パンチリストとは、建設プロジェクトが完了する前に処理する必要があるタスクのリストです。工事の請負業者とそのチームは、クライアントがプロジェクトの仕上がりに満足するように、パンチリストを使って To-Do を管理し、見落としがないように各作業に取り組みます。この記事では、建設プロジェクトの完璧なパンチリストを作成するために押さえておくべきポイントを解説します。
プロジェクトが終わりに近づいているのに、正式な完了までに仕上げるべき中途半端な仕事がいくつも残っている、そんな状況を思い浮かべてみましょう。こうした小さなタスクの管理は、なかなか手ごわいものです。そこで、完了するべきタスクのリストをあらかじめ作成しておけば、プロジェクトの終盤で残務の片づけに駆け回る必要はなくなります。後でその同じリストを使って、最終引き渡しの前に万端整っていることを再確認することもできます。
建設業界では、これはパンチリストプロセス、または残工事、残工程などと呼ばれています。
パンチリストとは建設プロジェクトの管理ツールで、建設プロジェクト全体が完了する前に仕上げる必要のある小さな残務をまとめたリストです。パンチリストはやり残しリスト、ダメ工事リスト、残務リストなどとも呼ばれています。
「パンチリスト」という用語は、もともと建設工事のプロジェクトマネージャーが、タスクが終わるたびに紙に小さな穴をパンチしていたことに由来しています。
まず、パンチリストの実際の使われ方を見てみましょう。
ある工務店が、キッチンのリノベーション工事の確認を行っています。工事は終わりましたが、チームはまだ、設備や水道、電気の配線などのテストを行う必要があります。工務店の責任者はそうしたタスクをパンチリストに追加します。細かい点検を行い、契約の仕様を満たすようにリストに残務を追加した後、プロジェクトマネージャーである責任者はこれらのタスクを下請け業者に委任します。その際、パンチリストを使って仕事がすべて下請け業者に割り当てられたことを再確認し、すべてに漏れがないようにします。
パンチリストのテンプレートを作成パンチリストは、あるタスクを完了するために、片づける必要のある作業を明確にします。パンチリストには通常、次のものが含まれます。
作業項目の番号 (パンチ番号): リストの各項目に割り振られる番号です。これによってチームメンバーがパンチリストのどの項目について話しているのかを明確に伝え合うことができます。これは、類似のタスクが複数ある場合に特に重要です。
作業項目名: 完了すべきタスクの名前です。タスク名は、「ごみ処理機をテストする」といったように動詞で終えるようにすると、To-Do が明確になります。
概要の説明: タスク名だけでは情報が伝えきれなければ、状況説明を付け加えて、するべき仕事をチームが明確に理解できるようにします。たとえば修理が必要なら、そもそものミスは何だったのかを記載します。こうした情報を提供することによって、チームは適切な解決手段を見つけやすくなります。
責任者 (担当者): そのタスクを完了する責任者です。関係者がタスクについて質問がある場合、そのタスクの責任者は該当の情報を提供する役割を負っています。
開始日: 担当者がタスクの作業を開始する日です。
終了日 (期日): タスク完了の締め切り、もしくは締め切りがない場合はタスクが完了する日です。
ステータス: タスクのステージです。ステータス更新の方法は、現場ごとに異なりますが、最もシンプルなステータスの表し方は、「未着手」「作業中」「完了」です。
いずれにせよ、建設プロジェクト管理のパンチリストで共有される情報は、プロジェクト管理のスタイルによってさまざまです。ここで最も重要なのは、チームメンバーに背景情報を適切に伝えて、それぞれが担当するタスクを正確に把握できるようにすることです。
記事: 成功するために欠かせない 25 のプロジェクト管理スキルパンチリストが建設プロジェクト管理で広く使用されていることには納得の理由があります。建設プロジェクトのマネージャーが今もパンチリストを使っている理由をいくつかご紹介します。
プロジェクトの終盤だけでなく、プロジェクト全体でパンチリストのプロセスを取り入れると、建設プロジェクトのマネージャーは、随時、ミスや問題に気づけるようになります。
また、確認用のパンチリストは品質管理にも役立ちます。契約の仕様に見合っていない施工箇所や、設置の不具合などがあった場合は、プロジェクトマネージャーが再施工のためにパンチリストに記録しておけます。
パンチリストは、建設プロジェクトのマネージャーとプロジェクトに参加している下請け業者が協力して作成する必要があります。チームメンバーが割り当てられたタスクの詳細を確認する場合は、パンチリストを参照して詳しい情報を得られます。パンチリストにアクションアイテムと担当者が明記されていれば、チームの誰がどの作業の担当かで、混乱が起きることはありません。
記事: 明確なコミュニケーションプランが意外なほど重要な理由大規模な建設現場では、プロジェクトの終盤に近づくとパンチリストも長くなるのが普通です。プロジェクトマネージャーが仕事を専門の業者などのチームメンバーに任せてプロセスを合理化することで、長い目で見た場合、時間の節約になります。
建設プロジェクトの監督たちが長年利用してきたパンチリスト。ここでは建設プロジェクトをスムーズに運営するために、パンチリストのおすすめの活用法をいくつかご紹介します。
パンチリストは、一般的には建設プロジェクトの最終段階で使用されますが、このツールはプロジェクトの期間中ずっと利用することで最も力を発揮します。ローリング・パンチリストと呼ばれるこの方法で、最終パンチリストの項目を最小限にとどめることができます。
ローリング・パンチリストを使えば、いわゆるゼロ・パンチリストを達成できる可能性もあります。ゼロ・パンチリストとは、プロジェクトの最終確認時にパンチリストに項目がない状態です。つまり追加作業の必要性が皆無の、素晴らしい仕事ぶりというわけです。
チームに説明責任を果たすことを促すなら、チームメンバーにタスクを任せるのが早道です。タスクの責任者がパンチリストの各項目に明示されていれば、プロジェクトマネージャーは簡単に作業を再チェックできます。タスクについて問い合わせがきたら、建設プロジェクトのマネージャーは担当者を確認して、説明を求めることができます。
記事: 任せ上手なマネージャーになる 10 のヒント従来のパンチリストは建設プロジェクトのマネージャーが紙で作成して調整していました。しかし、Asana のようなデジタルプロジェクト管理ソフトウェアを使ってパンチリストを一新すれば、チームの全員が、現場のどこにいてもプロジェクトの重要な情報すべてにアクセスできます。チームメンバーは、ノートパソコンやタブレット、スマートフォンでパンチリストにアクセスして、それぞれが担当しているタスクをリアルタイムで簡単にチェックできます。
パンチリストの情報をチームと共有することは、現場の日常業務に新たなプレッシャーを加えるわけではありません。Asana のようなワークマネジメントソフトウェアを使って、チームの全員に効果的に情報を伝達しましょう。モバイル版 Asana を使えば、どこにいてもパンチリストに簡単にアクセスして、情報を更新できます。
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