ここ一週間で、タスクの優先順位やカレンダー上のスケジュールを変更したり、遅くまで働いてタスクを完了したことがあったことでしょう。同じことを経験しているのは、あなただけではありません。最新の研究によると、2019年にナレッジワーカーの 87% は毎日 2 時間残業しています。しかしながら、毎週 4 分の 1 超の仕事が締め切りに間に合っていません。時間内にタスクを完了するための要求をうまくやりくりしようとする結果、明確さよりも混乱が多くなります。
幸い、解決策があります。それは、タイムブロッキングです。
タイムブロッキングを使うと、予定のコントロールを取り戻し、大切な仕事に集中できます。また、やりたい仕事と注意力のバランスを調整するのに役立ち、正しい時間に正しい仕事を優先できます。タイムマネジメントテンプレートを使うことで、「常にオンライン」な職場環境で失われがちな自分のプライベートの時間、ダウンタイム、ランチなどのその他の時間をきちんと確保することもできます。
タイムブロッキングとは、一日の文字通りあらゆる部分を計画する時間管理戦略です。タイムブロッキングを使って、仕事のある 1 週間を、メールチェック、プロジェクト業務、休憩、エクササイズなど、一口サイズのタイムスロットに効果的に分割します。
多くの時間管理戦略と同様に、タイムブロッキングは自分の一日を取り戻し、自分の時間が実際にどこに使われているかをよりよく把握するための方法です。「仕事の解剖学」インデックスによると、ナレッジワーカーの 71% が 2020年の間に少なくとも一度はバーンアウトを経験しています。さらに、そのうち 32% の人が、バーンアウトの最大の要因として、仕事モードをオフにできないことを挙げています。仕事のブロックをスケジューリングすることで、重要なタスクを確実にこなすことができるだけでなく、休息とセルフケアのための時間を確保できます。
動画: デジタルの世界で生じる混乱を乗り越える方法タイムブロックを作成するには、似たようなタスクをグループにまとめ、これらのタスクに取り組む時間をブロックします。タイムブロッキングには主に 2 つの基本があります。
カレンダー上で視覚的にタイムブロックを設定することで、仕事が中断されたり、予定がオーバーすることを防ぐ。
似たようなタスクを 1 つの集中したブロックにまとめる。
たとえば、午前 9 時に 1 時間のタイムブロックを作り、メールの返信から始め、次に午前 10 時から 11 時 30 分までは、たとえば GTM のスライドのレビューおよび最終確認など、その日のメインプロジェクトに取り組むためのタイムブロックを作成します。11 時 30 分には、昼食のための 1 時間のタイムブロックを作成し、これを繰り返します。
カレンダーをタイムブロックすることで、メールの返信やタスクの仕上げなど、重要な仕事のための時間を確保できるだけでなく、コンテキストの切り替えを減らすことができます。仕事の合間にメールをチェックしたり、他の仕事の合間に大きなプロジェクトに取り組もうとしたりすることはありませんか?タイムブロッキングでは、重要な仕事に特定の時間を設定することで、インパクトのある仕事に効果的に集中できます。
時間区切り (タイムボクシング) は、時間管理に役立つもうひとつの方法ですが、タイムブロッキングとは少し仕組みが異なります。ここでは、その違いをご紹介します。
タイムブロックを作成するには、メールのチェック、顧客との電話や執筆など、一連のタスクに時間のブロックを割り当てます。
時間区切り (「タイムボックス」) を作成するには、各タスクに個別の「ボックス」を割り当て、各タスクの開始時刻と終了時刻を設定します。
タイムブロック式のカレンダーを見ると、バッチとしてまとめられたタスクに大きなブロックが割り当てられているのがわかります。たとえば、午後 3時から午後 4時 30分までの間に設定した、作成済みの複数のデザインについて「デザインのフィードバックを確認する」というブロックがこれに当たります。一方、時間区切り式のカレンダーでは、それぞれのタスクのスケジュールが決められます。たとえば、午後 3時から午後 3時 15分まで「Facebook のバナー画像のデザインフィードバックを確認する」というタスクがあり、その後 3時 15分から後 3時 30分まで「デザインフィードバックに基づいてホームページの画像を修正する」というタスクを設定するといった具合です。
事前に設定した時間内に仕事を完了させる必要がある場合や、完璧主義に陥りがちで生産性を向上させたい場合には、カレンダーの時間区切りは特に有効です。
記事: 時間区切りのテクニック: 目標指向型の時間管理戦略タスクのバッチ処理は、タイムブロッキングの一要素です。タスクをバッチ処理すると、似たようなタスクを集めてつなげ、一度に作業できます。このようなタスクは、思っている以上に時間がかかっていることが多いのですが、すぐに完了するため、実際にどのくらいの時間を費やしているのかを把握することができません。タスクのバッチ処理は、その場限りのタスクや単発作業に費やす時間を減らすのに役立ち、自分の時間と注意がどこに向かっているのかを意図的に把握することを促します。
たとえば、あなたが会社の SNS コンテンツカレンダーを管理しているとします。毎週月曜日には、その週の投稿を整理し、先週の投稿のまとめを共有し、デザインチームに来週の作業のスケジュールを確認しなければなりません。これらの作業をできる時に行うようにしていると、1 日の中で散らばってしまうこともあります。
この 3 つのタスクをまとめて行うことで、その日の仕事を終わらせるための生産性と集中力が高まります。最後のステップは、その作業をカレンダーに書き込むことです。これがタイムブロックとなります。
時間追跡とは、プロジェクトに費やした時間を記録するプロセスのことで、通常は請求書作成を目的としています。一般的に、時間追跡は時間管理というよりも、ビジネス機能として用いられます。クリエイティブエージェンシー、法律事務所、フリーランスや契約社員を抱えるチームや組織では、プロジェクトに費やした時間で請求書を作成するのが一般的です。時間追跡を始めようと思っている方には、素晴らしいツールや時間追跡に役立つ連携がたくさんあります。
タイムブロッキングは、それぞれの取り組みに費やした時間を明確に把握できるため、時間の把握に役立ちます。ただし、タイムブロックを守り、何か変化があれば更新するようにしてください。
カレンダーのほとんどが会議で埋まっている場合には、タイムブロッキングは効果的ではありませんが、頻繁にカレンダーに空き時間ができる場合には、この戦略を使って自分の注意力と集中力をうまく管理することができます。パーキンソンの法則にあるように、「仕事は、完成までに利用可能な時間をすべて満たすように拡大していく」ので、タイムブロッキングは、カレンダーをコントロールし、意図的に仕事のスケジュールを立てるのに最適な方法です。
タイムブロッキングは次のような場合に特に有効です。
頻繁にマルチタスクを行う傾向がある
1 つのタスクに集中し、気が散らないようにするためのサポートが必要である
仕事の時間とエネルギーを大切にしたいと考えている
一日の時間の流れを明確にしたい
働きすぎに悩んでいる
タイムブロッキングを始める際には、各ブロックを、重要なプロジェクトに取り組んだり、ディープワークに没頭できる、途切れのない仕事の塊だと考えてください。
「ディープワーク」という言葉は、現代におけるタイムブロッキングの最大の提唱者の一人である Cal Newport 氏が作った言葉です。タイムブロッキングは、ベンジャミン・フランクリンを筆頭に、歴史的にもよく使われてきましたが、デジタル時代のディープワークとタイムブロッキングを結びつけたのは Newport 氏が初めてです。Newport 氏によると、タイムブロッキングを行うことで、気が散らない時間を大量に確保することができ、その時間に集中して仕事ができます。
タイムブロッキングは、実践するのは簡単ですが、継続して実行するのは難しいものです。今回ご紹介する 7 つのヒントを参考にして、自分のカレンダーを管理してみてください。さらに、それぞれの段階で陥りがちな落とし穴についてもご紹介します。
他の時間管理戦略と同様、最初のステップは、その日、その週に実際にやらなければならないことを特定することです。まだ実践していない方は、重要な仕事をまとめた To-Do リストを作成し、更新する練習をしてみてはいかがでしょうか。
留意すべきことは、何に取り組むべきかだけでなく、何に優先順位をつけるべきかということです。何が最も重要なタスクなのかを理解し、その日のうちに終わらせるようにしましょう。特定のタスクの優先順位、重要な添付ファイルやドキュメント、関連するコラボレーターなど、仕事に詳細やコンテキストを追加できるツールが理想的です。
タイムブロッキングをしていても、すべての仕事に手が回らない日があるかもしれません。どの仕事を優先すべきかがわからなければ、今日中に終わらせなければならない仕事と、明日に延期してもよい仕事が明確になりません。
タイムブロックを作成すると、メールの返信、会議への出席、To-Do の完了など、仕事に取り組むための時間を確保できます。タイムブロックはそれだけでも有効ですが、自分の生産性の好みに合わせて作業内容を調整することにより、タイムブロックの効果を高めることができます。
まだ把握していない方は、自分が最も生産性が高いと感じるのはどんなときかを考えてみましょう。あなたは朝に元気が出ますか?その場合には、集中した仕事や会議など、最もエネルギーを必要とする仕事を昼食前に設定してみましょう。午後の早い時間帯に眠気を感じますか?それなら、生産性を維持するために、メールの返信などの小さな仕事を設定しましょう。午後の後半になると元気が出てきますか?その場合には、重要な仕事はその時間帯にとっておき、気が散って仕事のフローが途切れることのないようにしましょう。
記事: 生産性向上のためにできること: 職場で実施できる取り組みとヒントを紹介数日間、タイムブロッキングを続けた後、1 日の終わりに自分がどのように感じているかを評価してみましょう。疲れを感じていませんか?その場合には、1 日のうち最も生産性の高い時間帯を間違って判断しているのかもしれません。タイムブロッキングのスケジュールを変更して、効果があるかどうか試してみましょう。
会議にも、生産性向上のための時間管理を実践できます。一日のうちに会議が分散していると、生産性が落ちてしまうことがあります。Asana では、これを穴あきの「スイスチーズスケジュール」と呼んでいます。会議が散在していると、仕事の効率が低下し、1 日のスケジュールを調整するのがとても難しくなります。常に会議のことが頭にあるため、集中して仕事をしたり、自由な時間を過ごすことができません。
タスクと同じように、会議もタイムブロックできます。一日中会議をするのではなく、比較的近い時間帯に会議を行い、その間に休憩を挟み、集中して仕事ができる時間を確保することを目指しましょう。また、Clockwise のように、自動的にこれをモニタリングできるツールへの投資も検討してみてください。
場合によっては、理想的な会議の時間帯以外にも会議が設定されることがありますが、心配は要りません。タイムブロッキングは、自分の時間を大切にするための戦略ですが、それだけでは 1 日を完璧なスケジュールに収めることはできません。タイムブロッキングを成功させるには、カレンダーに柔軟性を持たせ、必要に応じて予定を変更するようにしましょう。
記事: ビデオ会議の疲れを解消する方法: お客様から聞いた 7 つのコツ自分が最も生産性の高い時間帯を把握し、会議のスケジュールをタイムブロック化したら、次は残りのタイムブロックをスケジュール化しましょう。その日の優先順位を考え、それぞれのタスクに集中できる時間を設定します。たとえば、メッセージをチェックして返信する時間を 2〜3 回設定するなど、1 日のうちに何度もタスクに戻る必要があっても構いません。
タイムブロックをスケジュール化することをおすすめします。これにより、タイムブロックを目で確認し、その約束に責任を持つことができます。しかし、カレンダーのすべての時間が完全に予定されていると、チームメンバーが直前のミーティングを予定したり、重要な会話のためにあなたに連絡を取ることが難しくなります。
これを避けるためには、カレンダーの各タイムブロックにラベルを付けることをおすすめします。たとえば、午前中は「フォーカスタイム」、昼食時は「プライベートタイム」、午後は「サイレントモードの仕事用ブロック」として、ディープワークを行う時間を設定できます。自分のスケジュールの種類を明確にすることで、チームメンバーは必要に応じて特定のブロックの中でスケジュールを組むことができるようになります。
タイムブロッキングは、仕事のスケジュールを立てるだけではなく、毎日のダウンタイムのスケジュール設定にも使用できます。仕事のための時間を確保するのと同じように、個人的なアクティビティのためにもタイムブロックを作成することで、そのアクティビティを継続できます。昼食の時間を確保するだけでなく、プライベートな時間や毎日のアクティビティ、あるいは子供の送り迎えや午後の早い時間に運動をするなど、日常的に行わなければならない仕事のために、短時間の休憩を取るようにしましょう。
すべてのパーソナルなタイムブロックに目的が必要なわけではありません。散歩、SNS のチェック、部屋の掃除、または母親に電話するのかをその場で決められるように、パーソナルなタイムブロックを空けてみましょう。目的を決めずに、その時間に最もリフレッシュできると感じたことを行えばいいのです。
タイムブロッキングがうまくいかないのは、一日の中で予期せぬことが起こったときに、それに対応する余裕がない場合です。たとえば、できるだけ早く終わらせなければならない予想外のタスクや、重要な時間帯に予定されたギリギリの会議などがあります。想定外のことが起きても、対応できるようにしておきたいものですが、それによって 1 日が完全に台無しになるのは避けたいものです。
このような状況が頻繁に発生する場合は、午後の時間帯をフレキシブルタイムに充てることをおすすめします。そうすれば、予想外のタスクにも対応できる時間ブロックを確保できます。また、朝の時間帯に何かがあって中断した場合は、中断した仕事を午後のフレキシブルな時間帯に移すことができます。
新規タスクが、現在取り組んでいるものよりも優先順位が高いかを確認してください。予想外の仕事は緊急性が高いと感じられることが多いですが、それが最初に取り組んでいた仕事よりも重要であるとは限りません。自分の仕事の優先順位を常に念頭に置き、それに合わせてスケジュールを調整しましょう。
どんなに効果的なタイムブロックでも、日中に時間のロスが発生することはあります。必然的に優先度の高そうな Slack のメッセージやメールをチェックする必要が出てきたり、応答の必要がある電話がかかってくるかもしれません。自宅で仕事をしていれば、ルームメイトや子供、ペットなどに気を取られることもあるでしょう。これは当然のことで、心配ありません。
特定のタイムブロックをフォーカスタイム用に、他の時間帯をディープワーク用に割り当てることを検討してみてください。メールをチェックしたり、日常的なタスクをこなしているときは、気が散っても気にせずに作業を進めることができます。しかし、集中して仕事をする時間帯を設定する場合は、すべての通知をオフにしたり、「サイレント」モードをオンにすることをおすすめします。
気が散らないようにするための最適な方法を見つけるには、しばらく時間がかかるかもしれません。必要に応じて、タイムブロックの調整を繰り返してください。そのうちに、この時間管理手法を使った方が時間のロスが少ないことに気づくかもしれません。
他の時間管理戦略と同様に、タイムブロッキングも自分に合ったものになるまで微調整する必要があります。タイムブロッキングの初日は、完璧な一日にはならないでしょう。時間をかけて、自分に合っていると思うことをやってみてください。覚えておいてほしいのは、この戦略はあなたの目標とニーズを満たして初めて効果を発揮するということです。つまり、効果のあるものを最適化し、生産性の向上につながらない戦略は使用しないことです。
タイムブロッキングが自分のスタイルに合わないという方も大丈夫です。時間区切りのような、すべてのタスクに開始日と終了日を設定する目標指向型の時間管理戦略をお試しください。詳しくは、時間区切りのガイドをご覧ください。
人によってカレンダーは異なりますので、タイムブロックされたカレンダーも人によって微妙に異なります。しかし、上記の 7 つの戦略を実行した場合、あなたのカレンダーは次のようになります。
タイムブロッキングは、自分の時間をより意図的に使うためのものです。重要な仕事に特定の時間帯を割くことで、マルチタスクや先延ばしで時間やエネルギーを浪費することなく、物事を終わらせることに集中できます。ただし、他の時間管理戦略と同様、タイムブロッキングは、いつまでに何をすべきかを明確に把握していないと効果がありません。
仕事を整理して管理するためのその他のヒントは、To-Do リストを作って終わりにしないための秘訣についての記事をご覧ください。