クリティカルシンキングは、非常に重要なスキルです。このスキルを鍛えることにより、情報を分析する能力を高め、可能な限り最適な決断を下せます。この記事では、クリティカルシンキングの基礎をカバーし、完全なクリティカルシンキングプロセスを実施する際に活用できる 7 つのステップをご紹介します。
クリティカルシンキングは、可能な限り最適な結論を出そうとする際に、適切な質問をすることで生まれます。クリティカルシンキングに長けた人は、最適なアクションを見出すために、さまざまな観点から情報を分析します。
クリティカルシンキングが得意でないという方、ご安心ください。この記事では、情報を吸収し、分析し、情報に基づいた意思決定を行えるよう、クリティカルシンキングの基礎を固めるお手伝いをします。
クリティカルシンキングとは、情報を収集、分析して結論を出す能力のことです。批判的 (クリティカル) にものを考えられるということは、ほぼすべての業界において重要であり、幅広い職務で適用されます。その理由は、クリティカルシンキングは分野に特化したものではなく、むしろ情報やデータ、統計、その他の詳細を解析し、満足できる解決策を見出す能力であるためです。
クリティカルシンキングのスキルを鍛えれば、問題を解決する能力やデータに基づく意思決定の能力が高まり、複雑な問題を解決するための手法となります。優れたクリティカルシンカーは、不明確な状況や情報に抵抗を感じず、最適な結論を出すために仮説の検証を行うことに前向きな姿勢を持ちます。
多くのソフトスキルと同じで、クリティカルシンキングは授業を受けて習得できるものではありません。むしろ、さまざまな対人および分析の能力で構成されるスキルです。クリティカルシンキングを高めるということは、どちらかと言えば、オープンな姿勢を持ち、分析的思考をプロブレムフレーミングのプロセスに取り入れることを修得するというものです。
以下は、クリティカルシンキングで最も重要な 8 個のスキルです (順不同)。
分析的思考: クリティカルシンキングは、最適な結論を出すために複数のソースのデータを評価するということでもあります。分析的思考を持つ人は、偏見を排斥し、最適な結論を出すために情報を集め、消費しようと努力することができます。
オープンな姿勢: このクリティカルシンキングのスキルがあれば、情報を分析、処理し、偏見のない結論にいたることができます。クリティカルシンキングは、個人的な偏見を手放し、すべての情報に基づいた結論にいたるということでもあります。
問題解決: クリティカルシンキングは、利用可能なすべての情報を基に最適な結論にいたることが重要視されるため、問題解決の重要な要素でもあります。クリティカルシンキングは、正しく活用すれば、職場の課題から日常の困難まで、あらゆる問題を解決することに役立ちます。
自己制御: 自己制御とは、自分の考えをコントロールし、個人的な偏見を捨てることにより、最適な結論を出す能力のことです。効果的なクリティカルシンカーになるには、自分が持つ情報や賛成する決断を疑う必要があり、それができてこそ最適な結論にいたることができます。
観察: 観察スキルは、隠された情報を見つけるのに役立ちます。クリティカルシンカーになるには、複数の観点から物事を見る必要があります。また、観察スキルを使用すれば、潜在的な問題を特定することもできます。
解釈: データはそれぞれ中身が違い、クリティカルシンカーはそれを承知しています。情報を集めるだけでなく、そのときの状況ではどの情報が重要で、関連性が高いのかを評価することも重要です。そうすれば、集めたデータを基に最適な結論を出すことができます。
評価: 難しい質問に対して、明白な答えがあるということは滅多にありません。クリティカルシンキングでは偏見を手放すことが重要視される一方で、利用できるデータを基に自信を持って決断を下せる必要があります。
コミュニケーション: 決断を下した後は、その決断を関係者と共有する必要もあります。それを職場で効果的に伝えるには、証拠を提示し、自分の結論を支持することが必要です。考えられる解決策がいくつもある場合は特に重要です。
クリティカルシンキングは、以下 7 つのステップで磨けるスキルです。クリティカルシンキングを鍛える 7 つのステップを使用すれば、適切な角度から問題に取り組み、あらゆる代替策を考慮し、偏見のない結論にいたることができます。
記事: 収束的思考と拡散的思考: 正しいバランスを見い出す完全なクリティカルシンキングプロセスには、考慮すべき要素がたくさん伴いますが、すべての決断についてそこまで深く考える必要はありません。偏見を捨て、論理的にプロセスに取り組むだけで十分な場合もありますし、複雑なケースであれば、完全なクリティカルシンキングプロセスを最後まで実施することが理想的な結果を見出す最適な方法となる場合もあります。
7 ステップのクリティカルシンキングプロセスは、馴染みの薄い領域で複雑な意思決定をする場合に便利です。また、馴染みのある問題を異なる角度から偏見を持たずに見る場合にも役立ちます。
さほど複雑ではない意思決定が必要な場合は、別の問題解決戦略を検討してください。異なる選択肢から最適なものを特定するには、意思決定マトリクスが重宝します。意思決定マトリクスを作成する 7 つのステップに関する記事をお読みください。
クリティカルシンキングのスキルを活用する前に、まずは解決する問題を特定する必要があります。このステップでは、いくつかの異なる観点から問題を検討し、以下のような問いかけを行います。
何が起こっているのか?
これはなぜ起こっているのか?
私はどのような前提を置いているか?
一見して、この問題はどうすれば解決できるか?
偏見のない結論にいたる方法を学ぶということは、クリティカルシンキングのスキルを鍛える上で重要な要素の 1 つです。そうするには、まず最初に自分が現在抱いている偏見の内容を認識する必要があります。チーム内に自分は答えを知っていると考えているメンバーはいないか?必ずしも真実とはいえない前提を置いていないか?こうした詳細を洗い出しておくと、プロセスの後半で役に立ちます。
この段階で、何が問題であるかは大まかに把握できていることだと思います。しかし、最適な解決策を打ち出すにはさらに掘り下げなくてはいけません。
調査プロセスでは、データや統計、プロジェクトに関する過去の情報、チームの意見など、問題に関する情報を収集します。情報は、さまざまなソースから集めるようにしましょう。そうすることは、自分が問題として見ているものや解決策がこうしたソースのそれと異なる場合は特に大切になります。
クリティカルシンキングのプロセスをうまく適用するには、さまざまな情報を集めることが欠かせません。情報を十分に取得しないと、最終決断を下す能力が揺らいでしまいます。クリティカルシンキングは、客観的で最適な結論を出すためのものです。直感に頼るのではなく、調査を行うことにより最適な選択肢を見つけ出すのです。
さまざまな情報を集めることも重要ですが、情報ソースの有効性を判断することも重要です。データがあるからといって、目下の課題に関連性があるとは限りません。
すべての情報を集めたら、ノイズをふるいにかけ、関連性のある情報とない情報を判断します。このすべての情報をまとめ、重要性をはっきりさせれば、異なるデータソースを比較できるため、クリティカルシンキングプロセスの後の段階で最適な結論にいたることができます。
データの有効性を判断するには、以下を確認します。
この情報はどの程度信頼できるか?
この情報はどの程度重要か?
この情報は古くないか?特定の分野に特化したものではないか?
クリティカルシンキングプロセスの最も有益な要素の 1 つは、偏見を持たずに意思決定を行えるという点です。これを行うには、一歩引いて、自分が置いている前提に筋が通っているか否かを確認する必要があります。
偏見は誰にでもありますし、必ずしも悪いことではありません。無意識の偏見 (認知バイアス) は、問題解決を単純化し、意思決定を支える精神的な近道として機能することがよくあります。しかし、偏見そのものは悪くないとしても、その存在を認識し、必要に応じて手放せるようにならなくてはいけません。
結論に飛びつく前に、以下のように自問自答を行います。
この情報について仮説に基づいて判断していないだろうか?
他に検討していない不確定要素はないだろうか?
情報はあらゆる観点から評価しただろうか?
見落としている視点はないだろうか?
ついに、結論を出す準備ができました。最適な解決策を特定するために、因果関係を結び付けます。これまでに集めた事実を評価して、最も客観的な結論を決定します。
解決策は複数ある場合があります。直面している問題が複雑で難解なものである場合も珍しくありません。クリティカルシンキングのプロセスは、必ずしも決まりきった解決策につながるとは限りません。むしろ、このプロセスは、存在するさまざまな不確定要素を理解することに役立つため、情報に基づいた決断を下すことができます。
コミュニケーションは、クリティカルシンカーにとって鍵となるスキルです。1 人で考えているだけでは不十分です。自分が打ち出した結論をプロジェクトの他の関係者と共有する必要があります。解決策が複数ある場合は、そのすべてを提示します。解決策の 1 つを実施して、それが機能するかどうかを試してから、別の解決策を実施するという場合もありえます。
7 ステップのクリティカルシンキングプロセスで、何らかの結果が生まれます。そして、その解決策を実施する必要があります。決定した解決策を実施した後は、その効果を評価します。当初の問題を解決できたか?次のクリティカルシンキングを改善するものとして、この体験からは、ポジティブかネガィテブかは問わず、どのような教訓を学べるか?
チームが情報を共有する方法に応じて、学んだ教訓を信頼できる情報源に記録しておくとよいでしょう。そうすれば、今後似たような決断や関連する決断をすることになるチームメンバーは、あなたがその決断にいたった理由と実行結果を理解することができます。
Asana でチームやプロジェクトを横断するレポートを作成するあなたはユーザーエクスペリエンスデザイン (UX) に従事しているとしましょう。チームは料金設定、パッケージング、および会社が提供する異なるサービスをお客様が明確に理解できるようにすることにフォーカスしています。以下、この職場で 7 つのステップを踏みクリティカルシンキングを適用する方法をご紹介します。
現在の料金ページは、期待どおりの効果を発揮できていません。お客様からは、サービス内容がわかりにくい、ページを見ても疑問に対する答えが記載されていないと言われています。そこは、お客様がサービスに登録する場所であるため、会社にとって非常に重要なページです。現在のページの効果が薄い理由について、チームはいくつかの見解を持っていますが、あなたはそのページについて最適な決断を出せるよう、クリティカルシンキングのプロセスを適用することにしました。
問題を特定するということは、その問題が発生した原因を理解することでもあります。料金ページとパッケージングのページは重要なページであるため、チームはページをデザインした当初、さまざまな事柄に配慮していました。どうすればページを改善できるかと調査し始める前に、以下の質問を自分に問いかけてみましょう。
なぜ料金ページをこのようにデザインしたのか?
意思決定プロセスに参加する必要がある関係者は誰か?
ページ内でユーザーが行き詰まるのはどこか?
現時点でうまく機能している機能はあるのか?
料金ページとパッケージングページの歴史を理解することに加え、何が効果を発揮するのかを理解することも重要です。この調査の一環として、競合他社の料金ページの外観も見て確認します。
以下を自問自答します。
競合他社は料金ページをどのようにセットアップしているか?
料金ページ用のベストプラクティスはないか?
色、ポジション、アニメーションは操作にどう影響しているか?
顧客が求める標準的なページレイアウトはないか?
必要な情報をすべて集めたところで、今度はそれを整理して、分析します。気が付いた傾向はないですか?検討すべきとりわけ関連性の高い情報や重要な情報はありませんか?
クリティカルシンキングでは、偏見を可能な限り捨てることが重要です。以下を自問自答してください。
私はどのような前提を置いているか?
何か足りないものはないか?
適切な関係者と連携できているか?
他に検討すべき視点はないか?
最適な料金ページをデザインするのに必要な情報がすべて揃いました。デザインの複雑度に応じて、少数のお客様に提示するオプションやライブのウェブサイトで行う A/B テストをデザインするとよいかもしれません。
クリティカルシンキングは、生活のあらゆる面で役に立つものですが、職場ではプロジェクトの主な関係者の協力を得る必要があります。関係者は、ページの A/B テストを最初に行うかどうかなど、次のステップを決定することに協力してくれます。課題の複雑度によっては、メンバー全員が共通認識を持てるよう、ミーティングを開くことや、ステータスレポートを共有することを検討してください。
どのプロセスも結果を評価しなくては完了しません。新しいページを公開して少し時間が経ったら、前のページよりもうまく機能しているかどうかを評価します。何が機能して、何が機能しなかったのか?これは、後にクリティカルシンキングの効果を高めるのにも役立ちます。
クリティカルシンキングは、築き上げるのに時間のかかるスキルですが、努力と忍耐があれば、あらゆる状況で偏見のない分析的思考を適用できるようになります。クリティカルシンキングは、効果的なチームメンバー、マネージャー、ワーカーが持つ数多くのソフトスキルの 1 つです。自分のスキルにさらに磨きをかけたいという方は、成功するために欠かせない 25 のプロジェクト管理スキルの記事をお読みください。