優先度マトリクスでは緊急度や工数などに基づいてタスクやプロジェクトを分類します。このマトリクスを使うことで、一番最初に取り組むべきことを簡単に特定できます。この記事では色々な優先度マトリクスと、マトリクスを使って多くを成し遂げる方法をご紹介します。
チームを管理しプロジェクトを順調に進めるために、プロジェクトマネージャーには多くのスキルが求められます。やるべき仕事が多いときに大変なのが、最初に取り組むべきことの特定です。もし、あるチームメンバーが優先度の高いプロジェクトのクライアントを 2 つ抱えていたら、どのようにして優先順位付けのサポートを行い、成功へと導くことができるでしょうか。
優先度マトリクスを使えば、緊急度や重要度、インパクトなどで To-Do リストの仕事を分類できます。この記事ではさまざまな優先度マトリクスと、マトリクスを使用して多くを成し遂げる方法をご紹介します。
優先度マトリクス (優先順位マトリクス) では、タスクやプロジェクトを決められた基準に従って分類します。シンプルなものもあれば複雑なものもあり、4 つの領域で示されることもあれば、20 × 20 の図表で示されることもあります。
複雑な優先度マトリクスではたくさんの行や列が使われ、どのタスクが一番重要なのかピンポイントで特定されるので、より正確です。しかし、優先順位付けが少し難しくなるというデメリットがあります。優先度マトリクスでタスクを振り分ける目的は、明確なアクションプランを把握することです。
4 つの領域を使う優先度マトリクスでは、タスクを 4 つのカテゴリで分類します。たとえば、このように分けられます。
インパクトが高く、工数が多い
インパクトが高く、工数が少ない
インパクトが低く、工数が多い
インパクトが低く、工数が少ない
優先度マトリクスに従ってタスクを振り分けることで、各タスクにいつどのように取り組むべきか判断できます。
Asana でタスクの管理と優先度設定をするこの 2 つの用語を同じものとして扱う人もいますが、優先度マトリクスはアイゼンハワーマトリクスよりも幅広く、さまざまな用途に使える分析手段です。アイゼンハワーマトリクスは、タイムマネジメントに重点を置いたシンプルな優先度マトリクスで、緊急度と重要度に基づいてタスクを 4 つに分類します。
アイゼンハワー優先度マトリクスでは、タスクが以下の 4 つに分類されます。
やる
予定する
任せる
削除する
一方、アクション重視の優先度マトリクスでは以下の 4 つに分類されます。
調査する
進める
避ける
検討する
優先度マトリクスは、タスクを分類し、重要なものを優先するための手っ取り早い手段が必要な場合に役立ちます。優先度マトリクスを使って難しい計算を解いたり、データに基づいた意思決定を下したりすることはできませんが、仕事をこなしていくための指針を作成することはできます。
こんなときには、優先度マトリクスを使ってみましょう。
タスクやプロジェクトに優先順位をつけたいとき
時間をうまく管理したいとき
チーム内で認識を合わせたいとき
仕事のスケジュールやワークフローを作る際に、優先度マトリクスが役立ちます。どのプロジェクトやタスクに最初に取り組むべきか判断が難しい場合の対立解決にも役立ちます。
優先度マトリクスは万能で、さまざまな状況下で使うことができます。自分のタスクやチームのプロジェクトを分類するときは、以下のステップに従いましょう。
優先度マトリクスを使う場合にまず最初にすべきことは、優先順位を付ける必要のあるもののリストを作成することです。当たり前のことにも聞こえますが、実は To-Do リストを作成する時間をとっていない人も多いのです。今抱えている重要タスクを書き出しておくことで、その後の分類作業が楽になります。
To-Do リストの内容には、以下のようなものがあります。
タスク
プロジェクト
チームミーティング
クライアントとの通話
トレーニング
個人的な作業
チーム用とクライアント用で分けるなど、社内と社外の作業で分けてリストを作ることもできます。仕事用とプライベート用で分けることもできます。しかし、抱えているすべての作業をまとめて分類できた方が便利な場合もあるでしょう。
To-Do リストがまとまったら、リストアップされた項目を分類する基準を考えましょう。基準を決めるには、どんなタスクが To-Do リストの一番上に来るべきかを考えます。
優先したいタスクの例:
重要なタスク
インパクトの大きいタスク
時間のかかるタスク
工数の多いタスク
期限の近いタスク
どんなタスクを優先したいか考えたら、その中からタスクの分類に使うものを 2 つ選びます。たとえば、期限 (または緊急度) と、工数に基づいて優先順位をつけることにしてもよいでしょう。
優先度マトリクスを作成する前に、シンプルなものを作成するか、複雑なものを作成するかを決めましょう。どちらの形式でも前のステップで決めた 2 つの基準に基づいてタスクを分類しますが、複雑なマトリクスを使えばタスクの優先度や必要な工数をより正確に把握できます。
複雑な優先度マトリクスを使う場合は、4 つの領域ではなくたとえば 5 × 5 の図表を作成しましょう。行と列に名前をつけて、度合いに応じてタスクを割り振れるようにします。たとえば、緊急度と工数の度合いは以下のように分けられます。
緊急度:
必須 (レベル 5)
重大 (レベル 4)
中程度 (レベル 3)
軽微 (レベル 2)
低 (レベル 1)
工数:
とても多い (レベル 5)
多い (レベル 4)
普通 (レベル 3)
少ない (レベル 2)
とても少ない (レベル 1)
各レベルを表す数字もあると便利です。そうすることで対応する数字を掛け算して、表の各マスに当てはまるタスクの優先度レベルを出すことができます。各タスクの数値が判明したら、その数値に従ってタスクを順位付けます。たとえば、緊急度が「必須」で工数が「普通」のタスクの優先度レベルは 15 になります。
優先度マトリクスにタスクを配置する際には、主観的な意思決定が必要になります。優先度マトリクスは仕事を成し遂げるための簡単な手段なので、判断には経験や背景知識に頼らざるを得ません。ステップ 2 で決めた基準に従って、タスクをマトリクスの適切な位置に配置しましょう。
緊急度が高く、工数の多いプロジェクトが 2 つある場合は、その 2 つのうちどちらかを優先できる理由がないか、さらに深く掘り下げてみましょう。他の基準で考えてみるとわかりやすい場合があります。たとえば、どちらも緊急度が高い場合であっても、そのうち片方が緊急度が高く、かつインパクトももう一つと比べて大きい場合は、そちらを優先できます。
すべてのタスクを優先度マトリクスに配置できたら、物事がより明確になるはずです。マトリクスを見ることで、最初に済ませるべきタスクやまだ余裕のあるタスクがわかります。それだけでもよいスタートですが、この優先度マトリクスの活用法としておすすめなのが、アクションプランの作成です。
アクションプランでは優先すべきタスクだけでなく、目標を達成するための具体的な方法を明確にします。優先度マトリクスのタスクを使ったアクションプランの作成手順は以下のとおりです。
タスク管理ソフトウェアを使えば、アクションプランを信頼できる唯一の情報源で管理でき、チームとコミュニケーションを取りながら各項目の状況を把握できます。
記事: 最高の週間業務計画を立てるためのヒント 4 選シンプルなマトリクスと複雑なマトリクスの違いは先ほどご紹介しましたが、以下に緊急度と工数を使った複雑な優先度マトリクスの例をご紹介します。数値と色で、タスクを分類しやすくなっています。
このマトリクスを作る前はこんな To-Do リストになっていました。
チーム向け勉強会を企画する
クライアント A の予算提案書を作成する
新入社員のオンボーディング
部長にパフォーマンスレビューを送る
会社ウェブサイト用の電子書籍を作成する
ホワイトペーパーをクライアント B 用に編集する
新入社員の書類に署名する
優先順位を付けた後の To-Do リストはこんな風になります。
クライアント A の予算提案書を作成する (レベル 20)
新入社員のオンボーディング (レベル 15)
会社ウェブサイト用の電子書籍を作成する (レベル 15)
ホワイトペーパーをクライアント B 用に編集する (レベル 12)
部長にパフォーマンスレビューを送る (レベル 10)
新入社員の書類に署名する (レベル 8)
チーム向け勉強会を企画する (レベル 6)
新入社員のオンボーディングと会社ウェブサイト用の電子書籍の作成は、どちらもレベル 15 です。新入社員のオンボーディングの方が緊急度が高いので、最終的にはそちらを優先することになるでしょう。緊急度は、多くの場合優先度マトリクスの中でも最も重視されます。
優先度マトリクスを使ってタスクを分類するのは大事なことですが、まだ最初のステップに過ぎません。まず何に取り組むべきかがわかったら、今度は実際に取り組むことになります。優先度マトリクスをタスク管理ツールと合わせて使うと、ワークフローの最初から最後まで安心して進められます。プロジェクトの優先順位付けをマスターするだけでなく、Asana を使えばタスクのトラッキング、サブタスクの委任、期日の設定などが行え、プロジェクトを予定通りに、確実に完了できます。
Asana でタスクの管理と優先度設定をする