T シャツのサイズが服以外にも使えると聞いたら、どう思いますか?T シャツ見積もりは、キャパシティ計画に有効な、便利で面白いプロジェクト見積もり法です。T シャツ見積もりを使うと、チームメンバーがそれぞれどんな仕事を担当しているのかが明確になります。
チームに新たなプラクティスを導入するときは、「セットアップにどれほどの工数がかかるだろうか?」「理解しやすい、メリットのあるプラクティスだろうか?」というような点についても考えなくてはなりません。
T シャツ見積もりではそんな心配はいりません。T シャツのサイズは誰もが知っているので、チームメンバーは XS と L の違いをすぐに理解できます。このサイズをチームの取り組みに取り入れることで、複雑な計算なしで、それぞれのタスクにかかる工数を見積もることができます。ここではその方法をご紹介します。
T シャツ見積もりとは、プロジェクトの見積もりやキャパシティ計画に役立つ手段で、ある取り組みにどれだけの時間や工数がかかるか見積もるために使用します。T シャツ見積もりでは、各プロジェクトやタスクに、そのタスクの相対的な工数を示す XS から XXL までの T シャツのサイズを割り当てます。使い方によっては、T シャツのサイズでタスクのスコープや工数、複雑さ、作業時間、想定時間を表すことができ、それらすべてに T シャツ見積もりを使うことも可能です。
T シャツ見積もりは、チーム全体に役立つ便利な手段です。
プロジェクトリーダーは簡単にチームのキャパシティを把握できます。
プロジェクト参加者はキャパシティや優先順位を明確に伝えることができます。
チームメンバーは誰がいつまで何をしているのか理解できます。
T シャツ見積もりはよくエンジニアリングチームやソフトウェア開発チームで使われている手法ですが、どんなチームにも有効です。実際、Asana でもコンテンツプロジェクトに T シャツ見積もりを使っています。ちなみにこの記事は M サイズです。
Asana でプロジェクトを計画するアジャイルチームやスクラムチームは当初、T シャツ見積もりをストーリーポイントの計測方法の 1 つとして世に広めました。ストーリーポイント (プランニングポーカーとも呼ばれる) とは、スプリントプランニング中に作業の工数や相対的なサイズを見積もるための手段です。通常、ストーリーポイントはリクエストやプロダクトバックログ内の仕事に割り当てられます。スクラムマスターが次のスプリントサイクルを始める際、バックログから一定のストーリーポイントに到達するまでタスクを引き出します。そうすることで、スクラムチームはスプリント期間中の十分な作業量を確保しつつ、無理なくできる範囲内で計画を立てることができます。
スクラムチームの T シャツ見積もりは、相対的な見積もり手段の一種であり、伝統的な数値ベースのストーリーポイント見積もりの代わりに使えるものです。数値を使わず相対的見積もりを行うことで、チームメンバーはさまざまな角度から考えることができます。数値からは時間などを連想しがちですが、T シャツのサイズであれば時間や工数、複雑さなど、より総合的なイメージを表すことができます。
記事: スクラムは初めてですか?ここから始めましょうT シャツ見積もりをうまく活用するには、それぞれのサイズが何を表しているのか、メンバーはどこでそのサイズを明示する必要があるのか、前もって決めておくことが重要です。
T シャツ見積もりを導入する前に、まずは使うサイズを決めましょう。あまりサイズの種類が多いとチームは混乱してしまいます。初めて T シャツ見積もりに挑戦するなら、まずは S、M、L、XL から始めましょう。プロジェクトの規模がさまざまな場合は、XS や XXL を加えても構いません。
T シャツ見積もりは、それぞれのサイズが何を表すのか、全員が理解できていなければ機能しません。このプロジェクト見積もり法をチームに導入する際は、全員が共通認識を持てるようにしましょう。S サイズと L サイズの例を出して違いを説明するのも有効です。たとえば、Asana のコンテンツチームでいうとこの記事は M サイズですが、さまざまなプロジェクト関係者が関与するような部門を超えたコンテンツは L サイズか XL サイズになります。
T シャツのサイズが何を表しているのかも明確にしましょう。工数を示しているのか、複雑さを示しているのか、それとも時間を示しているのか。全部まとめて表している場合も多いですが、T シャツのサイズで表しているものとそうでないものを明確にすることは、全員が正しい認識を持つことにつながります。
サイズを割り当てる人を制限するか、全員に割り当てを許可するかは、チームの構造によって判断しましょう。一般的な割り当て制限範囲をいくつかご紹介します。
プロダクトバックログプロジェクトの場合、作業に最も近い立場にあるプロダクトオーナーがサイズを割り当てます。
スクラムを実行しているアジャイルチームの場合、プロダクトオーナーが事前に割り当てたサイズを、スプリントの前にスクラムマスターがレビューします。
一般的なプロジェクトチームの場合、各サイズの仕事が何を表すのか理解した上で、チームメンバーがそれぞれサイズを設定します。
T シャツ見積もりを始めたばかりの場合、進行中のプロジェクトに T シャツ見積もりを導入するためにサイズをさかのぼって割り当てる必要があるかもしれません。しかし今後は、どの仕事も割り当て時にはサイズが明示されている必要があります。そうすることであなたとチームメンバーの両方が、その仕事にかかる工数を把握することができます。
仕事にサイズが設定されていると便利ですが、わかりやすく、誰でもアクセスできる 1 つのツールでその情報が確認できればさらに便利です。Asana などの 1 つの共通のワークマネジメントツールを使ってチームがサイズを確認できるようにしましょう。ワークマネジメントツールを使うことで、チームメンバーは各メンバーの現在のワークロードを一目で把握できます。
各タスクのサイズが決まれば、チームのワークロードも把握できるようになります。Asana のようなワークマネジメントツールを使って、関連する作業の工数を見積もり、各チームメンバーがどれだけの仕事を抱えているかを把握しましょう。ワークロードを追跡することは、燃え尽き症候群の防止にもつながります。
これは従来型のストーリーポイントの代わりに T シャツ見積もりを使ったスプリントプランニングプロジェクトの例です。
T シャツ見積もりはエンジニアリング以外でも活用できます。以下はコンテンツごとにサイズが割り当てられたコンテンツカレンダーの例です。
T シャツ見積もりは簡単でありながら、リードタイムをざっくり見積もることのできる、エンジニアリング以外のチームにも非常に有効な手法です。T シャツのサイズを使ってキャパシティや工数を表すことで、タスクに何時間かかるか考える時間が減り、その時間をインパクトの大きな仕事に充てることができます。
一元管理型のツールでサイズを確認すると、誰がいつまで何をしているかだけでなく、ある特定のポイントでどれだけの作業を行っているかもわかります。さらに、T シャツ見積もりはワークロード管理やキャパシティ計画への大きな足がかりになります。ワークロード管理をうまく行うことによって、チーム全体に効果的に仕事を割り振り、燃え尽き症候群のリスクを減らし、チームが過労を感じることを未然に防ぐことができます。
記事: チームの仕事量を管理するための効果的な方法T シャツ見積もりはパワフルでセットアップも簡単ですが、このプロジェクト見積もり手法を導入する際にはいくつか注意すべき点があります。
解決策: 一般的なプロジェクトのサイズを決めて、全員が共通の認識を持てるようにする。
この問題を防ぐために、最初に T シャツ見積もりを導入する際に各サイズの意味を説明するようにしましょう。そうすることで主観的な要素を避け、チーム全員が XS、S、M といったサイズのタスクの違いを明確に理解できます。
解決策: サイズの種類を少なくする。
チームがサイズ間の微妙な違いを理解できないといった場合は、使うサイズの種類を減らしましょう。S、M、L、XL、または XL をなくして S、M、L の 3 つに絞りましょう。サイズの種類は必要に応じて後からいつでも増やすことができます。
解決策: ワークマネジメントツールを使用する。
T シャツ見積もりには、「キャパシティの計画」と「ワークロードの可視化」という 2 つの大きなメリットがあります。これらのメリットを享受するには、一元化されたツールで全員の仕事を確認する必要があります。そこで役立つのがワークマネジメントツールです。
ワークマネジメントツールは、チームがより早く目標を達成するために必要な明確性をもたらします。ワークマネジメントツールを使えば、チーム全体の人や仕事を調整でき、メンバー全員がインパクトの大きな仕事を成し遂げるために必要な情報にアクセスできます。詳しくは Asana のワークマネジメントの紹介をお読みください。
Asana のワークマネジメント機能を試すT シャツ見積もりを使うことで、ほとんどどんな仕事にも大まかな見積もりを割り当てることができます。T シャツ見積もりはワークロード管理の習慣を築く手段の一つでもあり、チームメンバーのキャパシティを効果的に把握することで、働き過ぎの防止にも役立ちます。Asana のようなチーム全員がアクセスできる一元管理型ツールで仕事を管理して、T シャツ見積もりを最大限に活用しましょう。
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