タイムシートは、チームメンバーの勤務時間を記録し、企業の目標達成を後押しします。また、あまり知られていませんが、タイムシートはプロジェクト管理とチームパフォーマンスの確認にも有効です。この記事では、オンライン版の時間追跡ツールを毎日のワークフローに組み込み、チームの調整と柔軟性の向上に活用する方法をご紹介します。
タイムシートは、昔の映画でよく見た、打刻式のタイムカード以上の役割を持ちます。実は、現代のタイムシートはチームの仕事量の追跡確認や燃え尽き症候群の減少、チーム全体の進捗状況の評価にも有効です。
勤務時間の記録のほかにも、タイムシートはビジネス目標の達成と予算内での事業運営を後押しする効果があり、プロジェクトの成功とチームの成功を促進します。この記事では、タイムシートテンプレートの利用方法をご紹介し、併せてオンラインで時間追跡を実行するメリットも取り上げます。
従来のタイムシートは、毎日業務を開始する前に、あるいは週のはじめに印刷し、チームメンバーの勤務時間を記録するために使われます。紙で時間を記録する行為からは一定の満足感が得られる一方で、紛失する、変更が生じた際に使いものにならなくなる、信頼できる情報源が他に存在しないなど、いくつかデメリットもあります。
そのため、現代のチームはオンラインの時間追跡テクノロジーの利用へとシフトしているのです。オンライン版のタイムシートは、柔軟性を向上させ、リアルタイムで勤務時間を報告できます。紙のタイムシートとは異なり、オンラインのタイムシートでは次のことが可能です。
チームメンバー間でタイムシートを共有する
リアルタイムで変更を確認する
必要に応じてタイムシートを編集する
特定のプロジェクト専用のタイムシートを作成する
複数の変動要素をタイムシートに追加する
オンラインの時間追跡をチームが毎日使用するワークフローに統合することで、給与計算プロセスの簡素化につながるほか、チームの稼働可能状況や経費などの要素の管理にも役立ちます。さらに、残業と燃え尽き症候群を軽減する効果も見込めます。なお、紙のタイムシートを利用していたとしても、Asana を介してチームの作業量を調整できます。
Asana でチームの仕事量を管理するチームでどのタイムシートを使用するのかは、チームメンバーに給与が支払われる頻度と国や地域の法律の 2 つの要素に左右されます。タイムシートを会社の給与期間に合わせることで、明確に定義されたブロック内で時間を表示させたり、勤務時間をチームメンバーの給与と合わせたり、必要に応じてタイムシートを別の部署と共有したりできます。
一般的なタイムシートの種類を以下に挙げます。
デイリー: チームの業務スケジュールが複雑な場合、デイリータイムシートは有効です。1 日を通じて出勤や退勤にばらつきがあるチームメンバーは、注意して時間を記録する必要があります。また、デイリータイムシートでは、社内会議などの特定の日常的なタスク、庶務に費やした時間、クライアントのプロジェクトに割いた時間なども記録できます。
2 週間: 2 週間タイムシートでは、80 時間のタイムブロック単位でチームのパフォーマンスを視覚化できます。あなたの会社がチームメンバーに隔週で給与を支払っているなら、(国や地方の法律にもよりますが) 2 週間タイムシートが妥当かもしれません。
マンスリー: マンスリータイムシートも企業の給与期間に合わせて利用できますが、このタイムシートにはチームの勤務時間を総合的に見られるメリットがあります。マンスリータイムシートを使って、稼働率やチームワークのパターンを分析できます。
2 週間かマンスリーベースのタイムシートを選ぶチームが主流ですが、特定のタイムシートの種類を選択して、業務面のインサイトを取得したり、チームメンバーが時間を記録しやすいように工夫することも可能です。ただし、チームのタイムシートを変更する前に、必ず社内の法務部や人事部と協議して、考慮する必要がある地域または国の法律の有無を確認しましょう。
タイムシートの使い方は簡単ですが、誤った情報を入力してしまうと不正確な給与額が計算され、修正に手間取る可能性があります。以下のプロセスをチームに説明すれば、プロジェクトのリスクや給与額の誤りを未然に防げます。
時間追跡のプロセスでは、まずタイムシートテンプレートを選択します。テンプレートでは、予め時間が設定されており、必要に応じて変更を加えていきます。社内の法務部や人事部と協議し、チームの給与期間と合うテンプレートを選択しましょう。たとえば、各シートの下部に書かれた出勤時間の合計が、チームメンバーの毎月の給与額に対応するようにします。重視するのがチームの生産性であれ、クライアントへの請求であれ、タイムシートをカスタマイズして、チームのニーズに合わせられます。
たとえば、プロジェクトのタイムシートでは、プロジェクトのタスクに関連してチームメンバーの勤務時間を記録できます。また、チームメンバーは、1 日を通してさまざまなクライアントのプロジェクトに割いた時間をベースに、勤務時間を記録することも可能です。
ヒント: リモート勤務やフリーランス契約のメンバーが参加しているため、チームの業務スケジュールにばらつきがある場合は、法務部や人事部と話し合い、列には「時間」を、行には「日」を入力する特別なデータ表を用いて、オリジナルのタイムシートテンプレートを作成しましょう。チームのニーズに合うように表を調整できます。
各メンバーにそれぞれ別々のタイムシートテンプレートを用意する必要があります。そのため、各タイムシートの一番上には、次のような見出しのセクションを設けましょう。
チームメンバーの名前
マネージャーの名前
部署
給与期間
賃金率
上記の情報はタイムシートの整理に役立ち、また、一定の方法で長期にわたってタイムシートを追跡管理できるようになります。
ヒント: オンラインで時間追跡を行うことで、タイムシートの整理が楽になります。Asana のワークロード管理機能を使って、時間追跡ツールを統合し、必要に応じて過去のタイムシートを参照できます。こうすることで、タイムシートを他の部署と共有したり、パフォーマンス評価の準備に活用したり、クライアントに請求を行ったりできるようになります。
Asana でチームの仕事量を管理するカスタムカテゴリをタイムシートテンプレートに加えることで、チームの作業時間の全体像をより正確に把握できるようになります。盛り込むことが可能なカテゴリをいくつか以下に記載します。
残業時間
休暇時間
病欠時間
また、使用するタイムシートによっては、次のカテゴリを加えられます。
プロジェクトごとの時間
請求可能時間
会議参加時間の合計
移動時間
管理タスク (メール、タスク管理、週ごとのレポートなど)
カスタムカテゴリを利用しない場合、デスクから離れている時間が給与に反映されない可能性があります。また、チームメンバーは経過した時間を記録せず、時間の報告を忘れてしまう恐れもあります。
ヒント: ただし、タイムシートテンプレートに追加するカテゴリが多すぎても、同様の問題が生じ、チームメンバーは正確に時間を記録することに苦労する可能性があります。重複するカテゴリ (たとえば、請求可能時間とクライアントごとの時間) が含まれないようにするくらいがちょうど良いでしょう。このアプローチは、どちらのセクションにも時間を報告し忘れてしまう事態を防ぐ上で有効です。
新しいタイムシートを使用する前に、タイムシートに情報を正しく入力する方法を学ぶ研修の実施を、法務部や人事部に依頼しましょう。他にも以下のようなルールが適用される場合は、それらについても説明してもらうと良いでしょう。
タイムシートの提出期限
残業への対応
タイムシートの提出が遅れた場合の対応
適切な知識を持つチームメンバーに研修を実施してもらい、支払いに関する地域または国の法律についての説明を要請しましょう。
タイムシートの効果的な使い方を学んだら、チームメンバーは責任を持って適切にタイムシートに情報を入力します。チームのリーダーがチームメンバー全員の居場所と行動を把握することは難しいため、時間の記録はチームメンバーに任せるべきです。チームメンバーが時間を記録する際は、必要に応じてサポートしましょう。
また、チームメンバーに時間を効率的に記録する方法を紹介することも可能です。以下に、いくつかアイデアを挙げます。
タイマーを使って、プロジェクトの時間を記録する。
作業を開始する際に時間を報告する、またはプロジェクトの進捗状況を明記する。
毎日出勤時と退勤時に時間を記録する。
時間追跡のプロセスを用意することで、チームメンバーは 1 日中仕事に集中できるようになります。
ヒント: 時間追跡を仕事のプロセスの流れの一つに定めれば、習慣としてチームに定着します。変化に対応できないタイムシートテンプレートを使う代わりに、タスクをオンラインツールに入力し、楽に追跡できる環境を作ると良いでしょう。
シンプルなタイムシートテンプレートには、勤務時間の合計が明記されていますが、各勤務日の勤務時間を足して、合計時間を割り出さなければなりません。会社の給与期間と一致するタイムシートを利用するメリットは、タイムシートに記載されている勤務時間の合計を見れば、チームメンバーは当該の期間に会社から支払われる給与の金額を把握できることです。
また、タイムシートで合計時間を計算することで、チームの稼働可能状況を確認し、今後のプロジェクト計画に活用できるメリットもあります。残業が目立つ領域を見つけたら、この情報を用いて仕事のスケジュールを状況に応じて調整しましょう。
ヒント: 勤務時間の合計を楽に計算するには、オンラインソフトウェアを利用するべきです。タイムシートのすべてに目を通していくのではなく、自動計算機能とデータ表機能を使って、勤務時間を見える化しましょう。こうすることで、従来のやり方では気づかなかったであろうパターンを特定できる可能性があります。
記事: ビギナーズガイド: データに基づいた意思決定以下に、2 週間タイムシートの例を掲載します。この例では、チームメンバーは週の各曜日に以下のさまざまな項目に入力します。
勤務開始時刻
昼休み開始時刻
昼休み終了時刻
勤務終了時刻
休暇 / 病欠
通常勤務時間
残業時間
合計勤務時間
このタイムシートテンプレートには、昼休みや欠勤、残業などの多くの変動要素が含まれています。チームメンバーが正確に時間を報告していれば、このテンプレートは勤務時間を正確に反映するはずです。テンプレートを人事部に提出する前に、間違いがないかどうか確認するように心掛けましょう。
以下から、この2 週間タイムシートを無料でダウンロードできます。また、このテンプレートを参考にして、デイリー、ウィークリー、マンスリーのタイムシートテンプレートをチームに用意することもできます。なお、このテンプレートを使用する前に、法務部や人事部に確認してもらい、必要に応じて修正を加えましょう。
無料の2 週間タイムシートテンプレート紙のタイムシートテンプレートは、チームの仕事のスケジュールを整理する際の出発点としては役に立つかもしれませんが、柔軟に誤りを修正したり、リアルタイムで時間を記録したり、チームのパフォーマンスを追跡確認したりしたいなら、オンライン版の時間追跡ツールの利用をおすすめします。Asana をはじめとするワークマネジメントプラットフォームなら、仕事の躍動感をそのままに、1 つのプラットフォームでワークフローから時間の追跡にいたるまで、あらゆるものを管理できます。
Asana でワークフローを管理する