フィードバックはビジネスパーソンにとって習得すべきスキルのひとつと言われますが、苦手意識を持つ人も多いのではないでしょうか?この記事では、フィードバックについての基礎知識をまとめ、苦手意識を払拭するためのヒントを 20 個ご紹介します。効果的なやり方や伝え方を知って、フィードバックの効果を存分に得ましょう。
更新: この記事は、フィードバックのメリットに関するさらに詳しい記述を含めて 2023年 6月に改訂されました。
フィードバック (feedback) をするのが苦手という人はたくさんいます。フィードバックとは、職場での効果的なコミュニケーションを生み出す大切な要素の 1 つであるにもかかわらず、建設的に行う方法がよくわからないという人は少なくありません。進んでフィードバックを行う場合から建設的批判をする場合まで、役に立つフィードバックを与えることは、習得可能なスキルの 1 つです。効果的にフィードバックをできるよう、以下に紹介する基本的知識と 20 個のヒントを活用してみてください。
フィードバックは、本来の意味とビジネスシーンで使われる意味とでニュアンスに違いがあります。基本的な意味とビジネスシーンでの意味の違いを区別しておくと、意味の理解を深められるでしょう。
まずは、本来の意味とビジネスシーンでの意味の違いを確認していきます。
フィードバックの本来の意味は、情報処理装置における出力結果を見て、自動的に原因を調整することです。つまり、ITや工学用語に近く、オートメーション装置に由来するものでした。
水槽の水温を調整するヒーターのシステムを例に挙げましょう。
入力装置に「設定したい水槽の温度」を入力すると、入力された温度になるようにヒーターが調整されます。水槽は温度を計り、入力装置に温度を通知します。入力装置は、設定したい温度との差分を見ながら「入力する水温の値」を調整すれば、水温を設定したい温度に近づけていくことができるわけです。
この例では、「水槽の温度を入力装置に通知する」部分がフィードバックとなります。
ビジネスシーンで使われるフィードバックとは、得られた情報を、やり方に反映させることです。つまり、「このようにしたらどうか」という意見を取り入れて、品質を上げる目的があります。
例えば、商品を販売した後に、消費者からの要望を聞き、商品に要望を反映させていくなどがわかりやすいでしょう。あるいは、従業員が作成した成果物を上司が見て、「もっとこうしたら、このように良くなる」などのアドバイスをし、さらに品質の高い成果物に仕上げていくのもフィードバックです。
一般的には、上長が部下に対して評価やアドバイスをすることをフィードバックといい、上述した本来のフィードバックの意味と本質は同じだということになります。
メールやチャット、スプレッドシートなど、異なる場所に情報を点在化させるのではなく、一か所に整理整頓することで、業務効率は向上します。ワークマネジメントツール Asana に情報を集約して、業務効率化を始めましょう。
チーム内で効率的にコミュニケーションを取るには?フィードバックとはただ闇雲に行うのではなく、何のためにしているのかを常に念頭に置いて行うことで、以下のようなメリットがあります。
フィードバックを積極的に取り組み行う第一の目的は、目標を達成することにあります。プロジェクトレベルの目標でももっと大きな企業目標でも、効果的なフィードバックとは正しくその目標へ進んでいくためのツールと言えるでしょう。
電子書籍をダウンロード: Asana の OKR 設定作戦ブックフィードバックで、目標の軌道修正が行えます。 例えば、部下が提出した成果物が、「このままでは目的とずれてしまう」ことがわかった場合、上司はその場で軌道修正するためのフィードバックを行うのです。フィードバックがなければ、目的とずれた成果物が完成してしまい、手戻りが発生する可能性があります。
的確なフィードバックは良いアドバイスとなり、結果的に相手の成長を促すものです。自分ひとりでは気づけなかった点を指摘してもらうことで、対象者のスキルアップをサポートすることもできるでしょう。
フィードバックとは、指摘や評価をするものです。 従って、良い点についてはもちろん、改善点についても「このような方向性で修正するとよいでしょう」など、品質向上のアドバイスを行います。「こうすれば良くなる」ことがわかるため、フィードバックを受ける者は、業務に対するモチベーションの向上も期待できるのです。
上記を総括し、フィードバックはパフォーマンスの向上にもつながります。良いフィードバックは仕事へのモチベーションを上げ、それがスキルアップと生産性の向上につながり、結果としてパフォーマンスの向上をもたらします。
フィードバックとは、受ける側だけが成長するものではありません。フィードバックをする側にも、スキルアップが望めます。的確なフィードバックを行うには、知識や経験が必要であり、さらに部下の意図を汲む能力も欠かせません。また、伝え方や接し方についても考慮する必要があるため、フィードバックを行う人にも幅広いスキルが身につくのです。
効果的なフィードバックは、結果として与える側と与えられる側の強い信頼関係を築きます。定期的に業務のフィードバックを行う場を設けることで、チーム内のコミュニケーションも活性化するでしょう。
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チーム内で効率的にコミュニケーションを取るには?フィードバックには、大きく 2 つのタイプがあります。
ポジティブフィードバック: 対象者の行動を肯定的に捉えて行うフィードバック。相手の自己肯定感やモチベーションを上げるのに好ましいものの、さらなる成長を促す助言を含むことも忘れないようにすることが大切です。
ネガティブフィードバック: 問題点や改善点を直に指摘するフィードバックの方法です。方向性の軌道修正や改善策を模索させるには効果的な方法ですが、相手にストレスを与える可能性もあるので、伝え方には十分注意が必要です。
ティーチングとは、教えるスキルのことです。 ビジネスを他人に教えるためには、業務に関わる深い知識や経験が必要でしょう。 業務知識と経験を得て、それをさまざまな表現で教えるスキル、つまりティーチングできることがフィードバックするために必要な知識のひとつです。
コーチングとは、相手の意見を傾聴し、問いかけ、相手自身に気づきを与えることで成長をうながす方法のひとつです。つまり、主体的な行動による自発的な成長をサポートするためのスキルだといえます。
フィードバックでは、完全な答えをアドバイスすることもあれば、答えを与えずに気づきを与えることが重要な場面もあります。双方を上手く使うことで、理想的な効果を期待できるフィードバックとなるのです。そのためにも、傾聴を主としたコーチングスキルを身につけておくことが大切です。
フィードバックと混同されるビジネス用語に「フィードフォーワード」があります。フィードバックとフィードフォーワードの違いは、意見や指摘を行うときの焦点です。フィードフォーワードとは、未来に焦点を当てて解決策や改善策を話し合うことを指しているため、すでに起こった過去の行動に焦点を当てて行うフィードバックとは異なります。
それでは、ビジネスシーンにおける「フィードバック」が、文章や会話に使われる例をみていきましょう。
【文章の例】
消費者から商品に対するフィードバックをもらう
フィードバックを反映して、成果物をブラッシュアップする
フィードバックに従って、文章を修正する
【会話の例】
「企画書を作成しましたので、フィードバックをいただけますでしょうか」
「提出いただいた文書に関してフィードバックを行いましたので、ご確認ください」
「お客様のフィードバックを、業務改善に役立てます」
どのようなフィードバックをする場合でも、まずは以下に紹介する 11 のヒントを念頭に置いておきましょう。フィードバックセッションに備えたり、誤解やネガティブな反応を減らしたりするのに役立ちます。
最も重要なのは、フィードバックは必ずプライベートに行うということです。公の場でのフィードバックは、ネガティブな内容にするつもりがなくても、そうなってしまう可能性が高いからです。
フィードバックをしたい相手と顔を合わせることが少ない場合は、ちょっと話をする時間がないかと尋ねてみましょう。可能であれば、「昨日やってくれた料金のプレゼンについてなんですが、15 分だけディスカッションする時間ないですか?」などと言って、ディスカッションのトピックについて言及しておけば、その相手はできるだけ準備をしてミーティングに臨むことができます。
フィードバックとは簡単に言えば振り返り作業なので、できるだけリアルタイムに行うことを心がけましょう。時間をおいたフィードバックでは、本来の効果が得られにくくなります。
たとえば、部下が企画書を作成し、フィードバックが2週間後になってしまったケースを考えてみてください。時間が経つと、企画書を書いた時点の熱量も低下し、さらに描いていたイメージが薄れてしまうため、フィードバックを反映しにくくなる可能性があります。
ただし、直後にフィードバックをするのも効果的ではありません。その場でフィードバックをすると、意図する以上にネガティブな内容になってしまうことが少なくないからです。最低でも、24 時間は待ちましょう。そうすれば、フィードバックをする側もそれを受ける側も、起こった出来事についてじっくり考えてからコメントできます。
フィードバックする前に、建設的な批判と否定的なフィードバックの違いを理解しておく必要があります。
一般的に、建設的な批判には、相手が改善できる内容に焦点が置かれます。
否定的なフィードバック (破壊的な批判または批判的なフィードバックとも言われる) は、相手の改善を支えるのではなく、相手を非難するものです。
建設的な批判をするには、それを行う自分の意図について考えましょう。フィードバックをするのは、相手の成長を支えるためでなくてはいけません。イライラすることがあっても、マイクロマネジメントをしたり、相手を個人的に批判したりしてはいけません。
主語を「私」にすると、話し相手ではなく、その状況に関する自分自身の体験や意見に焦点を当てることができます。また、主語を第一人称にすることで、非難合戦のように感じにくくなり、むしろ今後のために状況を改善するための共同的なエクササイズのように感じられます。
たとえば、「プレゼン用のスライドを木曜日に提出するとあなたが言ったのに、月曜日まで送付してくれなかったので、ミーティングの準備が不十分だと感じました」と言う代わりに、「私は、プレゼン用のスライドを木曜日にいただけると思っていたのですが。私が知らないうちに遅延でも発生していたのでしょうか?」のように言ってみましょう。
建設的なフィードバックや主語を第一人称にした場合でも、一度に複数の事柄についてフィードバックすることは避けましょう、一度に与えるフィードバックの数が多すぎると、相手は防御的になり、オープンな姿勢で受け入れられなくなってしまう可能性があります。
また、フィードバックをタイムリーに行えば、多くの事柄についてディスカッションが必要になることはないでしょう。他の事柄についてフィードバックをしたくなっても、否定的なフィードバックセッションになりかねないため、必要がない限りは避けるようにしましょう。
フィードバックとは抽象的な評価ではなく、具体的なものなので、具体例を挙げながら詳細に行います。具体的であればあるほど、相手はフィードバックを受け入れ、行動に移しやすくなるでしょう。このとき、与えるフィードバックとは実現可能かどうかも念頭に置くようにします。
たとえば、同僚にコミュニケーションスキルに関するフィードバックをするとしましょう。そういったケースでは「この点の意図がぼやけていてわかりにくい」ではなく、「この点は、〇〇といった意図として相手に伝わる可能性があるので、〇〇と表現した方が良い」などと伝えましょう。
記事: あなたが活用していない最善の対立解決戦略私たちがフィードバックとは何かと考えるときに、最も頻繁にやってしまうミスの 1 つは、ネガティブな点だけを伝えるものだと勘違いすることです。フィードバックは簡単にいえば評価なので、改善点はもちろん「良い点」も伝える必要があります。なぜなら、良い点を伸ばし、改善して品質を高めることが最終的な目標だからです。これも、フィードバックを受ける側のモチベーション向上につながるポイントだといえるでしょう。
サンドイッチ型フィードバックという方法があります。これは、ポジティブなことに触れてから、建設的なフィードバックをし、それからまたポジティブなことに触れるというアプローチです。ネガティブフィードバックをポジティブフィードバックの間に挟み込むことにより、打撃を和らげるという理論です。
たとえば、次のような例がフィードバックサンドイッチです。
「非常に詳しいメールを送っていただきありがとうございました。しかし、これは、当社の機密情報ですので、社外の請負業者を含めてはいけません。積極的な姿勢はありがたいと思っています。」
しかし実際のところ、サンドイッチ型フィードバックとは効果的なフィードバックメソッドではありません。ポジティブフィードバックの中にネガティブフィードバックを隠してしまうと、ポジティブフィードバックが台無しになります。むしろ、建設的なフィードバックがあるときは、率直に伝えましょう。建設的なフィードバックとは、人が学び、チームメンバーとして成長する最適な手段であることを忘れてはいけません。親切で建設的なフィードバックをするということは、その人のためにやっていることですので、サンドイッチに包んでメッセージを隠す必要はないのです。
上の例を変更するとしたら、「昨日送っていただいたメールの CC に社外の請負業者が含まれていましたが、あれは社内秘の情報でした。社外の人にメールを送信する前には、私に確認をとっていただくようお願いします。」のように言い換えてみてください。
非言語コミュニケーションとは、身ぶりや表情、口調など、話す以外の手段を使ったコミュニケーションです。自分のしている非言語コミュニケーションを自覚すると、誤解を防ぐことができます。非言語コミュニケーションを理解すると、言葉以外の手段によるメッセージを効果的にエンコード・デコードしやすくなるからです。
エンコーディング: 身ぶりや口調、ジェスチャー、アイコンタクトを使って、自分の感情や考えを非言語的に伝えること。例: 相手に安心感を与えるときに、その人と目を合わせること。
デコーディング: 人の表情や身ぶりなどを分析することにより、その人の非言語的なサインを理解すること。非言語的なサインはその人の文化に強く依存します。デコードされたメッセージをチームメンバーに確認せずに深読みしすぎることは避けましょう。
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無料トライアルを始めるフィードバックの中には、相手が受け止めにくいものもあります。フィードバックすることの難しさの 1 つは、相手がどのような反応を見せるかがわからないという点です。フィードバックを受け取った相手は、質問をしてきたり、何らかの反応を見せたり、何か言い足したいことがあるかもしれません。
具体的でタイムリーなフィードバックを共有した後は、相手に質問や意見がないかを聞きます。人によっては、実行可能な解決策を出すために、その場でブラインストーミングをすることを希望するかもしれません。一緒にブレインストーミングをやってみてもいいでしょう。相手が他の日にフォローアップすることを希望する場合は、それでも OK だと伝えましょう。
フィードバックをすることにナーバスになる場合は、相手にフィードバックをしても構わないかどうかを聞いてみるとよいでしょう。反対に、さっと済ませてしまおうという衝動に駆られることもよくありますが、フィードバックをしたいということを事前に知らせておくことで、相手も適切な心構えができます。
フィードバックする前に相手に確認することは、フィードバックセッションに備えられるという意味で、自分自身にとっても相手にとっても効果的です。同僚間でのフィードバックプロセスなどで、過去にその相手にフィードバックをしたことがない場合に特におすすめです。
管理職やチームリーダーにとって、フィードバックをすることは担当業務のひとつです。従業員にフィードバックをするときは、先述した 11 個のベストプラクティスに加え、以下に紹介する 4 つのヒントも併せて活用しましょう。
わざわざ台本を書き上げる必要はありませんが、箇条書きは必要です。具体的な例に加え、フィードバックセッションの全体的なナレーション (物語) を用意しておきましょう。次のような質問の答えを考えてみてください。
何が起こったのか?
お互いにどのような教訓を得られるのか?
相手は今後、どうすればより効果的なチームメンバーへと成長できるのか?
先でも触れたように、フィードバックとはタイミングが重要です。対象の出来事の発生から 1 週間以内に行うことを目指しましょう。そうすれば、その出来事はまだお互いの記憶に鮮明に残っていますし、その従業員は受けたフィードバックを効果的にそれ以降の仕事に適用できます。
一方、規模の大きな業績評価ではフィードバックが必要ないという意味ではないので注意しましょう。定期的にフィードバックをしている場合は、そうしたアセスメントがそれまでの 6 か月または 12 か月の間に話し合った内容の要約となるはずです。事前に 1on1 ミーティングでフィードバックについて話し合っているはずなので、従業員が業績評価の内容に驚くことはないでしょう。
記事: 従業員パフォーマンスレビュー 15 選 (テンプレートと実例付き)理想として、1on1 ミーティングを行う際は、対面の口頭によるフィードバックからはじめ、誤解が生じないようにします。また、フィードバックを受ける相手が質問をするための時間を設けます。ミーティング後には、会話の内容を書面にまとめて相手に渡します。
フィードバックを書面と口頭の両方で行うことには、主に以下の 3 つのメリットがあります。
チームメンバーには、情報を耳にした方が吸収しやすい人と、読んだ方が吸収しやすい人がいます。フィードバックを口頭と書面の両方で行えば、チームメンバーは確実に好みの方法でフィードバックを受けられます。
書面によるフィードバックは、従業員がフィードバックの内容を忘れてしまったり、質問があったりする場合に参照できる具体的なリソースとなります。
そのフィードバックが共有されたことが文書化されます。これは、そのフィードバックが従業員に繰り返し伝えている内容である場合は特に重要であり、過去に触れた同じトピックに関するフィードバックを指摘できるようになります。
提供するフィードバックの種類によっては、解決策 (ソリューション) のブレインストーミングを行うことを提案することが役に立つ場合があります。たとえば、将来チームメンバーが実行すべきアクションや、改善の余地があるとあなたが気が付いた領域などについて話します。
ブレインストーミングを行う場合は、6 か月以内の短い間に従業員が実行すべき具体的なステップにフォーカスを当てましょう。そうすれば、改善点を明確に理解した状態でフィードバックセッションを終えることができます。
記事: 今すぐ習得すべきチーム管理スキル 10 選フィードバックとは、双方向に行われるものです。マネージャーや上司があなたにフィードバックをするように、マネージャーにとっても他者のフィードバックはメリットとなります。マネージャーへのフィードバックは重要ですが、やりにくいことでもあるでしょう。これら 5 つのヒントを実行しても簡単にできるようにはならないかもしれませんが、最初の一歩は踏み出しやすくなると思います。
マネージャーにフィードバックをする前に緊張しても、今まで一度もやったことがなくても心配要りません。何よりもまず、マネージャーも人間であることを忘れないようにしましょう。マネージャー自身も数多くのフィードバックをしてきたでしょうから、いかにやりにくいものであるか理解しているはずです。
極度にナーバスになってしまう場合は、最初に「これは伝えにくいフィードバックなんですが」や「上司にフィードバックするのはこれが初めてなんです」と言ってみましょう。自分の感情を自覚すれば、気まずいと感じてしまいがちな状況から生まれる緊張感をうまく切り抜けることができます。
インパクトと意図の違いを理解すれば、マネージャーにフィードバックをすることに備え、内容を効果的に伝えることができます。意図とは、人が何かをしたときや言ったときに、どのようなつもりで行った言動であったのかということです。一方のインパクトは、アクションまたは会話が結果として自分自身または他の人に与えた影響を指します。
意図とインパクトは、両方とも会話の重要な要素です。前向きな意図を持って行った言動であっても、誤解されてしまう場合があります。アクションや会話から受けるインパクトは重要ですが、よかれと思ってされたと考えることも大切です。
マネージャーは、常に好意的な意図を持って接してくれるでしょう。しかし、会話やアクションによっては相手に逆のインパクトを与えることがあるかもしれません。意図とインパクトを区別すれば、最適なアプローチでマネージャーと会話をし、伝えたいことを明確にできます。相手には、よかれと思ってやったことだったが、意図せぬかたちになってしまったと伝えるとよいでしょう。
たとえば、マネージャーからエグゼクティブメンバーとのミーティングに誘われたとします。ミーティングが始まると、マネージャーがあなたを紹介したため、あなたは自己紹介するチャンスを与えられませんでした。あなたがエグゼクティブメンバーを前に怖じけづかないようにと思い、マネージャーが善意を持ってやったことでした。しかし、あなたはエグゼクティブメンバーとよい関係を築けるように、自己紹介をしたかったのです。この例では、誰かが「悪い」というわけではないので、フィードバックをするときにそれをはっきりさせれば、2 人で最適な結論に至ることができます。
自分が共有するフィードバックについて理想的な解決策がある場合は、思い切って相手に伝えましょう。そうすることにより、その状況についてじっくりと考えたことを示すことができる上に、そもそもの問題を何度も繰り返し持ち出すのではなく、指摘した状況を改善する方法に会話の焦点を合わせることができます。
マネージャーへのフィードバックはどうしてもやりにくいという方は、マネージャーのマネージャーに会話への参加を求めてみましょう。仲介役を務めてもらい、感情が高まる場合などには、状況を円滑に収めてもらえるかもしれません。
とは言うものの、マネージャーのマネージャーだけにフィードバックをすることは避けましょう。そうすると、マネージャーは、あなたが本人に内緒でフィードバックをしていると感じるかもしれません。仲介役なしにマネージャーと話すことに抵抗を感じる場合は、人事部に問い合わせて、対立を解決してもらうことを検討してください。
このフィードバックセッションは、マネージャーとの関係を決定づけるものではないことを覚えておきましょう。マネージャーとの関係は、お互いの間で行われる数多くのやり取りで構成されます。これが重要なやり取りであっても、気まずいやり取りであっても、マネージャーとの関係に何らかのインパクトを与える可能性はありますが、2 人の関係が根本的に変わってしまうことはないでしょう。
フィードバックをすることは、職場での関係を構成する非常に大切な要素の 1 つです。上述した 20 個のヒントを使えば、効果的にフィードバックを提供し、誤解を招く可能性を減らせます。しかし、実際にフィードバックをする前に、可能であれば避けることとして覚えておきたい 4 つの事柄を以下に紹介します。
多くの場合、フィードバックをすることに抵抗を感じるものです。伝えなくてはいけないことを、相手に口を挟まれる前に伝えてしまいたい。そう思い、予告なしにフィードバックをしてしまうことがあります。
フィードバックをする側は、この方がやりやすいと感じるかもしれません。しかし受け取る側は心構えができていないので、うまく受け止められなかったり、気分を害してしまったりする可能性が高くなります。これでは効果的なフィードバックセッションにはなりません。
フィードバックがあるときは、できるだけ事前に相手に知らせるようにしましょう。そうすれば、相手はしっかりと準備をし、落ち着いてフィードバックセッションに臨めます。 こうした配慮をすることで、相手は最適な精神状態でフィードバックを受け取ることができ、前向きに受け取めることができるでしょう。相手の機嫌も伺い、もし当日の機嫌が悪いようならば、他の日に先送りにする可能性も検討しましょう。
フィードバックを行う人は、フィードバックを受ける本人の成果物の意図を理解するよう努める必要があります。 例えば、成果物の方向性が間違っていた場合、「なぜその方向に向けて成果物を作成してしまったのか」を知ることで、どのように方向修正をすべきか、どのようなフィードバックが効果的かを判断できます。
他の人の気持ちを理解するために、「その人の立場になって考える」ということを勧める声はよく聞かれます。確かに、人の立場になって考えるということが心の知能を高めるのに優れた方法であることに間違いありません。
しかし、フィードバックをするときは、やめておきましょう。残念ながら、フィードバックを与えるときに相手の立場になってものを考えようとすると、いかにも相手より知識が豊富であるかのように聞こえてしまうことがよくあります。フィードバックとは事実ではなく、意見であることを覚えておきましょう。
【避けたいフレーズ】
「私があなたなら〜するだろう」
「あなたがすべきだったことは〜」
「私があなたと同じ立場にいるときは〜」
「事実対ストーリー」は、Conscious Leadership Group が考案したメンタルフレームワークであり、フィードバックを伝える心の準備をするのに重宝する手段です。事実とは、誰でも気が付くような、観察できる事柄です。ビデオカメラに映るようなものとお考えください。一方のストーリーは、事実に関する憶測と解釈です。
ストーリーは、誰もが作り出すもので、私たちがこの世界を解釈する手段と言えます。しかし、フィードバックを伝えるときは、事実とストーリーをはっきりと区別しなくてはいけません。事実は、起こった出来事についてわかっている事柄です。私たちは、その人の頭の中で何が起こっていたのかを知らないにもかかわらず、その人がある言動をとった理由を憶測してストーリーに仕立て上げてしまう場合があります。
ストーリーを共有すると、相手に自分の気持ちを理解してもらえるので、便利なときもあります。しかし、ストーリーを共有するなら、それはあくまで自分が認識したストーリーであり、客観的な事実ではないことを明確にすることがとても重要になります。
フィードバックの意味をはじめとした基本知識と、効果的なフィードバックをするためのヒントを解説しました。フィードバックは簡単に言えば振り返り作業です。すればするほど上手にできるようになるので、苦手意識を払拭し、ビジネスに役立てましょう。
多くの効果があるフィードバックですが、フィードバックプロセスを効率化したいなら、メンバー全員がアクセス可能なツールを使用することをおすすめします。メンバーが継続的に自分自身について学べるよう、一元管理されたワークマネジメントツールに保管、共有しましょう。チームのつながりを重要視する Asana は、チームの仕事を整理したり、効率的にデータやファイル、メモを共有したりすることができます。
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