チームが成長していくと、特にマネージャーは管理が大変になると感じてしまうでしょう。しかし、適切な戦略があれば、チームの成長は大変なことではなく、素晴らしいことだと感じられます。この記事では、障害を避けて、成長するチームを成功に導くことができるよう、4 種類のよくある「成長に伴う問題」の解決策をまとめます。
成長するのは、素晴らしいことです。チームに見込みがあり、企業はチームの成功に投資したいと考えているからです。しかし、成長には変化が伴います。チームが成長すると、担当業務も増えるため、少し気が重くなるのは当たり前のことです。心当たりがあるという方、ご安心ください。偉大なリーダーは、そのほぼ全員がどこかの時点で成長に適応することを余儀なくされてきたのです。成長には何らかの課題が伴う一方で、適切な戦略があれば、変更にきちんと対応し、自信を持ってチームをスケールさせることができます。
成長するチームとは、大きく、複雑になっていくチームです。より多くのことを達成し、作業のスコープを広げる目的で新しい人材を採用し、より多くのメンバーを迎え入れた結果として生まれます。成長は、チームに新しいエネルギーやアイデアをもたらす素晴らしいことです。しかし、チームが大きくなると、仕事の仕方を考え直す必要性も出てきます。それまでのやり方では、チームの成長と共にスケールできない可能性があるため、拡大する多くのチームが直面する、手ごわい「成長に伴う問題」を避けるべく、事前に対応する姿勢が必要になります。
幸い、適切な管理戦略があれば、混乱しながらではなく、自信を持ってチームを成長させることができます。成長するチームを適切に管理すると、こんなメリットがあります。
新規採用者を成功に導ける。
既存の従業員が変化を受け入れやすくなる。
従業員のエンゲージメントと士気を保ち、さらに高めることができる。
やらなくていいはずの「仕事のための仕事」を避けられる。
障害を避けてスピーディにスケールできる。
成長には何らかの課題が伴うものですが、決して手に負えないものではありません。そうした課題を食い止める (できれば最初から発生しないようにする) ことができるよう、以下に 4 種類のよくある「成長に伴う課題」とそれぞれの解決策をまとめました。
急成長中のチームに対応していると、指針となるルールや法律もない中で金を追い求める、マカロニ・ウェスタン (イタリアの西部劇) のクリント・イーストウッドのような気分になるかもしれません。自分の担当業務も、誰に相談するべきなのかも、仕事を処理するためにチームと協働する方法も分からないといった状況です。
西部劇を観るのは楽しいですが、西部劇のように働きたくはありません。チームが成長しているなら、以下の方法で劇的な状態を避け、ある程度の構造を築きましょう。
チームが成長すると、担当業務は自然と変化し、広がっていきます。2、3 人のチームに対する担当業務は比較的簡単に追跡できますが、それ以上のメンバーを管理するとなると大変な作業になってきます。
役割と担当業務が明確にされていると、チームはより効率的に働き、過労を防げます。チームメンバーは、自分の担当業務を正確に把握していると、自分のスキルについてより強く確信を持ち、誰が何をするのかを調べて浪費する時間を減らせます。実際、ある調査によると、ナレッジワーカーの 3 人中 1 人が、タスクや役割が不明確なために働き過ぎていると感じています。
以下に、チームの担当業務を明確にする方法をいくつか紹介します。
RACI チャートを使ってプロジェクトにおける役割を明確にする。RACI チャートは、プロジェクトにおける実行責任者、説明責任者、相談者、報告先をまとめたものです。チームコラボレーションの青写真となるため、混乱を減らし、同じタスクに 2 人のメンバーが取り組むという事態を防げます。
責任範囲を決める。RACI チャートは特定のプロジェクトにおける担当業務を明確化するのに便利ですが、各チームメンバーの担当業務を細かくまとめることも大事です。Asana では、個々のメンバーに具体的な説明範囲 (AoR) を与えることで、透明性を確立しています。各 AoR には、そのメンバーの具体的な責任がリストアップされます。AoR は、文書化され、社内のメンバーであれば誰でもアクセスできるため、具体的な質問は誰に聞けばよいのかが分かります。
階層を作る。階層は、各従業員の直属の上司と最終的な決断をする人を明確にします。人材を管理するマネージャーを目指す従業員のキャリアパスが明確になるほか、成長するチームのマネージャーが抱える負担が軽くなります。階層を導入するのは小規模のチームでは理にかなわないかもしれませんが、大規模なチームにはメリットになります。たとえば、15 人のチームを 2 つのサブチームに分けて、それぞれにマネージャーを設けることができます。
次の状況を想像してください。あなたは、チームメンバーが取り組んでいるプロジェクトを Excel スプレッドシートで追跡しています。しかし、4 人の新規採用者を追加したため、スプレッドシートが大変な状態になっています。何度更新しても、追いつかないのです。すぐに、チームメンバーが重要なタスクや期日を逃していることに気付きます。
誰もが経験していることでしょう。チームが成長すると、それまで機能していた古いプロセスは、扱いにくくなり、管理できなくなります。その結果、スプレッドシートの更新やメールの送信といった「仕事のための仕事」に貴重な時間を無駄にすることになります。
ある調査によると、チームはプロセスを改善すれば、年間 257 時間も節約できます。それは、チームが拡大するときは、一緒に拡大できるスケーラブルなワークフローを作成することが欠かせないということです。また、プロセスは、チームが使い方を知らないと機能しないため、主要なプロセスを文書化して、その内容を明確にし、誰でもアクセスできるようにするべきでしょう。
以下は、チームの成長に合わせてスケーラブルなプロセスを作成する方法です。
シンプルな繰り返しのタスクを自動化する。プロセスを合理化したいときは、オートメーションが大活躍します。たとえば、Asana のようなプロジェクト管理ツールを使用すると繰り返しのタスクを自動化できるため、「仕事のための仕事」を減らすことができます。プロジェクトのステータス更新の送信やプロジェクトの関連文書の整理、タスクを適切なメンバーに割り振る作業などを自動化できたらどれだけの時間を節約できるか、想像してみてください。
よく使用されるワークフロー用に再利用可能なテンプレートを作成する。チームが大きくなると、メンバー全員が同じやり方で仕事をできるように、プロセスを標準化することが重要になります。テンプレートは、タスクの実行方法を示す青写真となるため、便利です。たとえば、プロジェクト概要テンプレートでは、メンバー全員が重要なステップをカバーできるように、各チームメンバーがブリーフに記載するべき情報の種類が示されます。より複雑なワークフローのテンプレート (従業員オンボーディングテンプレートや製品マーケティングリリーステンプレートなど) を作成する場合は、プロジェクト管理ソフトウェアが便利です。
ワークフローを作りなおしてボトルネックを取り除く。ボトルネックは、成長するチームによく見られる問題で、マネージャーが従業員の仕事を監督する立場にいて、その従業員の数がどんどん増えていく環境で特によく発生する問題です。たとえば、あなたが開発者のチームを管理していて、新しい従業員を 3 人採用したとしましょう。それまでは、各メンバーのコードを自らレビューして、本番環境に使用していましたが、ペースについていけなくなってきました。そんな場合は自らがボトルネックにならないよう、開発者をペアにして、自分たちのコードをピアレビューしてもらいましょう。
チームの成長は、マネージャーの仕事に大きな変化をもたらします。従業員が増えると、管理する人数や担当する業務の量が増えます。新しいチームメンバーのオンボーディングができて嬉しいと感じるときでも、業務の量に圧倒されやすくなります。
マネージャーなら、燃え尽き症候群にならないということはありません。実際、ある調査によると、マネージャーの 66% が燃え尽き症候群を体験しており、76% は部下の管理に圧倒されています。つまり、チームが大きくなるときは、燃え尽き症候群を未然に防ぐプラクティスを用意する必要があります。
すべてを自力でこなすことはできません。だからこそ、チームの存在があります。チームが小さかったときと同じレベルの管理を維持しようとはせずに、チームとの信頼を築き、メンバーたちの自立を支えることにフォーカスするとよいでしょう。そうすれば、マネージャーは大局的な戦略に集中し、従業員は専門的な能力を発揮できます。
自己管理能力の高いチームは以下の方法で築き上げることができます。
標準化されたオンボーディングプロセスを作成する。オンボーディングプロセスを構造化すると、新規採用者が踏むべきすべてのステップを示すことができるため、新規採用者に適切な情報が適切なタイミングで提供されることが保証されます。適切にオンボーディングを実施できれば、新しいメンバーは自分の役割の中で学び、成長し、自己管理能力を高められます。また、オンボーディングプロセスを標準化しておけば、新しい人材を採用するたびに一から作りなおす必要もなくなります。人事からの要件や IT のセットアップ、スキルアップ研修など、基本的な内容が揃った既存のテンプレートをカスタマイズするだけで準備が整います。
新しい従業員とベテランのメンターをペアにする。メンターは、通常、同じチームのメンバーであり、新規採用者と定期的にミーティングを行います。新しい従業員とメンターをペアにすると、オンボーディング作業の負担が少し軽くなります。また、新規採用者にとって、メンターは、マネージャー以外の相談役でもあります。従業員がマネージャーには話しにくいと感じるような課題や質問を安心して持ちかけられる場を提供できます。
作業や担当業務を割り当てる。割り当てるという作業は、担当業務をより均等に分配するため、または対象となる作業が他のメンバーのスキルや関心にもっと関連しているなどの理由で、タスクやイニシアチブを他のチームメンバーに再割り当てすることです。タスクなどを効果的に割り当てることは、チームメンバーが面白いプロジェクトに取り組んだり、スキルアップしたり、得意なことを増やしたりするチャンスになります。それは、信頼を築き、チームワークを促進し、チームがさらなる担当業務を引き受けて、自分の役割の中で成長することを後押しするものでもあります。
チームが大きくなると、メンバーと深いつながり築くのにもっと努力が必要になります。小さなチームの場合は、メンバーが綿密に協力し合ってタスクに取り組むため、結束が固くなる傾向にあります。一方の大きなチームでは、専門分野の幅が広いことが多いため、メンバー同士の交わりが限られます。また、チームが大きくなると、メンバーたちが素晴らしい働きをしていても、それを認識しにくくなるため、チームメンバーはマネージャーが自分たちの貢献に気付いていないと感じるかもしれません。
幸い、もう少し細かく計画するだけで、従業員は自分の声が評価され、サポートされていると実感できます。以下に、チームの成長に合わせてチームビルディングを優先する方法を紹介します。
文化にフォーカスする。文化は、チームや会社内のルール、ベストプラクティス、理想、共通の価値観で構成されるものです。素晴らしい企業文化は、現在のチームメンバーを支持されているという気持ちにさせるものであり、同僚たちとの接し方を示す青写真にもなります。オンボーディングの際に、新しい従業員に企業文化を紹介すると、会社のよい印象を与えられるほか、入社したての従業員は支持されていると実感できます。また、既存のチームに対して企業のコアバリューを強調して、メンバーたちに共通認識を持たせることもできます。
アイスブレーカーとチームビルディングゲームを使う。ちょっとした枠組みを設けるだけで、チームメンバーは心を開いて、よい関係作りをしようという気持ちになれます。チームミーティングや 1:1 チェックインの最初の 5 分間をアイスブレーク質問をする時間にしたり、長めのチームビルディングゲームのセッションを別に予定したりするとよいでしょう。Asana のお気に入りのアイスブレーク質問には、「ホットドッグはサンドイッチか?」のような面白い質問や、「人生において一番大きなインスピレーションとなった人物は?」といった真剣な質問などがあります。
感謝の気持ちを表す方法を見つける。チームメンバーに自分の努力がきちんと評価されていると感じてもらうには、感謝の気持ちを見せることが大事です。チームビルディングを行うときは、どのように評価されたいかを各チームメンバーに確認しましょう。たとえば、チームメンバー全員の前で評価されたいというメンバーがいれば、1 対 1 のフィードバックが一番吸収しやすいというメンバーもいるでしょう。物理的なギフトや休暇、またたチームランチやハッピーアワーといったリワードの方がいいかを尋ねてもよいでしょう。
チーム内でのフィードバックを促す。チームがスケールすると、各従業員の具体的な取り組みがはっきりとしなくなり、チームメンバーが責任以上の活躍をした場合に、それを見逃してしまう可能性があります。その対処法として、従業員の間で感謝の気持ちを重んじる文化を築くことを促します。たとえば、週次のチームミーティングの最初の数分間をチームメンバーがお互いに感謝し合う時間に使います。また、1 週間のうちの 1 日を従業員がそれぞれの成果を祝うための日にするのもよいでしょう (「Wednesday Wins (成果の水曜日)」なんていかがですか?)。
チームが大きくなると、それに合わせてスケール、適応できるプロセスを用意することが重要になります。機動力を保ち、すべてを明確な状態に維持したいのなら、プロジェクト管理ソフトウェアを使うことがカギとなります。静的な文書や延々と続くメールスレッドへの返信は必要なくなります。それどころか、適切なワークマネジメントツールを使用すれば、スケーラブルなワークフローを作成できるため、次のタスクや誰が何をいつまでに行うのかを常に把握できます。
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