プロブレムフレーミングとは、困難なビジネス上の障害と課題を理解し、定義し、優先順位をつけるために用いられる思考メソッドです。この記事では、プロブレムフレーミングを使ってチームに対する情報提供を確実に行い、非効率性を解消する方法について説明します。
複雑化する現在の仕事環境で、チームが一丸となって問題を解決するのは容易なことではありません。今こそ、プロブレムフレーミングについて知る最高のタイミングと言えるでしょう!
「リフレーミング」という心理学用語を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。プロブレムフレーミングは、「問題を捉える枠組み」という意味の名前からもわかるとおり、チームが部門を超えた複雑なビジネス上の問題を適切に理解し、明確化し、捉える手段です。チームは目の前の課題をしっかりと理解した上で、チームワークを通じて解決できるようになります。
プロブレムフレーミングの定義を詳しく説明し、複数のプロジェクトを管理する際に実践するプロブレムフレーミングを構成する 4 つのステップを見て行きます。
プロブレムフレーミングとは、困難なビジネス上の障害と課題を理解し、定義し、優先順位をつけるために用いられる思考メソッドです。平たく言えば、特定の問題をしっかりと理解して、リアルタイムに解決する方法を知るための手段です。
プロジェクトやプロセスを実行するにあたり、障害が発生するのは珍しいことではありません。新しい関係者が加わったり、土壇場で変更が発生したりする場合など、障害を未解決のままにしておくと、ゆくゆくは大きな問題へと発展しかねません。チームの問題解決スキルを上達させるのが重大な最初のステップであるのは、それが理由です。
Asana でチームのコラボレーションを向上プロブレムフレーミングは、プロジェクトやプロセスの実行中に障害が発生するときなら、いつでも効果を発揮します。この思考法を使用すると、問題をリアルタイムに解決できるため、チームはすかさず仕事を軌道に戻すことができます。
プロブレムフレーミングを使って解決できそうなシナリオをいくつか紹介します。
シナリオ 1: スプリント計画ミーティング中に、チームメンバーの 1 人が締め切りに間に合わせるにはメンバーが足らないのではないかと不安を口にします。ストレスを和らげるため、あなたはチームの問題の捉え方を見直し、違った見方を提案します。つまり、リソースが足らないことを心配するのではなく、締め切りに間に合うように、チームの仕事の優先順位を整理しなおすということです。
シナリオ 2: 新規プロジェクトの開始後、あなたはコンバージョン率が期待を下回っていることを知ります。プロジェクトを失敗とするのではなく、お客様の気持ちになって問題の捉え方を変えてみます。ウェブサイトを分析した後、CTA (行動喚起) が簡単に見落とされている可能性があることに気が付きます。そこで、新しい CTA を使って、ソリューションをいくつか試してみることにします。
どちらのシナリオも、内容は異なりますが、新しいソリューションを見つけるために問題の見方を変える必要があることを示しています。
プロブレムステートメントとは、チームメンバーに問題を伝える方法です。効果的なプロブレムステートメントは、文脈と関連性を提供できるように構成されるため、簡単に理解できます。これが、プロブレムフレーミングプロセスの最初のステップです。チームに課題の内容を紹介し、効果がありそうなソリューションに思いを巡らすことが目的です。
ビジネス上の複雑な問題の解決策が、いつも単純なものであるとは限りません。その場合は、革新的なソリューションを打ち出せるように、問題の捉え方を変えるとよいでしょう。そこで効果を発揮するのが、プロブレムフレーミングです。プロブレムフレーミングのライフサイクルの最初のステップは、問題の伝え方を知ることです。
チームミーティングの最中に、問題を口頭で伝える場合は、以下を含めます。
コンテキスト: 問題のビジネス上の文脈には、問題が発生したときの背景情報やそれが発生したシステムやプロセスに関する情報が含まれます。たとえば、プロセスの計画段階で矛盾したデータが収集されていたなどの情報が該当します。
課題: 課題は、何が問題であり、そもそも何故それが課題となるのかを細かく定義します。たとえば、先ほどの矛盾したデータがあるせいで、実装段階にデータの不一致が生まれる場合などが該当します。
関連性: 問題の関連性は、特定のシステムとの関連性、重要性、問題を解決する必要性について詳しく伝えます。たとえば、先ほどの不一致が発覚した場合、チームはプロセスを遡り、問題が発生したポイントを特定することが必要になるため、締め切りを逃すことになります。
目標: 目標は、解決策を実践する必要があるタイミングを定めるタイムラインまたは優先度に加え、その解決策の目標を明らかにします。たとえば、問題の優先度が高いので、チームがその問題を 4 半期の終わりまでに解決する必要がある場合などが該当します。
これら 4 つの要素をプロブレムステートメントに含めると、各関係者は、問題の基本的な詳細と大まかなアクションプランを把握できます。メンバー全員が共通認識を持っていれば、作業を実行し、結果を出すということをよりすばやく、より効率的に行えます。
プロブレムフレーミングプロセスは、プロブレムステートメントが発表された後、主に 4 つのステップを踏んで進めていきます。これらのステップは、より大きなビジネスニーズに関連する問題をしっかりと理解し、視覚化するのに役に立ちます。
視覚要素を使用すると、チームは解決を目指す問題の全体図を目で見て確認できます。詳しい内容をより深いレベルで状況にあてはめ、優先順位を付け、理解することにより、チームは関係者と問題についてレビューを行う際に、違う観点から問題を捉えることができます。
問題の定義からソリューションの承認まで、プロブレムフレーミングプロセスを構成する 4 つのステップを詳しく見ていきましょう。
問題をそれが発生するシステムやプロセスの文脈で分析します。「この問題はシステム内のどこで発生するのか?」、「根本的な原因は何か?」といった質問をします。
コンテキストに沿った質問を定義すると、既存のプロセスの中でその問題について考えやすくなるため、問題の原因として考えられるものを特定できます。
たとえば、新しいマーケティングイニシアチブをスタートさせようとしているときに、開発の問題が発生するとしたら、その問題を開発リソースの不足として定義するかもしれません。
次に、他の課題やプロジェクト目標に基づいて、問題に優先順位を付けます。まずは、「この問題は目標達成の妨げにならないか?」、「この問題のせいで必要なリソースを使い果たしてしまわないか?」といった質問から始めるとよいでしょう。
こうした質問を用意すると、問題を重要な順に整理できるため、問題を解決した場合と先送りにした場合に考えられる結果を視覚化できます。
問題を理解するには、さまざまな関係者や部門長から情報を収集します。そうすれば、幅広いデータが集まります。
問題の捉え方を多様化できるように、できるだけ多くのチームメンバーに質問をし、できるだけ多くのチームメンバーから詳しい情報を収集します。そうすれば、チームメンバーの大多数に役立つ革新的なソリューションが見つかるでしょう。
たとえば、開発リソースが不足している理由を十分に理解するには、開発リーダーに、必要なリソースの優先順位を見直すことに協力してもらうよう依頼してみるとよいでしょう。
最後に、ソリューションの承認を求めます。対象となるソリューションを社内の複数のシナリオでテストし、その質を確かめます。そうすれば、ソリューションが効果を発揮することを確認してから社外のお客様に導入できます。
本番前には、経営陣の承認を受けることが必要になる場合もありますが、それは個々の状況によります。承認を受けたら、ソリューションの効果を分析し、期待どおりの結果が得られるまで、引き続き新しいアイデアをテストします。
記事: リーダーシップとマネジメントの違いとは?プロブレムフレーミングは、違った結果を出すために問題の見方を変える方法であるため、職場が発展を遂げるための糧となります。チームでこのテクニックを使えば、メンバー全員の問題解決スキルを上達させることができます。
以下に、職場でプロブレムフレーミングを使い、革新的なソリューションを発見する方法をいくつか紹介します。
上手に整理されたステートメントを使って問題をフレーミングする: プロブレムフレーミングは、問題が存在するほぼすべての状況で使用できますが、フレーミングのやり直しには、正しいやり方と間違ったやり方があります。プロブレムステートメントは、状況により内容が異なります。しかし、そのすべてが上述した 4 つの基本要素 (コンテキスト、問題、関連性、目標) に則っている必要があります。すべての要素が、問題と目の前のプロジェクトとの関連性を理解するのに役立ちます。
効果的なブレインストーミングセッションを先導する: プロブレムフレーミングは、ブレインストーム中に物事の見方を変えたり、新たなインサイトを取り入れたりすることを促すためにも使用できます。このブレインストーム手法は、関係者にホワイトボードや付箋を使って自分のアイデアをフレーミングするように指示すると上手に活用できます。そうすることにより、すべてのアイデアをデータによって裏付けることができます。
最終目標を意識して問題をフレーミングする: 最終目標を意識しながら始めるというテクニックでは、プロセスを逆方向に追っていきます。そうすると、チームの考え方を変え、目標志向の考え方を促進できます。もちろん、このテクニックを使うと、チームメンバーは自分たちの個人的な成長に取り組み、戦略的な考え方をすることを最優先できるようになります。
職場でプロブレムフレーミングを使用すると、すべての問題を効果的に伝えることができ、そしてソリューションがきちんとした調査に基づいていることを保証できます。どちらも、一層効果的な問題解決につながります。
問題解決は、1 人でする作業ではありません。一緒に取り組むチームメンバーが多ければ多いほど、より創造的なソリューションが生まれるでしょう。意思決定が複雑化し、プロジェクトが変化し続ける環境で、解決する価値のある問題に直面し、メンバー全員に共通認識を持たせたいときは、プロブレムフレーミングが最適な手段であると言えます。
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