意思決定方式「トップダウン」と「ボトムアップ」を徹底解説

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2024年4月1日
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概要

トップダウン (top down) 型アプローチとは、会社やチーム全体の意思決定をトップレベルのリーダーのみで行うものであり、ボトムアップ (bottom up) 型アプローチとは、そのような意思決定においてすべてのメンバーに発言権を与えるものです。

この記事では、トップダウン型とボトムアップ型アプローチの詳細、長所、短所についてご紹介します。

更新: この記事は、トップダウンのメリットとデメリットに関するさらに詳しい記述を含め、2024年 4月に改訂されました。

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意思決定スタイルには 2 つの方式「トップダウン」と「ボトムアップ」があります。会社によっては、プロジェクトリーダーは数人のチームメンバーの仕事を担当することもあれば、複数のチームを監督することもあるでしょう。チームごとに構造や規模、具体的な課題が異なるため、意思決定においてどのモデルが適しているのかはケースバイケースです。どちらにするのかは、会社の経営者や経営陣、プロジェクトリーダーが決定しなければなりません。

この記事ではトップダウン型とボトムアップ型アプローチの特徴と違いを紹介し、比較します。それぞれのメリットとデメリットもまとめるので、どちらのマネジメント戦略が自分のリーダーシップスタイルに合っているか判断する際に参考にしてみてください。


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トップダウンとは?

トップダウンとは、意思決定が最高レベルで行われるマネジメントスタイルのことを指します。

つまり、チームやプロジェクトのマネージャーが意思決定を行い、それがヒエラルキー構造を介してチーム全員に伝達されていく仕組みのことです。このスタイルは、プロジェクト、チーム、さらには会社レベルで適用することができ、それぞれのニーズに応じて調整することができます。

マネージャーは知識を集め、分析し、実行可能な結論を導き出します。そして、プロセスを開発して、それをチームの全員に伝え、実行させます。このようなマネジメントスタイルは、「コマンドアンドコントロール」や「独裁型リーダーシップ」とも呼ばれています。

トップダウンの仕組み

このマネジメントタイプでプロジェクトを進める場合、上層部の意思決定者は組織全体の目標から始めて、その目標を達成するために各グループや個人がどのような行動をとる必要があるかを逆算します。

プロジェクトの計画プロセスは、すべてマネジメントレベルで行われます。そして、アクションプランが作成されると、意思決定者はそれをチームメンバー全員に伝え、実行に移します。通常、この過程に調整の余地はあまりありません。

記事: 結果を出すアクションプランの作成方法

トップダウン型アプローチはプロジェクトごとに変わるわけではなく、チームが実践的なプロセスを確立し、時間の経過とともに効率性を高めていくことができるので、効果的です。また安定した信頼性があるため、多くの組織 (IBM、New York Times などのレガシー企業) では、会社全体がこの方式で運営されています。

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トップダウンを採用すべきケース

小売業、医療、製造業などの伝統的な産業では、一般的にトップダウン型のマネジメントスタイルが採用されています。それはこのスタイルが、混乱を避け、リスクを軽減し、大規模なチームでの取り組みを順調に進めるのに適しているためです。

ただし今日、純粋にこのタイプだけのマネジメントを採用している組織はほとんどありません。多くのチームは、この方式にボトムアップ型も組み合わせたハイブリッド型のアプローチを採用しています。

トップダウン型アプローチは、かっちりとした構造的なアプローチです。そのため、複数のサブチームや様々なプロジェクトの工程など、プロセスの管理が困難な要素のあるチームに有効です。

トップダウンのメリット

このマネジメントスタイルには多くのメリットがあります。特に、広い組織形態の中で、複数の小さなチームやグループが機能し合っている大規模なチームの場合、その傾向が強くなります。

トップダウンのメリットを見ていきましょう。

トップダウン型マネジメントの利点

よく知られているマネジメントスタイル

トップダウン型のマネジメントスタイルは一般的です。そのため、たとえばこの構造を採用している会社から新規採用者が転職してきても、新しい環境に慣れるのに苦労することはないでしょう。チームリーダーは、新しいチームメンバーがすでに慣れ親しんでいるトップダウン型アプローチの要素を自分のマネジメントスタイルに取り入れることで、早く馴染めるようにサポートすることができます。

明確さの向上

トップダウン型アプローチを採用すると、プロセスが明確になり整理されるため、混乱の余地がなくなります。すべての意思決定が一か所で行われ、すべてのコミュニケーションが一方向に流れるため、他のマネジメントスタイルに比べて、混乱や誤解が起こりにくいのです。

責任範囲の明確化

問題や非効率なことが発生しても、このスタイルで管理していれば、原因究明は簡単です。それぞれの責任範囲を明確に定義したチームであれば、問題の発見、診断、解決を迅速かつ効率的に行うことができます。

実行までのスピードが速い

意思決定のプロセスが 1 つのマネジメントレベルで行われるため、複数のリーダーやプロジェクトの関係者の意見を必要とする意思決定よりも、はるかに迅速に最終決定、割り当て、実行できます。

トップダウンのデメリット

この意思決定モデルには、チームメンバー個人やチーム全体の士気にどのような影響を与えるかという点で、デメリットとなるポイントもあります。トップダウンのデメリットを具体的に挙げ、その回避方法もご紹介します。

トップダウン型マネジメントのデメリット

リーダーへの負担が大きくなる

すべての意思決定を上層部で行うため、プロジェクト管理者の採用ミスが発生すると、チームの成功に大きな影響を与えてしまいます。またプロセス上で発生する問題の多くは下層部からしか見えないため、プロジェクトマネージャーが意思決定の前に個々の従業員からのフィードバックを求めないと、誤って重大な問題、遅延、損失を引き起こしてしまう可能性があります。

【回避方法】チーム内でのリーダーシップを 2 人程度に分散させ、責任や決定権を共有するようにしてみましょう。適切なトレーニングや研修、サポートも提供するのも効果的です。

創造性の低下

すべてのコミュニケーションがリーダーからチームメンバーへと流れ、対話の余地がほとんどないため、創造的なコラボレーションの機会が少なくなります。また、部門間のコラボレーションが少ないと、新鮮な視点が失われ、技術革新が阻害される可能性があります。

【回避方法】チーム内でのアイデア発信やフィードバックを奨励するよう心がけます。部門間の連携は、ワークマネジメントツールなどのデジタルツールを活用すればスムーズに行えるでしょう。

チームの熱意が下がる

すべての決定がトップでなされると、チームメンバーは自分たちのフィードバックや意見が尊重されていないと感じる可能性があります。そのため、このマネジメントスタイルの課題の 1 つは、メンバーに対する積極的な働きかけが必要なことです。

【回避方法】メンバー全員がチームの一員であると実感し、つながりを感じ、尊重されていると感じ続けられるようにしましょう。それがメンバーの働き方改善やモチベーション向上にもつながるはずです。

意思決定者と意思決定の間の距離の拡大

このタイプのマネジメントは、実際にプロジェクトに関わるチームと意思決定者の間に距離ができてしまいます。リーダーが現場の声やフィードバックを求めない場合、情報が不足したまま意思決定を行うことにつながる可能性があります。

【回避方法】チーム内のオープンなコミュニケーションと透明性を確保し、距離を縮めるよう心がけます。定期的にフィードバックを求めたり、効果的な進捗報告を行うようにしましょう。

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ボトムアップとは?

ボトムアップとは、プロジェクトに直接参加している人たちが意思決定を行うマネジメントスタイルです。

チームはすべてのレベルで協力し合い、全体の目標を達成するためにどのようなステップを踏むべきかを決定し、プロジェクトの目標に向かって進んでいきます。トップダウン型に比べて新しく、柔軟性もあるため、ディスラプションやイノベーションが重要視される業界でよく採用されています。

ボトムアップ型マネジメントの例:

  • ハイブリッド OKR: 大きな目標は会社レベルで設定されるが、KR (主要な結果) はチームや個人で設定する。

  • スクラムチーム: デイリースタンドアップミーティングでチーム全員が集まり、協力して調整を行う。

  • 民主的マネジメント: リーダーがチームメンバーと協力して、各レベルでどのような決定をすべきかを決めることで、構造を維持しつつ、よりよいコラボレーションを可能にする。

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ボトムアップの仕組み

ボトムアップ型でプロジェクトを進めるケースでは、実際にプロジェクトに関わる各メンバーが意見や提案をトップ層とシェアします。そしてその現場の意見を、上層部が吸い上げ、了承するという流れが、このボトムアップのプロセスです。最終的な意思決定はトップであるリーダーが行いますが、現場からの意見やアイデアを基にする意思決定という点で、トップダウン型とは異なります。

ボトムアップを採用すべきケース

ボトムアップは、柔軟性や専門性が高いプロジェクトや対応力が必要とされるチームに有効です。また、複数のタスクや事業が同時進行しているプロジェクトやビジネスでも、このボトムアップマネジメントのほうが適していると言えます。すべてがマニュアル通りにはいかない複雑な現場の状況を把握するには、現場にはいないトップ層だけでは困難だからです。

ボトムアップ型マネジメントは、トップダウンで生じる問題の多くを解決します。このアプローチは、クリエイティブなチームや、ソフトウェア開発、製品デザインなど、コラボレーションが重要な業界に適した利点があります。

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ボトムアップのメリット

では、ボトムアップにはどのような利点があるのでしょうか。そのメリットをいくつか挙げてみましょう。

ボトムアップ型マネジメントの利点

現場のリアルな意見が反映される

ボトムアップスタイルでは、プロジェクトに直接参加している人やプロジェクト管理を担当している人が、自分たちの将来の仕事に影響を与える決定事項について意見を述べることができます。チームメンバーと直接連携して行動方針を決定することで、上層部はプロセスの盲点もカバーすることができます。

チームの士気が高い

ボトムアップ型アプローチでは、年功序列に関係なく全員が意思決定に影響を与えることができるため、チームメンバーの賛同が得やすくなります。また、プロジェクトの成果に影響を与える機会をすべてのレベルのメンバーが平等に持つことで、同僚間の関係も良好になり、チームの成功に向けて全員の士気も高まります。

記事: チームの士気が社員のパフォーマンスに与える影響

より創造性を発揮できる

ボトムアップ型のようなコラボレーション型のアプローチでは、フィードバックやブレーンストーミング建設的批判の機会が生まれるため、システムや結果の改善につながることが多いです。また、前述のような機会に恵まれることで、各メンバーの個人的成長にもつながるでしょう。

ボトムアップのデメリット

ボトムアップには魅力的なメリットが多くありますが、実際には広く採用されていないのも事実です。このアプローチにはいくつかの課題があり、チームやプロジェクト、業界の種類によっては相性がよくないからです。

ボトムアップの欠点を、回避方法と共に見てみましょう。

ボトムアップ型マネジメントのデメリット

勢いに欠ける

純粋にボトムアップ型アプローチだけで問題を解決しようとすると、「船頭多くして船山に上る」状態になりかねません。グループ全員に協力を求めると、意思決定そのものが複雑化し、結果的にプロセスが遅くなってしまうことがあります。

【回避方法】グループリーダーを 1 人もしくは 2 人配置し、全員の意見を考慮した上で、フィードバックに基づいて意思決定を行うようにしましょう。

人間関係の変化

チームメンバーにフィードバックの機会を与えることは重要ですが、人によっては、特にリーダーが同席している中でフィードバックをするのは気が引けるかもしれません。ハードルの高さの感じ方は人それぞれです。フィードバックを強く求めすぎると、正直さや創造性が損なわれる可能性があります。

【回避方法】少会議室、1on1 ミーティング、四半期ごとの匿名フィードバック調査など、チームメンバーが貢献できるさまざまな環境を提供しましょう。先輩のチームメンバーには、誰もが気軽に参加できるよう、新しいメンバーたちと打ち解ける方法を見つけるように促します。

全体像を詳しく把握しにくい

多くの場合、プロジェクトの意思決定はプロジェクトレベルで行われるのが妥当です。しかし、プロジェクトは、会社の目標、予算、予測、指標など、チームレベルでは得られない上位レベルの要因の影響を受けます。ボトムアップ型で設計されたプロセスは上層部のインサイトが得られないため、そういった盲点に悩まされる可能性があります。

【回避方法】コミュニケーションの流れを構築して、プロジェクトレベルの意思決定に関連する可能性のある会社レベルの情報をまとめたものを、チームリーダーに提供しましょう。チームリーダーは、チームの意思決定が会社全体の立場や目標に沿ったものになるように、必要に応じて情報をチームに伝えることができます。

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効果的な意思決定プロセスを実施するコツ

効果的なマネジメントアプローチを導入するには、プロセスと同様に人材にも投資することが重要です。プロセスの上層部に立つ人が優れたマネージャーであるだけでなく、優れたリーダーでもあるならば、問題点は軽減、あるいは完全に解消されるでしょう。

記事: リーダーシップとマネジメントの違いとは?

ここでは、正しい意思決定プロセスを構築、管理するためのコツをいくつかご紹介します。

  • マネジメントチーム以外とも関係を築く

  • チーム間のコミュニケーションを促進する

  • 追加のフィードバックを行う

マネジメントチーム以外とも関係を築く

トップダウン型の企業では、プロセスに関するコミュニケーションは上から下へと流れていくため、個人やグループがサイロ化し、孤立してしまいがちです。部署やチーム、マネジメントレベル、さらには地理的な位置をも超えたコミュニケーションの機会を設けることで、チームメンバー同士が有意義な関係を築けるようになります。

チーム間のコミュニケーションを促進する

トップダウン型でもボトムアップ型でも、普段は一緒に仕事をしていないチーム同士がコラボレーションする機会を意図的に設けましょう。日常的な仕事とは関係がなくても、他のチームとブレインストームを行うことで、創造性を刺激し、人間関係を構築し、クリエイティブなソリューションを導き出すことができます。そして、それを後に実行して会社全体の利益につなげることができるのです。

追加のフィードバックを行う

マネジメント以外のチームメンバーは、自分たちの意見や視点が上層部にいる意思決定者に考慮されていないと、参加意欲が減退する可能性があります。ボトムアップ型のフィードバックを行うために新たなチャネルを構築することで、下層部のチームメンバーの賛同が得やすくなるだけでなく、意思決定者にプロセスのギャップや問題点に関する貴重なインサイトを与えることができます。

トップダウンとボトムアップをバランスよく取り入れる

それぞれの意思決定モデルには、デメリットも存在しました。どちらかひとつだけにこだわると、その欠点が浮き彫りになり、プロジェクト成功の障害となりかねません。そこで、トップダウンとボトムアップをバランスよく取り入れる必要があります。

そのためには、リーダーシップとメンバーの積極的な参加を組み合わせたアプローチが重要です。リーダーはプロジェクトの方向性や目標を示し、組織のビジョンを定めると同時に、メンバーの意見やフィードバックを積極的に取り入れるようにします。その意見やフィードバックを方針や意思決定に反映させることで、組織全体の創造性やエンゲージメントを高めることもできるでしょう。


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まとめ: 優れた意思決定方式で目標を達成する

2 つの意思決定方式「トップダウン」と「ボトムアップ」について解説しました。それぞれにメリットやデメリットがあるので、トップダウンとは何か、ボトムアップとは何かをよく理解し、どこでどちらを採用するか適切に判断することがとても重要です。

この 2 つのマネジメントスタイルは完全に相反するものではなく、互いにカバーし合います。効率性や創造性など、それぞれの要素を融合させて、チームに最適なバランスの良いマネジメント方法を見つけましょう。自分たちに合ったアプローチが決まれば、合理的なワークフロー管理を確立することができます。

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