プロジェクトロードマップとは?書き方やメリットなどの基礎知識を解説

Julia Martins 寄稿者の顔写真Julia Martins
2024年2月23日
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プロジェクトロードマップ: その概要とそれが必要な理由の記事バナーイメージ
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概要

プロジェクト立ち上げの際は、しっかりとした土台が必要です。オンラインイベント企画などの短期間キャンペーンから、製品開発や商品リリース、新規 IT ツールの導入など、より長期的な取り組みまで、その種類に関わらず、プロジェクトの俯瞰的な全体像を関係者に伝えてメンバー全員の認識を合わせることは、プロジェクトの立ち上げを成功させる上で欠かせない要素と言えます。そこで用いられるのが、ロードマップ (roadmap) です。

この記事では、プロジェクトにおけるロードマップの意味、目的とメリットなどの基本情報をまとめ、ロードマップの書き方や作成時のポイントもご紹介します。

更新: この記事は、ロードマップを上手く作成するためのコツに関する記述を含め、2024年 2月に改訂されました。

新規プロジェクトを立ち上げる様子をイメージしてみてください。

まず、プロジェクト憲章ビジネスケースを作成して、プロジェクトの承認を得ることから始めます。承認を得たら、仕事の主要な青写真であるプロジェクト計画を作成します。次に、ステークホルダー全員を招待して、プロジェクトのキックオフブレインストーミングを行います。プロジェクトによっては、クリエイティブブリーフの作成が必要な場合もあるでしょう。

こうした戦略はどのようにゴールまで通じているのかを明確にしなければ、プロジェクトの全体像は見えてきません。それを可視化するために用いられるのが、ロードマップです。

この記事では、プロジェクト管理におけるロードマップとは何か、その目的とメリットを解説します。ロードマップの書き方と正しく作成するために役立つヒントもご紹介するので、これからのプロジェクトの参考にしてみてください。

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プロジェクトロードマップとは?

プロジェクトにおけるロードマップとは、プロジェクト全体像を描いた計画書です。ロードマップの記載内容は、プロジェクトの成果物、中間目標を示す主要マイルストーン、全体的なプロジェクト目標などが挙げられます。

このロードマップをベースとして、その他の重要なプロジェクト計画用文書 (プロジェクト計画やプロジェクトスケジュールなど) を作成していくので、ロードマップはプロジェクト開始の際に、一番初めに作成すべき文書と言えます。

簡単にロードマップを作成する方法

ロードマップの目的は?

ロードマップを作成する目的は、プロジェクトの全体像を明確化することです。そこにプロジェクト目標やプロジェクトスケジュール、潜在リスクを盛り込みステークホルダーと共有することで、プロジェクトのプランがよりスムーズに進められるようになります。

ロードマップはすべてのプロジェクトで作成すべきか

プロジェクトロードマップが不要なプロジェクトもあります。

たとえば、来月分のブログ管理カレンダーや、優先順位が低いバグ修正の取り組みなど、対象範囲が狭いプロジェクトにおいては、プロジェクトロードマップの作成に時間を費やす意味があまりない場合もあります。

しかし、そういったケースにおいても、プロジェクト関係者と定期的に意識合わせの機会を持つことは役立ちますし、プロジェクトにおいて信頼できる唯一の情報源を確保するのがよいでしょう。もちろん、プロジェクトロードマップが明らかに不要な場合には、無理に作成することは避けましょう。

記事: Plan (計画) - Do (実行) - Check (評価) - Act (改善) (PDCA) サイクルとは?

【用語解説】ガントチャートやプロジェクト計画との違いは?

ロードマップの使用経験がない場合には、プロジェクト計画やガントチャートとの違いが少々わかりにくいかもしれません。以下にその相違点を説明します。

プロジェクトロードマップとプロジェクト計画の違い

プロジェクトロードマップとプロジェクト計画にはさまざまな共通点があります。どちらもプロジェクト開始時に作成される文書です。そして共に、いったん決定されても改善の余地があり、継続的に更新できる「生きた文書」です。では両者の違いとは何でしょうか。

プロジェクトロードマップは、主な目的が俯瞰的な概要を記載することのみに絞られる点でプロジェクト計画とは異なります。つまり、プロジェクトロードマップ作成時は、具体的な詳細を加えすぎて本来の目的が薄れないようにすることが注意点のひとつとして挙げられます。「ロードマップ」は「道路地図」を意味する言葉ですが、その目的は目標地点までの詳細な道順を説明することではなく、鳥瞰図を提供することです。

一方で、最適なプロジェクト計画を作成するには具体的な詳細を検討する必要があります。検討対象には、たとえばプロジェクトのタイムライン、予算の内訳、各関係者の担当内容、プロジェクトの成果を評価するための指標などが含まれます。

記事: より効果的なプロジェクト計画をわずか 7 つのステップで作成無料部門間プロジェクトテンプレート

プロジェクトロードマップと製品ロードマップの違い

製品ロードマップとは、製品チームが特定の期間において導入を計画する製品機能のビジョンです。製品ロードマップは、製品機能の導入において、信頼できる唯一の情報源として使用されます。通常は、優先度、導入の対象範囲、製品および開発に関与する関係者、マーケティング資料一覧表などを含めます。

一方、ロードマップは、名前は似通っていても内容としては完全に異なります。プロジェクトにおけるロードマップは、新製品発売プロジェクトだけでなく、あらゆるプロジェクトにおいて不可欠なツールとして活用されます。たとえば、バーチャルイベントの計画や IT チームによる展開が予定されているプロジェクトでは、プロジェクトロードマップの作成が推奨されます。どちらの場合でも、ロードマップを使えば、プロジェクト目標とその達成方法の全体像を得ることができます。

プロジェクトロードマップとガントチャートの違い

ガントチャートとは、プロジェクトを視覚化するためのツールです。見た目はタイムラインと似通っており、横棒グラフによりタスクと成果物が表されます。タイムラインビューでガントチャートを使ってプロジェクトロードマップが作成されるケースは多くあります。その場合、ガントチャート内の横棒グラフを使って、全体的な取り組みの経時的な変化が表されます。

一方で、ガントチャートにはロードマップ以外の用途で使える機能も多く備わっています。ガントチャートを使えば、タスク間の関係や依存性が簡単に可視化できます。また、ガントチャートを見れば、プロジェクトの各要素の関わり合いや、日程が近い重要なマイルストーンも一目でわかります。

記事: ガントチャートとは?WBSとの違いなどの基本情報を解説ガントチャートテンプレートを作成

ガントチャートを使用してプロジェクトロードマップを作成する場合でも、タイムラインだけでなく、かんばんボード、To-Do リスト、カレンダーなど、さまざまな方法で仕事を視覚化でき、それらの表示を簡単に切り替えられるツールを選ぶことをおすすめします。それにより、効果的なロードマップを作成できるだけでなく、関係者が各自自身に最適なビューで仕事の状況を表示できます。

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ロードマップを作成するメリットは?

ロードマップのメリット

ロードマップを作ることで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?ロードマップが不要なプロジェクトもあるものの (そのようなケースについても下記で説明します)、関係者に俯瞰的な目標を説明する上で、ロードマップは最適なツールと言えます。

キックオフミーティングの前にロードマップを作成する主要なメリットは次の 3 点です。

  1. プロジェクト目標を概説する

  2. プロジェクトの成果物について賛同を得る

  3. 関係者の期待事項を管理する

ではそれぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。

1. プロジェクト目標を概説する

ロードマップの主要な目的は、キックオフミーティングの予定を立てる前にプロジェクト目標を定め、プロジェクト計画を作成することです。プロジェクトロードマップは、現状の概要を示すと同時に、最終的に目指すものが何であるのかを捉えます。目標までの詳細な道筋にはそれほど触れませんが、早期にプロジェクト目標を掲げることにより、ビジョンが明確化され、目標達成に向け行動がとりやすくなります。

たとえば、SNS コンテンツカレンダー用のロードマップを作成する場合を想定しましょう。フォロワー数、オーディエンスの反応率などの現状はすでに認識した上で、ロードマップにより、何をいつまでに達成したいかを定義することになります。たとえば、Instagram で 6 か月後までにフォロワーを倍増したい、または 1 年後までに反応率を 2 倍にしたいなどといった計画が考えられます。いかなる計画においても、プロジェクトロードマップを使えば、関係者が全体像を把握しやすくなります。

2. プロジェクトの成果物について賛同を得る

ロードマップの一環として、プロジェクトにとって重要な成果物は何かをはっきりと決められます。キックオフミーティングを開始する前に成果物を確立すれば、会議に招待すべき参加者が明確になり、関係者にわかりやすく概要を説明できるので、最終的には賛同を得やすくなります。

たとえば、顧客フィードバックを追跡するプロジェクトのロードマップを作成するとしましょう。この場合、ロードマップを作ることで、顧客フィードバックの追跡プロセスの現状と、そのプロセスをどのように強化できるかを概説できます。それに加えてプロジェクトの終了時までに作成したい成果物も、ロードマップを作成することでより明確になります。たとえば、整理と検索が可能なデータベースを作成する取り組みや、会計年度末までに顧客フィードバックを 100 件以上収集することを目指すケースを想像してみてください。そういった成果物の明確な定義が不可欠であることがわかると思います。

3. 関係者の期待事項を管理する

ロードマップを作成するそもそもの目的は、関係者と重要情報を共有し、最終的に成果物、マイルストーン、プロジェクトのスケジュールに対する賛同を得ることです。こういった情報をすべて最初のキックオフミーティングで提供できるよう用意することにより、プロジェクトスコープ (プロジェクトの対象範囲) と期間の全体像をプロジェクトメンバーおよび関係者に理解してもらうことができます。

たとえば、新規のマーケティングキャンペーンに関するプロジェクトロードマップを作成する場合を考えましょう。キックオフミーティングには、プロジェクトで目指したい方向性や期待する成果物が異なる他部門の関係者が参加しているかもしれません。しかし、そのキックオフミーティングにおいて、ブレインストーミングを目的とした話し合いを進めるのではなく、重要なマイルストーンとプロジェクト目標について明確なロードマップを提供すれば、プロジェクト開始時から関係者の期待内容をコントロールし、プロジェクトを成功に導くことができます。

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ロードマップの作成方法は?

ロードマップの作り方

効果的なロードマップを作成するためには、プロジェクトのタイムライン、成果物、スケジュールを視覚化する方法が必要です。こういった要素を組み合わせることにより構成されるプロジェクトロードマップは、プロジェクトにおいていつ何が行われ、コラボレーターや関係者がどのような取り組みに関与するのかを大まかに捉えた俯瞰的な全体像です。

ここでは、効果的なロードマップの作り方に不可欠な 4 つの主要要素をご紹介します。

  • プロジェクトスケジュールを概説: プロジェクトがいつ始まり、いつ終わるのか。プロジェクトスケジュールを当初から用意しておくことで、成果物やマイルストーンの合理的なタイムラインを無理なく定めることができます。

  • 成果物とマイルストーンを定義: プロジェクト終了時までに完了される成果物は何か。認識が必要な特定の期日やプロジェクトマイルストーンがあるかを捉えます。

  • 潜在的リスクを明確化: チームが把握すべきリスクはあるか。プロジェクトの成功を阻む可能性がある課題として何が想定できるか。考えられるリスクを洗い出し、明らかにすることが重要です。

  • プロジェクト関係者との共有: プロジェクトロードマップは必ず関係者と共有します。賛同を得るためでもありますが、プロジェクトに関わるステークホルダー全員の認識を統一し、足並みをそろえることが不可欠だからです。

プロジェクトロードマップを作成し、共有するための最適な方法は、Asana のようなワークマネジメントソフトウェアを使用することです。すべてのステークホルダーとスムーズに情報を共有し、プロジェクトのあらゆる側面を俯瞰的な視点で確認しましょう。

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ロードマップ作成時の注意点とコツ

プロジェクトの計画を成功に導くためには、適切なロードマップが不可欠です。では実際に作成するときに、どのようなポイントに注意すればいいのか、まとめてみましょう。

目標を定める

ロードマップの基盤となるのは、はっきりとした目標の設定です。目標は具体的で測定可能なものにし、関係者全体で共有します。そのためには、SMART 目標などのフレームワークを使用しましょう。

必ず期限を設ける

ロードマップに期限が設定されていないと、優先順位が分かりづらくなってしまいます。中間目標 (マイルストーン) にしても各ステップにしても、必ずいつまでに達成したいのかを明確にしましょう。

詳細を細かく設定しすぎない

詳細を細かく設定しすぎると、柔軟性が損なわれ、変更や調整が難しくなります。適切なレベルで詳細を設定するようにしましょう。細部にこだわりすぎず、ロードマップ作成時には、大局的な進行を見失わないように心掛けることが最も大切です。

柔軟性を持たせる

プロジェクトは必ずしも計画通りに進むことが常ではありません。そこで、ロードマップには柔軟性を持たせることが不可欠です。予測不能な状況や新たな情報に適応できるよう、適度な余裕やオプションを組み込むことで、変更への対応がスムーズになります。

これらのポイントを考慮することで、効果的で柔軟性のあるロードマップが作成でき、プロジェクトの成功に向けた方針が確立されます。

プロジェクトロードマップの例

プロジェクトロードマップの作り方はさまざまで、正しい方法は 1 つだけではありません。大事なのは、仕事のニーズに応じて、最適な視覚化の形を選ぶことです。ロードマップを初めて作成する方向けに、以下に 2 例を紹介します。

バーチャルイベント用プロジェクトロードマップ

[タイムラインビュー] Asana ガントチャートタイムラインでの、バーチャルイベントプロジェクトロードマップ例

IT プロジェクト用ロードマップ

[タイムラインビュー] Asana ガントチャートタイムラインでの、ITプロジェクトロードマップ

このプロジェクトロードマップは複数の「スイムレーン」を捉えます。この例では、IT 部門が第 4 四半期に、3 件の大規模な取り組みを計画しています。取り組みの概要と目標はそれぞれ異なりますが、IT 部門のメンバーが 3 件すべてを通じて業務を担当するため、1 つの場所で閲覧できるロードマップがあると便利です。そうすることで、IT 部門のチーム全員が、信頼できる唯一の情報源をもとに、3 件の取り組みの実施に向け準備を進めることができます。

【まとめ】ロードマップはプロジェクトチームの GPS

プロジェクトロードマップの意味と目的、メリットなどの基本知識を解説しました。効果的なプロジェクトロードマップを使えば、プロジェクトの目標、達成方法、参加者についてチームと認識を共有できます。ロードマップは、プロジェクト計画の開始点であり、優れたロードマップを作成することにより、堅調にプロジェクトを始められます。ご紹介したロードマップの書き方のヒントを参考に、効果的なロードマップを作成しましょう。

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