キャンサースキャンは、人と社会を健康にすることをミッションに、AI (機械学習)とマーケティングサイエンス、行動経済学、そして公衆衛生の専門知識を組み合わせた事業を展開しています。自治体が保有するヘルスデータを分析し、人々が健康になるための行動変容を起こすことが目的です。高齢化社会が進む日本では、医療費増大や「寿命」と「健康寿命」とのギャップが社会問題になっています。その一つの解決策として予防医療があります。しかし、国としても国民の健康状態を把握できないと予防することもできません。
そこで、予防医療の入り口として特定健診の受診率改善が国の政策の一つになっており、我々はその受診率を向上させる事業に 2015年より本格的に着手しました。独自のアプローチ法により、最大で年 8% の改善効果(全国平均は年0.3%増)をあげています。この実績を評価いただき、現在は全国の自治体を中心に約 400 ものお客様がおり、過去 3 年間に渡り毎年倍々で増えています。
このように事業が伸びる中、今年の 3 月に CFO として入社しました。2018 年初めは 20 名程度だった従業員は、現在 ( 2019年10月 ) は、 60 人にまで成長しています。急激に社員が増える中、スケールする事業と組織づくりが必要とされており、コーボレートサクセス部門の統括としてもやるべきことが多くあるステージで参画しました。
Asana の導入は、当初は軽い気持ちでした。経営会議の アジェンダとTo do 管理に Asana Premium の無料トライアルを使ったことがきっかけです。経営会議は長い時間をかけ多くのことが決まります。しかし、やろうという同意は取れているのに、 決めたことが実行されないことも起こります。
Asana ではタスク毎に責任者と期日を設定して管理できることを知っていたので、これだと思いつきました。まずは試験的に経営会議で使うことにし、決まったことはその場で Asana にタスクごと書き出して、責任者を割り当て、期日を設定しました。社長へもしばしば割り当てました。進捗はフィールドに設定し色分けして管理しました。
この会議の後、気付くと Asana は全社に広まっていました。会議には各部門のリーダーが出席しており、自分のチームの仕事管理にも最適と自然と使い始めていたのです。
社内で広まった理由の一つには、Asana が非エンジニアでも簡単に使えるわかりやすいツールだったことが大きいと思います。毎日使うツールなので、デザインの美しさも影響があったと思います。また同時に、事業が伸びる中、仕事の効率化への課題意識が強まっていました。
我々の主要な事業は、部門を横断した連携が必須です。営業部門が新規案件を獲得すると、それを引き継いでマーケティング部門が企画、プロジェクト管理、カスタマーサクセスまでを担当し、お客様の日々の窓口になります。また、エンジニア部門がデータを分析し予測やターゲティングを可能にしています。コーポレート部門は、契約書や請求書などを作成し担当者に代わって郵送しているので、窓口になっている担当者との連携は欠かせません。このように、案件毎に、 4 つの部門の連携は密に行っていく必要があります。
Asana 導入以前は、何百という案件の細かいタスクの確認と連絡がチャット上で飛び交っていました。このような状況では、抜け漏れやミスは避けられません。ミスが発生しないプロセスの構築が課題となっていました。また、確認連絡などのコミュニケーションに多くの時間を奪われていました。
会社全体の IT ツールも含めた業務効率化は、今年から本格化しました。私が入社して、ISO や P マークを取得しセキュリティを強化した際に、同時に IT ツールの活用とプロセスの見直しの両面から進めました。
チャットツールは Slack に移行し、すでに導入されていた Salesforce はアップグレードをして本格的に使い始め、会計、HR、採用などにも新たにツールを導入しています。
前職でシリコンバレーの先進的な会社を見る機会が多くありましたが、競争が激しい米国では、IT ツールを使った業務効率化をとても重要視しています。場合によっては1人の社員が 20 - 30 ものツールを使いこなしている企業もあります。日本企業の場合は、弊社もそうでしたが、ツールを減らすことを優先し、最適でないツールに業務を集約する傾向にあると思います。しかし、業務ごとに最適な IT ツールを導入することがポイントです。あとは必要があれば API 連携してタスクは Asana で一元管理すれば、複数ツールでも問題ありません。
マーケティング部門では、プロジェクト管理以外に、チームのタスク管理にも使っています。Asana のかんばんボードを使って各自の全タスクを書き出しています。ここを見れば、一目で各自のタスクや業務量を確認できます。他の人のタスクを移動させたり、新規で追加して依頼したり、全てここで誰でも自由にやるようにしています。
時には、チーム間で余裕のある人が、溢れている人のタスクを移動させて手伝うこともあります。Asana では、全タスクが透明性を持って誰でも閲覧できるようになっており、次の効果がありました。
チーム内の助け合いが自然と発生
タスク確認のための週次の会議をなくす
コーポレートサクセス部門は、法務から経理、ファイナンス、人事、IT まで担当し業務は多岐にわたります。子会社もあるので決算や経理業務など、月単位で繰り返される業務が沢山あります。現在はこれを 3 名でマルチタスクで行っており、細かいルーチン業務はうっかり忘れてしまうリスクがあります。そこで、Asana の繰り返しタスク設定機能でスケジュールを設定して、担当者を割り当て毎月自動でタスクがアサインされるようにしています。以前だと、こういった細かい業務の漏れを防止するために定例会議で毎回確認したり週に何度も状況確認のやり取りをしていましたが、今はそれらは一切不要となりました。
また、これらの業務はいずれは担当者を採用して引き継ぐ予定です。そこを見越して、属人的に紐付いている業務プロセスを Asana のテンプレートで書き出しマニュアル化も進めています。
例えば、入社時のプロセスは、全社をまたいだプロセスですが、総務は総務で必要な準備やプロセスを書き出した資料しか持っていませんでした。しかし、それは全プロセスの一部です。また、配属先の担当者では分からない事も多く、直接総務に質問するというコミュニケーションが頻発していました。時には、採用者に連絡すべきことを担当者が聞いてなかったなどの問題がおこることもありました。そこで、次によりこれらの問題や無駄な連絡をなくしました。
Asana を見る」というルールを作る
現在、経営の OKR を Asana で管理していますが、最終的には、会社のミッションや戦略 に対して、事業部、ひいては個人レベルでどのように紐づき貢献しているのかを Asana 上で明確化し、日々の様々なタスクの実行や意思決定の、全員に共有された道標にできたらいいなと思っています。以前より Asana が唱える「見える化のピラミッド」という考えに共感して、組織づくりでは「明瞭性」と「透明性」は重要だと考えています。
なぜ自分がこの業務をやっているのか、誰が何をやっているのかを、会社の戦略に紐づけて把握できるハブに Asana を使っていきたいです。
みんなが自律性を持つことで創造性と生産性の高いアウトプットがもっと出てくると考えます。不必要に時間を取られている雑務を削減しプロセスを効率化しながら、キャンサースキャンだけが提供できる価値創出に社員が集中できるようにしたいと思います。 Asana を活用し、より付加価値の高い業務に社員の時間をシフトさせることで、予防医療のインフラを築きあげ、ひいては人と社会を健康にしていければと思っております。(2019年10月)
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