市場進出戦略 (GTM) とは?策定するときの 9 つのステップを解説

寄稿者 Caeleigh MacNeil の顔写真Caeleigh MacNeil
2024年2月7日
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概要

GTM とは「市場進出」を意味するビジネス用語で、新製品のリリースや新規市場への進出を目指す際の詳細な計画のことを指します。GTM 戦略によって、適切なタイミングで、狙った顧客へ、正しいメッセージとともに製品を届けることができます。この記事では、GTM の意味を紹介し、9 つのステップで GTM 戦略を策定する方法をご紹介します。

更新: この記事は、GTM とは何か、その意味に関するさらに詳しい記述を含めて 2022年 11月に改訂されました。

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市場進出戦略 (GTM) とは?

GTM とは、Go To Market の頭文字を取ったビジネス用語で、自社の商品やサービスをどのように顧客へ届けるかをまとめた計画、戦略のことです。日本語では「市場進出」と呼ばれます。

GTM とは、新製品のリリースや、既存の製品を新しい市場へ売り出す際に必要となる手順を追った詳細な計画のことを指します。

この計画によってプロジェクトを成功に導くにはまず、以下の問いについて考えてみましょう。

  • どんな製品を販売しようとしているのか?また、その製品が独自に解決できる問題とは何か?

  • が理想的な顧客なのか?また、そうした顧客の持つ悩みとは何か?

  • どこで製品を販売するのか?どの市場をターゲットにするのか?また、それらのマーケットでの需要や競合状況はどうか?

  • どうすればターゲットとする顧客にリーチし、需要を創出できるのか?

製品のリリースには多大な投資が必要です。しかもどれだけ優れた製品であっても、リリースの成功はマーケティングや販売の方法によって決まります。GTM とは何かを理解し、明確な戦略を作成すれば、製品のターゲットオーディエンスを見誤ったり、同様の製品が飽和している市場に導入したりといったミスがなくなり、コストの大きな無駄を避けられます。

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GTM が必要なケースは?

製品やサービスを市場に発表する際には必ず GTM (Go To Market) 戦略が必要です。たとえば、次のような状況を考えてみましょう。

  • 既存の市場に新製品をリリースする (例: 既存のファッションブランドが、美容製品のコレクションをリリースする場合)

  • 既存の製品を新規市場に進出させる (例: ある地場の食品チェーンが別の地域に進出する場合)

  • 新規市場で新製品の感触を見る (例: テックスタートアップ企業が最初のアプリをリリースする場合)

基盤のしっかりした既存の企業も、新製品を立ち上げたり、新しい市場に進出したりする際には GTM 戦略が必要です。なぜなら、競合などのさまざまな市場要因は急速に変化するため、たとえ過去に同様の製品リリースに成功した経験があっても、今回も同じ戦略が有効とは限らないからです。

戦略実施とは?成功への 6 つのステップ

成功した GTM 戦略具体例

スウェーデン企業 Oatly が米国に進出した頃、オーツミルクは米国の消費者にとって馴染みの薄い商品でした。しかし、ブランドはある秘策を繰り出します。すなわち、広告に投資する代わりに、コーヒーショップに直接働きかけたのです。Oatly は、顧客が乳製品に代わるものを求めがちな個人店と手を組み、クリーミーで濃さもラテにぴったりな自社製品によって、常連客たちを味方につけていきました。米国に進出後、同社の収益は 2017年から 2018年の 1 年間で、10 倍になり、同時にオーツミルクの大流行をもたらしました。

Oatly は、顧客がエスプレッソの香りに引き寄せられ、まさに買うという場面でターゲットオーディエンスに直接アプローチしたのです。お察しの通り、この目新しい GTM 戦略こそ、彼らの成功のカギでした。

GTM 戦略とマーケティングプランの違い

GTM 戦略は、製品リリースや新規市場への拡大を目的としています。一方、マーケティングプランは、マーケティング戦略全般をどう実行するかを定めたものです。市場進出に限定するのではなく、長期的なアプローチでマーケティングの目標達成をサポートするものであり、たとえば年間ロードマップや、全体的なデジタルマーケティング戦略などがこれに当たります。GTM 戦略はこうした長期的なマーケティングプランを基に、特定の製品リリースに合わせて作成されます。

マーケティングプランの例: 化粧品セレクトショップ Sephora のマーケティングプランは、顧客が一定額以上の商品を購入すると割引やギフトを提供するロイヤルティプログラムに力を入れたものです。このプランは、製品リリースのみに関連したものではなく、時間をかけて顧客の忠誠心を育むための長期的なアプローチです。

GTM 戦略の例: Microsoft 社は、第 3 世代の Surface タブレットをリリースする際に、市場進出戦略を実行しました。この戦略はタブレットのリリースに特化したもので、既存のタブレットは機能面で本格的なコンピューターに劣るという消費者の問題に応えるものでした。

記事: 戦略と戦術の違いとは?

プロジェクト管理ツールで GTM 戦略を管理する

新製品のリリースや新規市場の開拓を目指す GTM 戦略には数多くの未確定要素が含まれます。適切なプロジェクト管理ツールがあれば、各タスクのステータス、責任者、依存関係を含め、計画全体を 1 か所で可視化できます。さらにチームメンバーと協力して GTM 戦略を進めながら、各自の進捗状況をリアルタイムで確認できます。

[製品 UI] Asana のプロダクトマーケティングリリースプロジェクト、プロジェクトの成果物を含むスプレッドシート式ビュー (リスト)
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GTM の手順: 9 つのステップ

GTM の手順

GTM とは何か、またそれに関する戦略についてみてきました。ここでは、GTM 戦略を策定するには具体的にどうすればいいのかをまとめます。

1. 問題を特定する

2. ターゲットオーディエンスを定義する

3. 競合とニーズについて調査する

4. キーメッセージを決める

5. バイヤージャーニーをマッピングする

6. マーケティングチャネルを選択する

7. セールスプランを作成する

8. 具体的な目標を設定する

9. 明確なプロセスを作成する

ステップ 1: 問題を特定する

製品リリースが大成功を収めるのは、決まって具体的な問題を解決する場合です。たとえば、携帯電話の BlackBerry は、ビジネスパーソンたちが外出先でメールに返信することを可能にし、Uber はタクシーを呼び止めたり電話で予約したりする手間を解消し、Dawn の洗剤は、油汚れを手早く落とし、皿洗いを楽にしたといった具合です。こうした製品はいずれも、顧客の悩みに応えて、顧客が望む価値を追加するという形で独自の価値を提案しています。そして何よりも重要なのは、悩みの解消へのニーズが高いタイミングでこうした製品をリリースしている点です。

このコンセプトは、製品が強い市場需要を満たすこと、つまりプロダクトマーケットフィット (PMF) として知られています。競合で有利に立ち、適切な顧客へ向けて適切な製品を確実に送り出すには、このプロダクトマーケットフィットを理解することが不可欠です。

ステップ 2: ターゲットオーディエンスを定義する

GTM とは、自社製品をどうやって顧客に届けるのかをまとめたプランです。そのため、ターゲットオーディエンスを正確に理解することは非常に重要となります。次の問いについて考えてみましょう。

  • 製品が解決する問題を抱えているのは誰か?

  • 製品が解消できる顧客の具体的な悩みは何か?

  • ターゲットとするオーディエンスは、そのソリューションにいくら支払うか?

ターゲット市場を特定する一般的な手法としては、それぞれ理想的な顧客プロファイル (Ideal Customer Profile - ICP) とバイヤーペルソナを使った 2 つの方法があります。こうした手法を併用して顧客ベースを絞り込み、オーディエンスの中で顧客タイプを具体化していきます。

理想的な顧客プロファイル (ICP)

このアプローチでは、自社にとって完璧な顧客を定義します。言い換えれば、自社製品が解決できる悩みを抱えている顧客です。理想的な顧客プロファイルを作成する際には、以下の特性を考慮しましょう。

  • 業種あるいは人口動態データ: 製品が企業向けなら、金融、法律、SaaS など、ターゲットにする具体的な業種を特定します。一方、個人向けに販売する場合は、理想的な顧客が当てはまる具体的な人口動態データを定義します。たとえば、育児サービスなら 1 歳から 5 歳の子供がいる家庭がターゲットになるでしょう。

  • 地理的条件: 理想的な顧客はどこに住んでいるでしょうか?たとえば、英語のみのツアーを提供する旅行会社なら、米国やヨーロッパの顧客がターゲットになるはずです。

  • 規模: これは B2B の取引をする場合に考慮すべきポイントです。ターゲットの企業規模を特定しましょう。たとえば、新しいコワーキングスペースをオープンするなら、従業員が 20 名未満の資金のあるスタートアップ企業がマーケティングの対象になります。

  • 予算: 価格戦略を決めるには、顧客が製品にいくら支払えるかを考えます。これはまた、自社製品の市場での立ち位置にも影響します。たとえば、高級腕時計を販売している会社なら、一定のプライスポイントを下回るべきではありません。また、法務コンサルティング会社なら、予算が月額 5,000 ドル以上ある企業のみをターゲットとしなければ、採算がとれないと考えるかもしれません。

  • 意思決定要因: 顧客が製品を購入するかどうかの決断に影響を与える要因は何でしょうか?たとえば、信頼する友人や同僚からのアドバイスを頼りにするのか、あるいは会社の CEO やセールスマネージャーなど、主な意思決定者がいるのか、といったことです。

  • 顧客の悩み、問題点: 理想の顧客が抱えている具体的な悩みについて考えましょう。たとえば、財務計画のアプリを販売している会社なら、スプレッドシートによる予算管理で手間取っている企業がターゲットになる可能性があります。

  • 使用頻度の高い媒体: 理想の顧客はどのように情報を得ているでしょうか?SNS を使用しているのか、紙の雑誌の読者なのか、自在にウェブを使いこなすのかといったことを考えます。

バイヤーペルソナ

ターゲットオーディエンスは一枚岩ではありません。それぞれ異なる個人であり、自分なりの問題を抱え、価値観、目標もさまざまです。バイヤーペルソナを作成することで、ターゲットオーディエンスに含まれる多様なタイプの人々を分類し、顧客を個人として可視化できるようになります。

ターゲットオーディエンスを完全に理解するには、複数の顧客ペルソナを設定する必要があります。ここでは、ツアー会社が旅行先用のアプリを新しくリリースする場合のバイヤーペルソナを 1 タイプ想定してみます。

ペルソナ: 思い出作りを求めている人

  • 25 ~ 35 歳の個人

  • 一人旅またはパートナーとの二人旅を好む

  • 上質な体験のためには、高めの価格でも進んで支払う

  • 予約を柔軟に変更できることを重視する

  • 人気のあるアクティビティは前もって予約するが、現地到着後もアクティビティを選択したい

  • テクノロジーやアプリを自在に使いこなせる

バイヤーペルソナは、理想的な顧客プロファイル (ICP) と似ているように見えますが、果たす役割が異なります。ペルソナを使うことで、ICP を個別の問題点、価値観、目標を持った顧客タイプによって具体的に分類し、顧客像を可視化できるようになるのです。

ステップ 3: 競合とニーズについて調査する

製品の顧客価値とターゲットオーディエンスを特定したら、次は調査を行う番です。製品を市場に送り出すための投資を行う前に、まず十分なニーズがあり、競合が激しすぎないことを確認する必要があります。次の問いについて検討し、調査の指針としましょう。

  • 類似製品をすでに提供している競合他社はないか?

  • 競合他社がターゲットとしているオーディエンスや地域は?

  • 自社製品と競合製品が異なる点は何か?あなたの製品には、他社製品が提供していないどんな特徴があるか?

  • 製品へのニーズはあるか?市場は飽和状態ではないか?

市場の状況を十分に把握するためには、競合分析が必要です。この手法では直接的そして間接的な競合他社を調査によって特定し、自社と比較して相手の強みや弱みを明らかにします。

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ステップ 4: キーメッセージを決める

次のステップは、潜在的な顧客に伝えたいキーメッセージを決めることです。おすすめの方法は、設定したバイヤーペルソナそれぞれに向けた個別のメッセージを作成することです。これによって、ペルソナ独自の価値観や悩みに訴えかけることができます。

各バイヤーペルソナに向けたメッセージをマッピングするために、価値マトリクスを作成しましょう。価値マトリクスとは、各タイプのペルソナ、それぞれの抱える問題点、あなたの製品がもたらす価値、そして製品がペルソナの問題をどう解決するかを伝えるキーメッセージを整理したものです。

上のツアー会社の例でみていきましょう。このペルソナの価値マトリクスは次のようになります。

  • 悩み、問題点

    • オンラインでの予約時に、その体験の質を確認することが難しい。

    • 前もって高価格のツアーを予約すると、プランの変更があった場合に返金されないのは困る。

  • 製品の価値

    • 利用者による写真とレビューが掲載されるアプリで、ツアーの質の感触をつかめるようにする。

    • フレキシブルな予約ポリシーにより、計画変更の際にキャンセルが可能。

  • キーメッセージ

    • 安心して上質な体験を予約できる。

各バイヤーペルソナについてこのプロセスを行い、価値マトリクスを完成させましょう。

ステップ 5: バイヤージャーニーをマッピングする

バイヤーペルソナとメッセージを特定したら、次はバイヤージャーニーのマッピングを行います。バイヤージャーニーとは、顧客が自身の問題に気づき、あなたの製品を解決策と考え、購入を決断するまでの道のりです。バイヤージャーニーのマッピングは、適切なタイミングで適切なコンテンツを潜在顧客の目に触れさせやすくする上で有用なため、コンテンツマーケティングの重要なポイントとなります。

バイヤージャーニーは多くの場合、3 つの段階に分かれたファネルとして図示されます。

  • ファネルの上段 (TOFU): 顧客は解決したい問題を認識し、解決策を探しています。あなたの製品の存在にはまだ気づいていない可能性があります。この段階では、顧客の関心を惹き、あなたの製品を検討してもらう必要があります。

  • ファネルの中段 (MOFU): 顧客は、あなたの製品を他社製品と比較検討します。この段階での目標は、買い手となるかもしれない顧客にあなたの製品が最善のオプションであると納得させることです。

ファネルの下段 (LOFU): 顧客はあなたの製品を購入するかどうかを決断します。この段階での目標は、顧客を購入の決断へと導くことです。

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ステップ 6: マーケティングチャネルを選択する

マーケティングチャネルとは、製品のニーズを創出し、潜在顧客をマーケティングファネルの下層へと導くために利用するさまざまなコンテンツを指します。たとえば、SNS、有料検索広告、ブログ、SEO コンテンツ、メールなどがこうしたマーケティングチャネルに相当します。どんなマーケティングチャネルを選択するかは、ターゲットオーディエンスと潜在顧客がバイヤージャーニーのどの段階にいるかによって異なります。

  • 理想的なオーディエンスにマーケティングチャネルを合わせる。必ず、ターゲットオーディエンスのコンテンツ消費のスタイルに合わせてマーケティングチャネルを選択しましょう。たとえば、理想的な顧客が YouTube ユーザーで、Instagram や Facebook は使っていなければ、有料 SNS 広告よりも YouTube 広告に注力するべきです。

バイヤージャーニーの段階に合わせて異なるチャネルを利用しましょう。顧客がマーケティングファネルのどの段階にいるかに応じて異なるマーケティングコンテンツを使い分けることによって、顧客を次の段階へと導くことができます。たとえば、検索エンジン最適化 (SEO) 対策のコンテンツなら、ファネルの上層にいて、あなたの製品を知らない顧客を自社ウェブサイトへと誘導できます。ファネルの中段にいる顧客は、あなたの製品を検討しているので、ケーススタディやウェビナーが最適でしょう。そしてファネルの最下部では、無料トライアルといった戦略が、見込み客の購入の決断を促すために有用です。

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ステップ 7: セールスプランを作成する

GTM とは製品を販売することを目標にしていますから、ターゲットオーディエンスにどのように売り込み、潜在顧客を買い手へと変えるか、その手段を決めることが重要です。ここで活躍するのが販売戦略です。

ここでは一般的な販売戦略を 4 つご紹介します。必要に応じ、自社製品のタイプやビジネスモデルに合うように、これらの戦略を組み合わせて利用してください。

  • セルフサービスモデル: 顧客が自分の判断であなたの製品を購入します。これは、顧客がオンラインで製品を見つけ、購入する電子商取引で一般的な販売プロセスです。この方法では専門のセールスチームは不要ですが、ウェブサイトへのトラフィックを増やすためにマーケティングへの投資が必要です。

  • インサイドセールスモデル: セールスチームが見込み客に働きかけ、製品を購入する決断へと導きます。これは、チームで使用するデザインソフトウェアといった、やや複雑で中間の価格帯の製品に有効な手法です。

  • フィールドセールスモデル: 営業担当者が企業との大規模な契約獲得を目指します。このオプションは営業活動への多額な投資を必要とし、セールスサイクルも長めになりますが、得られる利益も大きくなります。たとえば、人事管理ソフトウェアを大企業に販売するなら、フィールドセールスモデルが有効でしょう。

  • チャネルモデル: あなたの製品を外部のパートナーが販売します。この手法では、製品のマーケティング方法についてあなたの意見はあまり反映されませんが、最もコストがかからず、類似製品を販売している企業と提携することで成功の可能性が高まります。たとえば、シリアルの新製品を販売するなら、食品チェーンと提携するといいでしょう。

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ステップ 8: 具体的な目標を設定する

GTM (Go To Market) 戦略の成功には、必ず目標を設定することが必要です。目標を定めることで、目指すべき具体的なターゲット、明確なタイムライン、進捗を測定する指標が得られます。目標が曖昧な場合、戦略が有効に機能しているかを判断することも難しくなります。

ここでは、測定可能な目標を設定する際に利用できるフレームワークをいくつかご紹介します。単独でも使用できますが、ビジネスのニーズに応じて組み合わせて使用することもできます。

  • SMART な目標: SMART は「具体的 (Specific)、測定可能 (Measurable)、達成可能 (Achievable)、現実的 (Realistic)、期限がある (Time-bound)」の頭文字をとった略語で、こうした性質を持つ目標の設定に活用できます。たとえば、新しいアプリのリリースに向けて「6 か月以内に、アプリの合計ダウンロード数 100 万回、新規ユーザーアカウント数 5 万を達成する」といった目標が SMART な目標です。

  • 重要業績評価指標 (KPI): KPI は、ビジネス目標の達成に向けた進捗を定量的に測定する指標です。たとえば、新製品のための市場進出戦略の実施中なら、全購入回数や広告のクリックスルー数を追跡することがこれに当たります。KPI を決める際は、「3 か月以内に、合計コンバージョン数 10 万、クリックスルー数 100 万を達成する」といった SMART な目標のフレームワークを活用できることを覚えておきましょう。

  • 目標と主要な結果 (OKR): この戦略は、達成したい目標と、進捗を測定するために使用する主要な結果とを組み合わせます。OKR には決まった形式があり、それは「[目標] を [主要な結果] によって測定する」というものです。たとえば、「マーケティングチームは、新製品の認知度を高めることを目標とする。これを測定するために追跡する主要な結果は、ウェブの製品ページへの訪問者数 100 万の達成、SNS のエンゲージメント率の 50% アップ、メール登録による 5 万件の新規顧客の獲得とする」といった OKR が考えられます。

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ステップ 9: 明確なプロセスを作成する

GTM とは、作成するだけではありません。作成した GTM は実際に実行に移す必要があります。戦略がいかに優れていても、それを成功に導くにはチームとのコミュニケーションを円滑に行い、協力して戦略を遂行することが不可欠です。そこで必要になるのが明確なプロセスです。

GTM 戦略の実行プロセスを作成するには、次の点について考慮することをおすすめします。

  • チームメンバーと戦略を共有し、コラボレーションする方法。戦略をどこかに仕舞い込んだままにしてはいけません。戦略を構成する計画やプロジェクトは、誰でもアクセスできる場所にまとめておきましょう。これは、優れたワークマネジメントツールがあれば簡単です。たとえば Asana なら、計画やプロジェクト、プロセスを 1 か所で整理しておけるため、チームメンバーは GTM 戦略をいつでも参照できるスペースで業務に取り組み、協力し合うことができます。

  • 方向修正し、目標を追跡する方法。目標を有効に活用するには、日常業務に結びつける必要があります。つまり、GTM 戦略の目標を設定するだけして忘れてしまうのではなく、週の終わりや月末など、定期的に進捗を確認し、追跡する手段を考える必要があります。こうした情報をハブとなるプロジェクト管理ツールでプロジェクトの関係者と共有すれば、全員が認識を共有できます。

Go To Market テンプレートを使ってプロセスを標準化する方法。GTM とは、さまざまな要素や懸案事項が含まれています。そこで、新製品のリリースのたびに戦略を評価することが重要です。とはいえ、毎回、一から始める必要はありません。重複作業を避けるには、プロセスのドキュメンテーションとテンプレートを作成して、市場進出プロセスを標準化しましょう。たとえば、ターゲットオーディエンスを特定する、メッセージを明確にするといった個別のステップの概要を決めたテンプレートを作成し、さらに GTM 戦略全体の作成手順のガイドとなる Go To Market テンプレートを作成するとよいでしょう。チームで使用するプロジェクト管理ツールを選択する際には、チームが日常的に使用するプロセスをテンプレート化して共有できるツールを選ぶことが大切です。

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GTM とは何か、GTM の意味と基本知識、策定プロセスを解説しました。製品を市場にリリースするには多大な投資が必要です。しかし、オーディエンス、メッセージ、具体的な目標、戦略を実行する明確なプロセスを設定するための強固な “Go To Market” フレームワークがあれば、次のリリースの成功は約束されたようなもの。この記事でご紹介した 9 つのステップを活用すれば、余裕をもって素晴らしい GTM 戦略を立てられるはずです。

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