マイクロマネジメントとは?チームに及ぼす悪影響とその対策を解説

寄稿者 Caeleigh MacNeil の顔写真Caeleigh MacNeil
2024年10月9日
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概要

従業員が仕事を辞める理由の上位 3 位に入っている「マイクロマネジメント」。この記事では、マイクロマネジメントとは何か、その原因と部下個人だけでなくチームに与える影響、そして仕事に支障をきたすことを防ぐために実践できる 7 つのポイントをご紹介します。

更新: この記事は、マイクロマネジメントが増えている理由に関する記述を含め、2024年 10月に改訂されました。

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有能なリーダーに共通しているのは、信頼できる人に仕事を任せられる点です。どんなに仕事ができても、自分一人では効率的に進められないことがあるのは当然で、それをはっきり理解し、仕事を任せることができます。

他人に頼ることが苦手な上司や管理職は、どうしても「マイクロマネジメント」を行い、タスクの進め方を細かく管理する傾向にあります。つまり部下の仕事を過度にコントロールしてしまうのです。こうした過度なコントロールが続くと、部下はマイクロマネジメントをハラスメントとして認識してしまう可能性もあります。部下に対するコントロールを手放して仕事を任せることは、はじめは難しく感じるかもしれません。しかし、そうすることが上司自身だけでなく部下の成長も促し、業務を改善するためには欠かせないことなのです。

マイクロマネジメントとは

マイクロマネジメントとは、上司やマネージャーが部下の業務を細かく管理するマネジメントスタイルのことです。

マイクロマネジメントを行う人は、チームメンバーに全面的に仕事を任せるのではなく、自らすべてをコントロールし、その状況を見届けようとします。また、どんなに些細なことでも、決定権を握っていることが多いのも特徴です。

一見問題がないマネジメント方法に感じられるかもしれません。しかし、マイクロマネジメントを続けていると、部下の自主性が失われ、人材が育っていきません。上司の指示待ち状態のメンバーだけでは、新しい価値や創造的な仕事は生まれません。また、細部までコントロールする体制が続いてしまうと、部下のモチベーションも下がり、パフォーマンスも低下してしまうのです。これが長引けば、部下に精神的なストレスを与え、結果的にはマイクロマネジメントはハラスメントとして部下に認識されてしまうリスクまで生まれてしまいます。

マイクロマネジメントとマクロマネジメントの違い

マイクロマネジメントとマクロマネジメントは、まったく正反対のアプローチです。一方は細部にこだわるマネジメントスタイルで、もう一方は全体像を見据えます。

マイクロマネージャーは、いつ、どのように仕事を進めるかについてとても細かく考え、プロセスのすべての段階において完璧を目指します。一方、マクロマネージャーは、仕事の進め方を細かく決めるのではなく、その先にある成果を重視します。マクロマネージャーは、仕事の各ステップに口を挟むのではなく、チームメンバーに仕事の進め方を任せ、自ら決断できる環境を整えます。

記事: 従業員のエンパワーメントを優先すべき理由

長期的なマイクロマネジメントと短期的なマイクロマネジメントの違い

マイクロマネジメントは、特に新入社員の研修やリスクの高い問題をコントロールする際に、短期的な戦略として役に立つマネジメント方法です。たとえば、オンボーディング期間中には、チームメンバーが自分の担当業務をしっかりと把握できるよう、細かなところまで目を配り、サポートするのが一般的です。同様に、建設業における建物の解体作業など、リスクの高い状況では一人の担当者が全体を取り仕切ることが効果的な場合もあります。

しかし、マイクロマネジメントは短期的には有効なケースもありますが、長期的な戦略としてはあまり効果がありません。新入社員の主体性を尊重し、活躍できる環境を整えるには、必要以上に細かく管理するのではなく、信頼して仕事を任せることが大切です。また、すべての状況をミッションクリティカルとみなしてしまうと、プロジェクトに時間がかかりすぎてしまい、スケールアップが不可能になります。


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マイクロマネジメントに陥る理由

マイクロマネジメントは、良心的な人であっても陥りやすい罠です。特に、失敗を恐れ、何事も完璧にこなそうとするタイプの人は、主導権を握っていると実感したがる傾向にあります。マイクロマネジメントを手放して、チームに判断を委ねることは難しいことですが、多くの場合、それが部下のキャリアアップにつながります。

マイクロマネジメントに陥る理由は人それぞれですが、ここでは最も一般的な理由をご紹介します。

完璧主義

完璧主義者は高い理想を持ち、決められた方法で物事を行うことを望みます。そんな完璧主義者にとってミスは絶対に許されないことです。したがってこのタイプの人は部下のミスを恐れ、他人に仕事を任せることができなくなってしまうのです。

経験不足

十分なサポートやトレーニングを受けずに昇進した場合、一般社員は自分が最も得意とする業務に携わり続けたいと考える傾向があります。そのような場合、かつて担当していた業務を手放し、全体的な戦略に改めて集中することは簡単なことではありません。

不慣れなチームメンバーの管理

経験の浅いチームを管理する場合、仕事が正しく進んでいるかを確かめるために、ついマイクロマネジメントに走ってしまいがちです。未熟な従業員の育成は骨が折れる作業で、かなりの労力を必要とします。しかし、そこで過度に干渉していてはトレーニングにならず、デメリットとなってしまいます。部下の行動を見守り、サポートが必要なときは助けるシステムをとることが必要です。そのときは時間の無駄に思えるかもしれませんが、そうやって人材を育てていくことで、結果的には多くの時間を節約できるのです。

マイクロマネジメントを行う人の特徴と兆候

マイクロマネジメントは、人によってさまざまな方法で行われます。ここでは、マネージャーやチームメンバーがマイクロマネジメントに陥っていると思われる場合に、注意すべき兆候と特徴をご紹介します。

  • 仕事を他人に任せることが苦手

  • ミスが発生した場合、他人に任せていた仕事を引き継ぐ

  • 全体像ではなく、細かいことにこだわる

  • どんな決定事項でも相談して欲しいと思っている

  • 他人の意見や経験談を無視する

  • タスクの進め方をとても細かく決める

  • やり取りされるすべてのメッセージやチャットを把握したい

  • 直接関係のないメールでも常に CC に入れてほしいと思っている

  • 頻繁に進捗報告 (アップデートやチェックイン) を求める

  • 他人の仕事を訂正したり、見直したりすることにたくさんの時間を費やしている

  • ありえないくらい基準が高い

  • 感謝の気持ちを伝えるよりも、改善すべき点、変えるべき点にばかり目が行ってしまう


メールやチャット、スプレッドシートなど、異なる場所に情報を点在化させるのではなく、一か所に整理整頓することで、業務効率は向上します。ワークマネジメントツール Asana に情報を集約して、業務効率化を始めましょう。

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マイクロマネジメントが増えているのはなぜ?

昨今のビジネスシーンでは、マイクロマネジメントが増えていると指摘されています。その理由とは何でしょうか?いくつかピックアップしてご紹介します。

働き方の多様化

まず挙げられるのが、働き方が多様化しているというポイントです。特にリモートワークの普及はマイクロマネジメントの増加に大きな影響を与えていると言われています。

リモート環境では上司が直接部下の働きぶりを観察できません。部下の仕事を把握できていないかもしれないという不安感から、上司は部下に細かい指示を出したり、進行状況を頻繁にチェックしたりする傾向が強まり、マイクロマネジメントが生じやすくなるのです。リモートでのコミュニケーション不足も、上司の不安を助長し、結果的に過度な管理へとつながるケースが増えています。

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成果を出すことへのプレッシャー

働き方の多様化に伴い、企業全体が業績向上や効率性の向上を強く求めるようになりました。成果主義や激しい競争の中で、管理職は結果を出すことに対して強いプレッシャーを感じやすくなっています。そのような状況の中で、部下の作業を詳細に管理しようとする動きが強まってしまっているのです。この結果、部下に対してより厳密な監督を行うことで、マイクロマネジメントが助長されています。

テクノロジーの進化

実はテクノロジーの進化も、マイクロマネジメントを増加させている理由のひとつに挙げられます。新しいツールやソフトウェアを用いれば、作業の進行状況や個々のタスクの詳細を簡単に追跡できるため、管理者はつい部下の作業を過度に細かくチェックするようになります。このような監視体制の強化は、テクノロジーによって可能になった一方で、従業員の自主性や創造性を制限するリスクもはらんでいます。

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マイクロマネジメントがもたらす長期的な影響

マイクロマネジメントは続けていると仕事の生産性を下げ、パフォーマンスの低下にもつながると述べました。では、マイクロマネジメントが及ぼす悪影響にはその他どのようなものがあるのでしょうか。

部下への影響: 離職

調査によると、マイクロマネジメントは退職理由の上位 3 位に入るそうです。マイクロマネジメントは離職率の上昇に寄与していると言えます。

長期的にマイクロマネジメントが行われると、上司と部下のあいだに信頼関係が作り出せません。また、チーム全体がクリエイティブな発想を持つことも妨げてしまします。つまり自分の考えで問題を解決したり、自分のやり方で仕事をすることができなくなってしまうのです。

常に誰かに見張られている状態では、部下は職場で大きなストレスを感じ、燃え尽き症候群に陥り、士気が低下してしまいます。時間が経つにつれて、チームメンバーは自信を失い、マイクロマネジメントを行うリーダーに依存してしまうこともあるのです。

上司への影響: 過労とバーンアウト

長期的なマイクロマネジメントは、マネージャーにとっても悪影響を及ぼします。チームやプロジェクトが大きくなればなるほど、これまでと同じように細かく管理することは難しくなり、働きすぎや燃え尽き症候群を引き起こす可能性があるのです。また、マイクロマネジメントはうまくスケールアップできないため、ボトルネックとなり、チームが最大限に活躍する機会を奪う可能性もあります。

上司やマネージャーの役割は、コーチ役を担い、仕事の妨げとなるものを取り除き、経営レベルの戦略決定を行うことです。従業員が力を発揮できるように、必要なリソースとサポートを提供し、チームが自力で細部にわたって解決できる体制を整えましょう。小さなことにこだわりすぎると、全体的な戦略に専念できなくなります。

記事: リーダーシップとマネジメントの違いとは?

マイクロマネジメントの対策: 7 つのヒント

マイクロマネジメントはなかなか厄介な問題ですが、対策を講じれば、チーム内でこの問題を解消し、未然に防ぐことができます。ここでは、その具体的なステップをご紹介します。

1. 任せる練習をする

特に初めてマネージャーやリーダーを務める人にとって、仕事を任せることはハードルが高いものです。仕事をうまく進めることに大きな責任を感じている場合、重要な仕事を他の人に任せることに抵抗を感じるかもしれません。結局のところ、自分以上に信頼できる人はいないのですから。しかし、「任せること」と「手放すこと」は、上司にとって不可欠なスキルです。仕事をうまく進めるには、チームのスキルや専門知識に頼らなければなりません。なぜなら、自分一人の力で達成できることには限りがあるからです。

任せることに抵抗がある場合は、まず小さな仕事を任せて、徐々に大きなプロジェクトを任せていくようにしましょう。そうすることで信頼関係を築き、チームメンバーが時間をかけてスキルを伸ばすことができます。ただし、焦らずに続けることが大切です。仕事を「任せる」スキルは、少しずつ上達していくものです。また、チームメンバーが自分よりも時間をかけて仕事を完了させても、それは当たり前のことなのです。

2. ミスを普通のことにする

上司やマネージャーがマイクロマネジメントに陥る原因は、多くの場合、ミスを防ごうと何でもかんでも管理するあまり、完璧主義になってしまうことにあります。しかし実際には、間違いを恐れる必要はないのです。人間はミスをすることで学び、成長し、向上していくものです。常に完璧であろうとすることは、メンタルヘルスに深刻な負担をかけ、成果物を完成させるまでにかかる時間にも悪影響を及ぼします。また、極端な完璧主義に陥ると、燃え尽き症候群や仕事への不満、うつ病になる危険性が高くなることが調査で指摘されています。

マネージャーが忘れてはならないことは、他人に仕事を任せる上でミスはつきものだということです。ミスを避けるために過干渉な管理をするのではなく、従業員が自分で問題を解決できるように必要なツールや手段を提供しましょう。自力で問題を解決できるようになれば、チームメンバーに知識と自信が身に付き、今後大きな問題が起きてもうまく対処できるようになります。

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3. 担当業務をはっきりさせる

マイクロマネジメントは、多くの場合、仕事の範囲や役割がはっきりとしていないことが原因で起こります。従業員の担当業務とマネージャーの担当業務が明確でない場合、チームは自分のタスクに責任を持って取り組み、自分の判断で行動しようとする意欲が湧きにくくなります。

チーム内の担当業務を明確にするために実践できる戦略をいくつかご紹介します。

  • 各メンバーの役割と責任書き出す採用時やオンボーディング期間中に、各自の担当業務を明確に伝え、チームメンバーが継続的に自分の役割を確実にこなせるように、定期的にコミュニケーションをとりましょう。

  • RACI チャート作成し、特定のプロジェクトにおける実行責任者、説明責任者、協業先、報告先についてまとめましょう。

  • 意思決定権を分散させる。特定の分野における最終的な意思決定権を従業員に任せましょう。たとえば、Asana では、Areas of Responsibility (責任範囲、AoR) を設定し、従業員の自主的な行動を促しています。社内コミュニケーション、人事、マーケティングオペレーションなど、社内のどの分野にも AoR 担当者が一人ずついます。担当者は関係者のフィードバックに耳を傾けますが、意見が割れたり、明確な答えがない場合は、最終的に自分で判断することになります。

4. 目標を活用して全体像に目を向ける

目標を設定することで、チームが何を目指しているのかが明確になります。目標があれば、目指すべき具体的な成果がはっきりするため、細かいことにこだわることなく、本当に重要なことに集中できます。

目標を設定することのメリットは、マイクロマネジメントを行うことなく、チームの取り組みを管理できることです。目標を設定することで、従業員が達成すべき目標を明確にし、その目標に従業員が自主的に取り組める環境を整えることができます。測定可能な目標を設定することで、チームメンバーが責任を持って仕事に取り組み、マネージャーはチームが重要な目標に向かって着実に前進していると確信できます。

どこから始めればいいのかわからない場合は、以下の記事をご覧ください。初めて目標を設定するなら、SMART な目標目標と主要な結果 (OKR)重要業績評価指標 (KPI) に関する情報がおすすめです。


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5. しっかりとしたオンボーディングプロセスを作る

従業員のオンボーディングプロセスとは、新入社員をチームに迎え入れ、スムーズに仕事に取り組めるようにサポートするための計画的なアプローチです。オンボーディングがうまく行われれば、従業員は新しい職務で活躍するために必要なツールや情報にアクセスできるようになります。また、このプロセスでは、チームメンバーに特別なサポートを提供し、ミスをしたり、質問をしたりしながら、自分の担当業務に慣れる機会を作ります。

オンボーディングは、事前準備にかなりの手間がかかりますが、その分、将来的にマイクロマネジメントが発生することを防げます。しっかりとしたオンボーディングを受けた部下は、今後起こりうる問題にも自力で取り組むことができ、いざというときには助けを求められます。新入社員が正しい仕事のやり方を身につけていれば、マネージャーが従業員の仕事を細かく確認する必要もなくなります。

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6. 会議を予定しない日を設ける

2022年の調査によると、毎週どこかでノーミーティングデー (会議を行わない日) を作ることで、マイクロマネジメントやストレスが大幅に減少することがわかりました。チームの信頼関係を築くには質の高いやりとりが不可欠ですが、会議を頻繁に行えばよいというわけではありません。むしろ、会議で従業員間の交流を強制するのではなく、一人ひとりが自分のペースで仕事をし、自然な形でコラボレーションができる環境を整えることが大切なのです。

ノーミーティングデーを設けるためには、マネージャーは直属の部下が自律的に仕事を進められると信頼しなければなりません。したがって、この方法を活用することで、マイクロマネジメントを行ったり、頻繁に進捗状況を確認したりするのではなく、従業員が最大限の成果を上げられるような環境を提供できるようになります。

7. 信頼関係を築く

マイクロマネジメントを解消するには、信頼関係がなければ成立しません。仕事をうまく任せ、従業員が仕事を達成できる環境を整えるには、信頼関係が何よりも大切です。つまり、マイクロマネジメントを防ぐには、チームメンバーとの信頼関係を重視したポジティブな職場文化を築くことがカギとなるのです。

信頼を築くには時間がかかりますが、不可能なことではありません。次の方法を参考にしてみてください。

まとめ: マイクロマネジメントはスケールアップにつながらない

チームを成長させ、スケールアップさせたいのであれば、マイクロマネジメントは効果的なリーダーシップスタイルとは言えません。このようなマネジメントスタイルは、短期的にはうまく機能することもありますが、長期的にはボトルネックや部下の不満の原因となってしまいます。そして何より、マイクロマネジメントを行うと、細かいことにばかり気を取られ、重要な会社全体の目標を見失ってしまいます。

マイクロマネジメントをする代わりに、誰がいつまでに何をするのかを明確にした、しっかりとしたチームプロセスを築くことに取り組みましょう。そうすれば、仕事の進捗を頻繁に確認したり監視したりする必要がなくなり、プロセスを実行に移し、チームを信頼して成果を上げられるようになるのです。

Asana のゴール機能を使えば、従業員が達成すべき目標を明確にし、その目標に向かって従業員が自主的に行動できるようになります。そうすることで、マイクロマネジメントに陥ることなく、チームが確実に大切な業務に集中できるようにサポートできます。

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