この記事では、ビジネスシーンでよく聞かれる「KGI」とは何かを解説し、その目的や設定方法のポイントを紹介します。また、KPI と KGI の違い、OKR との違いも解説するので相違ポイントを確認しましょう。
更新: この記事は、KPI と KGI の違いに関するさらに詳しい記述を含めて 2022年 12月に改訂されました。
ビジネスを円滑に進める上でかかせない指標「KGI」とは何か、知っていますか?「KPI」「KGI」「OKR」の違いは?
この記事では、KGI の定義や作成方法をわかりやすく解説します。これまであやふやだった知識を正しく把握して、ビジネスを成功へと導きましょう。
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KGI (重要目標達成指標) とは、最終目標である「ゴール」をどのように測定するのかを示したものです。つまり、何をもって「成功」「目標達成」とするのか、それを明確化したのがこの KGI です。
KGI とは Key Goal Indicator (キーパフォーマンスインジケーター) の略語です。日本語では「重要目標達成指標」や「経営目標達成指標」と訳されます。
ビジネスを進めるには、まず KGI を設定することが先決となります。これは「指標」なので、抽象的なものではなく、具体的な数値として示されることが一般的です。ちなみにこの指標は、なにも企業や大きな組織に限って設定されるわけではありません。個人で行う事業でもスタートアップでも、KGI をセッティングすることは成功への第一歩となります。
KGI と一緒によく使用される言葉に「KPI (Key Performance Indicator)」があります。「重要業績評価指標」と訳される KPI ですが、こちらもビジネスを効果的に進めるのに不可欠な要素です。KGI が最終的な目標やゴール、成果の指標であるのに対し、この KPI はその最終目標に到達するまでのプロセスにおける達成指標で、プロセスの達成度合いを評価する基準となります。中間目標を定める指標とイメージするとわかりやすいでしょう。ビジネスの達成度や進捗度を測るのに有効な指標となります。
KPI を KGI と混同して使ってしまうと、道半ばの目標に焦点が当たってしまうので、ビジネスの最終目標が見えなくなってしまいます。そのため、KPI は KGI が定まってから設定することが重要です。そして最終目標達成へのステップとして、KPI を継続的に監視し、ときには見直しや改善を行うようにします。
それぞれを設定するときは、ロジックツリーを活用します。まず最終的ゴールを頂上に置き、そこから着手すべき要素に分解しながらツリー形状に整理していきましょう。
KGI と KPI の違いを見ましたが、もうひとつ確認しておきたいのが、OKR (Objective and Key Result) との違いです。両者にはどのような違いがあるか、知っていますか?
OKR は「目標と主要な結果」と訳されるビジネス用語で、「目標」を「主要な結果」によって測定するフレームワークのことを言います。Google でも採用された手法として有名です。KGI と KPI を合わせたような構造が特徴的で、プロセス上の「主要な結果」がどのように「目標」へと通じているのかを明確に表すことができます。
OKR が KGI や KPI と異なる最大のポイントは、目標を数値化しなくてもいいところです。定量的かつ現実的な目標である KGI や KPI と違い、OKR は野心的な高い目標を設定できるので、長期的目標を定めるのに有効な手段といえます。
電子書籍をダウンロード: Asana の OKR 設定作戦ブックOKR テンプレートを作成ビジネスや事業の最終目標を定量化するためのこの指標を設定する意義とは何でしょうか?KGI のメリットをいくつか挙げてみます。
・ゴールが明確化する
・モチベーションが向上する
・KPI を定めやすくなる
ゴールが明確に見えていることは、会社にとっても、従業員にとっても重要です。自分が属している組織がどこへ向かっているのか、その方向性がわかっていなければ、ただ労働しているだけという実りのない事態が発生してしまいます。もちろん、個人事業でもそれは同じことです。しかも KGI は目標を数値として表すことができるので、あいまいさを省くこともでき、向かうべき目標をはっきりと捉えることが可能です。
数値化されたゴールがはっきりと見えることで、従業員やチームメンバーのモチベーションもアップします。KGI がしっかりと定まっていれば、そこへ向けた戦略も立てやすく、その戦略に組み込まれた日々のタスクへ取り組む姿勢も変わってくるでしょう。ただ与えられたタスクをこなすのではなく、そのタスクが明確な目標につながっていることを理解できれば、仕事へのやる気も上昇します。
KGI を設定する意義のひとつが、KPI が定めやすくなることです。いわば KPI は KGI で定めた目標をブレイクダウンしたものなので、逆に言えば、KGI がなければ正しい KPI を定めることはできません。従業員がこなす日々のタスクやプロジェクトは、最終的には KGI というゴールを見据えていますが、直接的には KPI とつながっていることが多いでしょう。KPI を設定するためにも、まずは KGI を決めることが重要です。
それでは、具体的にどうやって KGI を設定すればいいのでしょうか。設定する際に考慮すべきポイントや注意点をまとめてご紹介します。具体例もいくつか挙げるので、参考にしてみてください。
すでに述べたように、正しい KGI とは、明確に定量化され、数値として表す必要があります。たとえば、「来年度は売上を増やす」という目標はこの指標の基本から外れています。具体的な数字で示されていない目標だからです。これを KGI の基本にのっとり修正すると「来年度の売上を今年度より 20% 増やす」となります。
KGI は現実的な数字で設定します。あまりにも高すぎる非現実的な目標は、従業員のやる気と自信を失ってしまう恐れがあります。たとえば「来年度の売上を今年度の 3 倍にする」という最終目標は、具体的ではあるものの現実的ではありません。到達できるか否か、その可能性を見極めましょう。
もちろん、設定は低すぎてもよくありません。すぐに達成できてしまう目標は従業員のモチベーションを下げ、メンバーたちは達成後どこへ向かえばいいのかわからなくなってしまいます。KPI 同様 KGI も、現実性のある設定を心がけることが大切です。
前述の 2 点を含めた目標設定の考え方で有名なのが、SMART モデルです。
SMART とは、以下の要素の頭文字をとったビジネス用語です。
具体的 (Specific)
測定可能 (Measurable)
達成可能 (Achievable)
現実的 (Realistic)
期限がある (Time-bound)
この 5 つの要件は、KGI だけでなく KPI を設定するときにも役立ちます。SMART に従って適切な目標を立てるようにしましょう。SMART については「より SMART な目標の作り方」を参照してみてください。
最終目標は会社のトップ層が知っていればいいわけではありません。先述のとおり、KGI は KPI と連動しており、その KPI は従業員が日々こなすタスクや仕事と直接関連しています。KGI は組織全員の共通認識としてシェアされるべき情報なのです。
KGI を設定し社内で共有するときは、ワークマネジメントツールを使用しましょう。PDF 文書やスプレッドシートなどで目標を文書化しても、ほかの情報に埋もれて必要なときに見つけられないようでは意味がありません。KGI は社内の誰もがすぐに参照できるところにあるべきなので、情報を一元化できる優れたワークマネジメントツールで管理するのがおすすめです。
KGI とは何か、その定義と目的、設定するときのポイントをまとめました。解説した KPI や OKR との違いを参考に、正しく設定しましょう。
最終的なゴールである KGI は、毎日の仕事と直接結びつけることはなかなか難しいかもしれません。大切なのは、自分が今行っている仕事やタスク、アクションが KPI へ、そしてその KPI が KGI へとつながっていると従業員が正しく認識していることです。そのために KGI は確実に見える化するようにしましょう。情報の可視化や目標管理には、Asana のようなワークマネジメントツールを用いると便利です。
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