利害関係者を意識することは、企業全体、そしてプロジェクトを取り仕切るポジションの PM や PL にとっても重要なことです。活動において利害関係者がだれなのか、どう接するべきなのかを理解し、計画を立てて管理をすることが大切です。そこでこの記事では、利害関係者について解説し、その分析方法をご紹介します。
更新: この記事は、利害関係者の関連用語や企業に望まれる利害関係者への姿勢に関する記述を含めて 2022年 10月に改訂されました。
ビジネスに関わる上で必ず知っておきたい用語のひとつが「利害関係者」です。なぜなら、企業が活動した結果に影響される範囲を意識することが仕事をする上で重要だからです。本記事では、そもそも利害関係者とはだれのことを指すのか、基礎的な知識から関連する用語までをわかりやすく解説します。利害関係者のリストや分析マップを作成し、プロジェクトのインパクトを高める方法をご紹介するので、次のプロジェクト管理で活用してみてください。
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ワークマネジメントツール Asana とは?利害関係者とは、組織が活動をしたときに影響を受ける関係者のすべてを指し、ステークホルダー (stakeholder) とも呼ばれます。
簡単にいえば、企業の事業が成功したときに、得をしたり損をしたり、喜んだりガッカリしたりする人や団体のすべてが利害関係者です。例えば、A 社の株を持っている人、A 社に出資している金融機関、A 社の商品を買っている消費者、そしてプロジェクトメンバーやプロジェクトの承認者、プロジェクトを進行している企業の代表 (社長) などを含め利害関係者 (ステークホルダー) と呼びます。
「組織が活動をしたときに影響を受けるすべての人」。それが利害関係者の意味です。次の質問に「イエス」と答えるなら、その人は利害関係者だと言えます。
・何らかの立場でプロジェクトの意思決定プロセスに関わっているか?
・プロジェクトの結果 (サービスや製品) の影響を受ける可能性がある立場にいるか?
それでは、利害関係者がだれのことを指すのか、利害関係者の例を見てみましょう。また、それぞれが組織とどのような利害関係があるのかも紹介します。
株主: 金銭的
取引先: 受発注
投資家: 株式の動きや、それに連動する資産
提携企業: 取引における利害や、企業イメージ
金融機関: 融資
消費者: 商品に対する満足度
従業員: 評価、給与への影響、やりがい
行政機関、地域社会: 社会的影響
プロジェクトを実行している会社の経営者: プロジェクト成功に左右される企業の信頼、評判、利益、損害
これらの利害関係者をさらに社内、社外で分けると、次のようになります。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトチームメンバー
プロジェクトスポンサー (いる場合)
経営幹部のリーダー
経営者
従業員
同僚
部下
上司
その他別部門の社内チーム
消費者
顧客
ユーザー
取引先
請負業者
下請け業者
出資者
VC
金融機関
株主
サプライヤー
発注者
社外の関係者はもちろん、プロジェクトメンバーを含め社内でプロジェクトに関わる人物も利害関係者として意識する必要があります。
利害関係者 (ステークホルダー) と混同しやすい用語に「ストックホルダー」と「シェアホルダー」があります。
・利害関係者 (ステークホルダー):利害関係者すべてを指す用語
・ストックホルダー:利害関係者の中でも株を保有している「株主」を指す用語
・シェアホルダー:株主の中でも経営に影響を与える「大株主」のことを指す用語
企業活動に影響するあらゆる人々が利害関係者と呼ばれますが、利害がおよぶ “距離” によって以下のように大きく 2 種類に分けられます。
直接的利害関係者
間接的利害関係者
直接的利害関係者とは、組織の活動結果によって直接利害が発生する利害関係者です。
例えば、企業の事業が失敗した場合、株主や取引先、投資家などの利害関係者は金銭的な損害を受けます。また、プロジェクトを成功させたプロジェクトメンバーは信頼を得ることができますし、プロジェクトによって社会貢献をすれば企業の経営者の社会的信頼性も上がります。
このように、組織の活動結果が直接影響する人や団体が、直接的利害関係者に分類されます。
間接的利害関係者とは、組織の活動結果によって間接的に影響を受ける利害関係者のことです。
例えば、企業の事業が失敗して倒産してしまった場合、その企業で働いていた従業員の家族は世帯収入が減少するなどの間接的な損害を受けます。また、企業の活動が社会的に評価されて企業の周辺地域が活性化されれば、地域社会が利益を得るというケースも考えられます。
このように、組織活動の影響を間接的に受ける人や団体が間接的利害関係者に分類されます。
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利害関係者 (ステークホルダー) には、関連する用語がいくつか存在します。ここでは、それら関連用語を確認していきましょう。
ステークホルダー分析は、利害関係者を影響力や関心度などの指標で分析する手法です。
例えば、社長と〇〇部長の分析を行う場合です。決裁者である社長は影響力の大きな利害関係者ですし、プロジェクトに深く関わり、方向性を左右する〇〇部長は、影響力・関心度が共に高い利害関係者であるといった分析ができます。
このような分析を各利害関係者に対して行うことで、それぞれへの適切なアプローチ方法 (報告や相談など) で利害関係者との関係性を構築できます。
利害関係者の分析マップとは、利害関係者のインパクトと関心という 2 つの重要な側面に基づいて、プロジェクト利害関係者のリストおよび彼らがプロジェクトに与える可能性のある影響を特定するツールです。この分析マップを作成すれば、プロジェクトに関わるすべての関係者と効果的にコミュニケーションをとることができます
ステークホルダーマネジメントは、利害関係者をうまく巻き込むために管理することです。
上述のステークホルダー分析もステークホルダーマネジメントの一環だといえます。利害関係者は立場や知識なども違いますので、各利害関係者への対応を適切なものにしなければなりません。簡単にいえば、「どのように接するかなどを計画」して管理することです。
プロジェクトにおける利害関係者管理で重要なのは、コミュニケーションプランの作成です。コミュニケーションプランでは、メール、メッセージ、ワークマネジメントプラットフォームなど、利害関係者がいつどのチャネルを使うべきか、異なる詳細をどのくらいの頻度で伝えるべきか、各チャネルの責任者は誰か、などを明確にします。
記事: 明確なコミュニケーションプランが意外なほど重要な理由この電子書籍では、ワークマネジメントとは何かを解説し、ビジネスにどう役立つかをご紹介します。
ステークホルダーエンゲージメントとは、利害関係者の期待や関心を把握する方法のことを指します。
つまり、利害関係者の満足度を向上させるための方法です。利害関係者には、株主やユーザー、取引先などあらゆる立場の人や団体がいます。そのすべての利害関係者を満足させるために、活動の見直しやテーマの特定などを計画、実施しなければなりません。
ステークホルダーダイアログとは、利害関係者の意見を経営やプロジェクトに反映させるために、さまざまな立場の関係者を集めて対話をする場のことです。
つまり、利害関係者とのコミュニケーション手段のひとつだといえます。
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ビジネスシーンにおいて優れた利害関係者はプロジェクトに多くの利益をもたらします。プロジェクトの計画段階では、利害関係者がプロジェクトの向かう先を判断するためのガイドとなります。社内の利害関係者を知っておくことはプロジェクトの予算やリソース管理計画作成の助けとなります。社外の利害関係者を把握することは、プロジェクトスコープとプロジェクト目標の設定に役立ちます。プロジェクトが始まると、優れた利害関係者は計画に対する支持を集め、問題が起こるとサポートし、チームのやる気を維持してくれます。
プロジェクトの利害関係者を明確に理解することにより、賛同を得て、より効果的にプロジェクトを遂行することができます。また、利害関係者の分析を行うことで、以下のことが可能になります。
より多くのサポートとリソースを得る
特に経営陣の利害関係者に対するプロジェクトの可視性を向上する
プロジェクトサイクルの下流でのコストを増やす障害を防ぐ
利害関係者と適切なチャネル、適切なタイミングでのコミュニケーションを行う
適切なレベルの情報を利害関係者と共有する
プロジェクトの利害関係者を特定し管理することで、プロジェクトの成功に大きく近づきます。主要利害関係者がプロジェクトに賛同することで、支援を得ることができ、そのサポートはプロジェクトライフサイクル上で重要となり得ます。一方、協力的な利害関係者がいなければ、プロジェクトが途中まで進んでから利害関係者の協力が必要になることがあり、変更や不必要なリスクの原因となります。これを防ぐために、利害関係者のリスト・分析マップを効果的に作成するための 4 つのステップをご紹介します。
各利害関係者の要望を管理する前に、まずはそれが誰であるかを知る必要があります。社内と社外の利害関係者両方を考慮するようにしましょう。誰がプロジェクトの利害関係者であるかを判断するには、以下の質問を自分に問いかけてみましょう。
このプロジェクトを気にかけている人は誰か?
このプロジェクトの影響を受ける人は誰か?
このプロジェクトに影響を与える人は誰か?
このプロジェクトを承認 / 拒否できるのは誰か?
利害関係者の把握が難しければ、専用リストや RACI チャートを作成して、利害関係者は誰なのか、なぜ重要なのか、プロジェクトにどんな影響を与えるのかを把握してみましょう。ステップ 2 に進む前に、最後にもう一度確認しましょう。以下のことを自分に問いかけてみてください。
リソースマネージャーやプロジェクトポートフォリオマネージャーなど、他に把握しておくべき社内の利害関係者はいないか?
主要なプロジェクトリーダーやマネージャーは全員利害関係者に入れたか?
このプロジェクトの結果の影響を受ける社外の利害関係者の見落としはないか?
利害関係者のエンゲージメントが高いと、プロジェクトのレベルが一気に引き上がります。エンゲージメントを高めるためには、各利害関係者の影響力や関心度を明確にした利害関係者のマップを作成するのが一番です。このグリッドは、「権力と関心度のグリッド」や「関心度のマトリクス」と呼ばれることもあり、4 つの主要な利害関係者グループを視覚化するには最適な方法です。
主な利害関係者のグループには、以下の 4 つがあります。
影響が大きく、関心も高い。おそらくプロジェクトの承認者やスポンサーがこれに当たるでしょう。社外では、密接なパートナーや顧客も含まれるかもしれません。これらの人々とは定期的に確認を取り、あなたの認識と相手の認識が一致していることを確かめましょう。プロジェクト期間中は、これらのプロジェクトの利害関係者と積極的に連携していきましょう。彼らは、利害関係者チームの主要なプレーヤーと捉えられます。
影響が大きく、関心は低い。こういった人々はあなたのプロジェクトの妨げにも助けにもなり得ますが、おそらくそうすることに興味がありません。離れた部門のパートナーや、会社の経営幹部などがこれに当たるでしょう。このような利害関係者にはプロジェクトの基本を把握してもらうようにし、必要な場合は影響が大きく関心も高い利害関係者に関係を取り持ってもらいましょう。影響力が大きく関心が低い利害関係者の仕事も、あなたの仕事の影響を受ける可能性があることを覚えておきましょう。その影響が予想だにしない事態として発覚することは望ましくありませんから。プロジェクト期間中は、これらのプロジェクトの利害関係者に全体的な情報を提供することにより、プロジェクトの進捗に満足してもらえます。
影響が小さく、関心は高い。特にプロジェクトの初期段階では、この利害関係者グループの承認は必要ないでしょう。それよりも、ステップ 4 でこれらの利害関係者に情報を共有することが重要です。プロジェクト期間を通して、これらの利害関係者には情報を提供するようにしましょう。
影響が小さく、関心も低い。これらの利害関係者はあまり重要ではありません。仕事の規模と複雑さによっては、時折プロジェクトステータスレポートで情報を共有してもよいですし、プロジェクトの終わりまで連絡しなくてもよいでしょう。しかし、プロジェクト期間を通して、これらの利害関係者がより深く関わりたいと思うようになった場合には、必ず確認するようにしましょう。
現実的に、一部の利害関係者がプロジェクトの特定の要素に同意しないということはあり得ます。プロジェクトマネージャーとして、利害関係者のニーズと視点、考え方を理解し、プロジェクトの成功に悪影響を及ぼさないソリューションを考案するのはあなたの責任です。すべてをプロジェクトの利害関係者が求めるとおりに行うのはあなたの仕事ではありませんが、そのニーズを聞いて、理解するのはあなたの仕事です。
時に「難しい利害関係者」と感じるような人は、あなたと優先順位が異なっているだけという場合があります。時にはあなたの仕事によって利害関係者の仕事に支障が出てしまうことさえあるでしょう。物事を相手の視点から見るように心掛けると、解決策を見つけやすくなり、状況を双方にメリットのあるものに変えることができます。
迷ったときは、利害関係者である相手の立場に立って考えてみましょう。以下を自分に問いかけてみてください。
利害関係者は何を必要としているのか?
どのようなレベルのコミュニケーションを望んでいるのか?
最も効果的なコミュニケーション戦略は何か?
これらの利害関係者に影響を与えるものや影響力のあるものはあるか?
利害関係者の関心事をいかに正確に把握できるか?
利害関係者を特定し、そのニーズについて考えたら、次はプロジェクト計画セッションやキックオフミーティングに招待するようにしましょう。主要利害関係者も、あなたのプロジェクト憲章、プロジェクト計画、プロジェクト目標、プロジェクトスコープを承認する必要があります。
プロジェクトの進行に合わせて、適切な利害関係者に変更や進捗情報を知らせるようにしましょう。プロセスを早期に文書化することで、可視性が高まるだけではなく、誤解が発生するリスクも減らせます。
できるだけさまざまな利害関係者を招待する必要がありますが、主要利害関係者を常に優先するようにしましょう。すべてのことについて、全員から承認をもらう必要はありません。迷ったときは、利害関係者分析マップに戻って、どの関係者に情報を共有すべきかを確認しましょう。
たとえば、影響や関心がとても高い利害関係者とは、予期せぬ課題に対処するため、頻繁に会ってプロジェクトについて議論するかもしれません。しかし、残りの関係者と最新の情報を共有するには、最近達成したマイルストーンや障害となっているもの、次のステップなどを知らせる定期的なプロジェクトのステータス更新の送信が有効です。通常は 2 週間ごと、または複雑なプロジェクトに取り組んでいる場合はより頻繁に更新を送ることをおすすめします。
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Asana でチームのコラボレーションを向上する方法利害関係者とのコミュニケーションに完璧なソリューションはありません。ただし、ここではよくある落とし穴と、それを回避するための方法をご紹介します。
問題点: 熱心なプロジェクトの利害関係者がスコープクリープを起こしている。
解決策: 変更管理プロセスを実装する。
時々、熱心なプロジェクトの利害関係者が悪影響をもたらすことがあります。あなたがプロジェクトの計画や成果物の決定に多くの時間を費やしたにも関わらず、新しい成果物や新しいタイムライン、新しいバジェットなどのような意見がある利害関係者が多すぎると、すぐにプロジェクトが軌道から外れてしまいます。
利害関係者との境界を設けるのに最適な手段は、変更管理プロセスの実装です。プロジェクトスコープに対する変更案を提案、確認、承認するプロセスを用意することで、スコープクリープを心配せず、プロジェクトを動的かつ最新に保つことができます。変更管理プロセスには、次の 4 つの要素があります。
プロジェクトの利害関係者が変更リクエストを送信する。
主要利害関係者がリクエストを確認する。
変更を承認、却下、または保留する。
変更に従ってプロジェクトスコープや目標を調整する。
問題点: 初期の利害関係者特定の段階で、このイニシアチブに高い関心を持っている利害関係者を追加し忘れてしまった。
解決策: 利害関係者を特定する段階に、プロジェクトチームを参加させる。
他部門の利害関係者を忘れてしまったり、思いついた利害関係者をリストに追加したり影響力や関心度を計算したりするのを忘れてしまうこともあるでしょう。このようなミスはつきものですが、特に影響力や関心度の高い利害関係者については、できるだけ避けたいものです。
このような事態を避けるためには、利害関係者を特定するプロセスにプロジェクトチームを参加させるのが最善の方法です。チームでブレインストーミングを行い、各利害関係者を特定して分類し、利害関係者のリストから漏れないようにします。それでも確信が持てない場合は、マネージャーやプロジェクトスポンサーにリストを確認してもらい、含まれるべき利害関係者が抜けていないかどうかを確認してください。疑問があれば、質問しましょう!
問題点: プロジェクトをすでに開始した後に利害関係者の分析を始めてしまった。
解決策: 次回は、前もって利害関係者のリストや分析マップを作成しておきましょう。
これは当たり前のことですが、含める価値があります。もし利害関係者を忘れてしまったら、次のプロジェクトのための学習機会としましょう。たとえば、プロジェクトのキックオフが終わるまで利害関係者のプロジェクト分析マップの作成を忘れていたとしたら、次回は必ずやるように自分に言い聞かせましょう。
それでは、企業が利害関係者に対してどのような姿勢で接するべきなのかをみていきましょう。
企業が活動する上で考えるべきは、利害関係者との信頼関係です。
利害関係者からの信頼は、企業価値に直結します。例えば、プロジェクトを進行する上では、自社の利益を考えるとともに、それによってもたらされる取引先の利益や、地域社会への貢献などにも配慮する視点を持たなくてはなりません。
企業活動 (プロジェクト管理を含む) においては、「利害関係者からの理解」が重要だといえます。
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無料トライアルを始める企業が意識すべきは、株主や取引先といった直接的利害関係者だけではありません。その先にある間接的利害関係者の存在にも配慮が必要なのです。
例えば、直接的利害関係者である従業員の雇用を守るということは、その従業員たちの家族を経済的に守るということでもあります。このことを意識できているか否かは、企業価値を大きく左右する要素なのです。
企業活動における利害関係者の意味と重要性、分析マップについて解説しました。プロジェクトをスムーズに進めるには、利害関係者の期待がプロジェクトの成果物と一致していることを確認する必要があります。つまり、プロジェクト全体における明確性を高め、促進する必要があるのです。
これには、Asana のようなワークマネージメントに適したプラットフォームの使用が最適です。ワークマネージメントツールは組織のあらゆるレベルの人々や仕事の調整に役立つシステムです。詳しくは、ワークマネジメントの紹介をお読みください。