プロジェクトコーディネーション (調整業務) は、イニシアチブを順調に進めるために毎日行う必要のある作業です。適切に行えば、ワークフローを合理化し、プロジェクトをスピーディに完了させることができます。仕事をスケジュールどおりに進める方法やプロジェクト成果物を整理する最適な方法など、プロジェクトコーディネーションに欠かせない 6 つのスキルを習得する方法について解説します。
1969年にアポロ 11 号が打ち上げられたとき、宇宙飛行士の Neil Armstrong 氏と Edwin “Buzz” Aldrin 氏は、月面を歩いた最初の人間となりました。この目覚ましい偉業は、人類にとっての小さな一歩を遥かに超えるものでした。それは、NASA で働く何百人もの科学者、エンジニア、プロジェクトマネージャーが 8 年近くにわたって毎日のように費やした努力の集大成だったのです。宇宙ミッションを開始するために、さまざまな要素が同時進行されていた中、舞台の裏でそのすべてをコーディネートしていた人がいたに違いありません。
プロジェクトコーディネーションは、宇宙の中を移動することほど格好よくはありませんが、イニシアチブを推し進めゴールテープを切るためには間違いなく必要です。効果的にプロジェクトコーディネーションを行えば、作業をスケジュールどおりに進め、ワークフローを合理化し、プロジェクトをスピーディに完了させることができます。
プロジェクトコーディネーションとは、プロジェクトマネージャーがイニシアチブを順調に進めるために毎日行う作業のことです。プロジェクトや作業の割り振り状況を整理し、その詳細を関係者に伝える、作業の進捗をモニタリングする、プロジェクトの予算を追跡する、プロジェクトの主なワークフローを文書化する、プロジェクトチームの作業を邪魔するものを取り除くといった作業が含まれます。
プロジェクトコーディネーターを務めたことがない方は、この 2 つの用語を似たようなものと思われるかもしれません。ですが、実際には少しだけ違う点があります。プロジェクトコーディネーションでは、プロジェクトをスムーズに進めるために必要な日々のタスクに焦点が当てられる一方で、プロジェクト管理には、プロジェクト目標や成果物の決定など、上流工程の計画が伴います。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクト管理とプロジェクトコーディネーションの両方を担当することがよくあります。しかし、チームによっては、日々の管理タスクを担当するプロジェクトコーディネーターの役割が別に設けられる場合があります。たとえば、プロジェクトマネージャーがプロジェクト計画を全面的に作成する場合、プロジェクトコーディネーターはその計画を日々実行するためのサポート役に就きます。
Asana のプロジェクトマネジメント機能を試すプロジェクト計画は、うまく実行してこそ効果を発揮します。どれだけ慎重にイニシアチブをデザインしても、プロジェクトを順調に進められるかどうかは、日々のコーディネーション作業で決まります。その観点から、プロジェクトコーディネーションを効果的に実践すれば、以下のようなことが行いやすくなります。
関係者およびチームメンバーとのコミュニケーションを合理化する
プロジェクトのチームメンバーを阻む障壁すばやく取り除き、作業をスムーズに進める
プロジェクトタイムラインをモニタリングし、作業をスケジュールどおりに完了させる
プロジェクト予算を追跡し、コストを管理する
プロジェクト関連の情報に簡単にアクセスできるようにする
日常的なプロジェクトコーディネーションは、大部分が 6 つのコアスキルで構成されます。うまく習得できれば、これらのスキルを使ってプロジェクトを計画から実行、納品までスムーズに進められます。
スケジュールの遅れは、プロジェクトの失敗を引き起こす最も一般的な原因の 1 つです。実際、2021年の「仕事の解剖学」インデックスによると、ナレッジワーカーは、毎週、期限付きのタスクの 26% を締め切りに間に合わせることができていません。したがって、作業をスケジュールどおりに進めることは、上手にプロジェクトコーディネーションを行うための不可欠な要素であると言えます。
プロジェクトの各成果物とそれを細分化した小さなステップの期限を明確にしたプロジェクトスケジュールを作成する。最終の締め切り日から遡って期日を割り当てることで、確実に各コンポーネントに十分な時間を配分できます。各成果物と各タスクが終わるごとにチェックを付けていけば、仕事の進捗の推移を簡単に確認でき、ステップを逃す可能性も大分低くなります。
記事: 作業分解構成図 (WBS): 知っておくべきすべてのことプロジェクトでは、数多くの要素が進行していきます。それぞれのタスクには、独自の期日、担当者、優先度があり、プロジェクトが進行するにつれて、タスクはさまざまなステージを進み、完了していきます。プロジェクトコーディネーションでは、そうした要素を整理し、追跡する手段を見つけることが絶対に必要です。
視覚化ツールを使ってプロジェクト成果物の進捗を追跡する。たとえば、かんばんボードで作業がさまざまなステージを通過していく状況を表す、ガントチャートで横方向のタイムラインを表示する、プロジェクトカレンダーで 1 か月の作業を一元管理されたビューに視覚化するといったことができます。静的なプロジェクトトラッカーやスプレッドシートを最新の状態に維持しようとするのではなく、プロジェクトマネジメントツールを使って成果物を表示、管理することをおすすめします。そうすれば、チームはプロジェクトタスクに簡単にアクセスし、そこで作業を行え、タスクはリアルタイムで更新されます。
お金で愛を買うことはできませんが、プロジェクトをフィニッシュラインに到達させることはできます。実際、プロジェクトの予算が、作業を完了させられるかどうかを左右する制限要因となることは少なくありません。つまり、プロジェクトのコストを追跡、管理することは、プロジェクトコーディネーターの To-Do リストにある最も重要なタスクの 1 つであるということです。
詳細なプロジェクト予算計画を立てる。明確なプロジェクト予算計画は、プロジェクトを通してコストを計画、監視、管理する一番よい方法です。プロジェクトスケジュールとよく似ていますが、プロジェクト予算でも各成果物に必要なリソースとコストを効果的に推定できるよう、一般的には各成果物が小さいタスクに分割されます。予算計画には、各リソースと成果物のコスト、資金を使う予定を示したタイムライン、各タスクの担当者、予算と実際のコストの記録欄を含めるとよいでしょう。
記事: コスト管理は初めてですか?ここから始めましょう。チームにプロジェクトの進捗状況を伝え、不測の変更について周知することは重要です。したがって、プロジェクトのステータスを定期的に報告することは、効果的なプロジェクトコーディネーションに欠かせません。各関係者に共通認識を持たせ、未然にリスクを特定し、作業を順調に予算内で進める最適な手段です。
プロジェクトステータス報告をマスターする。プロジェクトステータス報告は、関係者がプロジェクトの進捗状況を一目で確認できるようにしたものです。一般的には、プロジェクトの健全性 (順調、リスクあり、要対応) が示され、プロジェクトの各領域の概要が含まれるほか、重要なハイライト、ブロッカー、不測のリスクなどが簡単にまとめられています。プロジェクトの期間に応じて、プロジェクトステータス報告を週に一度 (短期プロジェクトの場合)、もしくは月に一度 (長期プロジェクトの場合) 行うとよいでしょう。
プロジェクトステータス報告を毎回一から作成するのではなく、再利用できるテンプレートを作成します。そうすれば、仕事のための仕事を回避でき、毎回確実に主要な情報を含められます。このプロセスは、プロジェクト管理ソフトウェアを使えばもっと簡単に行えます。一元管理されたツールで成果物を追跡すれば、仕事が保管されている場所で直接レポートを作成できるため、複数のツールからプロジェクトデータを手作業で探し出す手間が省けます。適切なプロジェクト管理ツールがあれば、場合によっては数時間もかかるタスクをわずか数クリックで完了させられます。
Asana でチームやプロジェクトを横断するレポートを作成する新しいプロジェクトを開始したのだが、妙に見覚えがある。すると、一年前に似たようなプロジェクトをやっていたことに気付く。誰もが経験していることでしょう。しかし、そのプロジェクトで行った作業や結果については何も思い出せない、ということはないでしょうか?
プロジェクトの情報を記録することがプロジェクトコーディネーションの主要な要素の 1 つとなっているのはそのためです。プロセスやメモは仕事の最中に記録しましょう。作業が終わった後に大事な詳細を思い出そうとするよりも、簡単に早く行えます。
新しいプロジェクトやプロセスを開始するのに必要なタスクやステップをまとめたプロセスドキュメントを作成する。たとえば、新規採用者を対象としたオンボーディングに必要なすべてのステップや、新しいウェブ機能をテストする際の要件、ブログ記事を更新し公開するためのワークフローなどを詳しく述べるプロセスドキュメントを作成するといいでしょう。プロセスドキュメントは、必要に応じて更新できる柔軟な記録であるため、編集やアクセスが簡単にできるものでなくてはいけません。
記事: プロジェクトマネジメントで学んだ教訓を記録しておく方法プロジェクトコーディネーションには、チームや社外の関係者との会議を計画し、企画する作業が頻繁に伴います。しかし、参加者全員の時間を有効に使うには、各会議に戦略的な目的と具体的なプランがあることが重要になります。会議の効率が高ければ高いほど、チームがプロジェクト目標への取り組みに注げる時間と知力も増えます。
会議の意図を明確にする。会議は習慣的にスケジュールしてしまわずに、本当に必要なのかを考えましょう。たとえば、ステータス報告や非同期的な更新で間に合わないか検討しましょう。
会議が必要だと判断した場合は、参加者全員にとって効率がよく、価値がある内容にしなくてはいけません。これは、事前に議題を作成し、参加者が前もって目を通すべき項目を特定する、会議のメモをとり、会議後に配布する、そしてフォローアップとして行う明確なアクションアイテムを決定することにより成し遂げます。
記事: 会議の効率を上げ、時短につなげるヒント自分のコーディネーションスキルを磨きたいという方や、チームにプロジェクトコーディネーターを雇いたいという方のために、注目すべき重要な資質を 4 つ紹介します。
コミュニケーションスキル。仕事をコーディネーションするには、毎日のように関係者やチームメンバーと話をする必要があります。これには、タスクを割り当てる、プロジェクトの最新情報を提供する、会議日程を調整する、承認や必要リソースの依頼を受ける窓口となることが含まれます。
タイムマネジメント。優れたタイムマネジメントは非常に重要です。プロジェクト全体の同時進行要素をすべて管理している場合はなおさら重要です。コーディネーター本人のタイムマネジメントも、プロジェクトのスケジュールを管理し、成果物が予定通りに完成することを保証することも、両方とも必要です。
問題解決能力。不測の事態というものは、どうしても発生するものですが、そのときは問題を冷静に受け止め、戦略的に解決することが重要になります。したがって、効果的に問題を解決するスキルは、プロジェクトコーディネーターにとって有用であると言えます。
細部への注意力。プロジェクトコーディネーターにとって、詳細は重要です。タスクの期日を設定するときやミーティングのスケジュールを立てるとき、プロセスが詳細に記載されたドキュメントを作成するときなどは、特に重要です。コーディネーターが細かな作業を適切に処理していれば、チームはその作業のダブルチェックは必要ないとわかり安心できます。
プロジェクトコーディネーションは、どのプロジェクトでも、そのライフサイクルを通じて重大な要素となります。ハイレベルな (全体的な) プロジェクト管理、慎重に作成されたプロジェクトの計画、目標、マイルストーン、プロジェクトスコープも大事ですが、それだけでは不十分です。こうした計画手法を活用し、イニシアチブを計画から完了へと進めるのは、日々のコーディネーション作業なのです。
Asana で仕事を整理