ガントチャートの基本と実践ステップ: WBS との違いも解説

Julia Martins 寄稿者の顔写真Julia Martins
2025年7月8日
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概要

プロジェクト管理に欠かせない代表的なフレームワーク「ガントチャート」。本記事では、ガントチャートの基本的な使い方や作り方、活用メリット、WBS との違いを解説します。実務での導入やプロジェクト管理にすぐ活かせるヒントも紹介しているので、明日から早速導入してみましょう。

更新: この記事は、WBS の活用例に関する記述を含めて 2025年 7月に更新されました。

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「ガントチャート」という言葉を聞いたことはあっても、実際にどう作成もしくは活用すればいいのか、迷うことはありませんか?

プロジェクトのタスクや進捗を視覚的に管理できるガントチャートは、工程管理やスケジュール調整において非常に効果的です。

この記事では、ガントチャートを仕事に取り入れたい方が、基本から実践へスムーズに進めるよう、順を追って解説します。

ガントチャートとは?

ガントチャート (Gantt chart、Gantt-Diagramm) は、作業工程や進捗を視覚的に管理するための工程表です。「計画表」「進行表」と呼ばれることもあり、縦軸に作業内容や各タスク、担当者、開始日/期日、横軸に時間や進捗率を配置するのが特徴です。

各タスクの期間や状態は、横方向に伸びる棒グラフ (ガントバー) で表されます。

特に、大規模なプロジェクトでは、「誰が」「いつ」「何をするか」の把握が複雑になりがちですが、ガントチャート工程表を使うことで、プロジェクトの全体像を一目で把握できます。その実用性から、プロジェクト管理や生産管理など、多くのビジネスシーンで活用されています。

Asana で作成したガントチャートプロジェクトのタイムラインビュー

 たとえば、上図は Asana のタイムラインビューを使って、ユーザーリサーチの各タスクをガントチャート形式で整理した例です。

作業内容ごとにタスクが縦軸に並び、開始日や進捗率に応じたバーが横方向に表示されており、プロジェクトの流れや依存関係が一目で把握できます。

このように、各タスクの進行状況とプロジェクトの全体像を可視化できる点が、ガントチャート工程表の大きな利点です。

Asana でプロジェクトのタイムラインを作成する

ガントチャートの歴史

プロジェクトのスケジュール表として人気がありますが、そもそもガントチャートの起源はいつ頃まで遡るのでしょうか?最も古いガントチャートは、ポーランドの経済学者 Karol Adamiecki 氏により発明されました。1896年に考案されたこのチャートは harmonogram と呼ばれます。Adamiecki 氏は調査結果をロシア語とポーランド語で出版しましたが、英語圏の国からこの情報にアクセスするのは困難でした。その後 1910年に、Henry Gantt (ヘンリー・ガント) 氏が独自に米国で同様のチャートを普及させます。こちらは工場で働く労働者が、与えられたタスクにどれくらいの時間を費やしたかを表すために考案されたものでしたが、後にこれらの 2 つのシステムは統合され、私たちが知る現代のガントチャートが生まれました。

工場で働く従業員の仕事を追跡することから始まったガントチャートは、その後プロジェクトのスケジュールを追跡する方法となり、普及していきます。初期のものは紙に描かれていたため、スケジュールが変わったときはいつもチャートを書き直さなければなりませんでした。その後、プロジェクトマネージャーたちは紙切れやブロックを使用してガントチャートのバーを表し、必要なときにそれらを動かせるように改善。現在では、ワークマネジメントツールをはじめとするクラウド型ツール上で用いられるのが一般的となっています。

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ガントチャートの目的と実務での役割

ガントチャートは、単なる「スケジュール表」ではなく、プロジェクト全体の作業を整理および可視化し、関係者全体の認識をそろえるための実務的なマネジメントツールです。

横軸で時間軸、縦軸で作業内容や担当者を整理することで、今どの作業が進行中なのか、遅れているタスクがどれか、次に何をすべきかが一目で把握できます。これにより、チームメンバー全員が同じスケジュール感を共有でき、手戻りや認識ズレを防ぐことができるのです。

また、複数のタスクがどう連動しているかを可視化することで、依存関係の管理や作業の優先順位づけもスムーズになります。

ガントチャートを作る目的は、計画の見える化だけでなく、全体的なプロジェクトの進行をコントロール可能な状態にすることにあります。


ガントチャートを効率的に活用するには、目的に合ったテンプレートを使うのが効果的です。Asana なら、すぐに使えるタイムラインテンプレートでプロジェクトの立ち上げがスムーズになります。まずは無料で登録して、テンプレートを作成してみましょう。

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ガントチャートと WBS の違い

ガントチャートと WBS は、どちらもプロジェクトの進捗状況を管理するために用いられますが、それぞれのメリットや特徴は違います。何がどのように違うのでしょうか?

WBS とは Work Breakdown Structure の略で、日本語では「作業分解構成図」と呼ばれます。WBS はプロジェクト全体を段階的に細かく分割し、最終的には具体的な作業内容まで落とし込む手法です。「親タスク」「子タスク」の構造をツリー上に表現し、作業の全体像や抜け漏れを防ぎつつ、必要な工数を見積もるのに適しています。

一方、ガントチャートは、その WBS で洗い出された作業項目を時間軸に沿って視覚化したものです。各タスクの開始日や完了日、進行状況を示すことで、プロジェクトの流れや担当者の負荷状況を把握できるようになります。

つまり、WBS は作業を洗い出す工程であり、ガントチャートはその洗い出した作業をもとにスケジュール管理を行うツールです。両者の違いを整理すると、以下のようになります。併用することで、計画から実行までの流れを一貫して管理できます。

項目

WBS

ガントチャート

主な目的

作業の洗い出しと構造化

作業のスケジュール管理と進捗の可視化

タイミング

プロジェクトの計画初期段階

WBS 作成後、スケジュール設計時

表現方法

ツリー構造や階層リスト

棒グラフを用いた横軸タイムライン形式

主な要素

親タスク、子タスク、作業分解、作業内容

各タスクの開始日、終了日、進捗率

管理の視点

作業量の把握、抜け漏れ防止

時間軸での進行管理、担当の負荷可視化

活用される場面

工数見積り、責任分担、作業設計

スケジュール調整、進捗共有、日程管理

プロジェクトとの関係性

プロジェクトの構造を定義する土台

構造化された作業を実行フェーズで管理

ガントチャートのメリットは?

現在はオンラインソフトウェア上で使われることが多いガントチャートですが、その主な機能とメリットをご紹介します。

1. プロジェクトの見える化ができる

ガントチャートを使う一番のメリットは、プロジェクトの計画全体が「見える化」できることです。自分が担当していない工程でも、ガントチャートを見るだけで現在の進行状況や全体スケジュールが一目で把握できます。

プロジェクトを企画する際には計画書を立てますが、進捗状況が思わしくない場合には書かれた計画を立て直す必要も出てきます。その判断を下す目安を可視化しているのが、ガントチャートなのです。


このメリットを最大限活かすには、効率的な方法で関係者と共有しましょう。ワークマネジメントプラットフォーム Asana なら、リアルタイムで更新されるガントチャートをチーム全体で共有できます。

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2. マイルストーンを明確化できる

ガントチャートで管理されるプロジェクトの主要な特徴のひとつが、このマイルストーンです。チャート内にある仕事の大半は時間の長さを表す水平のバーですが、マイルストーンはそれらとは異なり、時間軸上の一時点を明瞭に表します。ガントチャートでは、マイルストーンはプロジェクトのタイムラインのチェックポイントであり、重要な節目です。マイルストーンを設定することにより、プロジェクト全体の中で重要な日付が一目でわかるようになります。

3. リアルタイムチャートとして機能する

現代のガントチャートのほとんどは、クラウドサービスのプロジェクト管理ソフトウェアツールです。オンラインで管理されているものは順調なプロジェクト進行に役立ち、必要に応じて容易に調節できます。日付やマイルストーンを変更すると、スケジュール全体に自動的に反映されるため、逐一レポートをシェアする必要はありません。チームメンバーやステークホルダーはプロジェクトの最新進捗情報をリアルタイムで把握できるからです。そうすることでチームのコラボレーションも向上し、生産的かつ効率的にプロジェクトを進めることができるのです。

4. 各タスクの視覚化に役立つ

ガントチャートは多くのタスクが含まれる複雑なプロジェクトの視覚化に理想的です。横軸にあるそれぞれの「バー」はタスクを表していますが、これを使ってチームは各タスクの開始日と終了日を一目で把握できるだけでなく、どの仕事がいつ起こっているか、各仕事にどのくらいの時間がかかるか、明確な感覚を得ることができます。

5. タスク間の依存関係を把握できる

視覚的かつリアルタイムチャートであるガントチャートは、タスク間の依存関係を容易にマッピングできます。依存関係を把握することは、プロジェクト全体の進捗状況を理解するのに非常に重要です。優れたソフトウェアで管理されているガントチャートであれば、明確に依存関係を識別できるでしょう。何らかの理由で仕事を後回しにする必要がある場合は、事前に問題を特定し、依存関係の競合を回避することも可能となります。

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ガントチャートの注意点は?

ガントチャートは必ずしもすべてのプロジェクトに最適なわけではありません。自分のプロジェクトにこのフレームワークが適切かどうかをより正しく判断できるよう、デメリットをいくつかご紹介します。ガントチャートの注意点は何か?作成前に確認しましょう。

1. セットアップに時間がかかる

ガントチャートの設定には時間がかかります。作業内容を分割してタスクを洗い出す必要があるため、プロジェクト責任者にとっては手間も時間も必要です。

特に、エクセル (Microsoft Excel) やスプレッドシートを使う場合は、ガントチャートのビューで仕事をセットアップするのにかなりの時間を要します。テンプレートを使う場合でも、特定のニーズに合わせてカスタマイズするためには、調整を加えることが必要になる場合があります。


こうした手間を減らすには、カスタマイズ性と操作性を兼ね備えた Asana のガントチャートテンプレートを活用するのが効果的です。登録後、すぐに独自のテンプレートが作成できます。

ガントチャートテンプレートを作成

2. 詳細を追加するとスムーズに行かない

マイルストーンの細かいステップやファイル、作業内容の詳細などをガントチャートでプロジェクト計画に加えると、それまで見やすいチャートだったのが一変、圧倒されるような視認性が落ちた煩雑なビューになってしまいます。見やすいガントチャートを目指すには、表示する情報は厳選するようにしましょう。

また、登録タスクも増やしすぎないようにしましょう。プロジェクトの全作業工程を網羅することにこだわり、細かなタスクまで 1 工程としてしまうと、確認や更新に必要以上の手間がかかります。ある程度内容の被る作業や連続する作業は、1 つのタスクにまとめるべきです。

3. 計画した場所と同じ場所でのプロジェクトの管理が難しい

ガントチャートを作成した場所 (ツールやプラットフォーム) と毎日のタスク管理を行う場所が異なるという状況は珍しくありません。しかし、情報源が複数あるというシチュエーションはチームに混乱を招く恐れがあり、効率性が下がります。チーム全員が信頼できる情報源はひとつに絞り、すべての情報を一か所にまとめておくのが推奨されます。

4. 短期型、アジャイル型プロジェクトには不向き

ガントチャートは短期的なプロジェクトよりも長期的なプロジェクトで活用するほうが有用です。さらにウォーターフォール型と呼ばれる各工程を終わらせながら進めていく開発手法との相性はよいですが、近年採用が進んでいるアジャイル型の開発手法には適していません。アジャイル型では、計画の変更があるという前提で作業を行うので、ガントチャートを用いるとかえって手順が煩雑になるでしょう。

ガントチャートに含まれる要素

ガントチャートには通常、次のような基本要素が含まれます。

  • タスクの一覧

  • 各タスクの開始日と終了日 (期間)

  • タスクの担当者

  • マイルストーン

  • タスク間の依存関係

これらをもとに、プロジェクト全体の構造と進行状況を可視化できるのが、ガントチャートの大きな特徴です。

次に、実際にこのガントチャートを作成するためのステップを見ていきましょう。

ガントチャートの作り方: 5 つの基本ステップ

ガントチャートは、プロジェクトの進行状況を可視化し、チーム全体の作業を整理するのに非常に役立ちます。ここでは、実用的で見やすいガントチャートを作成するための 5 つの基本ステップをご紹介します。

1. 時間範囲を定義する

ガントチャートは、開始日と終了日が明確なプロジェクトで使うのが基本です。まずはプロジェクト全体の期間を設定しましょう。

【ヒント】プロジェクトの完了後に、クライアント対応や社内レビューなどのフォローアップタスクが発生することもあります。あとからスケジュールに追加できる柔軟性も考慮して設計しましょう。

2. 開始日と期日のあるタスクを追加する

ガントチャートでは、各タスクの開始日と期日を設定することで、バーとして視覚的に配置されます。これにより、各作業の所要時間やタスクの重なりを一目で把握できます。

【ヒント】スケジュールを明確にすることで、チームメンバーはいつ何を始めるべきかを把握しやすくなり、締め切りに追われるリスクも軽減されます。

3. 依存関係を明確にする

プロジェクトには、「他の作業が終わらないと着手できないタスク」が存在します。こうした依存関係をガントチャート上で明確にすることで、遅延リスクを減らし、スムーズな進行が可能になります。

【依存関係を表示する例】Asana のタイムラインでは、タスク同士の関係を矢印をつなぐだけで、依存関係を簡単に設定できます。下の画像では「最終原稿を承認する」というタスクの完了後に「ワイヤーフレームを作成する」というタスクが開始されるよう、依存関係が明確に設定されています。

タスク間をつなぐ線が依存関係を示しているので、前工程が遅れると後続タスクのスケジュールにも影響が出ることが一目でわかります。

Asana で作成したガントチャート マーケティングキャンペーン

4. マイルストーンを明確にする

マイルストーンは、プロジェクトの重要な節目や完了のチェックポイントを示す目印です。他のタスクと異なり、時間軸上の一時点で設定されます。

【マイルストーンの例】

  • キックオフミーティング

  • プロジェクトの承認

  • タスクの開始点

  • 中間レビュー

  • フェーズの完了

チーム全体で進捗の節目を共有できるため、優先順位の整理やモチベーション維持にも効果的です。

5. 計画の変更に合わせて仕事を調整する

計画は必ず変わるものです。あなたのニーズに柔軟に適応できるガントチャートソフトウェアが必要なのはそのためです。タスクを簡単にドラッグ & ドロップし、依存関係をリアルタイムで自動的に更新できるツールを探しましょう。そうすれば、計画が変化しても常にプロジェクトを順調に進めることができます。

Asana を使えば、タスクの変更やスケジュールの調整がリアルタイムで反映されるため、常に最新の状況を保ちながらプロジェクトを前進させることができます。

Asana でプロジェクトを計画する

ガントチャートを使うときのポイント

ここからはガントチャートを使うときのポイントについて解説していきます。以下のポイントを押さえておくと、いざというときに慌てなくてすむでしょう。

作業の洗い出しをしておく

前述したとおり、WBS で導き出した作業項目がガントチャートでの縦軸に該当します。もちろん WBS を意識せずに作業の洗い出しをすることも可能ですが、必要な項目を入れ忘れる可能性も少なくありません。慣れるまでは WBS を利用した基本的な手順で作業を細分化したほうが精度も上がります。

WBS を省略すれば時間の節約になると考える方もいますが、工数管理や作業見積もりの精度を上げることで、結果的に無駄のない進行につながります。

修正を見越してチャートを作る

一度作図した後に、仕様変更による作業内容の見直しや、スケジュール、工数の変更などが発生する場合があります。そのため、ガントチャートは修正が発生する前提でシンプルに作成するのが理想です。凝ったデザインや複雑な構成にしてしまうと、変更時の手間が増え、かえって時間がかかる場合があります。

作業同士の関係性をわかりやすくする

ガントチャートでは、ある作業項目を開始するためには、その前段階の作業項目を完了しておく必要があるケースも見られます。そのため、逐一、チーム内で進捗状況の把握をしておくことが重要になります。

作業のつながりを正確に把握するには、クリティカルパスの理解が欠かせません。これは、プロジェクト全体の工程の中で、遅れると全体納期に直接影響する一連の作業経路を指します。クリティカルパスをガントチャート内に明示することで、プロジェクトの時間短縮を検討したり、タスク間の関係やどの作業を最優先で行うべきかを明確にすることができます。

クリティカルパスを見つけるためには、PERT 図 (アローダイアグラム) と呼ばれる図を作成します。アローダイアグラムは新 QC7 つ道具の 1 つにも挙げられているもので、スケジュールを進めるために必要な作業項目と工数の関連を矢印でつないで表したものです。そこから最も早く作業に取り掛かれる日数 (往路時間計算) と、プロジェクトが遅延しないために許容できる、最も遅く作業に取り掛かれる日数 (復路時間計算) を算出しますが、その 2 つの日数の差がないルートがクリティカルパスになります。

最適な方法で共有する

共有サーバーやクラウド上で一元管理をすると、ファイルの修正がリアルタイムで行え、また全員で同じファイルを参照できるため便利です。ローカル管理をしてしまうと、最新版に修正した際に全員にメールで知らせる必要が生じたり、各人が差し替えを忘れたりといったミスが生じやすくなります。

一方で、全員でファイルを修正できる運用にすると、一度修正したものを戻されてしまうなどのリスクが生じます。管理者を決めて修正するようにしたほうが安全です。自動でチャートを作成できる専用ツールやサービスを利用すると、修正の手間を削減できます。

ガントチャート工程表を作成するツール

ガントチャート工程表の作成に関しては、紙に手書きで作る手段もあるにはありますが、ツールを活用したほうが時間もかからず、応用も利きやすいのでおすすめです。以下に、チャートの作成に便利なツールを紹介します。

Excel (エクセル)

近年、さまざまなプロジェクト管理ツールが登場していますが、実は Excel でもガントチャート工程表の作成が可能です。もちろん使い勝手や作成の手軽さは、専用ツールのほうが優れていることがほとんどでしょう。

しかし、「使い慣れたツールで管理したい」「Excel の扱いに習熟している」という方にとっては、十分な選択肢になり得ます。Excel でガントチャート工程表を作る方法としては、以下の 5 つが挙げられます。

1. 手書き (セル塗りつぶし)

手書きでセルを塗りつぶしてガントバーを描く方法です。作り方はとても簡単で、タスクを縦軸、カレンダー (日付) を横軸に設定したら、各タスクの開始日 / 期日を決めて、その部分のセルに色を付けるだけです。初回作成時はかなり時間がかかりますが、2 回目以降はテンプレートを残しておけば比較的簡単に作れます。何より Excel 初心者でも作成できる点と、スケジュール変更が容易な点が魅力です。

2. 手書き (図形描画)

こちらは、該当箇所に図形 (矢印など) を挿入してガントバーを描く方法です。作り方は先ほどと基本的に同じで、セルを塗りつぶす工程が図形挿入に代わっただけです。初心者でも簡単に作成でき、なおかつセルを塗りつぶすより時間も少なく済むでしょう。

ただし、図形を引き延ばして貼り付けるので、タスクによっては図形の太さがまちまちになります。太さを統一したい場合は、図形を右クリックから [図形の書式設定] → [サイズ] の順に選択し、高さを同じにしましょう。とはいえ、この作業には時間がかかるので、太さの違いが気になる方にはおすすめできません。

3. 条件付き書式

Excel の「条件付き書式」という数式を使って、自動でセルを塗りつぶす方法です。数式を組み立てることで、日付を入力するだけでガントバーが描かれるようになります。そのため、複数のタスクがあるときや、スケジュール変更が多いときに、特に役立つでしょう。詳細な設定方法はここでは省きますが、初心者でも基本設定は行えるでしょう。なお、ガントバーの色分けや書式変更をするには、Excel の数式を扱い慣れている必要があります。

4. 関数

関数を用いたガントチャートの作成も可能です。しかし、関数ではセルの塗りつぶしや図形の配置ができないため、「※」や「■」などの記号でガントチャートを表すことになります。やや見栄えが悪く、カスタマイズにも関数の調整が必要なため、特別な事情がない限りはほかの方法を採用したほうがよいでしょう。

5. グラフ

タスク名、開始日 / 期日、工数をそれぞれ記入した表から、グラフを作成する方法です。グラフによって作成されたチャートは洗練されて見えるので、プレゼンや顧客用の資料に向いています。とはいえ Excel のグラフは、ガントチャート工程表の作成に適するわけではないので、Excel の知識や工夫が必要です。また、追加や修正にも時間を要するため、普段使いにはあまり向きません。

各種管理ツール

多くのタスク管理ツールや To-Do ツール、プロジェクト管理ツールでも、ガントチャート工程表を作成できます。これらのツールの特長として、ガントチャート工程表以外にも便利な機能を多数備えているため、プロジェクト管理全体に活用できる点が挙げられます。プロジェクト管理において包括的なサポートを求めるなら、検討するとよいでしょう。

Asanaでは「タイムライン」機能を使って、ガントチャート工程表のような視覚的なプロジェクト管理が行えます。タスクに開始日 / 期日と依存関係を設定するだけで、自動的にタイムラインが作成され、調整や更新も簡単です。Excel よりも手間をかけずに、複雑なプロジェクトの流れを明確に管理できます。

「使える」タイムラインを作成する方法記事: Asana の 4 つのビュー (リスト、ボード、カレンダー、タイムライン) を使用する方法

ガントチャートを最大限活かすヒント

従来のスプレッドシートを使ったガントチャートでは、さまざまな制限やデメリットが目立ちました。そこで、このフレームワークの効果的な使い方を 2 通りご紹介します。

ガントチャートとプロジェクト管理ツールを組み合わせる

Asana のようなワークマネジメントツールを使うと、プロジェクトの計画、管理、調整、詳細の追加がすべて単一の場所で行えるようになります。しかも、全体をセットアップする時間もずっと短くなります。

記事: ワークマネジメントの紹介

たとえば、ガントチャートのようなビューを提供する Asana のタイムラインを使ってプロジェクト計画を設定すれば、プロジェクトのすべてのピースがどのようにかみ合うのかを綿密に計画できます。ガントチャートと同じように、タイムラインには各ステップの実施のタイミング、所要時間、担当者が表示されます。従来のガントチャートと異なる点は、タイムラインのセットアップとメンテナンスが簡単で、チームは仕事を計画したのと同じ場所でコラボレーションができる点です。

他の視覚的プロジェクト管理方法も試す

管理する仕事の種類によっては、タイムラインでプロジェクト計画を可視化する代わりに、よりシンプルでセットアップが簡単なカレンダーやかんばんボードのほうが有効な場合もあります。

記事: プロジェクト計画を視覚化する 3 つの方法: タイムライン、カレンダー、ボード
Asana で作成したかんばんボード

Asana では、ツール上で簡単にプロジェクトビューを切り替えられ、どのプロジェクトも、タイムライン、To-Do リスト、かんばんボード、カレンダービューで表示し、チームの好みの方法で仕事を確認できます。Premium の無料トライアルでは、これらのビューをすべてお試しいただけます。

ガントチャートの活用例

ガントチャートは、プロジェクト管理を効率化するために多くの業務で活用されています。特に、タスクの可視化や依存関係の把握、進捗のリアルタイム管理といった用途において、高い効果を発揮します。

以下に、代表的な活用例を 5 つご紹介します。

1. マーケティングキャンペーンを綿密に計画する

複数のチームが関わる大規模なキャンペーンでは、作業の全体像を把握するのが困難です。ガントチャートを使えば、各タスクの担当者、期間、順序を明確にし、関係性まで一目で確認できます。これにより、スムーズなコラボレーションと進捗の見える化が可能になります。

2. クライアントに対して成果物の概略を示す

クライアントワークでは、納期だけでなく作業の流れにも透明性が求められます。ガントチャートで工程を提示すれば「いつ、誰が、何をするのか」を可視化でき、進捗報告や期待値調整に役立ちます。特に初期フェーズの合意形成に効果的です。

3. 製品リリースを計画する

開発からローンチまでの各工程 (設計、実装、テスト、マーケティングなど) を時系列で整理できるため、タスクの抜け漏れ防止やマイルストーンの明確化に最適です。競合や依存関係を事前に把握することで、納期リスクを減らせます。

ガイドをダウンロードする: Asana による製品リリースの完全ガイド

4. イベント運営の準備スケジュールを組む

会場手配、集客施策、進行台本の準備、登壇者調整など、多岐にわたる準備タスクを時系列で管理するイベント運営でも、ガントチャートは非常に有効です。タスクの前後関係が見えることで、リハーサルや当日準備まで余裕を持った計画が立てられます。

5. 採用プロセスを管理する

採用活動には、「求人票作成」「候補者との日程調整」「面接実施」「内定通知」といった一連の工程が存在します。ガントチャートで候補者ごとの進行状況や関係者のスケジュールを一括管理することで、抜けや重複なく、スムーズな採用活動が可能になります。

まとめ: 見やすいガントチャートで効率的にプロジェクトを管理する

プロジェクト管理手法のひとつ「ガントチャート」について徹底解説しました。ガントチャートとは何か、そのメリットやデメリット、採用すべきシチュエーションなどを把握して、適した場面で使用するようにしましょう。ご紹介した 5 つのステップも参考にしてみてください。

ガントチャートを使うことになっても、類似の代替ツールを使うことになっても、プロジェクト計画を視覚化することは、どんなチームにとっても大切なステップです。プロジェクトの各要素がどのように組み合わされているのかを表示し、それをチームと共有し、仕事の進捗に合わせて計画を調整できるので、すべてを順調に進められます。これを手作業で行うのは至難の業です。優れたマネジメントツールを使用しましょう。

ガントチャートに関するよくある質問

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