チームを編成する際には、組織の目標達成に必要なスキルを持ったチームメンバーを集めるべきです。チームの潜在能力を最大限に発揮させるためには、チームメンバーがサポートを受け、仕事に集中できる環境づくりが必要です。ここで、チームの士気が重要になります。チームが成長していく中で、どうやってチームメンバー全員の士気と仕事への満足度を高め、維持していけばよいのでしょうか?
従業員の士気を高め、維持するには、まず企業文化から始めなくてはいけません。明確な企業文化があれば、物事がうまくいかないときにメンバーを導くことができます。士気を高め、維持する方法をもっと知りたいと思いませんか?その方法をご紹介します。
チームや従業員の士気とは、従業員が自分の組織やビジネスに対して抱いている全体的な態度のことです。ここでいう士気とは、人やグループが組織やビジネスに対して抱いている信頼感のことを指します。
士気が高いということは、従業員の満足度が高いということであり、熱心に仕事に取り組んでいるということです。従業員の士気が低くなってきたら、それは従業員が不満を抱いていることを意味します。燃え尽き症候群を経験している人がいないか、仕事に意欲を失っている人がいないか見てみましょう。非常に一般的な例を紹介しましたが、従業員の士気に影響を与える要素はこれ以外にもたくさんあります。
士気を高め、維持するためには、まずチームリーダーが必要です。チームリーダーとして、従業員の満足度を高め、維持するためにできることは、次のようにさまざまです。
人間は社会的な生き物なので、リーダーの立場にある人に行動のヒントを求める性質があります。リーダーシップの取り方は人それぞれですが、ここでは、チームの士気を高めるために、模範となる方法をいくつかご紹介します。
チームの仕事に関わる。チームに関わることで、チームを信頼しているだけでなく、仕事にエンゲージしていることを示します。エンゲージメントが高いリーダーは、チームの仕事をよく理解しています。そして、個々人の仕事が全体的なビジネス目標とどのように結びついているかを強調することで、サポートしている気持ちを示します。
迷ったときは、共感をもって導く。優れたリーダーは、従業員に対して、従業員としてだけでなく、一人の人間として気にかけていることを示します。共感力のあるリーダーは、評価すべきところは評価し、必要なときには柔軟性を認め、定期的にチームメンバーがどのように感じているかを確認します。
透明性を追求する。会社の変化、チームが抱えている課題、あるいは自分自身の生活で起きていることなどを定期的に共有しましょう。自分も人間であることをチームに示すことで、チームが率直な感情を共有できる安全な空間を作ることができます。
フィードバックを求める。優れたリーダーは、率直にフィードバックを聞く機会を作り、そのフィードバックについて真剣に考えます。1on1 ミーティングで行っても、グループでも、匿名でも、フィードバックを募ることで、従業員たちが、自分の意見を聞いてもらえていると感じるようになります。そうすれば、従業員たちが士気に影響を与えるような不満を他の同僚に漏らすことが少なくなります。
チームとの信頼関係を築くことは、全員が効果的かつ自律的に仕事ができるように責任を共有することです。そのためには、従業員に意思決定の自由を与え、スキルの向上を促します。決断を一任するすることで、従業員が自分の声や意見が重要であると自信を持てるようになります。そうすれば、チームメンバー全員が自分の強みや考え方を共有し、それを有意義な形で生かすことができるので、チーム全体のメリットにつながります。
チームが懸命に働いているときは、従業員に感謝の気持ちを伝えることを忘れないでください。影響を与えているチームメンバーを特定し、彼らが貢献した具体的な仕事を評価するのです。全員をなんとなく褒めるのでは社員の士気を高めることはできませんが、具体的な貢献を強調することで、従業員の仕事や会社への影響を気にかけていることが伝わります。
有意義な従業員評価の例:
「急な打ち合わせにもかかわらず、時間を作ってくれてありがとうございました。忙しいとは思いますが、柔軟に対応してもらえて感謝しています。」
「プレゼンテーションに追加してくれたスライドは、とても価値のあるものでした。専門知識を共有していただき、ありがとうございました。」
「あの気難しい顧客に辛抱強く対応してくれてありがとうございました。あなたが見せてくれた忍耐力は、チームメンバーたちが目指すべきお手本です。」
チームの士気を高めるには、仕事量やリソースと同様に、チーム全体のウェルビーイングも大切にしなくてはいけません。従業員が仕事以外の面で健康で満足のいく生活を送れるように支援することで、彼らが仕事に積極的になり、他のチームメンバーにとってもよい職場環境を作ることができます。
ワークライフバランスは、チームのウェルビーイングにとって重要な要素です。いくつもの締め切りをこなし、子供の風邪を看病し、さらに翌日の仕事に向けて頭を整理しようとしていたら、燃え尽き症候群になってしまうかもしれません。Asana が実施した仕事の解剖学調査によると、調査回答者の 71% が 2020年に少なくとも一度は燃え尽き症候群を経験したと答えています。
健康的なワークライフバランスを促進することで、チームの活性化を図ることができます。毎日の昼休みだけではなく、定期的に休憩時間 (長時間休憩) を設けましょう。休みを取ることを促進することは、従業員の生産性を高めるだけでなく、士気を高めることにもつながります。
また、従業員が職場外でも活躍できるような福利厚生を利用できると、仕事への満足度が高くなります。育児、育児休暇、交通費、医療費などの福利厚生は、すべて従業員のエンゲージメントに貢献します。これらはいずれも仕事以外の日常生活に影響を与えるものであり、充実した福利厚生があれば、従業員は仕事以外のことを気にすることなく、仕事に集中することができます。福利厚生を提供するのは一部の従業員ですが、チームリーダーはチームのために声を上げて、チームが成功するために必要な福利厚生の確保を支援することができます。
記事: サバティカル休暇の仕組み、主なメリット、FAQ従業員の士気は、企業文化の重要な要素であり、一貫した注意とケアが必要です。強いチーム文化を作ることを意識していないと、士気が低下してしまいます。ここでは、チームの士気を低下させる要因となるいくつかの事実をご紹介します。
ストレスのたまる企業文化をつくる原因はさまざまです。頻繁に行われる業務上の変更や高い離職率など、いずれも従業員に高いストレスを与える要因となります。
組織が頻繁に変更されると、従業員は不安定さを感じてストレスを感じます。組織がチームメンバーをどのように管理するか、あるいは標準的なプロセスを確立するかを決められない場合、従業員が効果的に仕事をすることが難しくなります。たとえば、マネージャーがチームに対して特定のプロセスを設定していても、数か月後には新しいマネージャーが加わり、まったく別のプロセスを導入するかもしれません。短期間でプロセスを切り替えると、混乱や失敗を招く可能性があります。
離職率の高さも、チームにストレスを与えます。新入社員を常にトレーニングしなければならないため、チームメンバーの負担が増えてしまいます。採用だけでなく、新入社員が独り立ちできるようにするには手間がかかります。離職率が高いと、チームは本来の仕事に集中することができず、新しいチームメンバーのオンボーディングに集中してしまうでしょう。メンバーの入れ替わりが激しいと、企業の目標達成につながる仕事を簡単にこなせなくなってしまいます。
離職率が高くなってきたことに気づいたら、チームリーダーは士気の低下を防ぐための戦略を実行に移す必要があります。強力なチームダイナミクスを確立し、チームメンバーのクロストレーニングを行い、他のチームメンバーが休んでも、きちんとしたバックアップ計画を用意することで、会社レベルで何が起こっていようと、チームを支えることができるようになります。
リーダーシップは、企業文化や従業員のモラルに大きな影響を与えます。リーダーシップが頻繁に変わると、従業員は上司との関係を築くのに十分な時間が取れません。時間をかけて、部下と 1 対 1 の関係を築くことが大切です。従業員たちに、味方がいることを知らせなくてはいけません。また、マネージャーには、会社の全体的な目標や展望への接点的役割を果たす責任があります。会社の目標が常に変化していると、社員は必要な情報を得られなかったり、自分の仕事の大きな目的とのつながりを感じられなかったりします。
目標が明確でないのと同様に、会社全体のパフォーマンスに関する透明性が欠如していると、従業員の士気は急速に低下します。従業員の離職率が高く、緊急会議が開かれ、リーダーの交代が頻繁に行われている場合は、何かがうまくいっていないことを示す確実な兆候です。そして、リーダーが真摯に受け止め、透明性を持って大きな問題に取り組まない場合、従業員はリーダーシップに対する信頼を失い、士気が低下してしまいます。
リーダーから従業員に明確なコミュニケーションをとることで、このようなストレス要因は対処できます。リーダーが自分の役割、責任、プロセスを従業員に明確に伝えれば、従業員は目標を達成するために何をすべきかを正確に知ることができます。透明性を高めることで、チームメンバーは会社の目標達成に直接貢献する仕事に取り組めるようになるのです。
記事: 職場で効果的にコミュニケーションをとる 12 のコツ従業員の士気はいつでも変化する可能性があり、その理由の中には仕事とはまったく関係のないものもあります。たとえば、新型コロナウイルス (COVID-19) のパンデミックを考えてみましょう。多くの人が、日々の仕事のやり方を大幅に変え、一夜にしてリモートワークに移行しなくてはいけませんでした。
パンデミックは、企業がほとんどコントロールできない外部からの大きなストレス要因でした。この変化は、多くの企業の運営方法を大きく変えることになりました。リモートチームの士気を高めるために、多くの企業はパンデミックというストレスのたまる状況に対応して、福利厚生やサポートを提供しました。Asana では、チームの士気を維持し、リモートワークの方法を模索するチームメンバーをサポートするために、グローバルな有給休暇とメンタルヘルスサポートを実施しました。
チームのモラルと企業文化を構築することは、長期的な従業員満足を確立するために重要なステップとなります。しかし、なぜ、会社にとって従業員の士気を高く保つことがそれほど重要なのでしょうか?いくつかの理由を挙げてみましょう。
従業員が幸せでワークライフバランスが取れていると、質の高い仕事ができるようになります。また、ストレスが少ない従業員は、集中力が高く、クリエイティブで、変化や新しいアイデアを受け入れることができます。
ストレスの少ない従業員は、健康的な従業員でもあります。メイヨークリニックによると、慢性的にストレスを感じている人は、消化器系の問題、筋肉の緊張、頭痛、高血圧、精神的な問題など、健康上の問題を抱えるリスクが高くなるとのことです。ストレスが少なければ、このような健康障害は発生しにくくなります。従業員が心身ともに健康であれば、生産性の向上や健康障害による欠勤の減少につながります。
記事: Asana のリーダーが語る、強い組織文化を築くコツ 6 選従業員が満足していて、会社に対して前向きな姿勢を持っていると、新しい仕事を探す可能性が低くなります。それだけでなく、幸せな従業員は新しい人材にとって最高のリクルーターとなります。エンゲージメントの高い従業員は、募集職種に人を紹介したり、会社のことをポジティブに話したりする可能性が高くなります。
会社のリーダーシップと文化は、従業員の強い士気の基盤となります。会社でのリーダーシップを向上させる方法について詳しくは、Asana のリソースライブラリから、リーダーシップに関する記事をご覧ください。