「終わりを思い描くことから始める」とは、スティーブン・R・コヴィー博士が、ベストセラーとなった著書で定義した、非常に成功している人々が持っている 7 つの習慣の 2 番目に当たります。その習慣は、すべてのものは心の中と現実世界で合わせて二度作られるという原則に基づいています。この記事では、個人のミッションステートメントを書くことを通じて、「終わりを思い描くことから始める」方法をご紹介します。
目指すものをあなたはどうやって達成しますか?会社の目標であれ、個人的な目標であれ、それらを定義して、具体的なステップとともにプランを立てることは、モチベーションを維持することにも、目標に沿った努力をするにも役立つはずです。
「終わりを思い描くことから始める」とは、ニューヨークタイムズ紙ベストセラー作家、スティーブン・R・コヴィー博士が、その著書『7 つの習慣 人格主義の回復』で提唱している 7 つの習慣のうちの第 2 の習慣です。終わりを頭において始めることによって、より目標志向的になるように自分を仕向け、自分自身やチームのために明確なビジョンを持てるようになります。
コヴィー博士は、「最も重要な仕事は、常に自分よりも前にある。決して自分より後ろにはない」と考えていました。この記事で考え方を転換し、この第 2 の習慣をライフスタイルに取り入れて、目標に向かってよりスマートに努力する方法を発見しましょう。さらに、成功しているリーダーたちが、この知恵をチームと共有し、メンバーが個人的な成長を優先するようにどう働きかけているかもご紹介します。
終わりを思い描いてから始めるにはどうすればいいのでしょうか。スティーブン・コヴィー博士は、この習慣は、すべてのものは、心の中と現実世界とで、合わせて 2 度作られるという原則に基づいているとします。博士によれば、まず目標を思い描き、イメージを創造することによって、第 2 の、つまり物理的な目標の創造が可能かどうかを判断できるようになります。
終わりを思い描いてから始めるアプローチには、いくつかの方法があります。特に効果の高い優れた方法が、自分のためのミッションステートメントを作成することです。
会社のミッションステートメントとは異なり、個人のミッションステートメントは、人生のどの側面を取り上げることもできます。このエクササイズを、個人的な目標、つまり健康、家族、キャリアなどのあらゆる目標を可視化し、定義することに役立ててみましょう。
個人のミッションステートメントを作成することには、時間もエネルギーも必要ですが、目標に向かって戦略的に進めるようになります。まず、次の質問を自分に問いかけてみましょう。
あなたがパフォーマンスを最も発揮できるのはどんな時ですか?あるいは発揮できないのはどんな時ですか?
プライベートな生活で、あるいは職業人として、どんなことに情熱を抱きますか?
あなたに生まれつき備わった才能や得意なことは何ですか?
無限の資産があり、失敗しても問題ないとしたら、人生で何を成し遂げようと思いますか?
あなたの人生の旅はどんなものですか?あなたが今、取り組んでいること、それは誰のためか、あなたの行動の理由、あなたが目指す結果を定義してください。
キャリアの終点にいる自分の姿を思い描きましょう。あなたという人間について、周囲の人からどんな評価を得たいですか?
あなたは将来、どのような貢献を果たすことが最も重要だと思いますか?また、だれがその恩恵を受けるべきですか?
自分について変えたいと思うところはありますか?
これまであなたの人生に影響を与えた人を 3 人まで思い浮かべてください。その人たちの名前と、あなたが特に尊敬する資質を書き出しましょう。
人生の身体的、精神的、社会的、感情的な面で、あなたはどのようにバランス感覚を保っていますか?
個人のミッションステートメントを作成することによって、あなたは人生という車の運転席に座ることができます。また、家族のミッションステートメントや、チームのミッションステートメントを書いて、目標設定のエクササイズにほかの人を含めるのもおすすめです。
記事: 戦略プランニングは初めてですか?ここから始めましょう。それでは、ほかの人がどんな個人ミッションステートメントを書いているのか、覗いてみましょう。
今回の主人公は、菊井 紗代さんです。菊井さんは、同僚や友人、家族に見てもらえ、認められていると感じるとき、最もパフォーマンスを発揮します。孤立している、あるいは人とのつながりがないと感じると、必ずパフォーマンスが低下します。彼女は他者を助け、サポートすることに情熱を持ち、優れた人間関係スキルを持っています。
正直なところ、菊井さんにとって今働いている大企業のリモート人事マネージャーとしての役割は自分で選んだものではなく、目的を達成する手段でしかありません。もし好きな仕事を選べるなら、できればライフコーチになるか、非営利団体で働きたいと思っています。
まだ 27 歳の菊井さんは、自分の人生がどう展開してほしいのか、きちんと考えたことがありません。独身生活を楽しんでいて、急いで結婚して家庭を持ちたいとは思っていません。今のところ、自分にとって最善のこと、そして自分がこの世界をよりよくするためにどんな貢献ができるかに集中したいと考えています。キャリアの終着点について思い描くとき、周囲の人に、自分本来の姿である元気にあふれ、心優しく、寛大な人間として評価されたいと願っています。
菊井さんが不満に思っているのは、今の仕事に行き詰まりを感じているのに、できることがないことです。しがらみを断ち切って、自分の性格や目標に合った仕事を見つければ、人生のバランスや幸福を感じられるはずだと考えています。
上記の質問に答えて、個人のミッションステートメントを作成した菊井さんは、リスクをとって転職し、ライフコーチになることで幸せになれると気づくかもしれません。あるいは、以前のようにオフィスで働き、人とのつながりを作り、孤独を感じないで済むような会社を見つけるかもしれません。さらに別の道をとり、ギアを入れ替えて人事部門からどこかの会社の多様性と包摂性を担当する部署に転職し、結束の固いコミュニティを築くという情熱を実現することも考えられます。
個人のミッションステートメントは、終わりを思い描くことから始める素晴らしい方法ですが、そもそも「終わりを思い描くこと」が実際に何を意味するのかを把握するのは中々難しいかもしれません。そこで活用したいのが SMART な目標です。
SMART な目標は、キャリアの計画を立てたり、チームのパフォーマンスに関する現実的な期待値を設定する便利な方法です。SMART な目標には、具体的 (Specific)、測定可能 (Measurable)、達成可能 (Achievable)、現実的 (Realistic)、期限がある (Time-bound) の 5 つの特徴があります。個人のミッションステートメントが完成したら、それをたたき台にして、SMART な目標を設定してみましょう。
菊井さんの例では、彼女の目標の一つは、新しい仕事を探しはじめることでしょう。これは非常にあいまいな目標ですが、菊井さんは SMART のフレームワークを使って、より具体的な目標に進化させます。
「4月中に (期限がある)、毎週 4 時間かけて (測定可能、達成可能) 自宅から 1 時間以内にある企業の多様性と包摂性に関する職種の募集に応募する (具体的)。現在の給与と同等かそれ以上の新しい仕事を 6 月末までに見つけること (現実的) を目標にする」
設定しようとしているのが長期目標か短期目標かに関わらず、SMART な目標にすることで、目標をより取り組みやすい形に分解でき、目標を確実に追跡できるようにもなります。このステップによって、個人のミッションステートメントが実現可能な目標へと生まれ変わるのです。
人生についてのミッションステートメントがうまく書けない場合は、ちょっとしたエクササイズを試して、文字通り、終わりから始めてみましょう。まず現在から 5 年後や 10 年後など、未来の時点を選び、あなたはその時点にいるのだと考えます。そして未来の自分の視点で現在のあなたに宛てて日記や手紙を書いて、成功したこと、苦労したこと、希望などを伝えましょう。
未来から今を振り返って書くこのエクササイズを行うと、すでに今後数年を経験したという仮定で書いているため、人生のミッションステートメントを書くプレッシャーは少し軽くなります。人生の優先事項やキャリアの目標、将来の夢をよりはっきりと思い描けるようになるはずです。
菊井 紗代さんの振り返りを分解してみると、次のようになるかもしれません。
「今年は 2030年。私は夢の会社で多様性と包摂性を担当する部門の部長をしている。数年前に人事の仕事を辞め、この会社に就職してから、心の状態が格段に改善している。孤立感はなくなり、仕事を自分の力でコントロールできていると感じているし、自分の仕事が周囲の人々の生活にプラスの影響を与えているとわかっているので、とても幸せだ」
このエクササイズはまた、チームが目標の定義に苦労していたり、現状に行き詰まりを感じていたりする場合にヒントを得られるツールとして共有できます。チームメンバーそれぞれが振り返りの結果をあなたに報告する必要はありませんが、あなたがサポートを提供することで、メンバーは新たに見出したマイルストーンに到達できるようになるでしょう。
記事: プロジェクトのポストモーテム会議を成功に導く 6 つのヒント終わりを思い描いてから始めることは、スティーブン・R・コヴィー博士が成功者についての著書の中で定義した 7 つの習慣の一つです。博士は習慣とは首尾一貫した無意識のパターンであり、人々の成功を左右すると考えました。博士によれば、習慣はスキルと知識と願望の相互作用だといいます。
知識: 何をすべきかとその理由
スキル: 実際に物事をどのように行うかの定義
願望: 行動を起こさせる動機
「終わりを思い描くことから始める」という考え方に魅力を感じたあなたは、そのほかの 6 つの習慣がどのようなものか興味が湧いたかもしれません。コヴィー博士がまとめた 7 つの習慣を簡単にご紹介します。
第 1 の習慣: 主体的である—自分の置かれている環境を常に意識しています。そうすることで、いつ、どのように自分の人生の選択に責任をとるべきかを予期できます。
第 2 の習慣: 終わりを思い描くことから始める—自分のための目標を作り、それに向かって努力します。
第 3 の習慣: 最優先事項を優先する—重要なことに専念し、雑事によって生産性が下がらないようにします。
第 4 の習慣: Win-Win を考える—一緒に働く全員が公正に扱われ、すべてのやり取りによって関係者全員が相互に恩恵を受けるようにします。これによって、サポートが必要になったときに頼りにできる強固な信頼関係を築けます。
第 5 の習慣: まず理解に徹し、そして理解される—誰かが問題を抱えて助言を求めてきたら、アクティブリスニングに徹します。全体像を把握する前に結論に飛びついたり、解決策を提案したりしないようにします。
第 6 の習慣: シナジーを創り出す—チームワークの重要性を念頭に、コラボレーションの文化を育てます。
第 7 の習慣: 刃を研ぐ—働き過ぎるのではなく、コヴィー博士は、仕事とそれ以外の時間のバランスをとれる、持続可能な生活習慣を生み出すように提案しています。
これらの習慣からの学びをまとめれば、成功は単にやってくるものではなく、努力とチームワーク、そして賢い (つまり SMART な) 計画によって得られる結果だということになります。
戦略目標を設定することは一筋縄ではいきません。現実はいつも計画通りにいくとは限らないからです。外的な要因や、モチベーションの欠如、コミュニケーション不足などによって、スケジュールに影響が出たり、目指していた目標の変更を強いられたりすることもあります。
目標設定のソフトウェアを使えば、チームはアジャイルな会社の目標を立て、必要に応じて調整できます。また、各チームメンバーの貢献を可視化することで、全員がやる気を出し、最高のパフォーマンスを上げることも可能になります。
Asana で目標を設定し、達成する