綿密に練り上げられた戦略がなければ、良いデジタルマーケティングキャンペーンを実施することはできません。その目標がブランド認知であれ、コンバージョンであれ、ターゲットオーディエンスにアプローチする前に、リサーチと戦術策定を行うことは不可欠です。この記事では、戦略を構築する 9 つのステップをご紹介します。
更新: この記事は、デジタルマーケティング戦略を構築する 9 つのステップに関する記述を含めて 2023年 6月に改訂されました。
デジタルマーケティング (digital marketing) は急速に進化してきました。昨今のビジネスシーンにおいて、SNS やメールから消費者インサイトやアナリティクスまで、デジタルマーケティングは企業に今まで以上に多くの機会をもたらしています。
デジタルマーケティング戦略の構築でお悩みですか?すべての優れたデジタルマーケティングイニシアチブは、強力なデジタルマーケティング戦略が基盤になっています。驚くことに、組織の 49% は、明確に定義されたデジタルマーケティング戦略を持っていません。戦略がはっきりと定義されていないと、計画の目的が不明瞭になり、チームメンバーは自分たちのタスクがどのように会社全体の目標につながっているかを理解しづらくなります。
そのような 49% に入らないように、しっかりと準備を整えましょう。初めてデジタルマーケティング戦略を構築するときでも、100 回目でも、ここに掲載されているヒントをチェックして、マーケティングチームが強力な基盤を構築するのに役立てましょう。
デジタルマーケティングとは、一連のオンラインマーケティング活動を含む、目標を達成するための活動を計画することです。デジタルマーケティング戦略は、「どんな」目標を「なぜ」達成しようとするのかを説明することに重きを置きます。
デジタルマーケティング戦略を決定するときには、以下のような質問を問いかけます。
目標は何か?
目的は何か?
ターゲットオーディエンスは誰か?
重要業績評価指標 (KPI) は何か?
実行期間はどれくらいか?
デジタルマーケティング戦略は、計画を明確にするためのフレームワークになるだけでなく、どんなデジタルプラットフォーム、メディア、データ、技術が必要かを決定するのにも役立ちます。デジタルマーケティングキャンペーンや大規模なイニシアチブの実行をお考えなら、それらを成功させるために適切な戦略を持つことが重要です。
マーケティングチームに効果的なワークマネジメントツールをお探しですか?Asana は、チームの生産性を高め、業務効率化を可能にするソフトウェアです。マーケティングオートメーションを実現させ、コミュニケーションの円滑化とコラボレーションの向上にも役立つ Asana は、30 日間無料ですべての機能をお試しいただけます。
マーケティングツール Asana とは?デジタルマーケティング戦略の構築方法にいきなり進む前に、まずはデジタルマーケティングミックスから見ていきましょう。戦略を構築するには、戦略の力になる主要な構成要素を理解する必要があります。
デジタルマーケティングトリプルメディアというのを耳にしたことがありますか?
これはデジタルマーケティング戦略に貢献するさまざまな領域に焦点を当てるもので、アーンド、オウンド、ペイドメディアの 3 つのカテゴリーに分類されます。
【アーンドメディア】には記事の取り上げ、SNS でのシェア、再投稿、レビューが含まれます。
【オウンドメディア】には、ウェブサイト、モバイルサイト、ブログサイト、SNS チャネルが含まれます。
【ペイドメディア】には、クリック報酬型広告、ディスプレイ広告、リターゲティング広告、有料インフルエンサー、有料コンテンツプロモーション、SNS 広告が含まれます。
デジタルマーケティングの 3 大要素に精通したところで、次はデジタルマーケティングのタイプをより詳しく掘り下げていきましょう。マーケティングにはオフラインのものとオンラインのものとがありますが、後者のデジタルマーケティング戦略には、以下のような種類があります。
検索エンジン最適化 (SEO) と検索エンジンマーケティング (SEM) は、ウェブページやウェブプロパティが、ウェブ検索エンジンでどの順位に表示されるかを決定します。SEO はオーガニック検索でトラフィックを集め、SEM は広告やオンラインマーケティングを通じてトラフィックを向上させます。SEO のリサーチとレポートに役立つツールキットをお探しの場合は、SEMrush をご覧ください。
コンテンツマーケティングは、制作するすべてのオンラインコンテンツが対象です。これには、オンラインでホストする動画や、執筆およびデザインするブログ投稿や電子書籍など、すべてのコンテンツが含まれます。Discovery Digital Studios をはじめ、あらゆる規模やタイプの企業が、さまざまなデジタルチャネルで新しいコンテンツを配信しています。
毎日 100 万を超える新規ユーザーが、SNS (ソーシャルメディア) に参加していると言われます。ソーシャルメディアにはあらゆるタイプの SNS (Facebook、Twitter、LinkedIn、Instagram、Snapchat など多数) が含まれ、情報を共有するためのオンラインコミュニティという機能を果たしています。
記事: SNS マーケティングとは?重要性、メリット、手法、進め方などの基礎知識を解説記事: SNS コンテンツカレンダーを 6 つのステップで作成、管理するためのガイドメールマーケティングは、従来のダイレクトメールに代わる、よりテンポの早いマーケティング手法です。メールを使ったマーケティングは、低コストで迅速に見込み顧客やお客様に連絡できる手段です。
オンライン広告は費用がかさむ場合がありますが、ウェブサイトやウェブプロパティへのトラフィックを増やすのに効果的です。オンライン広告では、何をどのチャネルで表示するかを選択できます。
企業の公式ウェブサイトは、インターネット上の会社の「顔」です。できる限り注目度を高めるため、他よりも目立つようなユニークなウェブデザインにする必要があります。ウェブサイトはブランドや会社のイメージを直接反映します。お客様の会社や商品について詳しく知りたいと考える見込み客が初めて訪れる場所の 1 つです。
さまざまなデジタルチャネルからアナリティクスを収集し、有益なデータやインサイトを得ることができます。このような知見は、現在や将来のデジタルマーケティング戦略の改善に役立ちます。
モバイル体験を忘れるわけにはいきません。今や最大 70% のインターネットトラフィックは、スマートフォンやタブレットによるモバイルデバイスから発生するからです。デジタルマーケティング関連の活動を計画する際は、モバイルではどのような外観や雰囲気になるかを常に考慮してください。モバイル体験もデスクトップ体験のように完璧であるべきです。
具体的な行動を起こす前に、まずは可能な限りのリサーチと分析を行います。より適切なデジタルマーケティング戦略を構築するために、自社だけでなく、業界や市場、競合他社などを徹底的に調べましょう。
競合他社分析の重要性は計り知れません。市場におけるライバル企業が何をしているのかを知ることで、自社ブランドを差別化し、市場でのシェアを広げる足掛かりになります。
このフェーズでおすすめなのが、SWOT 分析です。具体的な取り組みを始める前に、このフレームワークを使って自社の競争力を把握しておきます。そうすることで、自社の弱点を改善もしくは排除し、逆に強みを活かす最適なマーケティング施策を見つけることができます。
デジタルマーケティング戦略を構築する上で、目標 (ゴール)、オーディエンス、ポジショニングの 3 つ (GAP) を明確にすることは不可欠です。何を目標としてこのデジタルマーケティング戦略を構築するのか、その目標は会社全体の目標とどうつながっているのか。デジタルマーケティング戦略が、全体像の中でどのような役割を果たすのかを明確に理解する必要があります。
目標をすべて書き出したら、どのオーディエンスをターゲットにし、どのようなポジショニングにするかも決定しましょう。下記は全体的な GAP の書き方の例です。
目標: マーケティングによるリードの創出 (MQL = Marketing Qualified Lead) を 20% 引き上げる
オーディエンス: 北米を拠点とするテクノロジー業界のセールスマネージャーおよび上層部
ポジショニング: 競争力の高いポジショニング戦略を使って、差別化要因を強調し、ターゲットオーディエンスに競合との違いを印象づける
バイヤーペルソナ (顧客ペルソナ) とは、対象オーディエンスを象徴する架空の顧客のことをいいます。ターゲットとなる顧客のプロフィールであり、そこには人物像や好き嫌い、全般的なモチベーションやフラストレーションなどの要素を組み入れます。
バイヤーペルソナには、以下のポイント項目を含みます。
人口統計学的属性: 年齢、学歴、性別といった要素
企業特性: 収益、業界、ロケーション地域、従業員数などの要素 (よく B2B マーケティングで使われる要素)
心理的属性: 個性、意見、ライフスタイル、目標などの要素
行動特性: 顧客がブランドとどのようなやり取りを行うかを特定するための指標です。顧客ロイヤルティ、季節的な購買パターン、製品やサービスの使用方法などの要素
地域: 顧客の所在地です。海外にいる国際的な顧客、国内在住の顧客、地方に住む顧客などの要素
バイヤーペルソナを特定することは、ターゲットオーディエンスが共感するメッセージを作成するために不可欠と言えます。理想的なのは、複数のペルソナを作ることです。商品やサービスごとにペルソナを作成しましょう。
マーケティング戦略を立てるときは、顧客になりきって考えることが重要です。そのために、カスタマージャーニーを作成して、顧客ユーザーの体験をすべてを書き出してみましょう。カスタマージャーニーは、顧客が企業やブランドと関わり合う際のすべての行動を明らかにするものです。
カスタマージャーニーを作成することで、顧客が A 地点から B 地点に移るまでの道のりを綿密に計画できます。カスタマージャーニーは、シームレスでたどりやすいものにしましょう。すべてを計画する際に、体験を改善するための機会を探すようにしてください。
まずは「どのチャネルやコンテンツがふさわしいか?」を考えてみましょう。この問いかけは、投資すべきチャネルや優先すべきチャネルを決定するのに役立ちます。
以下はカスタマージャーニーの例です。この例では Apollo Enterprises のお客様を考えます。
Apollo Enterprises のオンライン広告を見る
LinkedIn で Apollo Enterprises をフォローする
Apollo Enterprises のウェブサイトを閲覧する
メールアドレスを登録して Apollo Enterprises の電子書籍をダウンロードする
Apollo Enterprises の電子書籍を読み、コンテンツに関心を持つ
Apollo Enterprises の製品デモに参加登録するためのプロモーションメールを受け取る
Apollo Enterprises の製品デモに登録する
Apollo Enterprises の製品デモを体験して、製品を気に入る
Apollo Enterprises の製品を購入する
購入に満足し、ポジティブなレビューをオンラインに投稿する
顧客がこの会社の存在を知ってから製品を購入するまでの道のり (カスタマージャーニー) を明確に確認できました。カスタマージャーニーの構築は、デジタルマーケティング戦略がどのように機能するかを想定するのに役立ちます。
デジタルマーケティングミックスについて先述しましたが、次は計画にどの要素を採用すべきかを決定するときです。デジタルマーケティング戦略にどの活動を採用するか、あらかじめ決めておくことは重要です。デジタルミックスのどの要素が目標の達成に役立つかを判断したら、「それぞれの要素には何が含まれるか?」「それぞれの要素をどの頻度で使用するか?」という 2 つの質問を問いかけてください。
たとえば、メールマーケティングとオンライン広告に集中したいか、それともデジタルマーケティングミックスのすべての要素を含みたいか。すべての要素を含める場合は、それぞれの要素をタイムラインのどの部分に当てはめるか、お互いにどのように組み合わせるかを綿密に計画する必要があります。
プロジェクトを円滑に進めるために、SaaS型プロジェクトマネジメントツールを活用しましょう。WBS 作成や工数管理もできる Asana なら、すべての仕事を 1 か所に整理できるから、業務効率が向上します。
無料トライアルを始めるデジタルマーケティング戦略を実行するためには、どのくらいの費用が必要になるでしょうか?代理店やベンダーなどの外注は必要でしょうか?こういった投資について早めに考えておくことで、どのベンダーと定型するかを迅速に判断したり、書類事務やクリエイティブブリーフの作成を加速させたりできます。社内で行う仕事とアウトソーシングする仕事を把握し、実際の計画時にリソースを適切に割り当てられるようにすることが重要です。
価格の見積もりを取得したら、確実な予算案を作成しましょう。こういった詳細をしっかりと把握することで、現行の予算で目標を達成できることが確実になります。すべての活動を予算内で達成できるという自信がつけば、実行計画の構築に移ることができるでしょう。
数字とにらめっこをし、総支出額と投資対効果 (ROI) を割り出します。投資がどの程度の成果を挙げるかを念入りに調べて、デジタルマーケティング戦略に取り組む価値があるかを確認しましょう。
数字を算出したあと、KPI ターゲットの設定に取り掛ります。「それぞれの活動で達成したい KPI ターゲットは何か?いつ何をテストするか?」と自問してください。これらの KPI ターゲットは、デジタルマーケティング戦略の成功を測定、追跡する方法の指針となります。
一般的には、次のような項目がマーケティングの指標として使用されています。
ウェブトラフィックのソース
リード数
ページビュー数
リードあたりのコスト
リピーター数
コンバージョン率
クリック率
デジタルマーケティング戦略を実行するにあたり、準備をし過ぎるということはありません。すべての活動が順調に進み、各チームメンバーが確実に自分の仕事に対し責任を持っているようにしましょう。マーケティングイニシアチブはライフサイクルの開始前、途中、終了後を通じて常にモニタリングして、予定どおりに計画が進んでいるかを確認してください。
仕事の進捗に合わせてプロジェクトステータスを更新し、必要に応じ期日を調整しましょう。常に戦略を改善し、ニーズが変化するのに従って優先順位を変更するようにします。定期的に仕事をモニタリング、追跡することで速やかにボトルネックに対処し、仕事をより迅速に進めることができます。
メールやドキュメントのようなデジタルツールはすでにご使用かもしれませんが、より効率的に仕事を進めるには、ワークマネジメントツールを試してみてください。正しいワークマネジメントツールを使えば競争力がつき、チームの足並みを揃え生産性をも高めることができます。
スプレッドシートやドキュメントなどの既存のツールですべてを綿密に計画するのは困難な場合もあります。情報を最新に保つことが難しかったり、情報を更新するのを忘れがちになります。ワークマネジメントツールを使えば、デジタルマーケティング戦略全体をタイムライン、カレンダー、かんばんボードなど、さまざまな方法で計画し確認することができます。デジタルマーケティング戦略全体を 1 つのプラットフォームで計画、管理すれば、チームの仕事やコラボレーションがずっと簡単になります。
まずは 30 日間の無料トライアルで Asana の機能すべてをお試しください。
電子書籍をダウンロード: ワークマネジメントとは?チームがワークマネジメントを必要とする理由ワークマネジメントツール Asana とは?デジタルマーケティングの素晴らしい特徴の 1 つは、すべての関連データにアクセスできるという点です。イニシアチブの成果についてのインサイトをリアルタイムで取得でき、必要に応じ調整できます。新しいキャンペーン、製品、またはプロジェクトをリリースするたびに、暗中模索する必要はありません。手元にある分析データを活用することで、プロジェクトを進めながら最適化していけます。
ステップ 7 で KPI ターゲットを設定しましたが、今度はこれらの KPI についてレポートを確認し、当初の目標と比較してみましょう。これにより、打ち手が的確だったかを確認できます。
目標を達成できなかった場合、「何がうまくいかなかったか?」を考えてみましょう。予想を上回る成果を上げた場合は、「好成績を上げた要因は何か?」と自分に問いかけてください。ここで学んだことを将来に活かしましょう。
Asana のパフォーマンスマーケティング責任者、Sarah Charlton によるプロのアドバイスは次のとおりです。
“関係者のためにインサイトをまとめて、一見複雑に見える「ブラックボックス」プロセスをわかりやすく説明しましょう。何がうまくいき、何がうまくいかず、さらに試さないとわからないことは何かを共有しましょう。うまくいかなかったことを知ることは、うまくいったことを知るのと同じくらい、次のデジタルマーケティング戦略を改善するために役立ち、関係者との信頼関係や透明性を築き上げるのに役立ちます。”
デジタルマーケティング (digital marketing) とは何か、その基礎知識と実施するときの 9 つのステップについて解説しました。デジタルマーケティングは、適切な管理ツールとともに実施し、効率的に進めましょう。
記事: MA ツールとは?マーケティング活動を効率的に行うためにできることAsana はさまざまな無料デジタルマーケティング計画テンプレートを提供しています。プロジェクトが実行段階に入ったら、適切なものを活用して自動化できるところはどんどん自動化し、無駄な時間を削減しましょう。
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