建設業界ほど、不確定要素が多く、プロジェクトに積極的に関わる関係者が多い業界は他にありません。資材からサプライヤーまで、建設プロジェクトをスケジュール通りに、予算内で進めることは、それだけでも大変な仕事です。
そこで、建設プロジェクト管理 (CPM) の出番です。CPM を効果的に使えば、仕事、チームメンバー、成果物を一か所で簡単に管理できます。CPM を使えばプロジェクトが独りでに生まれるわけではありませんが、複数のチームが明確にコミュニケーションを取り、チームとしてより効率的かつ効果的に作業を行えるようにサポートします。
建設プロジェクト管理 (CPM) とは、建設・建築プロセスを管理、規制、監督するプロセスのことです。CPM は、一つのプロジェクトから建設会社全体を管理するものまで、さまざまな形で活用できます。いずれにせよ、CPM は、チームが建設前の段階でプロジェクト作業を計画し、建設段階で成果物を追跡し、プロジェクトの納品を評価し、最後に取り組みをまとめるのに役立ちます。
建設プロジェクト管理は、締め切りに左右されるものです。プロジェクトは常に計画段階から始まり、プロジェクトのライフサイクルの終わりには必ず成果物が定義されます。また、建設業界特有のさまざまなニーズはあるものの、プロジェクトライフサイクルの多くの要素は、一般的なプロジェクト管理と似ています。
Asana のプロジェクトマネジメント機能を試すCPM では、特にプロジェクトの制約や安全性に関する詳細に注意を払うことが重要です。建設プロジェクトは、多くの点で従来のプロジェクトと似ていますが、重要な違いもいくつかあります。
たとえば、建設プロジェクトでは、多くの場合、さまざまな関係者が密接に、そして部門を超えて協力する必要があります。関係者の例には、以下の役割が含まれます。
プロジェクトオーナー
プロジェクト監督者
クライアント
建設プロジェクトマネージャー
エンジニア
建築家
デザイナー
総合建設業者 (ゼネコン)
下請け業者
都市計画家
土木技術者
公務員
建設プロジェクトには、この種のワークフローに特有のニーズがあることは想像に難くありません。CPM の活用を検討する際には、管理方法を確認しておく必要があります。
ベンダー管理
予算の追跡
コスト見積もり
チェンジオーダー
日次、週次、月次の点検記録
入札、契約交渉
品質管理
安全管理
現場モニタリング
建設プロジェクトの本質は、あくまでも「プロジェクト」です。CPM の建設・建築的な要素を軽視してはいけませんが、プロジェクト管理のベストプラクティスに従っていることを確認する必要があります。
これは、次の方法で確認できます。
プロジェクトを開始する前にフィージビリティースタディを実施する。
プロジェクト立ち上げフェーズのすべてのステップに従い、チームを成功に導く。
リスク登録簿などの積極的なリスク管理プロセスを設定する。
作業分解構成図 (WBS) を作成し、プロジェクトのすべての成果物やサブタスクを把握する。
クリティカルパス法を使って、プロジェクトに最適なタイムラインを特定する。
プロジェクト前とプロジェクト中にコスト管理のベストプラクティスに従う。
プロジェクトチームや関係者と効果的にコミュニケーションを取る。
リソース管理のベストプラクティスに従う。
一元管理された情報を使って明確なワークフローを定義する。
一般的に、建設プロジェクトは 6 つのフェーズで構成されています。これらのフェーズの長さはさまざまです。次に紹介する 6 ステップのプロセスに従って、プロジェクトを成功に導きましょう。
建設プロジェクトを含め、どんなプロジェクトも、まず立ち上げフェーズから始まります。これは、構想段階とも呼ばれることがあります。このフェーズでは、チームはクライアントと協力して、クライアントのニーズとそれを満たす方法を特定します。
プロジェクトのスコープによっては、そのプロジェクトが実現可能かどうかを分析するために、フィージビリティースタディやビジネスケースの作成が必要な場合もあります。正式にビジネスケースを作成しない場合でも、クライアントとの共通認識を持つために、プロジェクト計画にデザインスケッチを入れておくとよいでしょう。
クライアントと詳細を詰め、契約を交わしたら、いよいよ建設前の準備に取り掛かります。ゼネコンを含むチームを編成し、必要であれば建設計画を現場と照らし合わせて検証します。
このフェーズは、建設プロジェクトを成功させるために必要不可欠な段階です。建設前のフェーズを飛ばして実行フェーズに進むと、重要な点を見逃し、プロジェクトの失敗につながる可能性があります。そのため、時間をかけて以下のことを明確にする必要があります。
クライアントと連絡を取るタイミング: プロジェクトマイルストーンのどの部分に関わりたいのか。
コミュニケーション計画: どこで、どのようにクライアントとプロジェクトのステータス更新を共有するか。
プロジェクト情報の保管場所: プロジェクト情報がすべてまとめられた、チームの信頼できる唯一の情報源はどこか。特に、プロジェクトのフェーズを通して、プロジェクトのチームメンバーが正しい情報を使っていることを、どのようにして確認するか。
リスク管理計画: どのようなプロジェクトリスクを特定し、それを積極的に軽減するためにどのような計画を立てているか。
プロジェクトロードマップ: チームが注意すべき依存関係と、その依存関係を可視化する方法について。
プロジェクトの予算: プロジェクト予算をどのように追跡するか。予算オーバーを防ぐために、どのようなコスト管理のベストプラクティスを導入するか。
何を目指しているのか: 最終的な目標とは?チームはどこでプロジェクトの成果物やサブタスクをすべてリストアップした作業分解構成図を確認できるのか。
これらの情報は、必ず誰もがアクセスできるツールで管理しましょう。プロジェクト管理ツールを使えば、チームメンバーや関係者との情報共有が容易になり、プロジェクトの進捗状況を視覚的に把握できるようになります。ガントチャートを使って、ロードマップに命を吹き込み、リアルタイムで進捗を確認し、プロジェクト計画の変更時に通知を受け、プロジェクトのマイルストーンに関する最新情報を把握しましょう。
プロジェクトのタイムラインを Asana で設定するプロジェクトが完璧に計画されると、実行に移すときが訪れます。プロジェクトの実行フェーズは、その名の通り、プロジェクトチームとゼネコンがプロジェクトを実施し、建設する段階です。
プロジェクトの実行フェーズでも引き続き最も重要なものの一つが、コミュニケーションです。コミュニケーション不足は、特に建設業界において、プロジェクトが失敗する最も一般的な原因の一つとなっています。建設プロジェクトに関わるすべての関係者のことを考慮しましょう。特に、プロジェクトに途中から参加したり、離れたりする人が出てくると、全員に最新情報を伝える明確な方法がなければ、プロジェクトを時間通り、予算通りに終わらせることはできません。
優れたコミュニケーションは、明確なコミュニケーション計画から始まりますが、それだけにとどまりません。チームメンバーがプロジェクトの重要な情報にアクセスできるようにし、前のフェーズで学んだ教訓も含めるようにしましょう。クライアントとの会話、チームの最新情報、プロジェクトの進捗状況などを一か所にまとめておけば、ミスの再発を簡単に防げます。そうすることで、予定通りに、予算内で成果物を完成できる可能性が高くなります。
最終的な製品が出来上がったら、コミッショニングフェーズに進みます。このフェーズは、3 つのステップで構成されています。
クライアントに完成品を見せる前に、何か抜けているものはないか確認する必要があります。完成品に不具合がないか、時間をかけて検証し、テストしましょう。見つけたことは建設工事パンチリストに記録します。
パンチリストは、CPM ツールの一つで、建設プロジェクト全体が完了する前に仕上げる必要のある、すべての小さな作業を記録した文書です。プロジェクトオーナーは通常、最終確認とパンチリストを活用して品質管理を行います。契約の仕様に見合っていない施工箇所や、設置の不具合などがあった場合は、プロジェクトマネージャーが再施工のためにパンチリストに記録しておけます。
パンチリストのテンプレートを作成社内での確認が終わったら、クライアントに完成した成果物を見せ、自分たちが作ったものをすべて確認してもらいましょう。クライアントは、建設現場の視察や、システムや機器のテストなどを希望します。事前にすべての不具合を発見しておくことが理想的ですが、最終確認中に新たな不具合を発見した場合は、責任を持って、できるだけ早く修正しましょう。
不具合がなくても、クライアントとビル管理者が関連システムの操作方法を把握していることを確認しましょう。そうすることで、引き渡し後も建物の維持管理が可能になります。これには、電気、配管、ソフトウェアなどが含まれます。
入居と保証期間中は、クライアントが実際に建物に入居します。現場を引き渡した後でも、契約内容や地域・国の保証規定によっては、まだ建設プロジェクトに対する責任が残る場合があります。
保証には、状況に応じて、契約上の保証と黙示保証の 2 種類があります。社内の法務部門の協力を仰ぎ、どちらの保証義務があるのか、また、保証期間はどのくらいなのかを確認しましょう。
保証期間が終了したら、プロジェクトは終了します。クライアントに対する義務は果たしましたが、まだすべてが完了したわけではありません。チームがプロジェクトで最大限の力を発揮したことを確認するために、プロジェクトのポストモーテム会議を開き、よかった点や改善の余地がある点を振り返りましょう。プロジェクトを通して学んだ教訓は、共有ツールでまとめましょう。そうすることで、次に同じようなプロジェクトが発生した場合、すぐに計画プロセスを始められます。
建設プロジェクト管理の 6 つのフェーズを理解したら、次にそれらのフェーズを実行しましょう。そこで役に立つのが、建設プロジェクト管理ソフトウェアです。
建設プロジェクト管理ツールは、建設専門家が仕事を実行し、締め切りを守るために作られたツールです。2 種類のツールがあります。
従来のツールは、建設チームに特化した機能を提供しますが、習得が難しく、ツールの管理にプロジェクトマネージャーが必要な場合があります。
最新のプロジェクト管理ツールは、どんなチームでも柔軟に使用でき、誰でも操作できます。
最新のプロジェクト管理ツールは、仕事の調整、情報共有、期限の厳守を容易にします。従来のプロジェクト管理ツールとは異なり、最新のプロジェクト管理ソフトウェアは、誰でも簡単に使えます。これらのツールには、プロジェクトを成功させ、要件に正確に適合させるために必要なすべてが備わっています。
Asana のプロジェクトマネジメント機能を試すどのようなタイプのツールであっても、以下のことができるツールを選びましょう。
CPM では、締め切りが最も重要です。締め切りに間に合わないと、連鎖的にプロジェクト全体の完成スケジュールが遅れてしまいます。もし、チームが、誰がいつまでに何をするのか、そして誰が責任者なのかを把握していなければ、締め切りは、より一層、見落とされやすくなります。実際、Asana の調査によると、毎週 26% の締め切りが間に合っていません。
適切な期日を設定する際に重要なのは、明確さです。その仕事の担当者は誰か、プロジェクトの依存関係は何か、最新情報を共有しなければならない関係者は誰かなどが、チームに正確に伝わるようにしましょう。まだの場合は、最重要業務のクリティカルパスを算出しましょう。この情報を早めに明確にすることで、チームは適切なタイミングで適切な仕事に優先して取り組めるようになります。
プロジェクト管理におけるクリティカルパスとは、プロジェクト全体の完了に向けて計画どおりに終了させていかなければならない連続した一連の作業のうち、パス (経路) が最長となるもののことです。重要タスクに遅れが生じると、プロジェクトの後続する作業にも遅れが発生します。
特に大規模な建設プロジェクトでは、大型の設備や特殊なアイテムについては、数週間から数か月先までスケジュールを立てる必要がある場合があります。少しの遅れが発生しても、その時は、大したことではないように思えるかもしれません。しかし、このような遅延がクリティカルパスに影響を与えれば、将来的に大きな問題に発展する可能性があるのです。
CPM の中には、不確定要素がたくさんあります。ガントチャートを使えば、これらすべての仕事を一か所にまとめて見える化できます。ガントチャートは棒グラフのようなツールで、各タスクを水平線で表現します。各タスクの所要時間、タスク間の依存関係を明確にし、重要な日付にプロジェクトのマイルストーンを追加することも可能です。
どんなに明確な期日を設定しても、時には遅れが生じることがあります。嵐のせいで荷物が時間通りに届かなかったり、チームメンバーが突然病欠したりすることもあるでしょう。このような遅延が発生した場合、遅延の影響をチームが明確に理解できるようにすることが重要です。
遅れが発生したら、次のような質問を自分に問いかけてみましょう。
結果的に期日を延期しなくてはいけない依存関係にあるタスクはどれか。
この遅延によって、プロジェクト全体の成果物に影響が出るのか。
遅れを取り戻すために、同時進行でできる仕事はあるか。
締め切りに間に合わなかった場合、このような事項をすぐに明確にすることで、チームは簡単にスケジュールを調整し、タイムロスを取り戻せるようになります。また、成果物が早く完成した場合、その成果物後の過程を担当する人が、通知を受け、すぐに自分が担当する作業に取り掛かれるようになります。
大きな建設会社に勤めていると、多くのプロジェクトが同時進行することがあります。チームメンバーが複数のプロジェクトに関わっている場合、最も重要なことは、各チームメンバーがいつ、何を担当しているのかを把握することです。
このような情報をすべて記憶しておくことはできませんが、効果的な建設プロジェクト管理ツールを使えば、そもそもその必要はありません。チームのすべてのタスクを一か所に記録し、複数のプロジェクトに関わっているチームメンバーの仕事量を確認できます。そうすることで、チームメンバーのスケジュールが過密になることを防ぎ、プロジェクトに必要なキャパシティを確保できます。
明確なコミュニケーションは重要ですが、CPM の場合、従来のプロジェクト管理よりもさらに調整が難しくなります。さまざまな関係者がいて、コンピューターから離れて仕事をしなくてはいけないだけでなく、プロジェクトの途中でチームメンバーが参加したり、離脱したりすることもあるのです。明確なコミュニケーションがなければ、物事の見落としが発生しやすくなります。
このような事態を防ぐには、プロジェクトチーム全体が、建設プロジェクト管理ツールを使って一か所でコミュニケーションをとれるようにしましょう。信頼できる唯一の情報源を維持することで、誰がどのような仕事をしているのか、仕事の最新状況はどうなっているのか、などと疑問に思うことがなくなります。
特に、リアルタイムで更新されるソフトウェアが役に立ちます。これに活用することで、オフィスにいても現場にいても、チーム全体が仕事の状況を把握できます。また、最新の建設プロジェクト管理ソフトウェアでは、プロジェクトに関係者を追加することで、関係者は会議に出席しなくても、リアルタイムにプロジェクトステータスレポートを確認できるようになります。
建設プロジェクトの成功は、予算内に収まるかどうかに大きく左右されます。これは CPM では特に重要なことです。なぜなら、住宅でもビルでも、あるいはもっと大きな建物でも、最終的な成果物を作るために必要な、多額の資材費を先払いしている場合があるからです。しかし、予算の管理は簡単なことではありません。
これもコミュニケーションと同様に、情報をリアルタイムで把握することが必要不可欠となります。プロジェクトのコストをリアルタイムで可視化できれば、費やした予算を確認するだけでなく、問題が起きてもすばやく対応できます。
建設業界は大きな業界ですが、チームが担当する建設プロジェクトは、似たようなものが多いはずです。CPM の 6 つのステップに従うことに加えて、作業を管理し、チームが順調に仕事を進められるように、ステップを独自に細分化しましょう。
建設プロジェクトの成功と失敗は、多くの場合、小さなサブタスクをいかにうまく実行できたかに左右されます。建設プロジェクトには、多くの不確定要素、さまざまな請負業者やチームメンバー、最終的な成果物に影響しかねないプロジェクトリスクが存在します。そのため、チームが常に詳細を把握していることが非常に重要となります。
過去のイニシアチブと似たようなプロジェクトであれば、プロセスを一から作り直す必要はありません。その代わり、プロセスをテンプレート化する方法を探しましょう。そうすれば、新しい建設プロジェクトを始める際に、手順を間違える心配もなく、煩雑な準備もなく、作業に取りかかれます。プロジェクトのプロセスを合理化することで、チームは計画過程よりも実行に時間を割けるようになるのです。
コンピューターから離れた場所で、情報にアクセスしなければならない状況に陥ることはよくあることです。たとえば、建設現場を歩いていて、何か不都合があることに気づいたとします。その場合、発見した情報をプロジェクト管理ソフトウェアに記録し、問題を迅速に解決する方法が必要となります。
リアルタイムで仕事の内容を更新できる、優れたモバイルアプリのあるツールを使いましょう。そうすれば、オフィスにいても現場にいても、プロジェクトに関わる誰もが共通認識を持てるようになります。
建設プロジェクト管理は非常に集中力の要る分野です。そのため、常に変化する計画や予期せぬ変更に対応する方法が重要な役割を果たします。世の中にはさまざまな建設プロジェクト管理ツールが存在しますが、Asana が重視しているのは建設プロジェクトの管理だけではありません。Asana はワークマネジメントプラットフォームです。つまり、プロジェクトだけでなく、プロセスについても重視しているのです。
Asana を使えば、どんなプロジェクトでも計画し、実行できます。一元的な意思決定から合理的な情報共有まで、Asana はチームが最高の仕事を成し遂げ、目標を達成できるようにサポートするオールインワンツールです。
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