組織とは?組織を成立させる 3 つの要素から組織の例についてわかりやすく解説

Asana チーム 寄稿者の画像Team Asana
2024年1月18日
facebookx-twitterlinkedin
組織とは? トップ画像
テンプレートを表示

概要

社会では日常的に使われる「組織」という言葉ですが、その意味を明確に理解しているという人は少ないようです。それは、「組織」にはさまざまな定義があり、比較的抽象的な意味として用いられることが多いからではないでしょうか。本記事では、組織とは何なのか、バーナードが提唱する組織の 3 つの要素を交えながら、わかりやすく解説します。

組織とは何か

組織とは、目的を達成するために構成されるシステムのことです。

ただし、目的達成のために活動する集団のメンバー (人) だけを指すものではありません。たとえ組織内のメンバーが入れ替わっても、同じように機能するシステムが「組織」だということです。極論をいえば、メンバーは「組織」には含まれず、メンバーが活動をする “仕組み” が組織であるといえます。

例えば、会社組織は利益を追求する団体です。会社でプロジェクトを発足させ、会社組織に属する従業員全員でプロジェクトを遂行して完了させます。このとき、途中で退職する従業員もいれば、新しく雇用される従業員もいますが、組織としての働きや目的は変わりません。

このようにみれば、組織は目的を達成するために作られる仕組み、つまりひとつのシステムだということがわかります。

ワークマネジメントとは?チームがワークマネジメントを必要とする理由

この電子書籍では、ワークマネジメントとは何かを解説し、ビジネスにどう役立つかをご紹介します。

電子書籍をダウンロード
ワークマネジメントとは何か 電子書籍をダウンロード

組織と「群れ」の違い

上述したように、組織は単に人の集団ではありません。

ただの集団は「組織」ではなく、「群れ」という言葉で区別したほうがわかりやすいでしょう。

組織は共通の目的を持ち、内部のメンバーは統制され、かつ助け合いながら個々の役割を全うするための活動を行います。たとえ内部のメンバーが入れ替わってもその活動と目的は変わりません。

一方、群れは統制されていない、つまり個々の役割や助け合いなどがない集まりです。共通の目的はありませんので、個々がバラバラに活動しています。それぞれの目的を持っている個々が一箇所に居合わせ、特に統率されているわけでもなく集団化している状態です。

  • 組織: 共通の目的を持ち統率された仕組み

  • 群れ: それぞれの目的を持った個々が集団になっている状態

バーナードが提唱する「組織を成立させる 3 要素」とは

「組織」については、経営学の視点から組織論を提唱したチェスター・I・バーナード (Chester I. Barnard) が有名です。バーナードは、組織を成立させるために必要な 3 つの要素を提唱しています。

ここでは、バーナードが提唱する「組織を成立させる3要素」をみていきましょう。

1. コミュニケーション

コミュニケーションとは、同じ目的を持った組織内のリーダーやメンバーが、情報を集約および共有して意思疎通をすることです。

コミュニケーションがとれていなければ、個々の役割が全うされているか否か、そしてトラブルの有無も把握できない状態となります。つまり、組織というシステムが機能しないことを意味するのです。

記事: マネージャー向けコミュニケーションスタイルガイド

例えば、企業組織ならば、プロジェクト管理においてツールを利用したり、会議を開いたりしてコミュニケーションをとることが多いでしょう。特に、昨今のテレワークなどでは、コミュニケーションのためにプロジェクト管理ツールの導入も進んでいます。

プロジェクト管理ツールを利用してコミュニケーションをとることで、トラブルの早期発見やメンバー同士のフォローなども迅速に行えるのです。また、コミュニケーションを密にすることで、プロジェクトを統制するリーダーが常に現状を把握できるため、効率的な業務や生産性を考慮した差配が可能となります。


メールやチャット、スプレッドシートなど、異なる場所に情報を点在化させるのではなく、一か所に整理整頓することで、業務効率は向上します。ワークマネジメントツール Asana に情報を集約して、業務効率化を始めましょう。

チーム内で効率的にコミュニケーションを取るには?

2. 共通目的

共通目的は、組織を構成する動機であり、組織メンバーが共通して持つ目的のことです。組織内で達成すべき共通の目的に向けて、個々のメンバーは主体性を持って活動します。

例えば、企業ならば「経営ビジョン」、オリンピック団体競技ならば「金メダルを獲得する」などが共通目的だといえるでしょう。また、たとえ 3 人から 5 人などの少数人のプロジェクトであっても、プロジェクトを完遂して利益を上げ、ステークホルダーの満足度を満たすという共通目的がありますので、これも組織だといえるのです。

ステークホルダーについては【ステークホルダーとは?シェアホルダーとの違いを解説】にて詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

3. 貢献意欲

貢献意欲は、共通目的を達成しようとする意欲のことです。簡単に表現すれば、モチベーションのことだといえるでしょう。

例えば、企業組織では従業員が労働力を提供し、企業が対価を支払います。このとき、対価 (給与や正当な評価) が貢献に見合った、あるいは上回らなければ従業員のモチベーションは維持できません。

組織では、メンバーの貢献度に比例した報酬を与えることで貢献意欲を向上させ、組織というシステムを動かすのです。

世界トップレベルの効果的なコラボレーション法とは

円滑な共同作業のための戦略、テクニック、インサイトなど、世界トップレベルの効果的なコラボレーションを支えるすべてをご紹介します。

効果的なコラボレーションに関する電子書籍をダウンロード 画像

強い組織であるための「協働システム」

強い組織であるために必要な仕組みとして「協働システム」が挙げられます。

協働システムとは、バーナードが展開した「共同体系的組織論」の中で、強い組織のあり方のひとつとして提唱したものです。協働システムは、上述した 3 つの要素「コミュニケーション」「共通目的」「貢献意欲」をシステム (仕組み) 化することで成り立ちます。

協働システムを一文で表すならば、共通目的を達成するために複数の人間が協力し、コミュニケーションをとりながら効率的かつ円滑に活動する仕組みだといえるでしょう。

そして、この仕組みを円滑に動作させるために、貢献に応じた対価 (給与や評価) を発生させて、メンバーの貢献意欲 (モチベーション)を維持します。

組織は、このような体系をシステム化することで「強い組織」を継続できるのです。

組織の例

それでは最後に、上述した組織の定義を身近な例でみていきましょう。

スポーツのチーム

身近な組織の例としては、私たちが観戦するスポーツチームも組織です。

例えば、サッカーはチームが勝つことを共通目的として、メンバーそれぞれがコミュニケーションをとりながら目的に向かって活動します。

得点をとったりアシストをしたりしたメンバーの活躍は、チームやサポーターの評価を得られますし、活躍すれば報酬も発生しますので、貢献意欲の向上につながる仕組みになっているのです。

また、スポーツチームは選手の入れ替わりも頻繁です。しかし、メンバーが入れ替わってもチームとしては存続し、「勝つ」という目的を失うことなく活動を続けます。

つまり、メンバーが変わっても同じ目的に向かって動き続ける「組織」だといえるのです。

アーティストグループ

テレビやコンサートなどで観るアーティストグループもまた、組織だといえます。

例えば、アイドルグループは、メンバーの加入や脱退を繰り返しながらも、グループの活動は続きます。有名になることや収益を生むという共通目的を持ち、ダンスや歌をショーとして見せるためにコミュニケーションをとりながらステージを完成させます。人気がでればファンからの評価はもちろん、さまざまなテレビ番組に出演できることなどが報酬となり、グループに対する貢献意欲を持てるのです。

このように、アイドルグループもまた、バーナードが提唱する 3 つの要素を満たす「組織」だといえるでしょう。

企業

企業は言うまでもなく「組織」です。

企業は利益を生むことを共通目的とし、従業員が利益を上げるためにプロジェクトを遂行します。従業員同士はコミュニケーションをとりながら他者と取引をし、売上向上やコスト削減を意識しながら利益を生み出します。利益向上に大きく貢献すれば、昇進や昇給などの対価を得られるため、貢献意欲を高められるのです。

タイムラインを使って生産性を高める方法

タイムラインとは一体何のことでしょう?生産性を高めることにどう役立つのでしょうか?電子書籍をダウンロードしてお読みください。

タイムラインを使って生産性を高める方法 電子書籍をダウンロード

まとめ

「組織」は抽象的なイメージを持つ言葉ですが、企業経営や組織づくりを担う者において、「組織」を理解しておくことは大切です。本記事ではバーナードの組織論を軸に解説しましたが、これら一部の解釈に異論もみられます。ただし、ここで紹介したバーナードの考え方は、組織というものの本質、そして企業を組織する上で重要な要素ですので、「組織」への理解を十分に深められるはずです。

関連リソース

記事

コンティンジェンシープランとは?適切な策定方法とそのヒントを解説