会社を発展させる戦略目標と指標の実例 65 選

目標設定は、ビジネス戦略に欠かせません。チームが一致団結して望ましい方向に進むために、目標は非常に有効です。

しかし、目標が効果を発揮するためには、測定可能であることが大切です。重要なのは、単に目標を立てることではなく、会社全体のミッション達成を支える、戦略的な目標を作成することです。

この記事では、戦略目標を設定すべき場面と、それ以外の目標が適切な場合について解説し、さらに戦略目標の立て方を紹介します。

戦略目標とは？

戦略目標とは、3～5 年の戦略計画で最終的に達成したい目標のことです。この目標は、年次目標よりも広範囲ですが、BHAG やビジョンステートメントのような長期目標よりは短いものです。

戦略目標は戦略計画と密接に結びついているため、3 ～ 5 年単位の目標になりがちです。しかし、戦略目標の設定において最も重要なのは、自分はどこを目指しているのか、そこへ到達するにはどんな目標の達成が必要かを判断することです。

戦略目標と他のビジネスプロセスの比較

戦略や目標を設定するフレームワークは数多くあります。ここでは、戦略目標とその他のタイプの目標の違いを解説します。

戦略目標と戦略計画の違い

戦略計画は、今後 3 ～ 5 年の会社の方向性を定義するプロセスです。戦略計画には、長期目標、戦略目標、短期目標が含まれ、この場合の短期目標には、戦略目標を達成する方策が含まれます。通常、戦略計画プロセスを実施するのは、意思決定者と関係者です。

戦略目標を考えることは、戦略計画を決定するプロセスの一部です。戦略計画には、顧客のインサイト、SWOT 分析、会社の価値観、組織の競争的優位性、四半期または年間のタイムラインにおける具体的な目標、さらに、ある場合はプロジェクト全体のロードマップも含めるべきでしょう。

戦略目標と戦略管理の違い

戦略管理は、会社の目標を達成するためにビジネスリソースを整理し、運用することをいいます。これは通常、組織の全体的な戦略の実行を支える役割を果たします。

一方、戦略目標は戦略計画に密接に結びついた、通常 3 ～ 5 年単位の目標です。

戦略目標は、3 ～ 5 年以内に達成したい具体的な目標だと考えましょう。こうした戦略目標が組み込まれているのが戦略計画であり、これは会社の向かう方向と、その方向へ向かう理由を詳しく説明したものです。この戦略計画をもとに、戦略目標を実際に達成する戦略管理プロセスが進められます。

戦略目標と戦略的目的の違い

戦略目標と戦略的目的の違いは、やや主観的なものです。一般に、目的は目標よりも具体的なものを指す傾向があります。目的は常に定量的であるが、目標は定性的目標、定量的目標のどちらもありうるという考え方もあります。

戦略目標あるいは目的の、いずれの用語を使用するにしても、具体的で、測定可能、かつ実行可能な目標を立てることが重要です。

戦略目標と社運を賭けた大胆な目標 (BHAG) の違い

社運を賭けた大胆な目標 (BHAG) とは、達成まで通常 10 ～ 25 年かかるような長期目標です。たとえば「すべてのデスク、すべての家庭にコンピューターを」という Microsoft 社の有名な目標のような、業界の行方を左右するような目標がこれに当たります。

すべての組織に BHAG があるわけではなく、また必要でもありません。ビジネス戦略によっては、ビジョンステートメントで十分な場合もあります。BHAG を設定するかどうかはさておき、こうした大規模で野心的な目標の達成を助ける、より短期的な目標が戦略目標なのです。

戦略目標と OKR の違い

OKR とは、「目標と主要な結果 (Objectives and Key Results)」の略語で、実業家のアンディー・グローヴが生み出した目標設定の手法です。シンプルで柔軟性に富んだ次のフレームワークに沿って目標を設定します。

• [目標]を[主要な結果]によって測定する。

OKR は数年にわたることもありますが、会社がより大きな戦略計画を遂行する補助としての、1 ～ 2年単位の目標であることが一般的です。OKR がより上位の戦略目標を支えるのが、典型的なスタイルです。

戦略目標と KPI の違い

KPI とは、重要業績評価指標を指し、目標達成までの進捗を定量的に測定します。OKR と同様に、KPI は戦略目標よりも短い期間で設定される傾向があります。この理由の一つは、KPI がほぼどんな場合にも定量的であることです。複数の KPI を達成することで、3 ～ 5年単位のより大きな戦略目標の達成を促進できます。

戦略目標と事業目標の違い

事業目標は、組織が一定期間に達成することを計画している既定のターゲットです。厳密にいえば、戦略目標は、BHAG や OKR、KPI と同じく、事業目標の一つです。

戦略目標と指標の実例 65 選

初めて戦略目標を作成するなら、まず、一般的な目標をチェックしてみましょう。戦略目標は戦略計画によって異なりますが、こうした例を下敷きにすることで、明確な成功指標のある、測定可能で具体的な目標を作成できます。

優れた戦略目標のポイントは次の通りです:

• 明確でわかりやすい

• Measurable (測定可能)

• 追跡しやすい

• Specific (具体的)

• Time-bound (期限がある)

優れた目標を立てるためのその他のヒントは、SMART な目標の立て方に関する Asana の記事をお読みください。

これらの目標は、3 ～ 5年で達成できる目的でなくてはなりません。より短期の目標には、OKR や KPI の設定を検討しましょう。戦略目標よりも長期の目標としてはビジョンステートメントや BHAG を検討してください。

財務に関する戦略目標

財務に関する戦略目標は、次のような重要な財務指標をもとに設定されるのが一般的です。

1. 収益の増加

2. 利益率の達成あるいは維持

3. 株主価値の増大

4. 収益源の多様化

5. 財務上の持続可能性の確立

6. 生産コストの削減

7. 利益幅の拡大

8. 新製品の収益目標の設定

9. 部門別予算の削減

10. 国内販売と国外販売の比率を変える

財務に関する戦略目標の例

これらの例は、Asana の目標ではなく、読者の理解を助ける目的でのみ掲載しています。

11. 今後 3 年間で、収益を 1 千万ドル拡大する。

12. 2024年までにコストを 12% 削減して会社の黒字化を図る。

13. 今後 5 年間で、事業収入全体に占める特定製品の収益の割合を 30% まで高める。

14. 今後 3 年間で、マーケティング予算を 10% 削減する。

15. 販売モデルをアップデートし、2026年 までに売上の 50% を海外市場で確保する。

顧客を中心とした戦略目標

顧客を中心とした戦略目標は、新しい市場の開拓や、ブランドの信頼性をさらに高めることに役立ちます。これらの指標には次のようなものがあります。

16. 顧客のチャーン (契約解除率) の削減

17. 測定可能な形での顧客満足度の向上

18. 新規顧客数の増加

19. 顧客維持率の向上

20. 優れた顧客価値の提供

21. 顧客アウトリーチの促進

22. 顧客コンバージョン率の増加

23. 新規顧客層の開拓

24. リピート顧客数の増加

25. 製品返品率の削減

顧客を中心とした指標に基づく戦略目標の例

これらの例は、Asana の目標ではなく、読者の理解を助ける目的でのみ掲載しています。

26. 次年度のネットプロモータースコア (NPS) を 3 ポイントアップし、今後 5 年間で 10 ポイント増を目指す。

27. 2025年までに市場シェア 23% を獲得する。

28. 市場において最も優れたカスタマーエクスペリエンスを提供する。具体的には、反応時間、顧客の意見、ブランドトラッキングに基づいて測定する。

29. 顧客維持率を毎年 3% の割合で改善する。

30. 2023年までに、製品返品率を 2% にする。

成長を促進する戦略目標

組織レベルでの成長とは、会社の拡大と発展を意味します。成長に関する指標には次のようなものがあります。

31. 市場シェアの拡大

32. 新市場開拓

33. 新しい製品、機能、サービスの開発

34. 経営上の信頼性とコンプライアンスの改善

35. 会社のベロシティの改善

36. 新拠点の開設

37. SNS におけるブランドの確立

38. ウェブサイトトラフィックの増加

39. 企業買収

成長に関する戦略目標の例

これらの例は、Asana の目標ではなく、読者の理解を助ける目的でのみ掲載しています。

40. 今後 4 年間で、12 か所の新規拠点を開設する。

41. 2026年までに市場シェアを 8% 増大する。

42. SNS (Instagram や Twitter) のフォロワー数 500 万を達成する。

43. 2024年までに、ウェブサイトトラフィックを年間 300,000 人に到達させる。

44. 2027年までに 3 つの商流を新たにスタートさせる。

社内運営に関する戦略目標

社内運営に関する目標を、戦略目標に設定することもできます。従業員に関する指標の例には、次のようなものがあります。

45. 従業員定着率の改善

46. 新チームメンバーの追加

47. 健全な組織文化の育成

48. 定期的な人事評価の実施

49. 役職や職位の統一

50. 部門間の生産性向上

51. プロジェクトマネジメントオフィス (PMO) を設置し、基準となるプロセスを導入

52. 優れた人材の獲得

53. 高パフォーマンスチームの構築

54. 個人、職業人としての成長への投資

55. 燃え尽き症候群とインポスター症候群の削減

56. 従業員中心のトレーニングプログラムの構築

57. 従業員の離職率の削減

58. 職場の安全性の向上

59. よりよい設備管理の確立

社内運営に関する戦略目標の例

これらの例は、Asana の目標ではなく、読者の理解を助ける目的でのみ掲載しています。

60. 今後 4 年間で、チームメンバーを新たに 20 名追加する。

61. 毎年の調査に基づき、全般的なエンゲージメントスコアを 7% 改善する。

62. 2026年までに、新規リファラル採用を年間 5,000 名に増加する。

63. 2023年までに、新しい会社の価値基準を設定し、周知する。

64. 今後 3 年間で、年 2 回の定期人事評定を導入する。

65. 今後 3 年間で、ワークプレイス安全性スコアで最高スコアを達成する。

目標追跡テクノロジーで目標を達成に導く

目標を設定したら、それらを追跡、測定、伝達する明解な手段が必要です。しかし、素晴らしい目標を設定しているにもかかわらず、長期的にそれを追跡する方法を持っていないチームも少なくありません。

目標をスライドやスプレッドシートに埋もれさせないために、目標追跡テクノロジーを活用し、戦略目標をチームの日常業務に結びつけましょう。Asana なら、長期目標はもちろん、それらの目標をサポートする短期目標も追跡できます。