次の問いについて考えてみてください。あなたが「仕事をする」とき、それはどのような姿を意味しますか?物事のやり方を定めたプロセスや手順はありますか?そのプロセスを定めたのは管理者ですか?あなたのやり方は、一番効率的な方法ですか?
多くの場合、チームで働く人々はある一定のやり方で物事を進めるよう訓練されています。その「やり方」は「プロセス」と呼ばれ、業務効率を高めるために管理者により定められます。それでは業務効率とは何でしょうか?
その答えを一緒に考えましょう。
業務効率とは、リソースを節約しながら質の高い最終製品を提供する能力のことです。業務効率は、プロジェクトに投入したもの (インプットと呼ばれる) とプロジェクトから得たもの (アウトプットと呼ばれる) の比率により数値化されます。
お金、人材、勤務時間などのインプットは、プロジェクトの成功を達成するために投資するリソースです。アウトプットとは、プロジェクトのタイムライン終了時に求められる成果物のことです。多くの場合、プロジェクトにおいて設定される達成目標がアウトプットとなります。
業務効率と業務の生産性は、混同される場合もありますが、文脈により若干ニュアンスが異なります。業務効率とは、リソースを減らしながら同じアウトプットを達成するプロセスです。業務の生産性とは、リソースを増やさずにアウトプットを増加させるプロセスです。
あるチームにおける双方の具体例を紹介します。
人員 20 名が在籍する製造現場のチームが、洋服を通常 1 時間あたり 100 枚のペースで製作しているとします。業務を「効率化」させる戦略を実施するということは、チームの人員数を 20 名未満に減らしながらも 1 時間あたり 100 枚の洋服を製作するペースを維持することを意味します。業務の「生産性を高める」とは、同じ 20 名の体制で 1 時間に 100 枚を超える洋服を製作できるように、プロセスを合理化することを意味します。
記事: ビジネスにおける効率と効果の違い: チームに両方が必要な理由業務効率を最適化すれば、人為的なミスを減らし、利益を増加させ、全体的な生産コストを削減するなど、さまざまな形でチームを強化できます。最適化をスタートするには、以下のステップを実施しましょう。
最初のステップは、チームにおいて効率化したい主要な機能を特定することです。チームが目指している目標は何ですか?重要業績評価指標 (KPI) など、チームが定期的に追跡している指標は何ですか?これらの質問への答えを使って、業務効率を算出するために必要なチームのアウトプットのベースラインを特定できます。
記事: オペレーションマネジメントの 7 つの機能とそれを使いこなすためのスキル業務効率は、アウトプット (収益、売上、リードの数など) をインプット (リソース、労働時間、人員数など) で割ったものです。その比率を求める際に使用する単位は、効率化したいチームにとって最も合理的なものを選びましょう。
たとえば、より業務効率が高い人材採用チームの編成を図っているときに、アウトプットとして収益を測定した場合、最適な測定単位を追跡することはできません。より適切な測定対象は、候補者へのオファーに至った件数を採用担当者が採用活動に費やした時間で割った 1 人時あたりのオファー件数です。
最適な測定単位を選んだら、次のように導き出した比率をベンチマーキングのツールとして使いましょう。
ベースラインの設定例: 人員 5 名のコンテンツマーケティングのチームが、現在 1 か月に 20 件の記事を作成しています。
インプット: 人員 5 名
アウトプット: 記事 20 件
ベースラインの比率: 4:1
このステップでは、実際の業務プロセスにおいて効率を高め始める段階に入ります。まず、既存の業務オペレーションにおいてチームメンバーがどのようにタスクを遂行しているかを把握しましょう。
以下のような問いを通じて現状を把握しましょう。
チームの仕事のうち、管理業務やメールのやり取りなど、簡単に繰り返せるタスクはどれほどの割合を占めますか?
チームメンバーは全員同じ方法でタスクを遂行していますか?
既存のプロセスにおけるボトルネックを特定できますか?
オートメーション (自動化) は、業務効率の最大の味方です。プロセスを効率化する場合には、自動化の候補として簡単に繰り返せるタスクを特定しましょう。従業員は勤務時間の 13% を完全な二重作業に費やしています。この簡単なプロセス改善を実施すれば、多大な時間のロスにつながる非効率性や人為的なミスを短期間で減らせます。
記事: 仕事を正しく開始するために使う 11 のプロジェクトテンプレート標準化された業務プロセスを構築することは、ワークフローを効率化する簡単でコスト効率の高い方法です。これを行えば、最終製品の均一化につながる上、成果を出すためにかかる時間も短縮できます。
プロセス標準化の例:
人員 5 名のコンテンツマーケティングチームでは、記事の作成方法のプロセスが現在標準化されていません。このチームがワークフローを最適化する方法を以下にいくつか紹介します。
反復可能なタスクのテンプレートを作成: コンテンツライターが全員承認する一貫性のあるライティングプロセスとワークフローを定め、その一環として依存する作業やレビューの頻度も定義します。自分が担当するステップと作成したコンテンツを編集用に引き渡す相手をライターが全員把握できるようにします。
オートメーションの機会を特定: タスクの依存関係を定め、先行タスクが完了した際に後続タスクの担当者に仕事をすぐに引き渡せるようにするためのツールをチームで使用します。それにより、記事の進捗状況を確認するためのやりとりを最小限に減らせます。
新しい標準プロセスを導入する際には、バーンアウト (燃え尽き) を防ぐためにチームの仕事量をモニタリングしましょう。新しいプロセスには、ワークフローの変更が伴うので、チームの仕事量を継続的にモニタリングすることが大切です。プロセスを変更する際には、それに慣れるための期間が必要です。仕事量のバランスを保つためには、適応に十分な時間と、変更されたプロセス以外の方法でタスクを遂行する手段の双方をチームメンバーに提供することが重要です。
新しいワークフローの導入によりチームの仕事量が過剰に膨らんでいることに気づいた場合には、たくさんの仕事がチームメンバーに集中的に割り当てられる状況を防ぐためにプロセスを調整しましょう。業務効率の向上を図ることは、その過程で継続的改善を実践することも意味します。
記事: チームの仕事量を管理するための効果的な方法新しいプロセスの導入により、チームの仕事量が常に過剰な状態であることを認識した場合には、目標やプロセスを調整する時間をとりましょう。それによりバーンアウト (燃え尽き症候群) を防げる上、今後のアウトプットの見通しを現実的に予測できます。新しいアウトプットの比率は、チームが新しいプロジェクトに取り組む際に、意思決定プロセスの材料としましょう。
従業員の仕事量のモニタリング実施例:
人員 5 名のコンテンツマーケティングチームが、1 か月に 25 件の記事を作成するという目標の達成を現在目指しています。
このチームのマネージャーが従業員の作業量をモニタリングするために実施できる方法は次のとおりです。
プロセスを調整: コンテンツチームは、ウェブサイトに新しい記事をステージングすることに時間の大部分が費やされていることを特定しました。ウェブ制作チームのキャパシティをモニタリングした後、ウェブ制作チームの方が時間に余裕があることを確認できたため、コンテンツチームは、コンテンツ制作プロセスの内、ステージングのステップの担当をウェブ制作チームに変更することを決定します。
目標を調整: ウェブ制作チームがステージングを担当するようになってから、コンテンツマーケティングチームのプロセスにおいてステージングのステップに時間を費やす必要がなくなりました。コンテンツマーケティングチームは、月 25 件から 30 件に目標を調整します。
新しいプロセスの下で業務を進めているチームのアウトプットをベンチマークの比率と比較しましょう。アウトプット対インプットの比率がベンチマークと比べて高まった場合には、最適化戦略が成功したことを意味します。
続いて、新しいチーム目標を設定しましょう。前述のとおり、業務効率化は継続的改善の機会をもたらします。ベースラインを定めたら、効率を高めるためにできる限りの施策を実施しましょう。チームが事前に決めた一定の期間が経過したら、上記のプロセスを最初から繰り返し、さらなる効率向上を目指しましょう。
記事: よりよい SMART な目標作成のためのヒントと実例業務効率化のプロセスを実践するためには時間と労力が必要です。そのメリットとは何でしょうか?業務効率化の戦略を実施することにより実現できる 4 つの主要なメリットを以下に紹介します。
新しいプロセスを導入することは、時間の節約につながりますが、それは瞬時に起こることではありません。新しいプロセスにはそれに慣れるための期間が必要で、時間節約のメリットがすぐに結果に反映されない場合もあります。しかしプロセスの立ち上げにかかる時間を考慮しても、より効率的な新しいプロセスを導入することは、長期的に見て時間の節約につながります。
さて、コンテンツマーケティングチームの例に戻りましょう。コンテンツの公開に先立って、チームのライターが最終的な法的承認を取得する必要がある場合もあります。ビジネスプロセスオートメーション (BPA) と適切なワークマネジメントツールを使用すれば、ドラフトの作成が済み次第レビューが必要になることを法務部門に自動的に通知できます。
記事: ビジネスプロセスオートメーション (BPA): 成果につながらない仕事を省く方法オートメーションを使用すれば、仕事の抜けもれを防げます。完全なエンドツーエンドのワークフローを構築すれば、プロジェクトに必要なステップをすべて早期に確立し、その全過程を自動化できます。
前述の例では、レビューのために法務部門にドラフトを送ることをコンテンツライターが忘れることはありません。なぜなら、そのステップがプロセスの一環として自動化されているからです。ライターがドラフトの完了を記録した時点で、法務部門はすぐに通知を受けるので、レビューが見落とされることはありません。
Asana の「仕事の解剖学」インデックスによると、勤務時間の 60% は、承認依頼、情報検索、仕事関連のコミュニケーションなどといった仕事の調整に費やされています。こういった仕事のための仕事を減らせば、その分チームは専門能力を生かした本来の仕事に注力でき、それ以外のやりとりから解放されます。これまで仕事の調整に取られていた時間を本来の仕事に向けられることは、従業員が自分の目標に専念できることを意味します。
Asana のワークロードを使用すれば、チームメンバーに無理をさせることなく、プロジェクトに適切な人員を配置できます。そして、チームのキャパシティの全体像を一目で把握でき、タスクの詳細まで簡単に確認することも可能です。この機能を活用することで、燃え尽き症候群を防ぎ、チームが適切な仕事を適切なタイミングで行えるようにサポートできます。
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