働き方改革がすすみ、ワークスタイルは多様化しています。そんな中注目されているのが「コワーキングスペース」です。この記事では、コワーキングスペースとは何か、そのメリットとデメリットをまとめ、自分にあったコワーキングスペースの選び方のヒントをご紹介します。
リモートワークをするとき、あなたはどのような場所を仕事場として選びますか?もしあなたが起業するとしたら、どこを拠点に構えるでしょうか?この 2 つの質問の答えとなりうるのが「コワーキングスペース」です。働き方のバリエーションが増えた近年、そのニーズに応えたコワーキングスペースという施設が高い注目を集めています。そこでこの記事では、コワーキングスペースとはそもそも何なのか、どのようなメリットがあり、どのようなデメリットがあるのかを解説します。はじめてコワーキングスペースを選ぶときに考慮すべきポイントもまとめるので、参考にしてみてください。
コワーキングスペース (Coworking space) とは、働く「場所」に縛られない人々が利用する共同型オフィス、シェアスペースのことを指します。特にフリーランスや起業家が使用していましたが、昨今の働き方改革の推進や、新型コロナウイルス感染症の流行によりリモートワークをする人が増えてきた背景などもあり、こういったスペースへの関心がより高まっています。
Asana でリモートワークを管理そもそもコワーキングとは、英語の Co (共同) と Working (仕事をする) をつなげた単語です。同じ組織に属する人たちが集まるオフィスとは違い、コワーキングスペースには個人事業者やスタートアップ企業などさまざまな人々が集うシェアスペースが、このコワーキングスペースです。その発祥は2000年代中盤のアメリカ、シリコンバレーと言われ、そこから世界中に広がっていきました。先述のとおり、日本においてもコワーキングスペースの利用はますます盛んになっており、東京にはすでに数百件のコワーキングスペースが存在すると言われています。
コワーキングスペースよりも比較的古くから存在する「レンタルオフィス」。シェアオフィスとも呼ばれますが、この両者の違いは明確に定義されているわけではありませんが、コワーキングスペースが一般的にオープンスペースであるのに対し、レンタルオフィスは個室である傾向が高いです。ただし、こういったシェアスペースは世の中のニーズに合わせ変化していっているので、コワーキングスペースでも個室設備がある場所もあれば、レンタルオフィスでもオープンスペースを設けているところもあるのが現状です。
一方、後述する「コワーキングスペースのメリット」でも取り上げますが、コワーキングスペースは利用者間の交流を促すという点で、レンタルオフィスとは異なります。レンタルオフィスはあくまで「個人」という仕切りがあるのが通常ですが、コワーキングスペースは利用者間交流が盛んなことが多く、そういった意味で、ひとつのコミュニティが形成されるとも言えます。
人々の働き方が変化し、ますます注目を浴びるコワーキングスペース。ではコワーキングスペースを利用するメリットとは何でしょうか?ここでは「コワーキングスペースの強みは何か?」「コワーキングスペースの重要性は何か?」を中心に、そのメリットを紹介します。
自宅で仕事をしようとしても気が散ってしまう人もいれば、カフェやレストランではその騒々しさに集中力が持続しないという人もいるでしょう。いくら働き方の多様性をうたっても、生産的に仕事ができないのなら本末転倒です。コワーキングスペースには自分のほかにも仕事をしている人がまわりにいるので、そういった意味で「オフィス」という感覚を失うことなく、集中することが可能です。
コワーキングスペースを利用するメリットとして突出するのが、この「利用者同士の交流」です。コワーキングスペースの多くには、フリードリンクサービスなどがあるカフェブースや休憩をとるためのフリースペースが設けられています。こういったシェアスペースは、コワーキングスペースを利用する人同士が交流し、情報交換する最適の場として活用されます。スタートアップや起業家、フリーランスも多く集まるコワーキングスペースでは、こういった交流を通して新たなビジネスチャンスを見つけたり、ビジネスパートナーと出会ったりといったケースも珍しくありません。また、さまざまな業種や業界の人と触れ合うことで、新しいアイデアが浮かぶこともあるでしょう。コワーキングスペースでは、利用者間コミュニケーションを促進するための交流イベントを行っているところもあります。
Asana でチームのコミュニケーションを改善カフェなどの公共スペースで仕事をするときに困るのが、打ち合わせスペースの確保です。たとえオンラインであっても、まわりの騒音に気が散ってしまうことも多いでしょう。コワーキングスペースでは、こういった会議用スペースの確保に悩む必要はありません。軽い打ち合わせなら、いつでもフリースペースで行うことが可能です。
取り上げる内容によっては、外部に漏れることを懸念するケースもあるかもしれません。コワーキングスペースの多くには、会議ルームや商談スペースを用意しているところも少なくないので、そういった場合に活用できます。実際に来客受け入れを許可しているところなら対面での会議も可能です。またモニターやプロジェクターなどの機器が揃っている場合も多いので、オンライン会議もスムーズに行うことができます。
コワーキングスペースのメリットを考えたとき、とりわけフリーランスや起業家にとって重要なのが費用に関するポイントでしょう。マンションやアパートの一室を借りたり、賃貸オフィスを作業場として考えると、保証金などの初期費用と毎月の家賃は大きな負担となります。一方、コワーキングスペースを利用すればその差は歴然です。まだ事業が波に乗っていない時期ならなおさら、コワーキングスペースを活用するのがおすすめです。コワーキングスペースは低コストで事業をスタートするのに最適な選択肢のひとつと言えます。
前項の初期費用と家賃と関連するポイントとして、仕事場の設備投資があります。作業場をゼロから整えるとなると、デスクやイス、プリンターなどを用意するほかにも、電話を引いたり、インターネット回線を契約したり、電気、水道、ガスを開通したりといった手間がかかります。コワーキングスペースを利用すれば、こういった手間がすべて省け、仕事をする上で必要なインフラがはじめから整備されているわけです。PC ひとつですぐに事業をスタートできるという環境は、特にフリーランスや起業家にとって有益であると言えます。
ものごとには通常、メリットもあればデメリットもあります。ではコワーキングスペースのデメリットにはどのような点があるのでしょうか?コワーキングスペースを利用するときの注意点として考慮すべき点をいくつか挙げてみます。
まずひとつ目に挙げられるのが、作業スペースの確保です。一般的にコワーキングスペースは「フリーアドレス」という形式をとっています。つまり座席が決まっていないので、赴いた日に作業スペースを確保できるという可能性が決して 100 % ではないということです。専用席を契約するという選択肢もありますが、低コストに抑えたい場合はフリーアドレスの席を契約することが通常です。席がない可能性もあるという点は常に念頭に置いておく必要がありそうです。
コワーキングスペースは多くの人が出入りする場なので、社内情報や機密情報など、外部に漏らしてはいけない情報の取り扱いには十分な注意が必要となります。とりわけ席を離れるときには、PC 画面に出ている情報や、紙類の書類などの管理は徹底しましょう。また、コワーキングスペースの Wi-Fi を使うときも、セキュリティ面で安全かどうかをしっかりと判断します。
オープンスペースでさまざまな職種の人々と有意義に働くことができるコワーキングスペース。利用者間のコミュニケーションが活発で、職種や業界の壁を超えた交流の場としてメリットがある一方で、その和気あいあいとした雰囲気が逆に集中力をそぐ原因となることもあります。ひとつのコワーキングスペースにこだわる必要はありません。仕事の生産性が上がらないようなら、別の場所を探してみましょう。自宅を快適な仕事場にする『ホームオフィスの作り方』も参考にしてみてください。
実際にコワーキングスペースを選ぶ際、具体的にはどのような点に着目すればいいのでしょうか?以下のチェックポイントを参考に、自分に合ったコワーキングスペースを見つけましょう。
利用料金プラン: コワーキングスペースは一般的に「月額制」と「ドロップイン」という 2 種類の料金タイプに分かれています。毎月定額を払うのか、1日単位もしくは時間単位でその都度清算するのか。どちらのタイプにするのかは実際の利用頻度にもよりますが、異なるコワーキングスペースを比較するときに目安となるのは利用料金とプランの充実性なので、この点はしっかりと考慮しましょう。そのとき、割引サービスやチケット制の有無なども忘れずに確認します。
施設内の設備: 利用可能な設備を確認します。デスクやイスなどの実際の作業スペースはもちろんですが、プリンターやスキャナーなど、仕事をする上で必要不可欠なものが欠けていないか、ネット環境やセキュリティ管理、会議室の有無などのポイントもチェックしましょう。
法人登記と住所利用: 起業目的でコワーキングスペースを利用する場合は、法人登記および住所利用が可能かどうかを事前に必ず確認します。
立地とアクセス: コワーキングスペースは自宅から近ければいいというわけではありません。営業などで歩き回ることが多い人は、拠点となるようなエリア内のコワーキングスペースが合っているだろうし、周辺に銀行や郵便局がないと不便に思う場合もあるでしょう。普段の導線を考慮に入れて、どのような施設が近くに必要か考えましょう。
その他のサービス: コワーキングスペースは社会のニーズに応えるため、独自のサービスを多く提供しています。たとえば、郵便物の受け取りサービスやロッカー契約、託児所の設置、施設内交流会やセミナーの開催などがその例です。コワーキングスペースを比較する際に確認しましょう。
コワーキングスペースとは何か、そのメリットとデメリット、選ぶときのポイントを紹介しました。リモートワークや在宅勤務、フレックスタイム制などの導入でワークスタイルがどんどん多様化している昨今。通常の「オフィス勤務」以外にも多数の選択肢が用意されています。その中で、コワーキングスペースは多くのメリットがある仕事場です。注意点もしっかりと踏まえ、自分にあったワークスペースを選びましょう。
離れた場所でもチームメンバーとの「つながり」を感じ、チーム内コミュニケーションを円滑にすすめるためには、ワークマネジメントツールの利用が効果的です。プロジェクトの進捗管理はもちろん、メンバーの仕事量管理やビジネス目標管理までをひとつの場所で行える Asana のようなツールの導入を検討してみましょう。
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