自己評価テンプレートを使って人事評価プロセスをレベルアップ

Asana チーム 寄稿者の画像Team Asana
2024年2月21日
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概要

人事評価プロセスには、従業員もマネージャーもストレスを感じるものです。このプロセスを自己評価から始めることにより、双方の負担を軽減しましょう。従業員はこの 1 年を振り返って、直属の上司との人事評価ミーティングに臨む準備ができ、マネージャー側にとっては、部下が自覚している強みや課題、目標、要望などを深く知る貴重な機会になります。

自己評価 (セルフアセスメント) とは、従業員が自身のパフォーマンスを振り返り、目標を設定し直し、要望を伝えるための便利なツールです。

四半期、半期、年一回などの人事評価を行う際は、まず従業員の自己評価からプロセスを開始しましょう。これによって従業員は、本番の人事評価ミーティングで萎縮したり、今後に不安を覚えたりするのではなく、上司と対話しながら過去のパフォーマンスを振り返ることができます。

この記事では、自己評価によって人事評価プロセスがどのように改善されるのかを見ていき、よくある質問への答え方の例を紹介します。記事には無料の自己評価テンプレートが付属していますので、次の人事評価にぜひご活用ください。

自己評価のメリットとは?

人事評価プロセスを自己評価から始めることは、マネージャーとチーム双方にとってよいことずくめ。マネージャーは、チームメンバーがそれぞれのパフォーマンスについてどう考えているかを理解でき、チームメンバーにとっては、単に評価を言い渡されるのではなく、自分の仕事ぶりを振り返る機会になります。

しかもそれだけではありません。ここでは自己評価を行うことで得られる 6 つの大きなメリットをご紹介します。

自己評価の 6 つのメリット
Asana で目標を設定し、達成する

個人的成長が促される

2 つのシナリオを考えてみましょう。第 1 のシナリオでは、あなたは部下に、「君の問題解決スキルは不十分だから、改善の必要がある」と伝えます。第 2 のシナリオでは、部下自身が自分の問題解決スキルには改善の余地があると自覚して、しかもそのスキルを伸ばす方法について自分なりの考えをもってあなたのところへやってきます。

部下のモチベーションがより高いシナリオはどちらかといえば、第 2 のシナリオでしょう。なぜならこのチームメンバーには、自分のパフォーマンスを振り返り、自分なりの結論に至る時間の余裕があるからです。振り返りは目標達成能力への自信を深め、全体のパフォーマンスに影響を与える可能性があるという、ハーバード大学ビジネススクールの研究もこのことを裏付けています。

自己評価は、個人にとって自身が組織にもたらしているインパクトを再認識し、今後、自分の役目をどのように追求して成長していきたいかを考える素晴らしいチャンスになります。

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役割と責任がより明確になる

役割、責任、成果物の目的が不明確だと、チームのパフォーマンスが低下します。中でも役割と責任が不明瞭な場合、業務が実行されなかったり、コミュニケーションのミスが起きたりするだけでなく、仕事の重複という最悪の事態にもつながりかねません。実際、2021年版「仕事の解剖学」のレポートでは、すでに完了したタスクに 236 時間を超える時間が無駄に費やされていることが示されています。

自己評価では、従業員は自身の役割と責任について再確認する必要があり、このプロセスで自分に期待されていることが何かが明確になります。この作業はチームメンバーが役割に求められる責任を果たせていない場合や、役割を逸脱しがちな場合に特に有効です。

従業員満足度が向上する

従業員満足度を向上させる確実な方法は、エンゲージメントを高めることです。主体的にキャリアの成長を追求し、組織に対して自身が果たしている貢献を自覚し、マネージャーに意見を聞いてもらえると感じていれば、その従業員の仕事への満足度は高い傾向にあります。

マネージャーが考えをいきなり伝えるのではなく、従業員に自分自身を評価させれば、従業員がエンゲージメントを深める機会を与えることになり、マネージャーは職場における全般的な満足度を高めることに積極的に貢献できます。

チームの仕事をより正確に把握できる

現実的には、マネージャーはあらゆるプロジェクトやタスクに関わっているわけではありません。チームメンバーの達成事項の概要は把握していても、すべての詳細を知っていることは少ないものです。そのため、あるタスクの難しさを認識していなかったり、目標を達成したチームメンバーの誇らしい気持ちに気づけなかったりということはあるかもしれません。

今期全体を通して達成したことについて、誰よりもよく知っているのはチームメンバー本人です。自己評価シートを使えば、従業員はそうした業務のすべてをアピールできます。こうして従業員は達成感を高め、マネージャーは部下が特に誇らしく思っている仕事を把握できます。つまり、自己評価は双方にメリットがあるのです。

チームのコミュニケーションスキル向上につながる

自分の成果についてはなかなか言い出しにくいものですが、多くの自己評価シートでは、従業員は自分の達成したことを書き、仕事ぶりについてきちんと文章で振り返る必要があります。このスキルを身につけておくと、キャリア形成に関する話し合いや、履歴書の作成、ネットワーキングなどでも大いに役立ちます。

自己評価に取り組むことで、従業員は自身の成果と目標を明確かつ正確に文章で伝える方法を習得し、コミュニケーションスキルを磨けます。また、成果について語るチャンスを与えられると、従業員の自信アップにもつながります。

信頼関係を築く

評価をいきなり突きつけるのではなく、チームメンバーに自己評価の機会を与えるマネージャーは、ボールを相手に投げたのと同じです。そのため自己評価を行った後の 1on1 ミーティングは、信頼関係を築く絶好の機会になります。会話の主導権をチームメンバーに委ねましょう。自分の強み、改善が必要な課題点、目標など、本人が自己評価に記入した内容をさらに詳しく説明するように求めてください。

直属の上司と信頼関係を築いている従業員は、多くの場合、会社が支援的であると感じ、自分の業務の振り返りを行い、結果としてより優れたパフォーマンスを発揮します。

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自己評価をレベルアップする 6 つのコツと例

自己評価の最大のハードルは、単にボックスにチェックマークを入れるのと違って、自分のパフォーマンスについて文章で書かなければならないことです。文章で書けば、他の評価方法に比べて仕事ぶりについて細かく掘り下げて説明できるとはいえ、ふさわしい言葉がなかなか見つからないこともあるでしょう。

この記事では、自分の自己評価シートを書くマネージャーにも、初めてこうしたパフォーマンス評価に臨む一般社員にも有効な、優れた自己評価を書くための 6 つのコツをご紹介します。

優れた自己評価を書く 6 つのコツ

1. 正直になる

言うまでもないことですが、仕事ぶりについてアピールし過ぎるのも、逆に控え目になり過ぎるのも禁物です。自分に正直に、謙虚さを保ちつつ、ちょうどよいバランスで、あなたが誇らしく思っている成果を強調しましょう。

  • 悪い例: この 1 年で、13 回のウェビナーを開催し、大成功を収めました。

  • よい例: この 1 年でウェビナーを 13 回開催し、その多くで積極的な参加者のエンゲージメントが得られ、活発な会話が行われました。しかし自分としては、参加者が消極的な場合に、質問をうまく促す進行スキルを改善する必要があると考えます。自分の持つリーダーシップと心の知能スキルを活用すれば、遠慮がちな参加者の心を開き、率直に質問してもらえるようにできると確信しています。

2. 具体的かつ正確に

多くの自己評価テンプレートには、あらかじめ記入欄が設定されていますが、これには理由があります。長々と書き連ねる必要はありませんが、簡単すぎて上司があなたの意図をはかりかねるのも問題だからです。書き始める前に、上司に何を伝えたいのかをよく吟味しましょう。その上で、前置きはなるべく短く、正確に要点を伝えます。

  • 悪い例: 私はチームメイトからの評判がいいです。

  • よい例: 私はチームメンバーにとって居心地よい雰囲気を作り、歓迎されていると感じてもらうことが得意です。仕事を任せるべきタイミングや、建設的なフィードバックを行う方法、どのタスクを引き受ければチームとプロジェクトの成功につながるかを心得ているため、コラボレーションを必要とする部門横断的な業務で成果を出しています。

3. 常に前向きに

仕事で満足できない時期がある場合や、単に自分の仕事ぶりに失望している場合も、必ず前向きに、今後の目標を見据えた自己評価を書きましょう。目標に到達できなかった自分を責めるよりも、その失敗を次期の新しい目標や、成長のチャンスととらえてください。

前向きな自己評価を示すことによって、あなたが自分の成長への課題を自覚しており、次期に向かって目標を達成する方法をすでに考えているという印象を上司に与えることができます。

  • 悪い例: プロジェクトを達成できませんでした。

  • よい例: 昨年はサプライチェーンの滞りにより、担当プロジェクトにいくつかの問題が生じました。プロジェクトを完了することはできなかったのですが、チームと協力し、必要な生産量の 30% を外注することで不足分を部分的に賄っています。私としては、見直されたタイムラインに従い、今年 4月に製品リリースに漕ぎつける見通しに自信を持っています。

4. 例を挙げ、成果を数字で表す

自己評価では、あなたの成果と、目標に達しなかった点の具体例を示すことができます。可能な限り、成果を数値で表しましょう。こうしたデータがあれば、人事評価ミーティングでマネージャーがより有益な質問をするにも役立ちます。

  • 悪い例: 今期は、当社のビジネスプロフィールに新規顧客を多数追加できました。

  • よい例: 今期は、86 件の見込み顧客にコンタクトをとり、そのうち 21 件で新規顧客へのコンバージョンに成功しました。前期の顧客転換数が見込み顧客 75 件中 13 件だったことから見て、今期はピッチの質と量を共に改善できたと考えます。

5. SMART な目標を活用する

パフォーマンス評価は、過去のパフォーマンスを振り返るだけでなく、次期に向けた新たな目標を設定するチャンスでもあります。具体的 (Specific)、測定可能 (Measurable)、達成可能 (Achievable)、現実的 (Realistic) で、期限がある (Time-bound) 目標を自分のために設定すれば、次の人事評価ではこうした指標をもとに自己評価を書くことができます。

  • 悪い例: もっと売上を増やしたいと思います。

  • よい例: 週次セールスミーティングに参加し、新たな戦略、達成事項、教訓などをチームで共有することによって、6月までに売上を 30% アップします。

記事: よりよい SMART な目標作成のためのヒントと実例

6. 年間を通じて成果を追跡する

最後に、自己評価の作成を簡単にするコツをご紹介します。人事評価の対象期間を通じて成果を追跡しておきましょう。リストをこまめに更新していれば、自己評価を書く当日に成果を慌ててかき集める事態になりません。

もしまだツールを取り入れてなければ、自分の仕事すべてを管理する To-Do リストツールを使ってみましょう。ツールを使えば、自己評価を書くべきときが来ても、完了した業務をクリックしたり、重要なマイルストーンをチェックするだけで、レポートに何を盛り込むべきかがすぐにわかります。

Asana で仕事を整理

自己評価テンプレート (実例付)

次に、コミュニケーションスペシャリストが記入した自己評価の例をご覧ください。あなたがマネージャーなら、Asana のテンプレートを使って、自己評価を人事評価プロセスに組み込みましょう。あなた自身が近く自己評価を行う機会がある場合は、テンプレートを使って振り返りや書き方のスキルを高め、本番に備えてください。

自己評価テンプレートの例

この自己評価テンプレートの白紙のバージョンは、こちらでダウンロードできます。

無料の自己評価テンプレート

自己評価の参考文例

自己評価をどう書いていいかわからないときは、この文例をもとに、空欄を埋めて作成してみましょう。

「今 [四半期、年など期間]、私は [具体的な手段] によって [具体的な実績] をあげました。[必要に応じてさらに詳しく説明を加える]」

例: 今四半期、私はポモドーロテクニックを使って時間管理スキルを改善することによって、プロジェクトすべてを期限内に完了させました。さらに、カレンダーで毎朝 2 時間をブロッキングし、メールへの対応と 1 日の目標を立てることに集中しました。

次の人事評価期間の目標を設定する場合の文例は、以下を参考にしてください。

「自分のパフォーマンスを振り返ることで、[具体的な課題点] について努力が必要であることがわかりました。[課題点] を改善することによって、[改善が必要な理由] を解消できると考えます。私の目標は、[SMART な目標に沿った説明] です」

例: 自分のパフォーマンスを振り返ることで、私はクリエイティビティを高め、得意分野以外のデザインに取り組む必要があることがわかりました。人物を描く技術を高めてポートフォリオの幅を広げれば、より多様なクライアントと働く機会が得られると考えます。私の目標は、平日は毎日 30 分、人物を描くことに費やし、毎週の 1on1 ミーティングで上司と進歩を確認し、次の人事評価までにこのスキルに自信を持てるようにすることです。

Asana を使って目標を設定し、追跡し、達成する

自己評価を行うと、チームメンバーはそれぞれ、自分の成長機会をよりよく把握できます。これは、自分なりの新しい目標を設定する最適なタイミングにもなります。

Asana の目標設定ツールなら、チームメンバーがそれぞれ、自身の目標を設定して追跡できます。Asana を使って、リアルタイムで目標に向けた進歩を確認するのはもちろん、達成したことを振り返り、成果を確実に把握して自己評価を行いましょう。

Asana で目標を設定し、達成する

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