スプリントバックログは、チームがプロジェクトのスプリント期間中に完成を目指す作業アイテムをリストアップしたものです。そうしたアイテムは、通常、スプリント計画セッションの最中にプロダクトバックログから取り込まれます。明確なスプリントバックログがあると、各スプリントの最中にチームがやること、やらないことが明確になり、スコープクリープの発生を防げます。信頼できる唯一の情報源の作成から作業アイテムの定義まで、スプリントバックログは、チームの生産性にプラスとなる効果をたくさんもたらします。この記事では、独自のバックログを導入する方法について解説します。
複雑なプロジェクトに取り組むときは、仕事量の多さに圧倒されてしまいがちです。そうなると、仕事の質からチームの生産性にいたる、ありとあらゆるものが影響を受けます。
似たような状況を経験したことがある方なら、スプリントで作業した方がよいのでは?と考えることがあるかもしれません。スプリントとは、複数のプロジェクトを管理しやすいサイズのタスクに分割して取り組む、短い反復期間のことです。
スプリントで作業を行うことは、チームが作業体制と作業効率を維持する上で効果的なものですが、最初は戸惑うかもしれません。いつ何に取り組めばよいのかなど、どのように決めればよいのでしょう?
そこで活躍するのがスプリントバックログです。スプリントバックログは、スプリント期間中にチームが取り組む作業アイテムを明確にするための手段です。そうすることで、チームメンバーは信頼できる唯一の情報源を基に共通認識を持つことができます。この記事では、スプリントバックログについて説明し、独自の作業ログをシンプルかつ効果的に作成する方法の例をお見せします。
スプリントバックログは、チームがプロジェクトのスプリント期間中に完成を目指す作業アイテムをリストアップしたものです。そうしたアイテムは、通常、スプリント計画セッション中にプロダクトバックログから取り込まれます。明確なスプリントバックログがあると、各スプリントの最中にチームがやること、やらないことが明確になり、スコープクリープの発生を防げます。
記事: プロダクトバックログ (またその作成方法) とは?スプリントバックログテンプレートを作成スプリントバックログは、チームが集まるスプリント計画ミーティングの場で作成します。実際の作成頻度はスプリントの期間によりますが、2 週間ごと、もしくは月に一回の頻度になると思われます。アジャイル手法としてスクラムを実行する場合は、スクラムマスターがスクラムチームの協力のもとに、その週に取り組むプロダクトバックログのアイテムを選びます。他のアジャイル手法を使う場合は、プロダクトオーナーまたはプロダクトマネージャーが対応することになります。
スプリントバックログを作成し、プロジェクトのすべての関係者に周知するのは、スクラムマスターまたはプロダクトオーナーの仕事です。プロダクトオーナーの協力を得て、優先度を基にバックログのアイテムを選択します。そして、各タスクのニーズをユーザーストーリーとして文書化します。ユーザーストーリーとは、ワークフローの中でエンドユーザーの観点からソフトウェア機能を書いた文章です。
プロダクトバックログとスプリントバックログは、両方とも製品レベルからスタートしますが、大きな違いがあります。
プロダクトバックログは、製品 (プロダクト) チームの取り組みを追跡するものです。組織の規模によっては、中心的なプロダクトバックログが 1 つだけある場合や、異なるチームのために複数のプロダクトバックログが用意される場合があります。プロダクトオーナーは、一番大事なイニシアチブが一番上に設定され、それに対して各イニシアチブを実行するのに必要なすべての情報が揃うように、プロダクトバックログを定期的に練り直します。
スプリントバックログは、プロダクトバックログの一部 (サブセット) であり、特定のスプリント期間中に完了させる作業アイテムをリストアップしたものです。プロダクトバックログに指定されるアイテムのうち、スプリント期間中にチームが取り組むアイテムを特定するために使われるもので、スプリントの計画プロセスで行われます。こうしたアイテムは、プロダクトバックログからスプリントバックログに移動し、一旦スプリントが開始すると変更されません。
Asana でアジャイルチームを管理スプリントバックログは、スプリント期間中に取り組む作業アイテムを特定するために使用されます。コミュニケーションを合理化し、スプリントに関する情報を一元管理する情報ソースを作成するために、すべての情報を 1 つの共有スペースに保管します。
バックログに含まれないアイテムは、スコープ外となります。これにより、方向性が明確になり、チームメンバーは予定されているタスクに集中できるため、スコープクリープを回避できます。
スプリントバックログは、新規プロジェクトのスプリントの計画段階で作成します。個々のタスクは、スプリントの進行中に詳細や進捗状況を追加して更新できますが、バックログ自体を進行中に変更することはありません。
このログは、関係者やスクラムマスターが振り返り会議の場で順調に進んだタスクとそうでないタスクを評価できるように、共有スペースに保管します。
スプリントの振り返り用無料テンプレートスプリントバックログは、スプリントに関するすべての情報を示す情報ソースであるため、スプリント戦略が効果を発揮するのに欠かせない重大な要素です。スプリントバックログは、スクラムのすべてのアーティファクト (成果物) を記録していくためのロードマップとして考えるとわかりやすいかもしれません。
スプリントバックログには、ユーザーストーリーやタスクの説明といった重要な要素が含まれていなくてはいけません。
バックログには、現行のスプリントの名前や各イニシアチブの説明とユーザーストーリー、各タスクの優先度、関連するリアルタイムの変更事項、スプリント計画会議や毎日のスタンドアップミーティングの詳しいスケジュールなど、具体的な要素が記載されている必要があります。独自のバックログを作成するときは、以下のような詳細を含めるようにしましょう。
ユーザーストーリー: ユーザーストーリーは、エンドユーザーの観点から書かれるソフトウェア機能です。各機能がエンドユーザーにもたらす効果を理解するために含める必要がある重要な要素です。
タスク名: 言うまでもないですが、バックログは、まず最初に各タスクに明確でアクションを示す名前を付けて整理していきます。各タスクのタイトルは、たとえば、「新しいモバイルコンポーネント」よりも「ウェブアプリ用に新しいモバイルコンポーネントをデザインする」として、動詞を含めた方がそのタスクの目的がわかりやすくなります。そうすると、関係者はバックログの内容と各チームメンバーが取り組んでいる成果物をすばやく把握できます。
タスクの説明: アクションに直結する名前に加え、各タスクの簡単な説明を記述します。タスクの内容が明確になるため、関係者はその後のステップを意識できます。
タスクの優先度: 1 つのプロジェクトにはたくさんのタスクが伴うため、一番重要な目的を最優先することが重要になります。そうすれば、期日を守りつつ、スプリントも順調に進められます。
スプリントのバーンダウンチャート: バーンダウンチャートは、残りの作業とそれに必要な時間を示すグラフです。スプリント期間中、チームはこのチャートを使って各反復作業にかかる時間を推定します。
一日の時間割り当て: バーンダウンチャートで推定作業時間と実際の作業時間を追跡するには、一日の時間割り当てを追跡する必要があります。各タスクの所要時間を分単位か時間単位で分析します。1 週間の終わりに、その週の間に各タスクに割り当てた時間を合計して、バーンダウンチャートを完成させます。
スプリントバックログは、それぞれ僅かに異なりますが、ここで紹介した内容は、独自のバックログを作成するときに含めたい重要な詳細ばかりです。
スプリントバックログに何を含めるのかがわかったところで、次はその作成方法を説明します。スクラムマスターは、スプリントごとに新しいバックログを使用するため、基本となるベースラインを用意することが重要です。
バックログを作成するときは、各スプリントに使用できる空のテンプレートを作成することがカギとなります。テンプレートには、上述した機能ごとに列を作ります。
こちらは、スプリント計画とバックログプロジェクトの例です。独自のテンプレートを作成するためのアイデアとしてお使いください。
スプリントバックログは、さまざまなツールを使って作成できますが、ワークフロー管理ツールのようなデジタル製品を使うと、特に便利です。ソフトウェアツールを使用すると、情報を 1 つの共有スペースに保管できるほか、チームメンバーとのコミュニケーションも簡単に行えます。
複数の関係者が参加する複雑なプロジェクトで、作業をコーディネートするというのは、パズルを解くように大変な場合があります。すべてのピースがシームレスにかみ合わなくてはいけません。そこで、スプリントで作業を行うと、作業効率を高められ、コラボレーションを促進でき、目標も達成しやすくなります。
スプリントバックログを使用すると、プロジェクトの各要素をチームのように連携させることができるため、アジャイルプロジェクトの計画、整理、管理をスムーズに行えます。かんばんボードを使って、プロジェクトをシンプルに管理し、アジャイル管理ソフトウェアを使って効果的なコミュニケーションを実現します。
Asana でアジャイルチームを管理