フロー状態とは、時間が経つのを忘れるほど作業に没頭し、外から受ける刺激にも気づかなくなる状態のことです。仕事でフロー状態に到達すると、集中力、創造性、集中力が高まるだけでなく、とても気持ちがいいものです。フロー状態になるのは難しいかもしれませんが、以下の 6 つを日常的に実践すれば、フロー状態に入る (そしてそれを維持する) のに役立ちます。
仕事をしているときに「ゾーン」に入ると、最高の気分になれます。仕事が楽に感じられ、他のことを忘れ、時間も忘れてしまうほどです。
その「ゾーン」は「フロー状態」とも呼ばれます。フロー状態に入ると、生産性と創造性がぐんと上がり、無理せず楽にいい仕事ができるようになります。しかも、このフロー状態に入ることはそれほど難しいことではありません。この記事では、フロー状態を解明し、日々の業務でフロー状態に入るためのお手伝いをします。
フロー状態とは、他のことをすべて忘れてしまう領域に入ったような、表現しがたい感覚です。このフロー状態に入ると、今やっていることに完全に没頭し、時間が経つのを忘れてしまったり、外から受ける刺激を無視したりということが起こります。フロー状態では目の前の作業に無理なく集中できる感覚が解放されるので、結果としてエネルギーに満ちた体験が得られるのです。
Asana で生産性を高める「フロー」という用語は、ポジティブ心理学の父であるミハイ・チクセントミハイ氏によって初めて作られました。ポジティブ心理学とは、「生きがいとは何か」と科学的に研究する学問です。チクセントミハイ氏は「フロー状態」を最初に見つけた人物ではありませんが、大規模な心理学研究の一環としてこの現象を記録しました。「フロー」という名前の由来は、この感覚について人々にインタビューを行った際、多くの人が「川の流れに乗っているような感じ」と表現したことからです。
チクセントミハイ氏は、フロー状態に入るためには 8 つの重要な要素があるとしています。
明確な目標と即時のフィードバック
特定のタスクへの高度な集中
スキルとチャレンジのバランス
タスクに対して自分でコントロールしている感覚と主体性
反射的自意識の喪失
時間のゆがみや時間感覚の変化
行動と意識の統合
自己目的的な体験 (フロー状態に本質的なやりがいがある)
単に気分がいいことに加えて、フロー状態にはさまざまなメリットがあります。
自分の感情と調和し、感情をコントロールしているような感覚が得られる
フロー状態で生み出すものは自分への報酬になりやすく、高い満足感が得られる
仕事へのエンゲージメントが高まる
フロー状態の間は自意識が薄れるため、創造性が高まる
自分のやっていることに集中できる
自分が取り組んでいることは達成可能だという自信がわく
フロー状態と同じような意味で「ディープワーク」という言葉が使われているのを聞いたことがあるかもしれません。実際この 2 つの言葉はよく似た体験のことを指していますが、フロー状態とディープワークには違いがあり、両方をうまく活用できる方法があります。
まず、フロー状態は、スポーツ、瞑想、芸術など、日常のさまざまな場面で体験できますが、ディープワークとは主に仕事に関連するものです。また、フロー状態がスキルとチャレンジのバランスによって達成されるのに対し、ディープワークは複雑なことを達成する点に重きが置かれています。実際、カル・ニューポート氏が初めてディープワークの仮説を立てた際のディープワークの定義は、「認知的に負荷の高い作業に集中できる能力」でした。
記事: 「ディープワーク」が働き方を変えるフロー状態は、仕事だけでなく、日常のさまざまな場面で体験できます。基本的には集中力を要する活動であればどんなものでもフロー状態に入ることができます。集中がフロー状態に変わると、時間が経つのも忘れてしまうほど活動に没頭できるようになります。ここでは、日常のさまざまな分野におけるフロー状態の例をいくつかご紹介します。
フロー状態に入ると、大きなやりがいが得られます。仕事におけるフロー状態とは、タスクやプロジェクトに没頭して、時間を忘れてしまうことです。仕事をこなしていたら、いつの間にか時間が経っていた。それがフロー状態です。
アスリートの多くが、スポーツの最中にフロー状態を体験していると語っています。スポーツにおけるフロー状態では、頭の中が完全にクリアになったように感じられます。他のことに気を取られたり、人目を気にしたり心配することなく競技のパフォーマンスにだけ集中できれば、それはフロー状態に入っていると言えるでしょう。
芸術作品を制作しているときや体験しているときにもフロー状態に入ることができます。音楽、映画、文章を書く、絵を描くなど、芸術の種類はさまざまです。芸術作品を作っているときに、その制作過程で没頭して、それだけに集中できるようになったら、それがフロー状態です。また、芸術を体験しているときにもフロー状態に入ることができます。たとえば、音楽を聴いていたらいつの間にか時間が経っていたなんてことはありませんか?そういった体験が、クリエイティブなフロー状態です。
教育におけるフロー状態とは、勉強している内容に完全に没頭している状態のことです。たとえば、面白い講義を受けていたらいつの間にか時間が経っていて、講師が話を終えたときに驚いてしまう、というような体験が教育におけるフロー状態です。また、ある科目を勉強していたらノリノリになって、何時間も経ってから夕食をまだ食べていないことに気が付いた、というような体験も教育におけるフロー状態と言えます。
フロー状態を体験する一般的な方法の一つに、瞑想があります。チクセントミハイ氏が最初にインタビューを行ったとき、被験者の多くはフロー状態を川の流れに身を任せているような感じだと表現しました。この「楽」な感覚や「精神的な無重力」の感覚は、多くの瞑想法において重要な部分です。
瞑想を始めるときは、心をクリアにしたり、思考が空に浮かぶ雲のように流れる青空をイメージすることはよくあります。そうしてリラックスした状態で瞑想を行うことが、瞑想におけるマインドフルなフロー状態です。
フロー状態への入り方は人それぞれです。しかしながら、多くの人はフロー状態に入っているときの感覚を似たような言葉で表現します。たとえばあなたが同僚に「ゾーンに入っていた」と言えば、もしその人があなたと同じ方法でフロー状態に入ることができなくても、その意味を理解してくれるでしょう。
しかし、それほどさまざまな方法があるのなら、自分はどんな方法でフロー状態に入れるのでしょうか?フロー状態への入り方は人それぞれですが、フロー状態の実現にはいくつか共通の要因があります。以下の習慣を日常に取り入れて、仕事でフロー状態を実現しましょう。
フロー状態に入ることができるのは、チャレンジとスキルのバランスが取れているときです。難易度が高すぎると、それをやり遂げられるかどうかという点でストレスを感じてしまい、フロー状態に入るのが難しくなります。逆に簡単すぎても退屈になってしまい、フロー状態に入るのに適していません。これを「チャレンジとスキルのバランス」と呼びます。
フロー状態に入るために重要な次の要素は、明確な目標を持つことです。自分が達成すべきことがわかっていると、フロー状態に入りやすくなります。これは、明確な目標があることで自分がどれだけ目の前の仕事をこなせているかを理解しやすくなるためです。
明確な目標の設定が難しいようであれば、まずは普段の仕事をチームや会社の大きな目標に結び付けることから始めてみましょう。目の前の仕事が会社のより大きな取り組みにどのように貢献しているかを理解することができれば、重要な仕事の優先順位を明確にして影響力の大きい仕事を成し遂げることができます。そのためには、ワークマネジメントツールを使って組織全体の仕事をつなぎましょう。
一度フロー状態に入ってしまえば脳が自然に雑念を排除するので、作業に集中することができます。しかし、フロー状態に入ろうとしているときは、内外の刺激に邪魔されてしまい、フロー状態に入るためのクリアな心が保てないということも十分にあり得ます。
記事: デジタルの誘惑や邪魔を減らし、集中力を高める 7 つのヒント私たちの多くは、ほとんど常に気の散る状況に置かれています。実際、ナレッジワーカーの 80% が、メールの受信トレイやその他のコミュニケーションアプリを開いたまま仕事をしていると答えています。しかし、このような状況では気が散ってしまい、フロー状態に入れなくなってしまいます。気が散るものを減らすコツを試してみましょう。
通知をオフにする
サイレントモードをオンにする
タイムブロッキングをする
誰もがマルチタスクで仕事をこなせると思っていますが、実はマルチタスクというものは存在しません。脳は一度に 1 つのことにしか集中できないので、マルチタスクを行っているときは一度に 2 つのことをやっているのではなく、脳を使って 2 つかそれ以上のことの間をすばやく切り替えているのです。これは脳に大きな認知的負荷がかかります。しかし、誰にでもそんな経験はあるものです。Asana の調査によると、ナレッジワーカーの 72% が 1 日の中でマルチタスクをしなければならないというプレッシャーを感じています。
しかしおそらく、マルチタスクをすればフロー状態はすぐに途切れてしまう可能性が高いでしょう。なぜならあなたがマルチタスクをしているとき、脳はフロー状態に入っているタスク以外のことに集中しなければならないからです。またフロー状態に戻るために貴重な時間とエネルギーが必要になってしまいます。気が散るものを一旦置いておくように、マルチタスクもひとまず置いておき、目の前のタスクに集中しましょう。
記事: 分散ワークの世界で燃え尽き症候群を乗り越える方法「これまでにフロー状態に入ったことがあり、感覚も知っていて、今日の生産性を上げるためにまたフロー状態に入りたいと思っているが、どんなに頑張っても感じることができない。」そんな経験はありますか?その気持ちはよくわかります。これは、「コントロールのパラドックス」と呼ばれ、何かをコントロールしようとすればするほど、コントロールが難しくなるというものです。
今日はフロー状態を感じられなくても、大丈夫です。フロー状態でなくても、いい仕事はできます。気が散るものを減らしたりマルチタスクをやめたりすることは、たとえフロー状態に入っていなくても集中力アップに役立ちます。
無理をしないことと同様、自分が楽しくなければフロー状態には入れません。何から始めればいいのかわからないようなときは、好きなことをやりましょう。
フロー状態は、外発的な動機ではなく内発的な動機によって機能します。内発的な動機とは、あなたがそれをうまく成し遂げたいのはそれが満足感の得られることであるからで、必ずしも報酬がもらえるからというわけではない、ということです。これは、フロー状態でも同じです。私たちがこれほどフロー状態を気に入っている理由は、仕事をこなすのが気持ちよくなるからなのです。
個人的なフロー状態に達するだけでなく、チームのフロー状態を作り出すこともできます。チーム全体がフロー状態に入ると、あなたとチームが完全にシンクロして働いているような感覚になれます。
チームでフロー状態に入るには、一人でフロー状態に入るために使った先ほどの 6 つのステップを使い、残りのチームメンバーに広めましょう。仕事のブロックを作ったり、全員で 1 つのプロジェクトに集中するグループセッションを作ると、フロー状態のメリットが体験できるだけでなく、そのメリットをチーム全体で共有でき、最大限の効率と効果が得られます。
記事: チームフローで生産性を伝染させる方法フロー状態は、影響力の大きい仕事を成し遂げるのに役立つ、たくさんの生産性アップ術の中の一つです。他の生産性アップ術と同様、フロー状態は一番重要な仕事に焦点を絞り、長い間集中するのに役立ちます。
しかし、他の生産性やタイムマネジメント術と同様、フロー状態は誰にでも有効というわけではありません。フロー状態がうまくいかない場合は、タイムマネジメントのコツ 18 選についての記事をお読みください。
Asana で生産性を高める