エグゼクティブダッシュボードの手引き: レポートに関する 10 のヒントとメリット

世界中の組織は、何十年にもわたってデータを使い、世界でも最重要の課題を解決してきました。アポロ 13 号の宇宙飛行士がジョンソン宇宙センターに「ヒューストン、問題が発生している」と無線で連絡したとき、NASA のミッションコントロールセンターはすぐにデータを集め、そのデータを基に救助計画を作成しました。

データをリアルタイムで確認する方法は多数あります。組織がデータを一か所で確認できれば、幹部の分析や、実行につながる意思決定に役立ちます。このガイドでは、エグゼクティブダッシュボードとは何か、またこのレポートツールのメリットについて、そして独自のエグゼクティブダッシュボードを構築する際に、最大限のメリットを得るためのヒントをご紹介します。

エグゼクティブダッシュボードとは？

エグゼクティブダッシュボードとは、会社のデータを整理し、図式化して表示するカスタマイズされたインターフェイスです。データはチームの目標管理や、改善への取り組み、傾向の把握、今後の予測などに役立てることができます。エグゼクティブダッシュボードを使って会社の最重要データをリアルタイムで表示することで、余計なリサーチを行わずに戦略的な意思決定を下せます。

エグゼクティブダッシュボードの特徴として以下のようなものが挙げられます。

• 情報を確認しやすい図式的な表示

• ニーズに合わせて表示する情報をカスタマイズできる

• 複数のソースや部署からデータを取得

• 現在のデータにアクセスしやすい作り

エグゼクティブダッシュボードは、組織で最も重要な情報を最短時間で提供するインターフェイスです。重要な情報の例としては、重要業績評価指標 (KPI) など、組織の健全性を示す情報が挙げられます。

エグゼクティブダッシュボードの種類

エグゼクティブダッシュボードには主に 4 種類あります。ダッシュボードにどんな情報を表示するかや、データの利用目的によって種類が決まります。

4 種類のダッシュボードをそれぞれご紹介します。

1. 戦略型: 戦略型ダッシュボードでは長期的な戦略に重点を置き、主にハイレベル (俯瞰的) な情報が用いられます。経営者がこのダッシュボードを用いる場合、顧客数や企業収益の前年比データなどが含まれます。

2. 分析型: 分析型ダッシュボードには大量の情報が含まれており、アナリストはこのタイプのダッシュボードをトレンドの把握や予測を立てるために使用します。数年分の財務データや顧客満足度などの情報が含まれる場合もあります。

3. 運用型: 運用型のダッシュボードには、プロジェクト予算、四半期ごとの総予算支出、顧客獲得単価など、短期間かつ運用的な推移が表示されます。

4. 戦術型: 戦術型のダッシュボードは、従業員やプロジェクトのパフォーマンスを把握する目的で使われます。このダッシュボードの情報には、クリック数やインプレッション、採用単価や従業員の成果などが含まれます。

エグゼクティブダッシュボードの中には、複数のタイプに当てはまるものもあります。たとえばプロジェクトマネージャーのダッシュボードには戦略型と戦術型両方の要素が含まれていたり、CFO のダッシュボードには戦略型と分析型の要素が含まれていたりする場合があります。

エグゼクティブダッシュボード構築の 5 つのヒント

これからご紹介するヒントを参考に、チームのニーズに合ったエグゼクティブダッシュボードを作成しましょう。リーダーが効果的に活用できるダッシュボードを作成するには、表示すべき情報と表示形式を知ることが重要です。

1. オーディエンスを特定する

エグゼクティブダッシュボードの重要情報は、組織内の特定のオーディエンスをサポートするために利用します。たとえばあなたがプロジェクトマネージャーなら、あなたの集めるデータはプロジェクトやチームのメンバーのためのものかもしれません。エグゼクティブダッシュボード作成の最初のステップは、データの提供先であるオーディエンスを特定することです。このステップを踏んでおくことで、適切な情報に基づいた意思決定や、そのオーディエンスへ向けたダッシュボードの作成が行えます。

以下の質問に答えてデータのメインユーザーを特定しましょう。

• 自分のチームの目標にはどんなものがあるか？

• チームのパフォーマンスはどのように計測できるか？

• チームや会社をよりよくするにはどんなデータが必要か？

• よりよいリーダーになるにはどんなデータが必要か？

オーディエンスを理解し、上記の質問に答えることができたら次のステップへと進みましょう。次のステップでは、エグゼクティブダッシュボードの成功指標を定義します。

2. 重要業績評価指標 (KPI) を設定する

KPI とは、エグゼクティブダッシュボードで使用するパフォーマンス指標です。グラフや表、図などの形式で表示できますが、ステップ 1 で特定したオーディエンスに合った KPI を選ぶ必要があります。

たとえば、あなたがマーケティングチームのプロジェクトマネージャーの場合、チームの目標の一つとして「マーケティングチャネルごとのコンテンツ制作の多様化」などが挙げられるかもしれません。この目標をデータに変換するには、SMART な目標として書き換える必要があります。この目標を SMART な目標にするとすれば、「毎月、SNS、メール、ウェブサイトの各チャネルで 10 個のコンテンツを制作する」のようになります。

この例の場合、KPI ダッシュボードには以下の指標が含まれます。

• チャネルごとの完了プロジェクト数

• チャネルごとの未完了プロジェクト数と割り当てメンバー

• チャネルごとの未割り当てプロジェクト数と優先度

• 目標までの進捗を示す図

チームの全体像や会社の戦略目標を把握するために、他の KPI をエグゼクティブダッシュボードに追加しても構いません。たとえば、チームメンバーのパフォーマンスを示す指標や、会社全体のマーケティング成果を示す指標などを追加できます。

3. ダッシュボードをカスタマイズする

ダッシュボードの作成に必要なものはデータだけではありません。最高のユーザーエクスペリエンスを提供するために、視覚的に適切な形でデータを示すことも同じくらい重要です。情報の処理方法は、意思決定に影響を及ぼしかねません。適切なダッシュボードのデザインは関与している取り組みによって異なります。前述のダッシュボードの種類を考慮しましょう。

たとえば、データアナリストのダッシュボードには大量の情報が含まれるため、情報をうまく把握してトレンドを特定するのに適した情報の表示形式を考える必要があります。

4. データで明確なメッセージを伝える

ダッシュボードのデータは、状況が明確に把握できるものである必要があります。データを視覚的に把握できず、それに基づいた結論を導き出すことができなくては、データのダッシュボードに意味はありません。

先ほどの例では、「毎月、SNS、メール、ウェブサイトの各チャネルで 10 個のコンテンツを制作する」という目標がありました。この場合、ダッシュボードでは以下の点を明らかにする必要があります。

• どのマーケティングチャネルで、いくつのプロジェクトが完了したのか？

• どのマーケティングチャネルで、いくつのプロジェクトが未完了なのか？

• 未完了のプロジェクトの優先度はどうなっているのか？

• 未完了プロジェクトの担当は誰なのか？

• 目標まであとどのぐらいなのか？

ダッシュボードを利用するユーザーが誰であっても、表示されるデータから上記の質問に答えられるようなダッシュボードを作成します。

5. レポートソフトウェアを使用する

レポートソフトウェアの使用は、ダッシュボードを自動化し、リアルタイムのデータ分析を表示するのに最適な手段です。レポートツールの中には、SEO やウェブサイトのトラフィックなど、特定の種類の情報を表示するものもあります。一方プロジェクト横断レポートツールは、さまざまな種類の情報を集めて総合的なレポートを作成します。プロジェクト横断レポートソフトウェアを使用することで、組織全体の仕事の進捗を把握できる管理ダッシュボードを作成できます。

エグゼクティブダッシュボードの 5 つのメリット

どんな種類の管理職であっても、エグゼクティブダッシュボードの利用には多くのメリットがあります。ビジネスダッシュボードはカスタマイズできるので、セールスパイプラインから顧客関係管理まで、あらゆる部署の概況を把握できます。

1. インサイトが得られる

エグゼクティブダッシュボードの大きなメリットは、他の方法では得られないようなインサイトが得られることです。データによってより細かい評価が可能になり、マネジメントの判断を実際のデータで裏付けることができます。エグゼクティブダッシュボードなしでは、散らばった会社のデータというパズルのピースを集めて全体像を把握することは困難でしょう。

2. 時間の節約になる

必要な情報を一か所にまとめることで、重要な意思決定にかかる時間を節約できます。実際、平均的なナレッジワーカーは 60% の時間を情報の検索やツールの切り替えといった「仕事のための仕事」に費やしています。

ダッシュボードを使わずに従業員のパフォーマンス測定や総予算支出の計算を行うとしたら、おそらくレポートソフトウェアの色々な画面を行き来しなければならないでしょう。レポートソフトウェアは手作業を減らし、クリック一つで必要な情報を与えてくれます。さらにダッシュボードで重要な情報を一か所にまとめることで、情報をすばやく分析できます。

3. プロジェクトのパフォーマンスを測定できる

パフォーマンスを評価する成功指標なしには、プロジェクトは完了しません。そこで役立つのがエグゼクティブダッシュボードです。前述の通り、ダッシュボードは明確なメッセージや状況を伝えるものです。KPI が適切にカスタマイズされていれば、プロジェクトの背景、現在の状況、今後の見通しが一か所で確認できます。

4. チームのパフォーマンスが改善する

データによってチームメンバーは自分たちの仕事が大きな目標にどう貢献しているか明確に把握できるため、エグゼクティブダッシュボードでチームのパフォーマンス改善も見込めます。目標へ向けた進捗状況や、自分の仕事が貢献している目標などを把握できれば、メンバーのやる気もアップします。

5. 改善の機会が得られる

プロジェクトマネージャーの目標は、常にチームのプロセスを改善し、より効率的なリーダーとなることです。エグゼクティブダッシュボードではチームとプロジェクト両方のパフォーマンスの概観が得られるので、問題が発生した場合に必要な対応を行うことができます。

プロジェクト横断レポートを使ってエグゼクティブダッシュボードを作りましょう

プロジェクト横断レポートを使ってチームのワークフローすべてをつなぎ、チームメンバーやプロジェクトのパフォーマンスをリアルタイムで分析しましょう。独自のエグゼクティブダッシュボードを作成すると、概要を一目で把握してデータに基づく意思決定をすばやく行えます。