プロダクト開発の目標、目的意識を浸透させながら、進捗の細かい可視化、案件/プロダクト単位など複数の軸で課題解決を進めていくためのプラットフォームとして活躍
「ゴール」機能でKPIを目標として設定、カスタムフィールドでタスクにKPIへの影響度を数値で付加することにより、KPIの達成に向けたプロセスの定量的な管理が可能に
個人の目標とチームの成果が紐づけられ、個人のアクション更新がチーム目標の達成状況にも連動、チーム全体がそれぞれの目標と成果を意識し高パフォーマンスを維持できる仕組みに
最新のテクノロジーを活用したシステムやデジタルコンテンツの開発を行うチームラボ。分野横断的に一流のクリエイターが集い、デジタルテクノロジーを駆使したアート作品などで国内のみならず世界的に高い評価を得ています。そうしたアート活動と並んでチームラボの主力事業となるのがソリューション事業です。「りそなグループアプリ」、「ZIPAIR公式Webサイト」、JR駅ナカ自販機「acure pass」等、UI/UXの設計・実現、データ分析からITインフラの構築、運用保守まで、顧客の課題を解決するための幅広いソリューションを提供しています。事業としても成長を続け、プロダクト開発チームが拡大していく中、課題として浮上してきたのがメンバーのタスク管理の高度化です。こうした課題を解決するために「Asana」を導入し、浸透を推進してきたチームラボのPackage team に所属する林 輝大さんと同チームの池邊 和馬さんにお話を伺いました。
ソリューション事業は、チームラボが独自開発した基盤技術をベースに顧客ごとの課題に応じた個別開発を行っています。例えば検索/レコメンデーションエンジンは創業当時から磨いてきた独自技術で、ディープラーニングなどを活用して高度にパーソナライズされたレコメンド機能を提供できます。こうした技術をニーズに合わせて柔軟にチューニングし、幅広いユーザーを獲得してきました。
チームラボの独自技術は、まさにソリューション事業の核になるものですが、その開発を担当するエンジニアチームであるPackage teamは、組織の拡大に際して課題を感じていました。ソリューション事業の成長を支えるためにプロダクトの品質向上、開発の生産性向上に全方位で取り組む中で、人員を継続的に増強しているためです。チームの責任者である林 輝大さん(Package team Leader, Engineer)は次のように説明します。
「チームラボのプロダクト開発では、案件横断型でプロダクトの運用や保守をフォローするチームなど、さまざまなところから課題を吸い上げて解決していくというプロセスが重要です。これまでは、上がってきた課題に誰がどう対応するのかミーティングで決めたら議事録を『スプレッドシート』で作成し、チーム内のコミュニケーションは『Slack』で行いながら進捗を確認するというやり方で、特に問題は起きていませんでした。しかし組織がこれから拡大していくことを考えると、各施策の管理やメンバー間のコミュニケーションをもっと効率的で円滑にする仕組みが必要だという課題意識を持っていました」
既存のツールは汎用性があり便利ではありますが、タスク管理という観点では、進捗を細かく可視化し、案件単位やプロダクト単位など複数の軸で課題解決を進めていくためのプラットフォームとしては限界があります。さらに林さんは、これから増えていくチームメンバーに対して、チームラボとしてのプロダクト開発における姿勢や目標、目的意識を浸透させながら、組織を活性化するための仕組みづくりの必要性も感じていました。そうしたニーズも満たしつつ、タスクの進捗状況をリアルタイムに把握でき、チームマネジメントをシンプルかつ容易にするツールを探していたのです。そして本格的な採用に踏み切ったのが、ワークマネジメントプラットフォームの「Asana」でした。
ツールの選定にあたって、マネジメント業務の安定化、効率化、高度化を重視していた林さんは、当時を振り返り「タスク管理ツールとしての基本的な機能は押さえたいと思っていました。スケジュールをしっかり引いて、それぞれのメンバーのタスクが計画どおりに進んでいるか管理しやすいこと、チーム全体の動きを把握しやすいこと、担当者と関係者が情報共有しやすいことが必要です。さらに、チームの目標を達成するためのKPIも定義していたので、この数値指標も追いやすいようにダッシュボード機能が優れたものがいいとも考えていました」と語ります。
検討を進めた結果、林さんが最も「柔軟性が高く、やりたいことを実現しやすい」と評価したAsanaの採用を決めました。従来、チームラボでは案件単位でさまざまなデジタルツールを使っており、Asanaに触れたことのある従業員も少なくありませんでした。そうした案件ではタスク管理の課題解決にAsanaが役立ったと評価する声が多かったといいます。
林さんが要求する機能を満たした上で、既に他のチームでも成果を挙げていた実績もあったことが判断を後押ししました。また時を同じくして、別のチームでもAsanaを全面的に採用していこうという流れが同時発生的に出てきていました。機密性の高い情報を取り扱うため、データ漏洩の防止はもちろん、入退場管理の自動化など、高度なセキュリティが必須です。将来的にワークマネジメントの基盤になっていくビジョンが見えたことで、高いセキュリティと拡張性を備えたAsanaのEnterpriseプラン採用へ向けて、コンセンサスが一気に進みました。
Asanaの本格的な運用から半年程度が経過し、Package teamのワークマネジメントツールとして着実に浸透してきています。林さんと同じPackage teamに所属する池邊和馬さん(Package team Engineer)はここまでの推移を次のように説明します。「チームメンバーがしっかり運用のルールを理解して使ってくれることで初めて組織全体の動きが可視化されます。メンバーにしっかり利用してもらうまでには、定例ミーティングなどでAsanaの画面を開いてタスクを積極的に振るなど地道な対応が必要でした。ただ、もともとツールを使って業務を改善していく文化が根付いていることもあり、リーダーとのコミュニケーションがスムーズになるメリットを各メンバーが徐々に理解してくれていると感じています」
Package teamにおけるAsanaの利用シーンは三つに大別されます。まず一つめは、各所から吸い上げた課題を集約し、その解決までのプロセスを全プロダクト横断で管理するプラットフォームとしての活用です。林さんは「プロダクトの課題を解決するためにどんな施策が必要かをチーム内で議論してタスクを立て、その進捗を可視化しています」と説明します。
また、チームのKPIの達成状況を可視化できる仕組みもAsanaで整えました。組織全体、チームの目標とタスクを紐づけて管理できる「ゴール」機能を使い、KPIを目標として設定した上で、カスタムフィールドを使ってタスクにKPIへの影響度を数値で付加できるようにしたのです。これにより、KPIの達成に向けたプロセスを定量的に管理できるようになりました。
三つめの用途として、チームメンバーのOKR管理にもAsanaは威力を発揮しています。OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、Objectives(目標)とその達成度を測るためのKey Results(主要な成果)を階層的に設定して、組織全体の目標から個人の業務までを連動させて管理する手法です。林さんはここでもゴール機能を活用し、チームと個人それぞれのOKRを一体的に管理しています。具体的には、チーム、個人とも定性的なObjectivesを上位目標に、数値指標であるKey Resultsを下位目標に設定した上で、個人のObjectivesの上位にチームのKey Resultsを紐づけました。リーダーとメンバーが定期的にミーティングを重ねて個人のKey Resultsと必要なアクションを更新すると、Objectivesや上位のチーム目標の達成状況にも反映されるような仕組みをつくり、チーム全体がそれぞれの目標と成果を意識し、高いパフォーマンスを維持できるようにサポートしています。
チームや各メンバーの活動を全体的かつ手軽に追えるようになったことは大きな導入効果のひとつですが、林さんがAsanaの導入で特に手応えを感じているのはOKR管理の部分だといいます。「ある程度の期間使ってみて、ゴール機能がOKR管理にフィットしていることを改めて実感しています。事前にチーム全体のOKRと個人のOKRをすり合わせるディスカッションを丁寧に行い、チームとして達成すべき目標と各メンバーのやりたいことを合致させることができたことも、うまく機能しているポイントだと考えています」と分析しています。 また、Package teamの開発業務では、個別のプロダクトの課題に対処するだけでなく、あるプロダクトで得られた知見を別のプロダクトに流用したり、標準的な仕様をほかのプロダクトに展開したりといったプロダクト横断的な対応が必要になることも頻繁にあります。そうした背景もあり、一つのタスクを複数のプロジェクトと関連付ける「マルチホーム」機能の有効性も、チームラボは高く評価しています。林さんは「プロジェクトはタスクのビューの一つという捉え方をしています。同じタスクをさまざまな切り口や角度で捉えられるのは管理者としてとても便利に感じます」と話します。 チームの目標を個人のタスクに紐づけることで、効率的なマネジメントを実現し、チームの成長も実感しているPackage team。今後もAsanaの他チームへの浸透を推進していくことにより、さらに組織のパフォーマンスを高め、ビジネスの成長に貢献していくことにも期待が寄せられています。
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