この記事は、ブレインストーミングとは何か、そのメリットや原則、実施方法などの基礎知識を解説し、すぐに活用できるブレインストーミングテクニックを 29 個ご紹介します。一人では思いつかないような画期的なアイデアが、複数人集まれば生まれる可能性は十分にあります。そのためには、ただ闇雲にアイデア出しをするのではなく、テクニックを使ってまとめ、発展させなければなりません。この記事で紹介するブレインストーミングのテクニックを参考に、光り輝くアイデアを生み出しましょう。
更新: この記事は、ブレインストーミングの原則とメリットについての記述を含め、2024年 7月に改訂されました。
輝くアイデアは、ランプをつけるように簡単には生まれてきません。
一人で解決策を考え出すのは、時間とプレッシャーがかかります。しかし問題解決のために複数人が集まると、意見が衝突してしまうことも。言わずもがな、クリエイティブな発想を得るための手段は人それぞれなので、チーム全員の車輪を同じ方向へと向けるのは難しいものです。
そこで役立つのがブレインストーミングのテクニックです。これらのテクニックを使えばブレインストーミングセッションの構成が作られ、参加者全員が創造力を発揮でき、アイデアを発展させることができます。ブレインストーミングの効果的なテクニックはたくさんあるので、ケースバイケースで自分に合った方法を選ぶことも可能です。
次のブレインストーミングセッションやインスピレーションが湧いたときのために、これからご紹介する手法を参考にしてみてください。実際にブレインストーミングを行うときは、テンプレートを用いるとセッションの標準化にもつながるので、効率的です。
無料のチームブレーンストーミング用テンプレートブレインストーミング (ブレーンストーミング、brainstorming) とは、複数人で自由にアイデアを出し合い、連鎖的に頭脳の回転を刺激する集団発想法、集団思考法です。「ブレスト」と略されて使われることもあります。
集団的かつ創造的活動として知られ、ビジネスシーンでは課題解決や商品開発、戦略改善などの場面で活用されています。もともとは 1930年代、アメリカの研究者アレックス・F・オズボーンが広告業界でのアイデア出しの際に取り入れ、命名したとされています。
ブレインストーミングの最大の特徴は、他人の意見やアイデアを否定したり、評価しないことにあります。ブレインストーミングのルールについては、後述する『ブレインストーミングの 4 つの原則』をご覧ください。
ブレインストーミングと似たフレームワークに、ディスカッションやバズ・セッションがあります。どれも複数のメンバーで集まり意見交換をするという意味で共通する点はありますが、違う点もあります。
まずディスカッションとは「討論」で、互いに自身の意見を出し合い、可否について論じることを言います。つまり、ディスカッションでは相手の意見を否定したり、批判したりすることがあるというポイントがブレインストーミングとは大きく異なります。
バズ・セッション (バズ学習) は 6 人程度の少人数を一グループとし、特定のテーマについてアイデア出しをしたり、問題の解決策を探したりするために行われる会議手法です。相手の意見を否定しないという点でブレインストーミングと似ていますが、ブレインストーミングは特に人数制限を設けていないところが、バズ・セッションとは異なります。
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ワークマネジメントツール Asana とは?ブレインストーミングには 4 つの原則があり、それを守ることで効果を最大化できるとされています。ブレインストーミングのルール 4 項目をそれぞれチェックし、正しいブレストを行うようにしましょう。
ブレインストーミングでは、出された意見やアイデアを批判してはいけません。可否や良し悪し、評価をくだすような行為はせず、できるだけ多くのアイデアをだすことに集中します。どんなに小さく、重要でないように思われる考えも、みんなで集まり発展させれば画期的なアイデアに生まれ変わるかもしれません。その可能性を妨げてしまうのは、避けるようにします。
また、「批判しない」という規則があるからこそ、メンバー全員が難しく考えずに意見を述べられる環境を作り出すことができます。グループでブレインストーミングをする際は、批判の気持ちを持たずに参加するように促し、悪いのは「アイデアが出ないこと」だけであることを伝えましょう。
凝り固まった意見しかでないようでは、画期的なアイデアは生まれません。一見、現実的ではないようなアイデアもはじくことなく、ひとつのアイデアとして認めるようにします。そのためには、ブレインストーミング中の雰囲気も重要となってきます。リーダーやマネージャー、上司が率先して、誰もが自由に話せるような雰囲気作りをしましょう。
ただし、あまりにも脱線しすぎてはブレインストーミングが成立しない場合もあります。そのような事態にはならぬよう、ファシリテーターなど進行役を決めて、必要なときは軌道修正ができるよう配慮します。
前項とも関連するルールに「質より量」があります。ブレインストーミングはできるだけ多様なアイデアを集め、そこから発展させていくことを目的としています。そのためには、多くのアイデアが必要です。たとえ荒削りなアイデアでも、他のアイデアと組み合わせれば革命的なアイデアと生まれ変わるかもしれません。ブレインストーミングではとにかく大量の意見を出しあえるようにします。
ブレインストーミングが失敗する要因に「アイデアを出しっぱなしにしてしまう」があります。意見を出して満足するのではなく、出し合ったアイデアは必ず整理し、組み合わせたりまとめたりして、さらに良いアイデアになるよう発展させます。
アイデアをまとめるときには、KJ 法やマインドマップが便利です。KJ 法は特定のテーマに関するアイデアを付箋やカードに記してグループにまとめることで、情報を図解化する手法です。一方のマインドマップも情報を整理するためのフレームワークで、中心となるテーマを出発点として、関連するアイデアをどんどん書き足していく手法です。どちらもアイデアを可視化し、それぞれの関係性を明確にするために効果的と言えます。
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では具体的に、ブレインストーミングを行うことのメリットについて見てみましょう。
ブレインストーミングの最大のメリットは、なんといっても新しいアイデアの創出です。複数人で意見交換し、アイデアを組み合わせることで、一人きりではたどり着けなかったユニークで画期的なアイデアに到達することができます。
ブレインストーミングは、一人ひとりのアイデアを合わせ、みんなで新しいアイデアに発展させていくという意味で、チームワークを強固にする効果もあります。ブレインストーミングの「相手を否定しない、批判しない」という姿勢は、結果的にチームの結束力や一体感を強めることにもつながるのです。
ブレインストーミングがうまく実施されれば、参加者にとってさまざまなメンバーの多様な意見を聞くことができ、そこから新しいアイデアを生み出していくという貴重な経験を積むことができます。それまでは思いつかなかった思考や、自分とは違う視点といった別のアプローチに触れることで、ビジネスパーソンとしてさらに成長が期待できます。
ブレインストーミングの進め方は、用いる手法によって多少異なります。ただし、事前準備の段階は共通点も多いので、こちらでご紹介します。また、こちらで紹介する項目は事前に参加者にも伝えておけば、当日さらにスムーズに進めることができます。
目的を明確にする: 何のためにブレインストーミングを行うのか、必ず事前にはっきりさせます。
制限時間を設定する: だらだらと長時間行っても効率は上がりません。最大でも 30 分程度を制限とし、それ以上なら休憩をはさみます。
ファシリテーターを選ぶ: ファシリテーターはブレインストーミングにとって不可欠な存在です。適任者を選ぶようにします。
参加メンバーを決める: 目的に合わせ人選を行います。このとき、できるだけ属性がかぶらないよう心がけることも大切です。
適切な手法を決定する: ブレインストーミングを行うには多くの手法 (テクニック) があります。効果を最大化できるものを選んで活用するようにします。この記事で紹介する 29 のブレインストーミングテクニックを参考にしてみてください。
上記を考慮してブレインストーミングを実施しても、必ずしも順調に進むとは限りません。ブレインストーミングが失敗する原因として、以下のようなポイントが挙げられます。
会話バランスの偏り: 外向的な人ばかりが議論を優位に進めてしまう。
アンカリング効果: 序盤に共有されたアイデアに固執し、他のアイデアについて検討しようとしない。
気まずい沈黙: 参加者の準備ができていないときに起こりがち。
こういった問題を解消するための確実なテクニックやツールはたくさんあり、ちょっと変わった方法も存在します。ここからは、『分析的なブレインストーミングテクニック』『サイレントブレインストーミング』『ロールプレイ型ブレインストーミング』『グループブレインストーミング』の 4 つに分類されたブレインストーミングのテクニックをご紹介します。
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あるアイデアをあらゆる角度で見たり、問題を徹底的に吟味したりする必要がある場合は、分析的なブレインストーミングのテクニックが有効かもしれません。これらのブレインストーミングの手法やツールを使って、アイデアを生み出し、質を高めるのはいかがでしょうか。
視覚的なブレインストーミングのテクニックとして、スターバースティングがあります。これは、あなたやチームが 1 つのアイデアを集中して考えるときに使用します。まずホワイトボードの真ん中にそのアイデアを置き、それを中心に 6 つの頂点を結ぶ星を描きます。各頂点は以下の質問を表します。
誰が?
何を?
いつ?
どこで?
なぜ?
どうやって?
これらの各質問について、アイデアとの関連性を考えます。たとえば、「この製品を買いたいのは誰か?」「このプログラムはいつリリースする必要があるのか?」などです。これにより、それまで考えていなかった状況や問題点について検討することができます。
【こんな場合におすすめ】大人数でのブレインストーミング、アイデアの徹底的な吟味
スターバースティング同様、「5 つのなぜ」ブレインストーミングテクニックは、特定のアイデアを深く評価したいときに役立ちます。そのテーマやアイデアについて 5 回以上「なぜ」の質問を自分に問いかけ、浮かび上がってきた新たな問題について検討し、そして一番重要なプロセスとして、その問題にどうすれば対処できるかを書き出します。思考を整理するために、フローチャートやフィッシュボーン・チャートを併用してみるのもいいでしょう。
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、アイデアの徹底的な吟味
SWOT 分析は、戦略プランニング関連ですでにご存じの方もいるかもしれません。しかし SWOT 分析がブレインストーミングでアイデアの質を上げるためにも応用できることは知らない方も多いでしょう。検討中のアイデアを実行する価値があるかどうか、「SWOT」の各項目について議論してみましょう。
強み (Strengths): そのアイデアは、どのように競合他社より優れ、目立っているのか?
弱み (Weakness): アイデアの実行に支障をきたすような欠陥はあるか?
機会 (Opportunities): このアイデアに基づいて、他にどんな利益が得られるか?
脅威 (Threats): このアイデアを実行すると、どんなリスクがあると考えられるか?
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、アイデアの徹底的な吟味
「How Now Wow」ブレインストーミングテクニックはアイデアのユニーク性と実行難易度を基準にアイデアを分類する手法です。個人またはチームでいくつかのアイデアを集めたら、それらのアイデアが How Now Wow の 4 象限上でどこに位置するかを話し合ってみましょう。
How アイデアは独創的だが実行できないアイデアです。
Now アイデアは独創性はないが簡単に実行できるアイデアです。
Wow アイデアはこれまでにないアイデアでありながら、実行も簡単なものです。
もちろん、実行できる上に競合他社とも差別化でき、自社のワンパターン化を解消できるような「Wow」アイデアをたくさん出すのが目標です。アイデアを整理するには、Y 軸を実行難易度、X 軸を革新性とする 4 マスのマトリクス表が便利です。
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、実行可能なソリューションの特定
ドライバー分析とは、問題のドライバー (原因) を分析するブレインストーミングテクニックです。このテクニックでは、単純に自分自身やチームに「[問題] の原因は何か?」そして、「[1 回目の質問の答え] の原因は何か?」と問いかけます。「なぜなぜ分析」と同様、問題を深く掘り下げれば掘り下げるほど問題がよく吟味されるので、自信を持ってその問題に対する解決策を実行することができます。
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、アイデアの徹底的な吟味
マインドマッピングもまた、視覚的なブレインストーミングのテクニックです。最初のアイデアを使って他のアイデアを考えることで、ブレインストーミングの課題の 1 つである、序盤のアイデアに固執してしまい新しいアイデアが出てこない「アンカリング効果」の問題を解消します。
マインドマッピングを行うには、大きな紙かホワイトボードが必要です。まずはアイデアを書き出し、それに付随するアイデアを線で結んでいきます。そうすることによって、アイデアの全体像や実行に影響を与えるもの、実行を促進するものなどを把握できます。
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、視覚的に考えるタイプ
アイデアの実行方法に悩んでいるときは、障害となるものに対処するためにギャップフィリングを使ってみましょう。まずは現在の状況を述べ、その後で理想を述べます。たとえば、「私たちの会社はスマートウォッチを作っている。フィットネストラッカーも開発して製品を拡大したい。」のようにまとめます。
これを大きな紙やホワイトボードに書き出し、ブレインストーミングの参加者全員が見られるようにします。フローチャートやマインドマップを使って書き出すのもいいでしょう。そして、理想までの道のりを阻んでいる障害物を挙げ、それぞれの解決策を考えます。ブレインストーミングのセッションが終わるころには、理想へとたどり着くためのより明確な計画が出来上がっているはずです。
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、視覚的に考えるタイプ、実行可能なソリューションの特定
時間に追われている場合や、内向的な人が多いチームは、サイレントブレインストーミングのテクニックを使うことで、参加者は自分の好きなタイミングで、もしくは匿名でアイデアを提供できます。特によくバーチャルミーティングを行うリモートチームは、創造力を引き出すために以下のサイレントブレインストーミングを試してみましょう。
ブレインライティングは口頭によらない対面式のブレインストーミングテクニックで、参加者全員の参加とチームワークが必要とされるためブレインストーミングの課題の一つである会話の偏りを解消します。まず、各メンバーが 1 つのテーマに関するアイデアを 3 つ、それぞれ別の紙に記入します。その後全員が自分のアイデアを右か左の人に渡し、次はその人がそれらのアイデアについて箇条書きや考察を書き加えていきます。
これを、その紙が一周するまで続けます。その後ブレインストーミングの進行役がすべてのアイデアを要約するか、どのアイデアが実行の価値があるか、参加者で議論します。このブレインストーミングテクニックは、アイデアが多くなりすぎたり時間がかかりすぎたりしないように、10 人以下で行うのがおすすめです。
【こんな場合におすすめ】グループでのブレインストーミング、内向的なメンバー
共同作業型ブレインライティングは、草原で草を食べる牛の群れのように、参加者がそれぞれ 1 週間かけてアイデアを考え続け、考えやアイデアを書き留めていきます。このテクニックを実践する場合、ブレインストーミングの進行役は、まず大きな紙とそれに貼る付箋を用意したり、クラウドベースのドキュメントを共有することから始めることが多いでしょう。
各チームメンバーは空いた時間にアイデアについて考え、匿名のフィードバックとして紙やクラウドドキュメントに追加していきます。セッション終了の明確な期限を設けて、すべての参加者が意見を出す機会を得られるようにしましょう。
【こんな場合におすすめ】個人でのブレインストーミング
ブレインネッティングとは、Slack チャンネルや Google ドキュメント、プロジェクト管理ツールなどの場所でアイデアを出し合うことを指し、リモートチームに最適です。
ブレインネッティングでは、参加者が何かアイデアを思いついたらアイデアを追加するので、リストは常に進化します。もちろん、問題の解決策などを求めている場合は、重要な日程や期限について参加者に知らせておくのもよいでしょう。アイデアを議論するための会議を開いても構いません。匿名のまま会議を行うこともできます。
【こんな場合におすすめ】グループでのブレインストーミング、内向的なメンバー、リモートチーム
SCAMPER というブレインストーミングテクニックでは、その頭文字を持つ 7 つの観点を使ってさまざまな角度からアイデアを吟味することができます。
Substitute (代替): ソリューションの一部を別のものに変えたらどうなるかを考えます。
Combine (結合): ソリューションの一部を別のものと組み合わせたらどうなるかを考えます。
Adapt (適応): アイデアやソリューションが、別の状況でどのように適応できるかを考えます。
Modify (修正): 影響力を高めるには、アイデアをどのように修正すればよいかを考えます。
Put to another use (応用): そのアイデアを他のどんなことに応用できるかを考えます。
Eliminate (削除): アイデアやソリューションから何を削除すればもっとシンプルになるかを考えます。
Reverse/Rearrange (再調整): 最後に、アイデアをどのように再調整すればもっと効果的になるかを考えます。
グループでブレインストーミングを行う際には、テンプレートを使って回答を管理したり、SCAMPER 法をブレインライティングセッションと組み合わせることで、参加者全員によってあらゆる角度からアイデアを評価できるようになります。
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、アイデアの徹底的な吟味
LDJ の略称でも知られるライトニング・ディシジョン・ジャムは、40 分から 1 時間程度で完了する手法でありながら、終わるころには具体的な成果と参加チーム全体の賛同を得ることができます。
このブレインストーミングの手法はリモートチームの足並みを揃えるのに最適です。まず、あるテーマに関する肯定的な意見や、うまくいっている点などを書き出します。その後、否定的な意見を挙げて、今すぐ対処すべき問題は何かを特定します。続いて、数分間かけてそれらの問題を質問として捉え直した後で、ブレインストーミングによって解決策を考えます。
最後に、マトリクス表を使って解決策の影響力の大きさと実行にかかる労力の大きさを判断し、どのアイデアを実行に移すべきかを決定します。LDJ 手法についてもっと詳しく知りたい方は、この手法を開発したデザイン会社の AJ&Smart によるこちらの動画をご覧ください。
【こんな場合におすすめ】グループでのブレインストーミング、リモートワーク、厳しい納期、実行可能なソリューションの特定
アイデアナプキンは LDJ と同様、幅広いテーマを具体的なソリューションに落とし込むためのブレインストーミングテンプレートです。この手法では、参加者全員が自分のアイデアを 1 つ書くための「アイデアナプキン」を持ち、自分のアイデアとそのエレベーターピッチを書き出すことから始めます。
またアイデアナプキンには、「アイデアのターゲットは誰か」、つまり顧客やチームメイトなど、誰のために問題を解決するのかを示す欄と、「どんな問題を解決するのか」を示す欄もあります。参加者は事前にこのナプキンに記入しても、セッション中に記入しても構いませんが、全員がその内容を発表または共有することになります。最終的なアイデアは影響力と労力のマトリクス表に配置し、どのアイデアに実行の価値があるかを決定します。
【こんな場合におすすめ】グループでのブレインストーミング、実行可能なソリューションの特定
演技が好きな人におすすめ!このロールプレイ型ブレインストーミングでは、他の人の立場に立って物事を考えたり、他の人の帽子を (時には 6 つも) かぶったりして、新しい視点から問題に取り組んだり、アイデアを考えたりします。もう一つのメリットとして、参加者が自分以外の人格になりきり「自分ではなくなっている」ため、より自由な発言が期待できます。
この手法では、その名の通り最低 6 人の参加者が想像上の帽子をかぶります。それぞれの帽子によって、参加者は特定の角度からアイデアを見ることになります。たとえば、ある参加者は影響力の帽子をかぶり、アイデアの影響力のことだけを考えます。もう一人の参加者は制約の帽子をかぶり、そのアイデアの制約のことだけを考えます。
そういった帽子の側面は、自分の組織にとって重要なものを自由に設定して構いません。グループディスカッションが終わるころには、これから実現させるアイデアに自信を持った状態で帽子を脱ぐことができるはずです。
【こんな場合におすすめ】グループでのブレインストーミング (6 人以上)、内向的なメンバー、アイデアの徹底的な吟味
「こういうとき、〇〇ならどうするだろうか?」というフレーズを聞いたことがあるでしょうか。それがフィギュアストーミングの基本的な考え方です。リーダーや有名人などの著名人になりきり、著名人を脳内に置いて「その人ならどうするか」を考えます。
この手法によって参加者は異なる視点でテーマに取り組むことができます。また自分のアイデアではなく誰かのアイデアを共有するという形になっているので、グループでのブレインストーミングでは、自分が悪いアイデアを出してしまうのではないかという不安を和らげることができます。自分に今日だけの新しい役職を与えてみましょう。
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、外向的なメンバー
ロールストーミングは、参加者が色々な人格になりきってアイデアを出すという点ではフィギュアストーミングと似ていますが、参加者がその「アイデア」も演じるという点ではよりドラマチックな手法と言えます。
通常、各参加者は従業員、顧客、その他の関係者など、議論の対象となっているアイデアや解決策によって影響を受ける人々の役割を担い、特定のアイデアから発生する可能性のある状況を演じて、そのアイデアからどんな問題が発生する可能性があるかを読み解きます。外向的なチームにおすすめのブレインストーミングテクニックです。
【こんな場合におすすめ】グループでのブレインストーミング、外向的なメンバー
リバースストーミングは少し変わった手法です。まず問題をブレインストーミングしてから、解決策へと移ることで、参加者は破壊者のような役割を演じることになります。一般的にチームリーダーはブレインストーミングの最初の質問として、「[問題] を起こすにはどうすればいいですか?」のように聞きます。
それによってチームが原因を挙げ終わったころには、問題解決のための新たな視点を持つことができているでしょう。
【こんな場合におすすめ】グループでのブレインストーミング、アイデアの創出、問題解決
リバースシンキングは、フィギュアストーミングと 6 つの帽子を組み合わせたようなブレインストーミングテクニックです。参加者はただ自分に「他の誰かならこの状況でどうするだろうか?」ということを問いかけます。そしてその人の解決策がうまくいくかどうかや、自分の今の解決策と比べてどちらが効果的かなどを考えます。
【こんな場合におすすめ】グループでのブレインストーミング、外向的なメンバー、アイデアの徹底的な吟味
ブレインストーミングのテクニックはグループでも使える場合が多いですが、ここではグループ全員の参加を促す、または全員の参加を必須とするテクニックをご紹介します。グループでのブレインストーミングがうまく進めば、たくさんのアイデアが得られるだけでなく、こんなメリットもあります。
気軽なブレインストーミングゲームや、ブレインストーミングプロセスの全ステップに参加してもらうことで、チームのやる気がアップする
特に、参加者にアイデアを準備する時間が与えられていて、問題解決のための構造化されたアプローチが整っている場合、創造的な思考が促進される
それぞれの参加者が持つユニークな視点と長所を生かして、より多様なアイデアが集まる
つまり、グループブレインストーミングでは全員で一緒に考えることが重要なのです。
直観像法では対象の設定を行い、参加者は目を閉じてただその対象について考えます。たとえば新しいスマートウォッチの設計を考える場合、ブレインストーミングの進行役は参加者全員に目を閉じて、現在のスマートウォッチはどのようなものか、静かに考えるように指示します。
その後グループで話し合い、再び目を閉じて今度はそのデバイスに追加する新しい機能について静かに想像します。再び目を開けて議論し、製品強化の可能性に関する意見を重ねていきます。この手法は、既存の製品やソリューションを改良したい場合や発展させたい場合に最適です。
【こんな場合におすすめ】視覚的に考えるタイプ、新しいアイデアの創出
会議中に話が脱線してしまったり、集中力が続かなかったりするチームにおすすめなのが、このラピッド・アイディエーションという手法です。この手法では、参加者は時間と戦いながらできるだけ多くのアイデアを出します。参加者が進行役に向かってアイデアを叫ぶ形でも、紙にアイデアを書く形でも構いません。何度も出てくるようなアイデアは、それだけ実行価値の高いものである可能性があります。
【こんな場合におすすめ】外向的なメンバー、厳しい納期
ラウンドロビン・ブレインストーミングでは、全員の参加が必須です。全員がアイデアを少なくとも 1 つは出し終わってから、グループ全体でフィードバックを出し合ったり、2 つ目のアイデアを出したりします。
全員がアイデアを出す必要性があることを考えると、参加者がアイデアを準備できる期間を設けたほうがいいでしょう。この手法は内向的なチームにはもちろん、大人数のグループで全員が貢献できるようにしたい場合にも最適です。特にこのラウンドロビン方式では先述の「悪いのはアイデアが出ないことだけ」という考え方に沿っています。
【こんな場合におすすめ】内向的なメンバー、アイデアをたくさん創出したい
5 ~ 15 人の中規模グループに最適なのが、ステップラダー手法です。この手法のメリットは、発言力の高い参加者によってアイデアが左右されるのを防げるという点にあります。
ステップラダー・ブレインストーミングでは、進行役がグループに 1 つのテーマを出し、参加者 2 人を残して残りは退室させます。部屋に残された 2 人の参加者は数分間アイデアを出し合い、その後で 1 人の参加者が部屋に戻り、元からいた 2 人がそれぞれのアイデアについて話す前に、自分のアイデアを共有します。
その後も参加者を 1 人ずつ部屋に戻し、新しく部屋に戻ってきた参加者が自分のアイデアを共有してから、先に部屋にいたグループが自分たちのアイデアについて話す、という風に進めていきます。参加者全員が部屋に戻ったら、一緒に段階的に作り上げてきたアイデアについて話し合います。
【こんな場合におすすめ】内向的なメンバー、アイデアの徹底的な吟味、実行可能なソリューションの特定
この手法を実践する場合は、部屋をいくつか確保しておいた方がいいかもしれません。シャレット手法では問題を小さなまとまりへと分解し、参加者をいくつかのグループに分けてそれぞれの問題に取り組むようにします。
たとえば、部屋を 3 つ用意してホワイトボードにテーマや問題を書き、3 組のグループにそれぞれ部屋に入ってもらい、アイデアを書き出してもらいます。その後、各グループは部屋を移動して前のグループのアイデアをさらに発展させます。まさに効果的なチームワークと言えるでしょう。
【こんな場合におすすめ】アイデアの徹底的な吟味、実行可能なソリューションの特定
個人やチームのアイデアを引き出す一風変わったアプローチとして、こんな手法をレパートリーに加えてみてもいいかもしれません。
非常に即興的な「What if」手法はシンプルで、ラピッド・アイディエーション手法と同じように、特定のテーマに関連して「もし~だったら?」という質問をできるだけ多く投げかけるというものです。たとえば「もし、この問題が別の国で起きていたら?」「もし、この問題が 1800 年代に起きていたら?」というような感じです。
さまざまな場面を考えることで、その問題に関する新たな障害が発見できるかもしれません。この「What if」手法は、主にすべての可能性について考えたい場合に役立ちます。
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、新しいアイデアの創出、アイデアの徹底的な吟味
物理的な環境がチームのワークフローや創造力にも影響を与えることは周知の事実です。ブレインストーミングがマンネリ化してきたら、公園に行ったりウォーキング会議をしたり、コーヒーショップに行くなど、別の場所に移動してみましょう。
いつもと違った環境に身を置くことで、新しいアイデアが生まれるかもしれません。また参加者の緊張もほぐれてアイデアの共有に前向きになることで、「質より量」の達成も期待できます。
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、新しいアイデアの創出
これはちょっと変わったテクニックです。まず帽子の中にいくつか単語を入れ、その中から 1 枚引いてその単語が現在議論しているテーマにどのように関連するかを話し合います。自分の考えや、言葉の連想から生まれた新しいアイデアを記録するためにテンプレートを使用するのもおすすめです。
この手法にワードバンキングを組み合わせると、さらにアイデアを整理しやすくなります。ワードバンキングとは、ランダムな単語を分類し、その分類とブレインストーミングのテーマを関連付けることです。
【こんな場合におすすめ】グループでのブレインストーミング、新しいアイデアの創出
絵コンテ (ストーリーボード) はテレビや映画だけのものではなく、ブレインストーミングのテクニックとしても活用できます。問題や考え得るソリューションについて絵やイラストで示すのです。この手法もまた、他の人の立場、特にそのソリューションによって影響を受ける人の立場に立って考える手法の一つであり、ソリューション実行の際に直面する可能性のある障害を視覚化できる手法でもあります。
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、問題解決、アイデアの徹底的な吟味
これは自分が構築したいソリューションを願うだけの、非常にシンプルな手法です。たとえば、「うちの会社がカーボンニュートラルになればいいのに」と考え、それを実現できるかもしれない手段や、実現を阻むであろう不可能な領域について考えます。そうすることで直面しうる障害が明らかになる一方、どんなことなら乗り越えられるかもはっきりさせることができます。
【こんな場合におすすめ】個人やグループでのブレインストーミング、新しいアイデアの創出
短時間で楽しめるクレイジーエイト手法では、8 つの枠からなるテンプレートを使ってわずか 8 分間で 8 つのアイデアをスケッチすることで、参加者のすばやい思考を促し、アイデアの量も確保します。時間切れになったら、グループでアイデアについて話し合います。
大規模なグループの場合はそこから各参加者にアイデアを 3 つに絞ってもらい、さらに 6 分の時間を与えてより細かくアイデアをスケッチしてもらうのもおすすめです。
【こんな場合におすすめ】グループでのブレインストーミング、視覚的に考えるタイプ、アイデアをたくさん出したい
どんな手法が適しているかに関わらず、効果的なブレインストーミングを行うために以下のベストプラクティスを試してみましょう。もちろん、まずはブレインストーミングの進行役がセッションの雰囲気をどのように設定するかということから始まります。
会議の準備のために時間が必要なのは進行役だけではありません。また、ブレインストーミングの進行役は参加者がセッションに向けて心構えができるように、会議の議題などのような形で、参加者に事前情報を与えるようにしましょう。
準備期間は通常、短くても 1 日ですが、2~10 分の短い時間でも有効です。さらにブレインストーミングの進行役は創造性のマンネリ化に備えてアイデアをいくつか用意しておく必要があります。
参加者が最初から知っている事前情報が多いほど、より実りのあるアイデアが期待できます。たとえば、どんなアイデアを求めているのか明確に示しましょう。すぐに実行できるアイデアなのか、これまでにない革新的なアイデアなのか、目指すべき具体的な目標を示しましょう。
加えて、プロジェクトタイムラインや予算など、あなたやあなたの組織が抱えている制約を参加者に伝えて、実行可能なアイデアを出してもらうようにしましょう。
同じメンバーで何度もブレインストーミングをすると、毎回同じようなアイデアが出てきてしまうことがあります。そこで新たなメンバーを加えることで、いつものブレインストーミングに変化が与えられ、新鮮な視点で、うまくいけば新鮮なアイデアが生まれるでしょう。招待するメンバーは別部門の同僚や、フォーカスグループの顧客、外部のコンサルタントなどがおすすめです。
ブレインストーミングの場は、たとえ型破りなアイデアでも自由にアイデアを共有できる場所であるべきです。「悪いのはアイデアが出ないことだけ」であり、どんなアイデアも否定されたり批判を受けるべきではありません。ブレインストーミングの進行役はすべての参加者が平等に扱われ、同等の時間が与えられるようにしましょう。たとえば各参加者が発言する際にタイマーを設定することで、会話を独占しがちな人も受け入れることができます。参加者がアイデアに対して好奇心旺盛かつ自由に発言できることも重要です。
クリエイティブな発想は、気難しく考えすぎないことから始まります。包括性 (インクルージョン) を奨励するのと同じく、不完全な発想や常識破りな発想も奨励しましょう。楽しいチームビルディングゲームやユニークなアイスブレイク質問などがおすすめです。くだらないアイデアがたくさん出てきても、アイデアが出ないよりはいいことです。ウィッシングのようなブレインストーミング手法は、メンバーの心を開くのに役立ちます。
景色を変えると新しいアイデアが生まれるのと同じように、ちょっとした BGM でも創造性は高まります。ブレインストーミングの際には、ぜひ音楽をかけてみましょう。以下のような音楽が効果的です。
インストゥルメンタル
メジャーキー
テンポと音量が一定
ブレインストーミングのテクニックが必ずしも万能ではないように、どんなセッションでも同じ 1 つの手法で対応できるわけではありません。参加者の反応やあなたの持つアイデアの数に応じて、ブレインストーミングの手法を変えられるようにしましょう。
よいアイデアを思いつくのは素晴らしいことです。しかしそれを効果的に実行できなければ意味がありません。ブレインストーミングの手法の中には実行プロセスが含まれているものもありますが、プロジェクトテンプレートを使って参加者をフォローアップし、クリエイティブなソリューションを用いてプランを立てる必要がある場合もあります。
ブレインストーミングセッションは正しく行うことで面倒さはなくなり、むしろ一緒に何かを作り出す機会となります。使用するブレインストーミングの手法が色々な考え方や表現をサポートするものであればなおさらです。
また、個人でもチームでも、自分のアイデアが実現したときの満足感は格別です。クリエイティブなアイデアが生まれたら、次はワークフロー管理ツールをカスタマイズしてそのアイデアを実行に移しましょう。
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