リモートワークが主流になって 2 年以上経ってしまいました。その経験を経てオフィスに復帰することは、働き方における新たな大きな変化であり、大きなチャンスをもたらす可能性でもあります。そこで、この記事では、コラボレーションや人と人とのつながりを強化し、コロナ後の環境で従業員が活躍できるような、効果的なオフィス復帰プランの実施方法についてご紹介します。
コロナ禍をきっかけに、リモートワークには通勤時間がかからないなどメリットがある反面、デメリットもあることが明らかになりました。Asana の調査によると、従業員は、スキルが必要な仕事と大きな会議への参加は自宅から行い、それ以外のことはオフィスで行うことを好んでいます。
これは従業員も認めていることです。リモートワークに移行したにもかかわらず、従業員は人と交流し、コラボレーションするためにオフィスで仕事をすることを依然として好んでいることが調査でわかっています。つまり、オフィス復帰には大きなメリットがあるのです。ただ、問題はそれをどのように実行するかということです。
オフィスへの復帰時期を検討し、安全にそれを行うには、リモートワークで好まれてきた柔軟性を生かしながら、従業員のつながりを深める方法を考えましょう。ここでは、チームが同じ場所で働いていても、リモートワークをしていても、きちんと成果を出せるようにサポートする方法をご紹介します。
2020年初頭、新型コロナウイルス (COVID-19) が世界中に蔓延した結果、エッセンシャルワーカーではない人たちは突然リモートワークへと移行することになりました。しかし、オフィスワークへの復帰は、急なオフィス復帰を実施した企業もあれば、あまり計画的でない企業もあり、全体的にばらつきが見られます。
Microsoft 社の調査によると、オフィスへの復帰は広まりつつあるものの、その時期や方法については意見が分かれているようです。しかし、経営陣の 50% が、2022年に従業員がフルタイムでオフィスに復帰することを義務付ける、または義務付ける予定であると回答しています。
フルタイムでオフィスに復帰する方針であれ、ハイブリッドワークの方針であれ、この変化は従業員にとって大きな転機となるものです。実際、ポストコロナの世の中で働く人たちにとって、愛社精神とリモートワークのオプションがあるかどうかは、直接関係することなのです。Gallup 社の調査によると、リモートワークのみで働いている従業員の 54% とハイブリッドワークの従業員の 36% が、雇用主がリモートワークのオプションを提供しなくなったら新しい仕事を探すだろうと答えています。
しかし、オフィスへの復帰は企業や従業員にとって絶好の機会でもあります。特に 2 年間リモートワークを続けた後に、職場でのコラボレーションとエンゲージメントを高めるという点では、なおさらその傾向が強いと言えます。調査によると、従業員は完全にリモートで働くよりもハイブリッドワークを好んでいることが明らかになっています。その理由は、自宅で働く際に得られる柔軟性と集中できる時間を生かしながら、オフィスでは同僚と交流する機会を確保できるからです。
実際には、オフィスへの復帰に「ちょうどいい時期」というのはありませんし、復帰に向けた合理的な流れもないのです。そう聞くと気が遠くなりそうですが、企業にとっても従業員にとっても、そのような心配は無用です。大切なのは、コロナ後に従業員が何を必要としているかを把握し、オフィスにおける一般的な課題を解決し、オフィスでの機会を促進する方針を打ち出すことです。
ハイブリッドワークはとても人気な働き方です。当社の調査によると、従業員は自宅でスキルを要する仕事をすることを好む一方で、オンボーディング、1on1 のミーティング、戦略策定、トレーニングや能力開発といったコラボレーションを必要とするタスクはオフィスで行うことを好んでいることがわかりました。さらに、従業員はオフィスが人と関わり、交流する場であると考え、そのうちの 49% が以前よりオフィスを社交的なスペースとして見るようになったと答えています。
これは、従業員のオフィス復帰を考えている企業にとって、コラボレーションを促進し、チームが協力し合える、意図的で計画的なオフィス内勤務スケジュールを作成する、またとない機会となります。まずは、従業員がどのような勤務形態を望んでいるのかを把握し、会社の価値観や従業員のニーズに合った意図的なオフィス復帰計画を立てましょう。
その他にも、目的意識を持って復帰計画を立てるための方法をいくつかご紹介します。
オフィス復帰の理由を組織のビジネス目標に結びつけ、なぜオフィスへの復帰が重要なのか、そしてそれが企業全体の戦略の中でどのように機能するのかを、従業員に明確に伝える。
オフィス復帰に関する従業員のフィードバックに耳を傾け、それに応える。たとえば、匿名フォーム、週間アップデート、全社会議、リーダーとの「Q&A」セッションなど、フィードバックを受ける複数の方法を導入する。
計画的なオフィス復帰の戦略を策定する。その際には、オフィス復帰の目的、職務やチームの機能に応じてすべての従業員がオフィスへ復帰する必要があるかどうか、オフィス復帰プランの原動力は何であるか、などについて確認する。
オフィスへの復帰プランには、柔軟性を持たせ、従業員との話し合いに基づいて調整する。
COVID-19 への感染に対する懸念は、依然としてオフィス復帰への不安要因の上位に挙げられています。ピュー研究所によると、現在オフィス復帰可能な職場で働く労働者の 42% が、コロナウイルスに感染することを懸念して、毎日または週の大半を在宅勤務にしていると答えています。さらに、コロナウイルから身を守るために職場が講じた措置に非常に満足していると答えた労働者は半数以下でした。
単純化して説明すると、現在流行している変異株は重症度が低いにもかかわらず、従業員はオフィスでのコロナウイルス感染の可能性をいまだに懸念しています。これらの懸念に対処し、従業員が安全にオフィスに復帰できるように環境を整えましょう。ここではいくつかその方法をご紹介します。
物理的な距離の取り方に関するガイドラインなど、オフィス内の安全衛生対策を策定し、伝達する。
安全対策に関する従業員のフィードバックを歓迎し、必要に応じて計画を変更する。
状況の変化に応じて、意思決定のアプローチとオフィス復帰までのタイムラインを柔軟に、現実的に設定する。
義務や予防 (ワクチン) 接種の要件に関する地域の法律や指導に従う。
オフィス内で新型コロナウイルス陽性者が発生した場合に備えて、感染症対応計画を策定し、伝達する。
免疫不全者やワクチン未接種の子供がいるなど、何らかの懸念事項を抱える従業員には例外規定を設け、柔軟に対応する。
在宅勤務への移行により生まれた大きなメリットのひとつは、朝の身支度や長時間の通勤から解放され、家族や趣味に費やす時間が増えたことで、ワークライフバランスが改善されたことです。実際、ピュー研究所によると、パンデミックによって現在少なくとも週の何日かを在宅勤務にしている従業員の 64% が、在宅勤務によって仕事とプライベートのバランスが取りやすくなったと回答しています。
幸い、ハイブリッドワークスケジュールを導入することで、従業員にこのようなメリットを提供しながら、オフィス勤務ならではのコラボレーションやつながりを促進できます。Asana の調査によると、Z 世代とミレニアル世代は、オフィス環境の社交的な要素と自宅で集中して働ける時間を両立できるため、ハイブリッドワークを好むことがわかっています。つまり、企業がオフィス勤務のメリットと従業員のニーズのバランスをとりたいのであれば、ハイブリッドワークへの移行が解決策になるかもしれないのです。
ここでは、従業員がオフィスに復帰する際に、ワークライフバランスを維持するための方法をご紹介します。
オフィス勤務への復帰をスムーズにする。オフィス復帰に向けたタイムラインを前もって伝え、移行期間に要する時間を確保します。
可能であれば、柔軟な勤務形態のオプションを提供する。たとえば、ハイブリッドワークスケジュール、オフィス勤務と WFH (在宅勤務) の組み合わせ、従業員による勤務時間の設定など。
メンタルヘルスとウェルビーイングのために、さまざまな取り組みを行う。たとえば、メンタルヘルス休暇の導入、従業員支援プログラムの開発、コーチングやキャリア開発プログラムの提供、職場でのフィットネスや栄養管理の支援などが考えられます。
オフィスへの復帰をしやすくするために、福利厚生を充実させる。通勤手当を支給したり、「ランチフレーション (昼食代の高騰)」対策として社食サービスや食事手当を用意したりすることが考えられます。
リモートワークを導入した結果、ワークライフバランスが向上したと回答した従業員がいる一方で、在宅勤務に移行したことで仕事とプライベートの境界線が曖昧になったという声も聞かれます。Asana の調査によると、37% の従業員が 1 日の仕事の開始時刻と終了時刻がはっきりしていないと答え、35% が昨年と比較して今年は、勤務時間外にメールをチェックする時間が増えたと回答しています。
人によっては、リモートワークやハイブリッドワークが主流になるにつれて、こうした境界線の曖昧さは今後も続いていくと思われます。会社としてオフィス復帰の計画を立てる際には、仕事とプライベートの区別を明確にする方法を模索しましょう。次のような方法を活用すると、従業員が仕事の境界線を明確に設定しやすくなります。
始業と終業の時刻を明確にし、勤務時間外に仕事をする必要がないことを知らせる。
会議をしない日を設定し、ハードな仕事をこなすために集中して作業する時間を確保する。
休みの日にはしっかりと休暇をとり、仕事をしないように従業員に促す。
模範を示す。たとえば、勤務時間外にメールを送らない、返信しない、有給休暇をとるなど。
フルタイムで在宅勤務をすることで、従業員は 1 日の始まりと終わりにもっと「自分だけの時間」を確保できるかもしれませんが、同僚との間にズレが生じることも事実です。Zoom 疲れの増加や、オフィスでの自然な交流の欠如により、パンデミックによって完全にリモートワークをすることになった従業員は、仕事上のつながりを維持することに苦労しています。実際、当社の調査では、ナレッジワーカーの 41% がリモートワーク中は孤立感が増すと答えています。
幸いなことに、フルタイムまたはハイブリッドワークでオフィスに復帰することで、過去 2 年間に薄れた職場のコミュニティとつながりをもう一度取り戻し、深められます。ただし、オフィス復帰プランを実行する際には、従業員が負担を感じたり、効率の悪い会議など、パンデミック以前の悪い習慣に陥らないよう、計画的にスケジュールを組むことがポイントになります。
そこで、オフィスに復帰した後に、従業員同士のつながりをスムーズに築く方法をご紹介します。
コロナウイルス感染防止対策をしたオフィス復帰イベントを企画する。こうすることで、コラボレーションを促進し、新メンバー同士が交流する場を提供できます。
目的意識を持って対面でのコラボレーションを計画する。当社の調査によると、従業員は大きな会議への出席は自宅から行い、1on1 の会議、トレーニング、戦略開発はオフィスから出席することを好んでいます。会議は意図的に計画し、有意義で、生産的なものにしましょう。
カジュアルなミーティングを開催する。たとえば、ウォーキングミーティング、コーヒーチャット、オープンオフィスアワー (質問や相談のために設けられた時間) など。
同じチームのメンバーには、同じ時間帯にオフィスで仕事をすることを勧めるか、そのようにスケジュールを組む。
今こそ、オフィスのレイアウトを見直すチャンスです。従業員のオフィス復帰に伴い、ワークスペースを考え直し、コラボレーションと生産性を促進する魅力的な職場環境を実現することが大切です。
たとえば、オープンオフィス、リモート対応のテクノロジーを備えた会議室、快適な休憩室など、コラボレーションやコミュニケーションを促進するスペースが求められています。同様に、ウェルビーイング (幸福度) を促進する設備も職場のコミュニティ意識を高めるのに役立ちます。
同時に、安全にコラボレーションする方法も考えなくてはいけません。多くの人が、この 2 年間、ソーシャルディスタンスやマスクの着用について気を付けて生活してきました。そのため、直接会って仕事をすることに不安を覚える人もいるかもしれません。ワークスペースをアップデートする際には、従業員が安心でき、サポートされていると感じられるような安全対策を考えましょう。
コロナ後の需要に応じて、物理的なオフィス環境を見直す方法をご紹介します。
職場で最高の成果を出すために、どのようなオフィス機能の強化が役立つかについて従業員調査を行い、可能な場合は変更の実装を検討する。
物理的なサイロを取り除き、人と人とのつながりを促進する柔軟な職場環境を作ることで、コラボレーションを促進する。
コラボレーションゾーン、休憩スペース、コミュニティエリアなど、社交的なつながりを促進するオフィスのエリアをアップデートする。
コーヒーカート、屋外スペース、図書館、またはラウンジエリアを追加して、オフィスに「サードプレイス」(自宅でも従来のオフィスでもない作業スペース) を作成する。
厳格な清掃スケジュールの導入、効果的な換気方法や人数制限の実施など、安全対策を講じる。
ソーシャルディスタンスを考慮して、オフィスのレイアウト変更を検討する。たとえば、デスク間の距離を広げたり、ひとつおきにデスクを空席にするなど。
適切なテクノロジーに投資することは、オフィス復帰プランの成功に不可欠です。そうすることで、従業員がホットデスクなどの効率的なハイブリッドワークの働き方に適応できる環境を整えられます。ここでは、オフィス復帰に役立つテクノロジーの活用方法をご紹介します。
オフィスキャパシティ管理ツールや、従業員がデスクスペースを予約できるホテリングソフトウェアなど、ハイブリッドワークモデルをサポートするソフトウェアを導入する。
ドキュメント管理やファイル共有ツール、クラウドコンピューティングオプションなど、分散型ワーカーをサポートするテクノロジーに焦点を当てて、既存のテクノロジーをアップグレードし、コラボレーションの効率アップを促進する。
ワークフローとプロジェクト管理ツールを連携して、コラボレーションを強化し、コミュニケーションを合理化して、どこで作業していてもプロジェクトを順調に進められる環境を整える。
ビデオ会議ソフトウェアやコミュニケーションアプリなどのリモートコミュニケーションツールをアップグレードする。
出勤前のウェルネスチェック、非接触ゲストチェックイン、音声対応テクノロジー、自律型清掃テクノロジーなど、健康と安全を促進するテクノロジーに投資する。
サイバーセキュリティプロトコルをアップグレードし、分散型ワークによってもたらされるリスクを低減するように設計された新しいサイバーセキュリティイニシアチブを実装する。
在宅勤務が主流になってから 2 年以上経ちました。その経験を経てオフィスに復帰することは、働き方における大きな変化となります。オフィス復帰プランを立てて、実施することは大変なことに感じるかもしれませんが、実際そうとは限りません。
従業員のニーズに耳を傾け、柔軟なプロセスを実装できる企業は、ポストコロナの社会で成功する態勢を整えています。目的意識があり、柔軟性があり、コラボレーションの促進に重点を置いたオフィス復帰プランを実現すると、従業員の士気や職場のコミュニティ意識が高まり、積極的に仕事に取り込める仕事環境を築けます。
同期型ハイブリッドワークスケジュールを実装する場合でも、勤務時間にフレックス制を導入する場合でも、チームに完全にオフィスに復帰するように依頼する場合でも、コラボレーションを合理化して作業を一元化できるツールが必要です。ワークマネジメントソフトウェアはまさにそれを実現します。プロジェクトを調整し、異なるタイムゾーンで働いていても、同じ階の会議室にいても、組織全体の可視性を改善させます。
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