明確で適切なコミュニケーションプランを作ることは、プロジェクトの円滑な進行と成功につながります。この記事では、なぜコミュニケーションプランを作成することが大事なのか、そのメリットと作り方を解説します。コミュニケーションプランの例とテンプレート、上手く設定するためのヒントもご紹介するので、参考にしてみてください。
更新: この記事は適切なコミュニケーションプランを作るヒントに関する記述を含め、2024年 8月に改訂されました。
プロジェクト管理におけるコミュニケーションは非常に大事で、コミュニケーションが明確かどうかがプロジェクトの成否を分けることも実は少なくありません。そこで重要になってくるのが、コミュニケーションプラン (コミュニケーション計画) です。正しいコミュニケーションプランというのは、単に適切なコミュニケーションツールを選ぶだけではなく、具体的なメッセージの受け取り手やその内容を考えることも含めます。
幸い、効果的なコミュニケーションプランを作成することは難しくありません。必要なことは、コミュニケーションチャネルを定義して、チームメンバーがどんな場合にそれぞれのチャネルを使用するか、その認識を共有するだけです。
メールやチャット、スプレッドシートなど、異なる場所に情報を点在化させるのではなく、一か所に整理整頓することで、業務効率は向上します。ワークマネジメントプラットフォーム Asana に情報を集約して、業務効率化を始めましょう。
チーム内で効率的にコミュニケーションを取るには?プロジェクト管理 (プロジェクトマネジメント) におけるコミュニケーションプランとは、進行中のプロジェクトに関する重要な情報を、主要なステークホルダーに伝達する方法をまとめたものです。「コミュニケーション計画」とも呼ばれます。
明確なコミュニケーションプランがあれば、誰がどんな通知を受け取るべきか、プロジェクトのステークホルダーに情報を共有すべきなのはどういう場合かといったことを、チームが理解しやすくなります。他にも、ステークホルダーが各チャネルを使用すべきタイミング、さまざまな詳細情報を伝達すべき頻度、各チャネルの責任者を明確にすることもコミュニケーションプランの一部です。
記事: プロジェクト管理ツールの選び方: おすすめ 11 選 (最新版)複数のコミュニケーションツール (メールや Slack などのチャットツールなど) を使用しているチームが多い現在のビジネスシーンにおいて、コミュニケーションプランを作成し共有することは、想像する以上に重要なことです。適切なコミュニケーションプランがあれば、どのツールをどのタイミングで使用すべきか、またそれぞれのツールで連絡すべき相手は誰なのかがチームにとって明確になります。
では、もしもコミュニケーションプランがなければどのような状況を招いてしまうでしょうか?たとえば、誰かが複数あるコミュニケーションツールのうちのひとつを使って、仕事について質問するとしましょう。明確なコミュニケーションプランが定まっていないと、質問された相手がそのツールを滅多に確認していなかったという事態が起こり得ます。そうするとクリアなコミュニケーションを通じて仕事を前に進めるどころか、どちらのチームメンバーも混乱したり苛立ったりして、重要な仕事が手につかなくなるでしょう。さらに、各チャネルの責任者がわからなければ、結局、上位のステークホルダーに、その人が答えられないような質問を投げることになるかもしれません。単純なコミュニケーションミスから、チームメンバーが 3 人もイライラする結果になり、しかも仕事は停滞したままです。
こういった事態が起こらぬよう、コミュニケーションプランを適切に設定し、そして共有することが、プロジェクトマネジメントにおいて非常に重要となるわけです。
コミュニケーションプランとは、それ 1 つを見れば、プロジェクトに関するコミュニケーションの取り方や方針がすべてわかる場所です。そのためコミュニケーションプランには、以下のような項目を入れるようにします。
どんなコミュニケーションチャネルが存在するか。また、各チャネルの用途は何か。
対面でコミュニケーションとるべき場合はいつか。メールなど非同期的なコミュニケーションが適切な場合はどんなときか。
プロジェクトでの役割には何があるか。プロジェクトマネージャーは誰か。プロジェクトチームのメンバーは誰か。プロジェクトのステークホルダーは誰か。
ステータス更新などの重要なプロジェクトの詳細を伝達する方法はどれか。また、その頻度はどれくらいか。
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コミュニケーションプランとは、プロジェクトチームや、社内のチームメンバー、顧客や業者などの外部の関係者を含むプロジェクトのステークホルダーとコミュニケーションをとる方法を明確にするものです。そういった意味で、プロジェクト管理におけるコミュニケーションプランは PR 計画とは異なります。つまり、コミュニケーションプランには、ソーシャルメディア戦略との連携やターゲットオーディエンスの特定、顧客集団向けのキーメッセージの設定といったものは目的ではありません。そうした計画を立てる必要がある場合は、ソーシャルメディアコンテンツカレンダーや、ビジネス戦略計画の作成がおすすめです。
職場のコミュニケーションが明確であることが望ましいのは当然です。しかし、そのためにわざわざコミュニケーションプランを作成する必要があるでしょうか?
答えは「イエス」です。適切なコミュニケーションプランがあれば、必要な情報を、それを必要とするプロジェクトのステークホルダーに伝えられるからです。たとえば上位のステークホルダーは、プロジェクトのあらゆる詳細について報告を受ける必要はありません。同様に、プロジェクトチームメンバーの全員が、外部パートナーとのカンファレンスコールに出る必要もありません。どのチャネルでどのようにコミュニケーションをとるかを明確にすることで、推測で動くことが減り、チームの動きがスムーズになります。
記事: 職場で効果的にコミュニケーションをとる 12 のコツその他にも、明確なコミュニケーションプランには次のようなメリットがあります。
13,000 人を超える、世界の知識労働者を対象に行ったアンケート調査の結果、平均的な知識労働者は 1 日当たり 10 種類のアプリを最大 25 回も切り替えていることがわかりました。インパクトの大きい仕事に集中したり、他のチームメンバーと有意義なコラボレーションをしたりする代わりに、彼らはどこでコミュニケーションをとるべきか判断がつかずに時間を浪費しているのです。
コミュニケーションプランがあれば、このような迷いが払しょくされます。たとえば、仕事に関するコミュニケーションはワークマネジメントツールでのみ行うとチームが了解していれば、文書フォルダーや Slack のメッセージ、いくつものメールスレッドを探し回ることなく、そのツール内で重要な情報を検索できます。
同じように、あるチームメンバーがそのプロジェクトに少ししか関わっておらず、全体的なステータスレポートしか受け取っていないことを知っていれば、その人にプロジェクトの成果物の締め切りを問い合わせることはなくなるでしょう。
記事: Asana を使って事業のスケール、ディスラプト、社会貢献のためのブランドデザインを行う Jones Knowles Ritchieチームのコラボレーションは自然に発生するものではありません。それは自分とチームが培うべきスキルです。有意義なチームのコラボレーションを生み出すには、ひとつにはチームのコミュニケーションルールを明確にする必要があります。なぜならコミュニケーションへの不安感こそ、コラボレーションの大きな障害になるからです。これはリモートチームや分散チームで特に顕著なポイントです。どこでどのようにコミュニケーションをとるべきかわからず迷っているチームは、安心して互いに話をすることができません。
コミュニケーションプランは、チームメンバーがコミュニケーションをとる場を明確にするチャンスです。内容の細かさのレベルに応じて、コミュニケーションをとるべきタイミングも盛り込むことができます。さらに、「サイレント」モードの設定や通知のスヌーズといったチームのルールも明記しましょう。
こうしたガイドラインを提供すれば、チームメンバー間の円滑なコミュニケーションやコラボレーションの大きな障壁を事実上 1 つ取り除けます。コミュニケーションをとるべき場所ととるべきではない場所の判断がつけば、チームメンバーは適切なタイミングで正しいメッセージを自信を持って発信できるようになります。
記事: チームによるコラボレーションの効率をアップさせる 10 個の簡単な手順円滑な共同作業のための戦略、テクニック、インサイトなど、世界トップレベルの効果的なコラボレーションを支えるすべてをご紹介します。
現在、知識労働者は勤務時間の 60% を仕事のための仕事、つまり文書を探す、承認を求める、アプリを切り替える、仕事のステータスをフォローアップするといった作業に費やし、多くの場合、重要な仕事にかける時間が奪われています。仕事のための仕事の発生は、ひとつにはコミュニケーションをとるべき場所が明確でないことに起因します。
チームメンバーがプロジェクト計画やプロジェクトタイムラインなどの情報が共有される場所を明確に把握していないと、正しい情報を得るためだけに、複数のツールを探し回ったり、何人もチームメンバーに質問したりする必要が起こります。その結果、仕事に関するコミュニケーションをとるべき場所がわからないチームメンバーは、単純に今ある仕事を見つけるだけで苦労することにもなります。
仕事のための仕事は、手作業や仕事の重複が増え、仕事全体の明確さが損なわれることにつながります。事実、「仕事の解剖学」インデックスによれば、私たちは自分の時間の 13%、実に年間 236 時間もすでに完了した仕事に費やしています。しかしコミュニケーションプランを共有すれば、チームは仕事がどこにあるかを明確かつ正確に把握できるため、それを探して多くの時間を使う必要がなくなります。
「承認プロセスがスムーズに進まない」「承認依頼メールを送っても返事がない」そんな悩みはありませんか?Asana では、「承認」を担当者と期日付きのタスク「承認リクエスト」として作成し、プロジェクト計画の一部に組み込むことができます。
スムーズな承認フローシステムを構築する方法コミュニケーションプランはパワフルなツールですが、作成するのは比較的簡単です。次の 4 つのステップに従ってコミュニケーションプランを作成しましょう。
コミュニケーションプランを作成する最初のステップでは、チームがどこで、何についてコミュニケーションするかを決めます。これには「どのツールをどういう場合に使用するか」「ライブのコミュニケーションが望ましい場合と、非同期コミュニケーションでよい場合」などといった要素も含まれます。ライブの同期コミュニケーションとは、リアルタイムで発生するコミュニケーションです。一方、非同期コミュニケーションとは、相手が即座に応答することを期待しないでメッセージを送る場合です。毎日多くの人が無意識に行っている非同期コミュニケーションとして、メールの送信が挙げられます。
コミュニケーションプランを立てながら、各ツールの用途を特定します。たとえば、次のように決めるとよいでしょう。
メール: 外部ステークホルダーとの連絡に使用。
Slack: 毎日の情報アップデートや簡単な質問など、リアルタイムのコミュニケーションに使用。
Asana: タスクの詳細、プロジェクトのステータス更新、プロジェクトの主要なドキュメントの共有など、仕事に関する非同期コミュニケーションに使用。
Zoom や Google Meet: プロジェクトのブレインストーミングやプロジェクトの事後評価など、チーム会議に使用。
コミュニケーションの場を決めたところで、次はコミュニケーションの頻度を決める必要があります。これは、さまざまなプロジェクトの詳細について、異なるステークホルダーにどう情報をアップデートするかのアクションプランに相当します。
たとえば、次のようなスケジュールが考えられます。
週次プロジェクトステータス更新を Asana に投稿し、プロジェクトの全ステークホルダーおよびスポンサーと共有する。
月例プロジェクトチーム会議を開催して、業務の問題解決、あるいは次のステップのブレインストーミングを行う。
非同期的なプロジェクトマイルストーンの更新を Asana で必要に応じて行う。
リモートワークでも上手くチームのつながりを維持するのが、仕事のマネジメントソフトウェア Asana です。「誰が、いつまでに、何をやるのか」を明確にすることで、プロジェクトは円滑に進みます。Asana のサービスは 30 日間無料でお試しいただけます。
Asana でプロジェクトを計画するメリットプロジェクトの運営の成功の鍵は、ステークホルダーの支持や賛同を得ることにかかっていることも多いものです。この作業はプロジェクトの開始時点に、プロジェクトキックオフミーティングで行いますが、プロジェクトの実施中もステークホルダーの支持を失わないようにすることが重要です。
記事: プロジェクトのキックオフミーティングを 10 のステップでパワーアップコミュニケーションプランを立てる際に、少し時間をとって、各ステークホルダーとどの時点およびどの内容についてコミュニケーションをとるべきか、詳細を詰めましょう。たとえばプロジェクトの主力となるチームメンバーは、毎日など定期的にプロジェクトについて連絡を取り合うことになりますが、それ以外のステークホルダーは、ステータス更新のみで十分、場合によっては最終的な概要だけ伝われば OK という場合もあります。
ステークホルダーとのコミュニケーションをどう管理するかをリストアップすることで、それぞれが必要なタイミングに必要な内容について連絡を受けられるようにします。コミュニケーションによって各自が受け取る情報は、その人が必要とするレベルで疑問を解消し、ビジネスの結果と全体から見たインパクトを意識したものであることが重要です。
コミュニケーション計画を作成したら、プロジェクトチームと共有します。すべてのプロジェクト情報が集まる場所に保管し、メンバー全員が必ずアクセスできるようにしてください。
状況が変わり、プロジェクトのコミュニケーションプランに影響が出る場合は、随時更新して、変更内容についてメンバーに伝達します。こうすれば、チームメンバーは常に、最新の情報にアクセスできるようにしましょう。
次のテンプレートを参考に、コミュニケーションプランを作成してみてください。
内容 | 頻度 | チャネル | 対象者 | 責任者 |
---|---|---|---|---|
どのようなタイプのコミュニケーションか? | どれくらいの頻度でコミュニケーションをとるか? | 具体的なチャネルを表示 | このコミュニケーションの対象者は誰か? | このコミュニケーションの送信の責任者は誰か? |
上記で紹介したコミュニケーションプランのテンプレートにあてはめて作成したコミュニケーションプランは、以下のようになります。コミュニケーションプランの例として参考にしてみてください。
本記事の『コミュニケーションプランの作り方』でも解説したように、コミュニケーションプランは作ったあとに必ず共有し、必要な場合は更新して行かなければなりません。PMBOK でも重要な位置づけをされているコミュニケーションマネジメント (コミュニケーション管理) はプロジェクトの成功を左右する大事な要素です。適切に管理するためには、コミュニケーションプランを作るだけでなく、その後の管理体制も重要となってきます。
おすすめなのは、プロジェクトに関するすべての情報が一元管理された場所で管理することです。プロジェクトの情報が点在化してしまっては、アプリの切り替えが必須になり、効率的ではありません。Asana のような「情報を整理整頓できる場所」を活用して、プロジェクトに関わるすべての情報を追跡し管理しましょう。「探している情報はあの場所にある」という確信を持って仕事をすれば、無駄な作業時間が減り、業務効率が上がります。
仕事を最大限効率化し、チームの生産性を上げるためには、Asana のプロジェクトマネジメント機能をお試しください。日々の業務と目標をつなげ、「誰が・何を・いつまでに行うのか」を可視化します。
明確なコミュニケーションプラン (コミュニケーション計画) によって、正しいタイミングで適切なメッセージを送ることが可能になります。スムーズなコラボレーションをサポートし、同時にチームメンバー全員が、必要な情報を必要なタイミングに得られるようにしましょう。その結果、チームは仕事に関するコミュニケーションに時間をとられずに、インパクトをもたらす仕事に注力できるようになります。
Asana はマーケティングから情報システム、イベント企画まで、あらゆるタイプの仕事を管理できるオンラインワークマネジメントプラットフォームです。各チームのニーズに柔軟に適応する Asana を活用して、仕事の生産性を上げましょう。
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