ビジネスにおける DX とは?定義や推進ポイント、課題を徹底解説

古田 弓恵の顔写真古田 弓恵
2024年6月30日
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デジタル技術が進歩し、新しいタイプの事業やビジネスモデルが生まれる中、既存の企業や組織に今求められるのが、DX (デジタルトランスフォーメーション) です。この「DX」とは何か、知っていますか?IT 化やデジタル化と混同して理解していないでしょうか?

DX は単なる「業務プロセスのデジタル化」ではありません。DX の意味を正しく理解し取り入れなければ、本当の意味での DX の実現は難しいでしょう。そこでこの記事では、DX とは何かをわかりやすく解説し、IT 化との違いもご紹介します。推進ポイントや課題もまとめるので、正しい DX の実現に向けて準備を始めましょう。

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DX とは?

DX は Digital Transformation (デジタルフォーメーション、デジタル変革) の略で、スウェーデンのウメオ大学教授であったエリック・ストルターマン氏が 2004 年にはじめて提唱した概念だと言われます。彼によると DX とは「IT の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことです。

日本では 2018 年、経済産業省が『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン (DX 推進ガイドライン)』を発表。DX の重要性がさらに知られるところとなりました。このガイドラインによると、DX とは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。また本ガイドラインでは、DX を速やかに取り入れていくことを推奨しています。

つまり DX とは、データやデジタル技術を活用して事業に関わることがら (業務プロセスや製品、ビジネスモデル、企業カルチャーなど) を変革し、新しい価値を社会に提供することで市場での競争力を獲得することだと言えるでしょう。

一方、よく「DX 化」という表現が聞かれますが、Transformation という言葉の中には「変化」の意味がすでに含まれているので、「DX」で十分です。

デジタイゼーションとデジタライゼーション

DX とともによく聞かれる言葉が「デジタイゼーション (Digitization)」と「デジタライゼーション (Digitalization)」です。DX の構造の段階として、経済産業省もこの用語を使用しています。どちらも広義にはデジタル化を意味しているのですが、変化させる対象が異なります。デジタイゼーションは、アナログだったものをデジタル製品にしたり (例: アナログテレビから液晶テレビ)、今までアナログで行っていた業務をデジタル化すること (例: 社内共通チャットツールの導入) を意味します。つまり既存のモノやプロセスを部分的にデジタル化することです。

一方のデジタライゼーションは、そこからさらに一歩踏み込み、プロセス全体をデジタル化することを指します。たとえば、デジタイゼーションによってデジタル化されスマートフォンに保存できるようになった写真を、今度は友だちとのネットワーク上で送り合えるようにする。これがデジタライゼーションです。デジタライゼーションによるデジタル化では、事業の仕組みやビジネスモデルを変革し、顧客やユーザーに新たな価値を提供することができます。デジタイゼーションもデジタライゼーションも、どちらも DX の実現に必要不可欠な要素です。

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DX と IT 化との違い

DX (デジタルトランスフォーメーション) と混同されがちな用語に「IT 化」があります。従来の IT 化は、基本的に社内に焦点を当てており、インターネットなどのデジタル技術を使って業務の効率化や生産性向上、コスト削減を行うことを目的としていました。たとえば、紙媒体で管理していた顧客名簿をデジタル化しクラウドで保存、社内で共有することで、従業員がデータにアクセスしやすくなる。これが IT 化です。IT 化は DX を推進するための手段のひとつとして考えられますが、DX の同義語として考えてはいけません。DX を実現する上で基盤となるのが IT 化であり、この「IT 化」を最終目的としないことが重要です。

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DX はなぜ必要なのか

テクノロジーは日々進化し、それに伴ってスタートアップなどに見られる新しいタイプのビジネスモデルが生まれています。そういった新規参入ビジネスの勢いは誰の目にも明らかでしょう。経済産業省は、DX の推進がなければ市場での競争力低下は免れることができないとしており、2025 年以降の多額の経済損失も予測し「2025 年の崖」という表現を使っています。2025 年までに実現していない場合、次のような状況が想定されます。

  • 市場でのデジタル競争に負ける

  • システム維持費の高額化により、技術的負債を抱える

  • IT 人材の不足により、システムトラブルやデータ滅失のリスクが高まる

こういった状況に陥らないためにも、今から DX を推進していくことが重要となります。時代のニーズに合わせた製品やサービスを提供し市場での競争力を保つため、DX に取り組みましょう。

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DX の課題と推進ポイント

日本企業の経営課題 2021』が公表したアンケート結果を見ると、日本企業の多くが DX 推進に取り組んでいるものの、明らかな成果を獲得できていないのが現状です。同様の見解を経済産業省も示していますが、スムーズな DX の実現を阻んでいるものは何なのでしょうか?日本企業が抱える DX の課題と推進ポイントを確認しましょう。

IT 人材の確保

DX という概念は浸透したものの、その推進を担う人材が不足しているのが現在の状況です。多くの企業がシステム開発などの IT 関連業務をアウトソーシングしているのもひとつの要因でしょう。そういった業務を委託しているので、十分なノウハウを持ち、IT 関連の見直しをサポートできる人材が社内にいないからです。

デジタル分野に精通しているだけでなく、事業の変革にまで目を向けられる人材やチームがなければ、DX の実現には至りません。企業によっては研修会などを開き、スキル強化や人材育成に注力しているところもあります。

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新たな IT システムの構築

IT 人材の不足と大きく関わる障壁として、IT システムの構築と導入があります。既存のシステムはすでに老朽化し、ブラックボックスと化しているという場合も多いでしょう。こういった場合は、システム刷新を検討しましょう。その際には、変化するビジネスモデルに対応できるのか、他のシステムとのデータ連携のしやすさなどを考慮に入れるようにします。

経営層の正しい理解

DX は企業全体で取り組むべき課題です。最終的にはビジネスモデルの変革をもたらす DX ですが、意思決定者であるトップ層や経営陣、チームリーダーが正しくこの概念を理解していることが求められます。トップ層が積極的に社内の意識改革を進めることで、企業全体で DX に取り組める体制が整うでしょう。また、経営ビジョンや事業戦略などを適切に共有することも重要です。ただ策定するだけでなく、従業員がすぐにアクセスできよう見える化することを忘れないようにしましょう。

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スムーズにデジタルトランスフォーメーションを推進しましょう

DX (デジタルトランスフォーメーション) とは何か、その定義やその必要性、推進時のポイントと課題について解説しました。紹介した IT 化との違いやデジタイゼーションとデジタライゼーションの定義も参考に、正しい DX 推進を目指しましょう。DX は一朝一夕で実現するものではありません。長期的な視点で取り組み、企業全体でのビジネス変革を目指しましょう。

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