企業文化とは、単に金曜日に一緒にビールを飲むことだけではありません。企業文化は、職場環境を定義し、形成するものであり、企業目標や価値観はもちろんのこと、組織内のすべてのプログラム、コミュニケーション、行動によって生み出されます。しかし、よい企業文化を構築するには時間と努力が必要です。ここでは、企業文化の重要性と構成要素を解説し、ポジティブな企業文化の醸成に役立つ 6 つのポイントをご紹介します。
更新: この記事は、企業文化を構成する 8 つの要素に関する記述を含め、2024年 10月に改訂されました。
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企業には、よりよい製品開発、顧客の獲得方法、人材採用を追求するために、日々思考を重ね続けるナレッジワーカーがいます。会社を円滑に経営するために、これらが欠かせない要素だからです。
それらの要素と同等に大事であるのにも関わらず、忘れられがちなのが、企業文化です。良質な文化は十分に達成可能ですが、それを実現するには、文化を創ることに専念するリーダーたちから成る意欲的なチームが必要です。Asana では、当社独自の文化を培うために、時間と投資を注ぎ込んできました。当社の共同創業者は、自分たちがAsana 製品を開発するのと同じ熱意を持って、企業文化の構築にも意識的に臨んでいるとよく語っています。このことが、従業員数が 200 名未満だった頃にダイバーシティ & インクルージョン部長を採用したことや、当社の企業文化を向上させるために最適な人事部長を選定するため、その面接に 5 か月間かけるという意思決定につながりました。
このようなストーリーを今ここで共有する理由は、組織文化が優良なビジネス、優良なチーム、そして長期的には優良なミッションの潜在力を引き出すカギであると Asana は確信しているからです。この記事では、組織文化の本質、Asana のリーダーたちの企業文化の構築への取り組み方、そして優れた企業文化を醸成するために心得るべき 6 つのポイントもご紹介します。
企業文化とは、会社の中核そのものです。それは、社内における行動規範、ベストプラクティス、アイデア、共通の価値観の実際的かつ浸透的な実践を意味します。企業文化は仕事環境を決定し、形成します。突き詰めて言えば、企業文化を醸成することは、会社の価値観に沿いつつビジネス目標を達成するために、人を中心に据えた取り組みを構築することを意味します。
企業文化と組織文化の違いは、その範囲と対象にあります。企業文化は、企業全体が持つ価値観やビジョン、慣行などを指し、企業のアイデンティティや長期的な目標に焦点が当たっています。一方の組織文化は、企業内の各部門やチームに特有の文化を示し、部門ごとの行動様式やコミュニケーションの特徴に関連しています。企業文化が全体の指針を提供するのに対し、組織文化は日常業務の中での個別の働き方に影響を与えていると言えるでしょう。
Asana の人事部長 Anna Binder がよく口にするのは、文化は「金曜のビールではない」という言葉です。つまり文化は、その醸成に継続的な努力を要し、あらゆる組織に必要不可欠な 3 つの要素をつなぐ役割を果たします。
組織 (企業) に必要とされる 3 つの要素について、簡単に見てみましょう。
【組織のビジネス目標】自分の組織は市場で何を成し遂げようとしているのでしょうか?それをどのような方法で達成するのでしょうか?
【会社の価値観】すべては、会社の経営者 (経営陣) の価値観、そして彼らがそれをどこまで (言葉だけでなく行動で) 実践するかにかかります。
【人と人のタッチポイント】組織内の取り組み、プロジェクト、プログラム、コミュニケーションなど、組織的な行動をすべて思い返してみてください。予算の策定から、求人広告を書く際に選ぶ言葉、そして意思決定や目標をどのように定義し、伝達するかに至るまで、その何百、何千というタッチポイントの集合が、企業文化を構成しているのです。
ツールやデータをすべて 1 つのプラットフォームにまとめることで、情報が整理整頓されます。Asana は 200 以上の外部アプリと連携することが可能なので、いつも使っているアプリやツールと組み合わせて使いましょう。情報が整理されると、仕事ははかどります。
ワークマネジメントツール Asana とは?企業文化の例として、Google の「イノベーションを重視する文化」が挙げてみましょう。
Google は自由な発想を促進するために、社員に 20% の時間を自主プロジェクトに費やす制度を導入しています。また、オープンなコミュニケーションを推奨し、上下関係を超えた意見交換や協力が奨励されています。こうした文化を形成することにより、創造的なソリューションや新しいビジネスモデルが生まれやすくなっています。
チームメンバーが実力を発揮し、仕事に熱中し、サポートを感じられるような企業文化 (組織文化) の形成とリーダーシップに投資することは、まさにビジネスの成功を決定する要因です。会社の価値観を実務に反映すれば、営業、財務、オペレーション、マーケティングなど会社の中枢機能の他、カスタマーサポート、オンボーディング、採用や人事制度、社内プロセスなど、組織のほとんどすべての要素を継続的かつ意識的に向上できます。
良質な企業カルチャーを築くことができれば、毎日チーム全員がサポートを感じ、実力を出し切れると実感できるため、従業員のエンゲージメントが高まり、定着率が高まります。強い文化と価値観の重要性とメリットをまとめてみましょう。
チーム志向の慣行を築くことにより、チームは最高の成果を達成できます。
業務を最適化して無駄や混乱をなくすことにより、チームメンバーはインパクトが高いプロジェクトを特定し、それを優先して実施できます。
チームメンバーが全員、ジェンダー、容姿、人種、アイデンティティに関わらず自分が受け入れられていることを確信できる環境を守れます。
すべての物事を組織のミッションに立ち帰って理解することにより、自分の仕事が会社にとってパズルのピースのように欠かせない理由を全員が認識できます。
組織全体にわたり、チームワーク、コラボレーション、チームづくりの基準を確立できます。
記事: ビジネスの成功に拍車をかける文化をデザインした方法円滑な共同作業のための戦略、テクニック、インサイトなど、世界トップレベルの効果的なコラボレーションを支えるすべてをご紹介します。
結論から言うと、できる限り早く取りかかるべきです。実際には、文化づくりを意識的に行うか否かに関わらず、文化は自然に形成されます。ただ、積極的に企業文化を醸成しない場合は、あいまいで混乱を生む枠組みのもとでチームワークを行うこととなるリスクがあります。それを避けるためには、望みに合う文化を育むことに時間をかけて取り組みましょう。強い文化は、放置して成るがままにまかせるのではなく、意識的に取り組んでこそ培われます。
企業文化は、Asana の共同創業者が一番最初に検討したことの内の 1 つでした。結果として、Asana の文化は、ビジネス、仕事、チームワークへの従業員の取り組み方を決定する上で不可欠な要素となりました。
仕事を最大限効率化し、チームの生産性を上げるためには、Asana のプロジェクトマネジメント機能をお試しください。日々の業務と目標をつなげ、「誰が・何を・いつまでに行うのか」を可視化します。
企業文化には 8 つの構成要素があるとされています。企業文化の醸成のために必要とされるそれぞれの要素についてまとめます。
ビジョンは、企業が長期的に目指す方向性や理想像を示すものです。明確なビジョンは従業員の目標意識を統一し、日々の業務を遂行する動機づけとなります。共有されたビジョンは、企業文化の核となり、組織全体が同じ目標に向かって進むための指針を提供します。企業の成長や社会への貢献を示すビジョンが強力であればあるほど、組織内の一体感が生まれやすくなります。
果たすべき使命とは、企業の存在意義や目的を定義し、日々の行動や意思決定の基礎となります。使命を明確にし、社員一人ひとりが理解する状態にすること、つまりミッションの浸透は日常の業務に一貫性を持たせ、企業全体の方向性もブレずに保たせることができます。社員が使命に共感し、自分の役割を理解することで、企業文化が強固に根付く土壌が作られます。
価値観は、組織が大切にする信念や倫理観を表します。企業の行動原則として、価値観は社員の行動を規範化し、意思決定の際に基準となります。その中でも、コアバリューと呼ばれる中心的な価値観は、企業文化の中核となる要素です。価値観が共有されることで、組織内の信頼関係が深まり、協力的な文化が形成されやすくなります。誠実さや透明性などの価値観があると、外部からの信頼も得やすくなります。
慣行は、企業内で日常的に行われる具体的な行動や業務プロセスです。これらの慣行が価値観と一致している場合、企業文化の醸成につながります。たとえば、社員の多様性を重視する企業では、採用や昇進のプロセスにその姿勢が反映されます。慣行を通じて文化が体現されるため、企業は言葉だけでなく実践を通じて文化を形成することが重要です。
企業文化を具現化する最大の要素が、人材です。リーダーシップや従業員の行動が企業文化のモデルとなり、彼らの価値観や信念が組織全体に影響を与えます。適切な人材育成や採用は、企業文化の強化に直接的な影響を及ぼします。共通の価値観やビジョンを持つ社員が増えることで、組織全体が一体となった文化を形成することが可能となります。
企業の成功や成長にまつわるストーリーは、文化を強化する重要な要素です。創業時のエピソードやリーダーシップの事例など、組織内外で共有される物語が、企業の価値観や使命を体現します。これにより、社員は企業理念や目標に共感しやすくなり、一体感を持って業務に取り組むようになります。ストーリーは文化を伝える強力なツールと言えます。
職場環境や物理的な場所も、企業文化に大きく影響を与えます。オフィスのレイアウトやデザイン、仕事の進め方を反映した空間は、従業員のコミュニケーションやコラボレーションを促進します。たとえば、オープンスペースを重視する企業は、透明性や協働の文化を強化します。物理的な環境が文化と一致することで、働きやすい雰囲気を作り出し、従業員のモチベーションアップにもつながります。
企業文化は、外部からの影響も受けます。社会的なトレンド、業界標準、規制、顧客や取引先からのフィードバックなどが、企業の価値観や慣行に影響を与えることがあるからです。外部からの期待や要請に柔軟に対応しながらも、企業としての一貫した価値観を維持することが重要です。外部環境とのバランスを取ることで、持続可能な企業文化が形成されます。
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Asana で生産性が向上する理由しかし実際のところ、企業文化を形成するためにはどうすればよいのでしょうか?すべての会社には、その会社独自の文化があります。そして、文化の独自性を決める一端を担うのは、それを形づくる意思決定者自身です。ここで紹介する 6 つのポイントは、企業文化を形成するうえで役立ちます。
共通の価値観を築き、それを実践することは、よい企業文化の基盤となります。組織の基本的価値観は、そのメンバーが互いにどのように接し合い、従業員がどのような扱いを期待でき、会社で働く人全員が共有する中心的な価値観はどのようなものであるかを表します。
価値観は上意下達で決めるのではなく、文化的な価値観を共創する機会をチームに与えることが大切です。会社の価値観は、会社自体と同様に、従業員の心をとらえる、魂が込められた、ダイナミックな存在であるべきです。
時にそれは、価値観を見直したり、刷新したりすることを意味し、特に会社の成長に伴いそういった対応が必要な場合も多々あります。価値観を刷新することは、それを磨き上げたり、定義し直したり、会社の現在の成長段階に合わせて新しい価値観を築く上で効果的な方法です。
実は Asana でも、まさにそれを目的とする価値観の刷新を数年前に実施しました。その結果、以下のような価値観を掲げるに至りました。
企業文化の主要な要素は、チームメンバーの帰属意識を尊重することで、それを実現するためには、まずダイバーシティ、インクルージョン、帰属意識が必要です。多様な人材を結集することは、公正であるだけでなく、実際にチームに競争的優位性を与えます。調査によると、より多様なチームを有する会社は、より革新性に優れ、よりよい意思決定を行い、財務目標をより効果的に達成します。
それでは、ダイバーシティに投資するにはどのような方法があるのでしょうか?既存の文化にダイバーシティを組み込むには、以下のような方法で実施するのが効果的です。
多様な文化を築くには、まずスタート地点、つまり採用とオンボーディングから始めます。研修を通じて、オンボーディングのプロセスの際にインクルーシブな環境をつくる方法を採用担当マネージャーに習得してもらいましょう。過小評価グループからの候補者を惹きつけ、獲得しましょう。候補者にとってインクルーシブな面接体験を実現するために注力しましょう。そして、採用プロセスとオンボーディングプロセスのすべての段階でダイバーシティとインクルージョンを推進するよう人事チームと人材獲得チームを教育しましょう。
ERG は、過小評価グループやアライ (支援者) たちにとって信頼できる安全な場です。そのスペースでは、チームメンバー全員がコミュニティの一員であるという感覚と帰属意識が培われます。ERG は、通常会社レベルで設けられることが多いですが、通常は職場文化の形成に自ら貢献することを望むチームメンバーにより統率されます。
メンバー全員がチームの一員として受け入れられていると感じ、帰属意識を持てるようにするためには、職場でありのままの自分でいられる安全なスペースをつくることが大切です。たとえば、Asana では、アイデンティティや職場の課題など、複雑で話しにくいことも多いトピックを語り合うための「リアルトーク」と呼ばれるイベントを開催しています。そこで繰り広げられる率直でオープンな会話は、チームメンバーがありのままの自分を表現できる場をつくります。
チームメイトがありのままの自分でいられるようにするもう 1 つの方法は、職場を誰もが安心してそこにいられるスペースにすることです。たとえば、働く母親専用の育児室、祈祷室、あらゆるアイデンティティの方のための性別不問のトイレ、身体に障害がある方を含めすべての人が利用できるアクセシビリティなどがその例です。
記事: Asana のダイバーシティ、インクルージョン、公正への取り組みインクルーシブな文化は、その中核が信頼に根ざしている必要があります。従業員が安心してありのままの自分を表現し、試し、リスクを取り、試行錯誤し、結果として個人もチームも成功を勝ち取れる文化が必要です。組織の文化を築く一環として欠かせないのは、従業員が、肩書き、所属、勤務年数に関わらず「自分はチームの一員として受け入れられているし、アイデアや考えを共有することを奨励されている」と感じられるようなスペースを作ることです。
相互の信頼を支えるために、チームメンバー同士が直接関わり合い、率直な思いを共有し合える明確な方法を設けましょう。これを企業文化に組み込むいくつかの方法を以下に紹介します。
チームメンバーに対する信頼感を行動で示す方法の 1 つは、会社のリーダーと話せるようにし、疑問に思うことを自由に質問できる場を設けることです。エグゼクティブチームを全員招待するか、月次の Q & A セッションに毎回異なる役員を招いて従業員が何でも直接質問できる場を用意しましょう。オープンに質問に応じる姿勢を従業員に見せることは、相互の信頼感を強めます。
オープンであるということは、チームメンバーからの批判的なフィードバックも受け入れることも意味します。意外にも意見の不一致は、優れたチームのコラボレーションに欠かせない要素であり、建設的批判は、チームメンバーの間の距離を縮める効果があります。詳細は、建設的なフィードバックを与え、受け入れる方法についての記事をご覧ください。
チームで仕事をしていれば、誰しも「今何が起こっているのか」、「意思決定を知らされたけれどその理由は何なのか」といったことをただ把握したいときがあります。情報は必要な限り公開しましょう。もしくは、一元的な情報源を使って重要な意思決定をチーム全員と共有しましょう。Asana ではもちろん Asana を使用することで、チームの足並みを揃え、全体像を共有しています。
信頼関係を築くことは、根本的には、意思決定プロセスの一部において、責任者としての役割をチームメンバーに与えることを意味します。これを行う方法は各種ありますが、最も効果的な方法の 1 つは、リーダーとしての責任を他のチームメンバーに配分することです。そうすることでメンバーは自分たちが機械的なプロセスに従って動くロボットのような存在ではなく、主体性を持つ貴重な協力者として見なされていると実感できます。
記事: 社内の全員に権限を分散させる方法Asana では、AOR (Area of Responsibility、責任範囲) というシステムを用いてこれを実践しています。AOR は組織内の各領域における責任を最も適材適所のチームメンバーに配分するという仕組みになっていて、このシステムのおかげで管理職に直接就いていないメンバーや新入社員にも、リーダーとして成長し、重要な意思決定の責任を持つ機会が与えられます。
明確性は、よい仕事環境を維持するために不可欠であるため、よい企業文化においても欠かせません。チームやツールの違いにより仕事がタコツボ化され、追跡しにくくなることはよくあります。行うべき仕事とそれが重要な理由を明確に理解しなければ、目的地とは異なる方向に一生懸命自転車をこぐようなものです。
日々の業務を会社目標と結びつける明確で具体的な方法がなければ、まずそれを必ず確立しましょう。最新の調査によると、個人の仕事が会社の目標にどう関連しているのか明確に理解しているナレッジワーカーは、全体のわずか 26% です。その理由は、パワーポイントやエクセルで設定した目標を四半期毎に確認するだけでは、毎日継続的に行われている実務とのつながりが把握できないからです。
もっとよい方法として、仕事を実際に行うのと同じ場所で会社目標を追跡することで、チームの意欲を向上させ、明確性を実現できます。毎日の仕事をチームメンバーが取り組んでいるプロジェクトに結びつける目標管理ソフトウェアを見つけましょう。それにより、チームメンバーは、自分がどの目標にどのような形で貢献しているのか明確に把握できます。
記事: 明確な目的、計画、責任を持ってリードする方法毎日の仕事につながるチーム目標・企業目標は何かを明確にし、パフォーマンス向上を目指しましょう。Asana なら、各指標の達成度や達成状況を一目で把握し、チーム全体でシェアできます。
目標設定ソフトウェア Asana で目標と毎日の仕事をつなげる企業文化は、たとえば広告を見たり、採用担当者からの電話を受けたり、面接のために会社に訪れたり、入社初日に出勤したりなど、従業員が企業と初めて接触を持つ瞬間に始まります。メンバー全員がチームの一員として自分が受け入れられていることを実感し、採用プロセスとオンボーディングプロセスを明確に理解し、成功するために必要な情報にアクセスできることは、インクルーシブで強い企業カルチャーを築くために欠かせません。
強い企業文化を生むインクルーシブな採用プロセスを築くには、さまざまな方法があります。
ペイエクイティとアクセス可能な報酬。さまざまな過小評価グループの賃金格差があるのは公知の事実です。インクルーシブな採用と健全な文化の主要な要素は、チームメンバーに対し均等な報酬が支払われているか否かです。貴社で報酬関連の主要なマトリクスの定期的な評価を性別と人種に基づき実施していない場合には、これを行いましょう。必要な場合には、より綿密なペイエクイティ分析を行い、チームメンバー全員に対し公正な報酬が確実に支払われるようにしましょう。
採用マネージャーを対象に無意識のバイアスに関する研修を実施する。無意識のバイアス (偏見) は、脳が短時間で情報を処理する際に使う精神的なショートカットです。これはすべての人が持つ脳の機能です。しかし、無意識のバイアスに対する認識が不十分な場合、偏った判断やステレオタイプの強化につながります。これを防ぐために、採用マネージャーとチームメンバーを対象に、職場における無意識のバイアスを認識し、撲滅するための研修を開催しましょう。何から始めればいいかわからないという方は、無意識の偏見の例と、それを克服し、インクルージョンを促進する方法に関する記事をお読みください。
企業文化とのフィットを評価することをやめる。採用担当者やチームメンバーが、「この候補者はうちの文化とフィットしている」というような評価の仕方をするのを耳にすることは、よくあるかと思います。しかし、このような言葉は誤った判断につながりかねません。企業文化とのフィットは、好感が持てたり、ポイティブな印象を持てたりする候補者がいる場合に、それを言い表すためによく使われる概念です。しかし、問題は、自分と似通っている人に対してそう感じる確率の方が高いことです。適合性の評価は重要ですが、採用候補者から受ける印象を言い表す際により正確な言葉で表現するよう採用担当者を教育しましょう。応募者は貴社の価値観を体現していますか?体現しているとしたら、それはどの価値観で、そう感じる理由は何ですか?会社のミッションとマッチしていますか?どのようにマッチしているのか、正確に説明しましょう。具体的な例や言葉を使えば、候補者を適正に評価しやすくなります。
ダイバーシティとインクルージョンがいかに重要であるか一番初めに明確に伝える。インクルーシブな文化を築くことが、貴社において優先課題であることをすべての応募者に伝えましょう。求人広告にインクルージョンに対する貴社のコミットメントを宣言する言葉が含まれていなければ、最後の項目としてそれを付け加えることを検討しましょう。たとえば、Asana では以下の文を使っています。
Asana は、チームメンバーが最高の仕事を遂行し、活躍できるようサポートすることを重視しており、ダイバーシティ (多様性)、エクイティ (公正性)、インクルージョン (包括性) のある会社を築くことは、当社のミッションの中核を占めます。当社の目標は、Asana の求人に応募する候補者であるか、当社で勤務中の従業員であるかに関わらず、すべての方が、平等な敬意を受け、尊重されていると感じられるインクルーシブ (包括的) な環境を守ることです。Asana は学歴、性自認と性表現、性的指向、宗教、民族、年齢、国籍、社会的経済地位、障害、兵役経験の有無に関わらずすべての応募者を歓迎します。
新しいチームメンバーを採用したら、貴社の企業文化を反映するオンボーディングプロセスを築きましょう。以下にその方法をいくつか紹介します。
新入社員にインクルージョンの重要性を伝える。新入社員に「自分はチームの一員として受け入れられている」と感じてもらうシンプルな方法は、オンボーディングの際にダイバーシティとインクルージョンを強調することです。D&I (ダイバーシティ & インクルージョン) オンボーディングセッションなどを通じてインクルージョンに対する貴社のコミットメントを共有すれば、貴社がインクルージョンを重視し、新しいチームメンバーの独自の個性を尊重していることを新入社員に実感してもらえます。
サポートと秩序を提供する。最初の数日は、新入社員にとってストレスを感じやすいときです。サポート体制を築き、自分たちが歓迎されていることを新入社員に実感してもらう簡単な方法の 1 つは、各新入社員に案内役の先輩社員 (直属のマネージャー以外) 1 人を割り当てる 2 人 1 組のペア体制です。親身なサポーターをマネージャー以外にも持つことで、新入社員は質問相手となる仲間を得て、より安心して第 1 週を乗り切れます。
新入社員に成功するために必要な資料とそれを確認するための時間を与える。 インクルーシブなオンボーディング体験を提供するためには、情報の取り入れ方が人により異なることを認識することが大切です。新入社員がオンボーディングセッションに参加する場合には、プレゼン資料や情報へのアクセスを提供し、各自が事後にも自分の都合のよいときに復習できるようにしましょう。また、各新入社員が自分の職務について新しい情報をすべて吸収できるよう、それを学ぶために十分な時間と機会を提供しましょう。
企業文化を築くことは多くの時間とたゆまぬ努力を必要としますが、よい文化のもとでは、チームメンバーが最大限に効果的な仕事を遂行できます。
初めての方も、上記のヒントを活用すれば、優れた企業文化の強い土台を築けます。それは自分 1 人だけでなく、チームメンバーも形成に参加することを心得ておきましょう。迷いを感じたら、誠実性と透明性をよりどころとしましょう。