もう少し優先順位の低い仕事をやってみれば、気合が入るかもしれません。
GTD ストレスフリーの整理術は非常に優れた手法ですが、その効果を最大限あげるにはどうしたらいいのでしょうか?ここでは、GTD を最大限効果的に活用するヒントをご紹介します。
自分では意識していなくても、脳はバックグラウンドで常に「オン」になっており、今後の To-Do をシャッフルしたり並べ替えたりして、何も見落としがないようにしています。何か新しいタスクが加わると、脳はそのタスクに関連した仕事の優先順位を考えているのです。
しかし人間の脳は、大量の情報を整理して保存するようにはできていません。キャパシティを上回る量の情報を処理しようとすると、私たちはストレスを感じ集中力も低下してしまうでしょう。そこで有効なのが、ワークマネジメントツールです。このような外部ソースにプロジェクト情報や To-Do を記録しカタログ化し保存しておくことで、仕事の生産性を上げるのが、この GTD タスク管理手法なのです。
ここで大切なのがツール選びです。個人レベル、プロジェクトレベル、プログラムレベルの情報を取り込み、整理できるツールを探しましょう。GTD は個人的な To-Do を整理するだけでなく、アクションが不要な参考資料や、他のチームメンバーが完了しなければならない作業、自分が行っている作業に関連する目標などを把握するのにも役立ちます。
前述のとおり、そういった情報をさまざまな場所に保存するのではなく、ワークマネジメントツールなど一つのツールにインプットして整理するのが GTD です。そのためには、Asana を活用しましょう。Asana で GTD を行えば、仕事を整理して精神的な負担を減らし、インパクトの大きな仕事を時間通りに完了できるようになります。
Asana のワークマネジメント機能を試すGTD について解説しました。仕事が進まないと悩んでいる人や大量のタスクをこなせずストレスを抱えている人がいれば、ぜひ実践してみてください。この手法は、誰でも簡単に実践できる柔軟な方法です。脳への負担を減らし、インパクトのある仕事を効率的にこなしましょう。
やり方は簡単ですが、最初は慣れるのに努力が必要かもしれません。また、GTD をアナログで実践しようとすると非効率的です。GTD はタスク管理や時間管理術として有効ですが、そのメリットを最大限引き出し活用するためには、優れた外部ツールの使用がおすすめです。GTD を正しく効率的に実践したいなら、Asana をお試しください。Asana モバイルアプリをダウンロードすれば、外出先でも必要な情報がすべて把握できます。