意思決定とは、目標達成のために複数の選択肢の中から最適なものを選ぶ行為のことを指します。この意思決定を段階的に表したものを意思決定プロセスと言い、情報収集や代替選択肢の検討などのステップが含まれます。この記事では、最適な決断をするのに役立つステップ・バイ・ステップのプロセスを詳しく解説するほか、異なる意思決定手法についても説明します。
更新: この記事は、意思決定のプロセスに関する情報をさらにわかりやすくまとめて、2023年 1月に改訂されました。
バスで通勤するのか、タクシーを呼ぶのか。アイスクリームはチョコレート味にするか、バニラ味にするか。全乳か低脂肪乳か。このように、私たちは毎日さまざまな決断をします。
こうした小さな決断をするのにも、一通りのプロセスが伴います。前述の例はシンプルなので選択するのは簡単かもしれませんが、たとえばビジネスにおいてさらに複雑な決断を迫られたとき、どうすれば適切な判断ができるのでしょうか?
そこで役立つのが、意思決定プロセスと呼ばれる手法です。職場で行う決断は、朝飲むラテにどの種類のミルクを入れるのかというようなシンプルなものではありません。だからこそ、このプロセスを理解し実践することが重要になります。
Asana のワークマネジメント機能を試す意思決定とは、目標を達成するために、数ある選択肢の中から最善のものを選ぶ行為を意味します。
そのためには情報を収集し、代替案を提案、検討し、そして最終的に決断を下すわけですが、そのプロセスを意思決定プロセスと言います。
私たちは日常生活において頻繁にこの意思決定を行っているわけですが、仕事場で行うそれは、選択を間違えればリスクを伴う可能性もある重要な行為です。これから紹介する 7 つのステップを参考に、正しい意思決定を行いましょう。この記事で解説するステップは、複数の関係者の意見を伴う複雑な決断をするケースを扱っていますが、朝食の際にどのシリアルを器に入れるのかといったシンプルな決断をする場合にも使えます。
記事: ビギナーズガイド: データに基づいた意思決定意思決定にはいくつか異なる種類が存在し、そこで用いられる意思決定プロセスモデルもさまざまです。その多くは前述した 7 つのステップを中心に展開されますが、優れた意思決定を行うために便利な別の手法をいくつか紹介しておきます。
・合理的意思決定モデル
・直感的意思決定モデル
・創造的意思決定モデル
これは、意思決定モデルの最も一般的な種類です。論理的であり、順を追って行われています。このモデルの特徴は誤った選択肢を消し、不確実性を最小に抑えることができる点です。上述した 7 つのステップは、このモデルで用いられる意思決定プロセスの 1 例となります。
もしあなたがプロジェクトリーダーで、自分の意思決定がチームやグループに大きく影響する場合や、最大の結果を出す必要があるというケースでは、この種の意思決定モデルを使用するとよいでしょう。できる限り最適な意思決定を行えるよう、偏見を抑えながら幅広い見解を考慮することが求められます。
この種の意思決定で決め手となるのは、情報やデータではなく、本能的な直感です。このモデルの意思決定プロセスにおいては、優れた直感を生み出すために、過去の経験とパターンを認識する能力が求められます。
この種の意思決定は、類似の問題に対処することについて豊富な経験を持つ意思決定者によって行われることが多いです。こうした意思決定者は、実践を検討している解決策をすでに成功させた経験を持っています。
創造的意思決定モデルでは、問題に関する情報やインサイトを収集し、解決策として使えそうなアイデアを割り出します。その点で、この創造的意思決定は合理的意思決定とよく似ています。違う点は、前者は各代替策のメリットとデメリットを特定する代わりに、意思決定者が解決策について積極的に考えるところです。実際に、意思決定プロセスモデルの中にこの「意思決定者が解決策を考える」というステップが設けられています。潜在意識に任せて、適切な意思決定にたどり着くことが狙いです。この点に絞って見てみると、直感的意思決定モデルにも似ていると言えます。
これを反復的なプロセスで使用すると、チームが各解決策を試し、変化に適応できるため、最大の効果を発揮すると言えます。
記事: VUCA の時代を生き抜くために必要なスキルとは?正しい意思決定を行うため、経営学や経済学ではさまざまな意思決定理論があり、そのために用いられるフレームワークもさまざまです。ここでは、意思決定を基本的な 7 つの段階に分け、それぞれについて解説していきます。
意思決定プロセス 7つのステップ
1. 決断する必要がある事柄を特定する
2. 関連情報を集める
3. 代替の解決策を特定する
4. エビデンスを分析する
5. 代替の選択肢を選ぶ
6. 行動に移す
7. 意思決定の内容とそのインパクトを見直す
決断をする必要がある事柄を特定する、つまり問題を定義するときは、以下を確認します。
どのような問題を解決する必要があるのか?
この決断を実践することにより、どのような目標を達成しようとしているのか?
成功はどのように評価するのか?
こうした質問は、すべて目標設定時に用いるテクニックで、最終的に実現可能なソリューションを打ち出すのに役立ちます。問題が明確に定義されていると、手元の情報が増えるため、問題解決に向けて最適な決断がしやすくなります。
記事: 成功を評価するために使用できる 22 種類のビジネス目標決断する事柄に関連する情報を集めることは、情報に基づいた意思決定をするための重要なステップの 1 つです。チームはこの問題に関連する過去のデータを持っていないでしょうか?過去に同じような問題を解決しようとしたメンバーはいなかったでしょうか?
チーム外もしくは社外の情報を探すことも重要です。効果的な意思決定をするには、さまざまなソースからの情報が必要になります。市場調査を行ったり、コンサルタントの協力を得たり、別の会社で働く仲間で関連する経験を持つ人と話をしたりして、外部のリソースを発見します。情報を収集することは、チームが問題に対してさまざまな解決策を見つけるのに役立ちます。
このステップでは、目の前の問題に対してさまざまな解決策を探すことが必要になります。ビジネスにおける意思決定を行う場合は、関係者のニーズがその人の役割によって異なる場合があるため、代替の選択肢を 2 つ以上見つけておくことが重要です。たとえば、会社がワークマネジメントツールを探している場合、デザインチームと開発チームではニーズが異なるかもしれません。解決策をすぐに 1 つだけ選択するというのは、適切なアプローチとは言えないかもしれません。
記事: 決定木分析とは何か?より良い決断をするための 5 つのステップこのタイミングで、エビデンス (証拠、根拠) を分析します。これまでに出したさまざまな解決策を使って当初の問題にどう対処できるかを考えてみましょう。チームは、各選択肢のメリットとデメリットを特定し、代替の選択肢を絞り込んでいきます。
チームが選択肢に関するエビデンスを分析し、評価するには、以下のような方法があります。
このステップで、最終的な意思決定を行います。ここでは、これまで集めたすべての情報に加え、この決断が各関係者に与え得る影響についても考慮します。
適切な意思決定は、代替案を 1 つ選択するのではなく、複数を融合したものである場合もあります。効果的な意思決定をするには、創造力あふれた問題解決や常識にとらわれない考え方を伴うため、チームの選択肢をありきたりなものに制限しないようにしましょう。
Asana では、見せかけのトレードオフに惑わされないことを主な価値観の 1 つとしています。選択する決断を 1 つに制限すると、他の選択肢から得られるメリットが損なわれる可能性があります。できるなら、提示された代替の選択肢よりもメリットの大きな選択肢を見つける努力をしましょう。
Asana を無料で試す最終的な意思決定を行う担当者の承認を得たら、解決策を実践します。チームが次のステップについて共通認識を持てるよう、実践計画を作成しましょう。それができたら、計画を実践し、進捗をモニタリングすることにより、その意思決定が適切であったかどうかを判断します。
意思決定を行ったら、ステップ 1 でまとめた成功の評価指標をモニタリングします。そうすることにより、この解決策がチームの成功基準を満たしているかどうかを判断します。
意思決定を見直す際には、以下について確認しましょう。
チームがステップ 1 で特定した問題を解決できたか?
この意思決定は、チームにとって好影響であったか、それとも悪影響であったか?
関係者のうち、この意思決定からメリットを得たのは誰か?また、悪影響を受けたのは誰か?
この解決策が最適な代替オプションではなかったという場合は、反復型のプロジェクト管理手法を活用することがチームにとってメリットとなる場合があります。それにより、チームは変化にすばやく適応し、利用できるリソースを基に最適な意思決定を行えます。
意思決定プロセスとモデルの種類をご紹介しました。意思決定が必要とされる状況は、シンプルなものから複雑なものまでさまざまです。ビジネスにおいては、きちんと段階を踏み、それぞれのステップで考慮すべきポイントなどしっかりおさえて意思決定を行いましょう。
意思決定では、最終選択をするだけでなく、その後の見直しとモニタリングがとても重要です。しかし適切に記録されていないと、追跡するのは困難となります。ワークマネジメントツールやグループウェアを使用して、意思決定をしっかり追跡しましょう。Asana なら、意思決定の見直しや追跡だけでなく、チームメイトとの効果的なコミュニケーションやコラボレーションを行ったり、作業の進捗を把握するなど、すべて 1 か所で行うことができます。
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