従業員調査は組織を改善するために欠かせないツールです。従業員に本音のフィードバックを求めることで、組織をみんなが働きやすい場へと変える力を従業員自身に与えられます。Asana のテンプレートには 29 の質問と簡単な評価スケールが含まれ、従業員の幸福度、会社や組織の文化に対する意見、提供されている福利厚生への満足度などを詳しく知ることができます。
組織の成功は、従業員の満足度に大きく左右されます。従業員が仕事に満足していれば、それだけ成果が上がり、組織全体として大きな成功を収められます。従業員の組織に対する満足度を知るには、本人たちに尋ねるのが一番です。
しかし簡単そうに聞こえても、従業員調査はなかなか手間のかかる作業です。その手間を省くために Asana が 29 の質問から成るテンプレートを用意しました。次の従業員調査でぜひご活用ください。
すぐにテンプレートをお使いいただいてもかまいませんが、従業員調査によって、チームのエンゲージメントを高め、対立をコントロールし、社内全体の満足度をアップする方法をチェックするには、この記事をお読みください。
従業員調査は、年 1 回、人事 (HR) 部門が行うのが普通です。その目的は、従業員に、所属組織についてどう感じているかを正直に匿名で報告する機会を提供することです。
質問は、主に従業員の幸福度、報酬、福利厚生、チームの人間関係、会社の文化などに関わるものです。データを収集したら、人事部や中立的な第三者が分析と評価を行います。ここで得た知見に基づき、調査の中で従業員が指摘した組織の弱点や問題点を是正する具体的なアクションプランを作成します。
Asana でチームのコミュニケーションを改善仕事への満足度、従業員の士気、仕事環境への意見といった点について現状を調べ、改善するには、従業員調査が欠かせません。また、オンボーディングプロセスの評価や、離職前の面談にも活用できます。
可能な場合は、全員のフィードバックを匿名にしておきましょう。調査は匿名で行うことをはっきり伝えておけば、従業員は本音を正直に伝えやすくなるでしょう。確実に匿名にするためには、オンライン調査を使用するか、外部機関に依頼してデータを収集します。紙とペンを使って調査を社内で行う場合は、従業員に名前を書かないように伝えてください。
さらに、誰が調査に記入したかが簡単にわかるような質問はしないようにします。組織やチームの規模が小さいほど、個人的すぎる質問は避けましょう。たとえば、どの部門に所属しているかという質問をする場合、個人が特定されないように、年齢グループや性別を尋ねないようにします。
従業員は、匿名性が保証されていないと感じると、後の影響を恐れて正直なフィードバックをためらう場合があります。
パルスサーベイとは、従業員を対象とした 1 ~ 15 問ほどの質問で構成される簡単な調査です。従業員調査は、年 1 回実施されるのが一般的ですが、パルスサーベイは四半期ごとや月ごと、場合によっては毎週行われる場合もあります。
パルスサーベイは、従業員の仕事への満足度を簡単に把握したいときに便利なツールです。同じくこうしたアンケートは、より詳細な従業員調査の合間に従業員の状況を簡単に調べる方法としても有効です。
組織が従業員調査を行うべき理由はいくつかあります。
エンパワーメント: 従業員にフィードバックや意見を求めることで、それぞれに自分のキャリアに対する意思決定者としての自覚を持たせることができます。ただしこうした効果が得られるのは、調査後に、従業員にとって重大な問題を解決するための具体的な対策がとられること、組織が改善に真剣に取り組んでいることを従業員が信頼している場合です。
エンゲージメント: 従業員調査は、従業員のエンゲージメントを高める上でも有効です。フィードバックを求められることで、多くの従業員は、組織へのつながりを感じるはずです。また、調査によって日常的に組織に対してどう感じているかを報告できます。
成長: 従業員が、組織側が意識していない弱点や強みを教えてくれる可能性があります。このデータをもとに改善を行うことで、従業員のエンゲージメントとパフォーマンスを高め、究極的には組織を成長させることにつながります。
指標: 定期的に従業員調査を行うことにより、いずれは組織の成長を測定する指標として活用できます。
満足度アップ: 組織に愛着を持ち、自分が組織の成功に貢献していると思う従業員は、仕事に誇りと満足を感じている場合が多いでしょう。これは社員の定着率、ひいては組織全体の業績にダイレクトに影響します。
あらゆる組織や部門、チーム、状況ごとに、さまざまなタイプの従業員調査があります。その中で、どんな組織も必ず年 1 回は行うべきなのが従業員満足度調査です。
これは従業員から総合的なフィードバックを得る絶好の機会ですが、そのためには適切な質問をする必要があります。ここでは、従業員満足度に関わる重要な分野をカバーする 29 の質問を紹介します。
仕事への満足度を左右するのは給与の額だけではありません。従業員が組織に定着するためのポイントは、健全なワークライフバランスです。チームのメンバーがプライベートと仕事のバランスが取れていると感じているか確認するために、フィードバックを求めましょう。
以下は、従業員が職場での幸福度をどう評価しているかを判断するための質問です。
1. あなたは仕事に意味と刺激を感じていますか?
2. 会社 (組織) で大切にされていると感じますか?
3. 会社 (組織) の戦略的目標を明確に理解していますか?また、そうした目標にどのように貢献していますか?
4. 仕事がプライベートな生活や幸福度に影響していると感じたことはありますか?
5. 会社 (組織) は、従業員の幸福度を高めるために最善の努力をしていると考えますか?
6. あなたの経験全般に基づく従業員幸福度はどれくらいですか?
従業員幸福度は、仕事への満足度の基本とみなすことができます。また、キャリア開発の面でどのような機会を与えられているかも、従業員が自分が組織で評価されていると感じるかどうかのポイントになります。
組織が提供できるキャリア開発の機会は、従業員の全体的な満足度に大きな影響を与えます。何と言っても多くの従業員が最高のパフォーマンスを出そうと努力を続けるのは、キャリアアップを目指しているからです。チームに以下の質問をして、組織が提供するキャリア開発の機会を彼らが評価しているかどうかを見極めましょう。
7. 会社 (組織) でのキャリア開発や成長機会についてどれくらい知っていますか?
8. 仕事や利用できる機会によってモチベーションが上がりますか?
9. 過去 12 か月で会社 (組織) が提供したキャリア開発の機会を利用しましたか?
10. あなたの職位をさらに上げるには、何をする必要があるか知っていますか?
11. キャリアアップのために、必要なリソースを持っていると感じますか?
12. あなたの職務は挑戦し甲斐がありますか?
従業員調査のこのセクションでは、コメント欄を設けることが重要です。キャリア開発についての質問やあなたの組織が提供している成長機会に対するフィードバックがあれば、ここに記入してもらい、調査後に回答したり話し合ったりしましょう。
記事: チームの形成段階とは?オンラインにせよ、対面にせよ、週 40 時間を職場で過ごす場合、チームメイトとの関係性が良好であることが仕事への総合的な満足度に大きく影響します。
以下の質問では、従業員がチームメンバーを信頼できているか、また自分が公正に扱われていると感じているかを確かめましょう。
13. あなたはチームに大切にされ、歓迎されていると感じますが?
14. チームメイトと簡単に連携できますか?
15. マネージャーはあなたに対し支援的で、あなたを評価していると感じますか?
16. 会社 (組織) のコミュニケーションチャネルを理解していますか?
17. チームのコミュニケーションは明確で効果的だと思いますか?
組織だけでなく、各部門内のコミュニケーションやコラボレーションに関連する全体的な傾向をつかみましょう。たとえば、調査によってマーケティングチームが部門横断的なコミュニケーションに苦労していることがわかったとします。さらに詳しく質問するために、マーケティングチームを対象に目的別のパルスサーベイを行い、マーケティングチームがどのコミュニケーションチャネルを使うべきか把握していないことが判明すれば、問題に対処できます。
この場合なら、コミュニケーション計画を作成、あるいは更新して問題を解決し、マーケティングチームが部門を越えたコミュニケーションを行いやすくします。
リーダーやマネージャーにとって、チームの仕事量をチェックして、働き過ぎの徴候を把握することは重要です。事実、世界のナレッジワーカーの 80% が、働き過ぎで、燃え尽きる寸前だと感じています。働き過ぎや燃えつき症候群 (バーンアウト) は、仕事へのエンゲージメントを薄れさせ、組織全体の成功に悪影響を及ぼします。
従業員に現在の仕事量について質問し、状況を簡単に把握して、ストレスを解消しやすくするためにできることがないかチェックしましょう。質問例は以下のとおりです。
18. 仕事を期限内に完了するために、時間とリソースは十分にあると感じますか?
19. チームメイトとあなた自身のあいだで仕事の配分は公平だと感じますか?
20. あなたの仕事の責任範囲は明確に定義されていますか?
必要に応じて、チームの仕事量を管理して、量を減らすなど調整を効果的に行いましょう。ワークフローを定義し、タスクを明確に割り当てて「仕事のための仕事」を軽減できるワークマネジメントソフトウェアを導入すれば、この問題は簡単に片付くかもしれません。
Asana でチームの仕事量を管理するお金がすべてではないとはいえ、公正な報酬や福利厚生は重要です。これらは従業員の定着率に影響するだけでなく、人材を新たに惹きつける要素にもなります。つまるところ安心と報酬が、従業員の欲求の階層の 2 大基本欲求なのです。
以下の質問で、従業員に賃金と福利厚生についてどう考えているか尋ねてみましょう。
21. あなたの仕事に対する賃金は適正ですか?
22. 会社 (組織) の退職金制度に満足していますか?
23. 社会保険制度に満足していますか?
24. 休養や充電期間をとるための有給休暇は十分にあると感じていますか?
チームに直接意見を聞くことで、従業員が求めているものをより正しく把握し、改善に向け組織内の改革を行えます。チームメンバーに、自分たちの声が組織に届き、理解されたと感じてもらえるように、取り組みをわかりやすく明確に伝えましょう。
最後になりましたが、組織における職場文化を従業員がどう見ているかを質問することも忘れてはいけません。無料でさまざまな福利サービスやイベント、特典を提供したとしても、組織側が意図したように受け止められなければ、改善の必要があります。
組織の文化についてどう感じているかを従業員に尋ね、方針が正しいかどうかを確認しましょう。
25. 会社 (組織) の文化全般に満足していますか?
26. 会社 (組織) は、多様性や包摂性に関する問題に真剣に取り組んでいると感じますか?
27. 会社 (組織) の全員に、雇用や成長機会が平等に開かれていると思いますか?
28. 会社 (組織) は変化を柔軟に取り入れ、あなたのフィードバックを重視していると感じますか?
29. 会社 (組織) の情報伝達はタイムリーに、透明性をもって行われていると思いますか?
組織が自らの価値観を遵守していると感じている従業員は、エンゲージメントや意欲が高く、使命感も高い傾向にあります。
従業員調査を大規模に行う場合は、データの収集と分析を安全かつ効率的に行えるサービスやツールの利用を考えましょう。Culture Amp のようなアプリなら、大規模なチームや組織でも簡単にデータを収集できます。こうしたアプリはデータを匿名で収集し、自動的に評価するため、組織側は調査後の対策を練ることに集中できます。
しかし、小規模なチームが対象の場合や、従業員調査を行うのが初めてなら、簡単なテンプレートを使えば、間違えることはありません。
下のリンクから Asana の無料のテンプレートをダウンロードして、次の従業員調査にご活用ください。このテンプレートでは簡単な評価スケールを使って、各従業員が会社や組織についてどう感じているかを簡単にチェックし、チームの状況を大まかに判断できます。
従業員満足度調査用の無料テンプレートさて、すべてのデータを集めたら、次の段階に移りましょう。
従業員に、自分は組織に認められ、評価されていると感じてもらうために、調査結果をよく吟味し、分析しましょう。従業員にとって職場での生活をよりよいものにするために、彼らの全体的な満足度を集計し、評価する必要があります。ここではその方法を解説します。
感謝を伝える: 時間を割いて調査に協力してくれたことを感謝するメッセージを全員に送りましょう。メッセージには、次にとるステップや大体のタイムラインを記載し、従業員に今後の展開がわかるようにします。このプロセスを透明性をもって行えば、それだけチームの会社や組織に対する信頼も高まります。
調査の回答を分析、評価する: データの分析を社内、または第三者機関で行い、会社や組織について従業員がどう考えているかを明らかにしましょう。さまざまなチームや部門、組織全体での共通事項や傾向を把握します。
アクションプランを作成する: このステップこそ、そもそも調査を行った目的であり、最も重要なポイントです。データを収集したら、組織の優れた点と、対策が必要な点とを突き止めます。アクションプランでは、どの順番で、どのように改革を行う予定かを明確に定めましょう。
調査結果とアクションプランを共有する: カギとなるのは透明性です。調査によって得られた分析結果を組織全体で共有します。結果を共有する際には、個人の回答の匿名性を保護するように注意してください。分析結果それぞれにアクションプランを作成すれば、組織がどのように改善を行う予定かが、従業員にも伝わります。
フォローアップを行いプロセスを繰り返す: これから取るステップについて従業員に逐一知らせましょう。これによって従業員は、自分たちが大切にされ、意見を真剣に聞いてもらえていると感じ、その感想は 1 年後に次の従業員調査が実施されるまで続きます。
アクションプランの実施状況に従業員がどれくらい満足しているかを簡単に追跡するには、年間を通じてパルスサーベイを行いましょう。
言ってしまえば、調査の形態はパルスサーベイでも、仕事への満足度調査でも、自己評価でも構わないのです。大切なのは、会社や組織のために働く人々を考慮しながら、組織を継続的に改善する取り組みを行うことです。
会社への帰属意識の高い従業員は、より意欲的で、積極的に会社に貢献します。そのためには、会社側としてはフィードバックを集めるだけでなく、耳を傾けることが必要です。従業員満足度調査のアンケートを送ったら、フィードバックを基に具体的な対策を練り、効果的なコミュニケーションによって、どんな方法で改革を行うのかを従業員に伝えることが重要です。
Asana でチームのコミュニケーションを改善